Shizuoka University of Art and Culture Academic Repository / 静岡文化芸術大学学術リポジトリ
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Towards an Anthropology of Aging Japanese Brazilians in Japan
静岡文化芸術大学本ワーキングペーパーは、菅沼文乃著『<老い>の営みの人類学』(2017)を手がかりに、老いを単なる身体的な衰退や社会的な不活性化ではなく、一つの営みとして捉える視点を考察する。菅沼(2017)の沖縄での事例研究を踏まえ、本稿では浜松市に居住する日系ブラジル人老年者の事例と比較検討を行う。彼らの多くは1990 年代に「出稼ぎ」として来日し、さまざまな事情から日本に定住している。本研究は、彼らがどのように「老いの営み」を形成しているのかを明らかにし、日本の多文化社会における高齢化の課題について考察することを目的とする。また、本稿は静岡文化芸術大学における大学院研究プロセスの公開促進を目指すものである。文化政策研究科の基礎科目「リサーチワークショップⅠ」において菅沼氏を外部ゲストとして招き、得られた示唆を今後の研究の課題と展望に位置づけている。This working paper examines the perspective of aging not as a mere physical decline or social inactivity but as an active practice, drawing on Ayano Suganuma's Anthropology of Aging as Practice (2017). Based on Suganuma's discussion on Okinawan communities, this study compares and analyzes the case of elderly Japanese Brazilians in Hamamatsu. Many of them came to Japan as "dekassegui" in the 1990s and have remained due to various circumstances. This research aims to clarify how they construct their "practice of aging" and to explore issues related to aging in Japan's multicultural society. Furthermore, this paper is also intended to highlight and develop the graduate research process at Shizuoka University of Art and Culture. As part of Research Workshop I in the Graduate School of Cultural Policy and Management, Suganuma was invited as an external guest, and the insights gained from this session are positioned as key considerations for future research directions.PDFSUACWP-2024-007research repor
The Potential of Art Activities in Regional Revitalization in Taiwan – Based on Case Studies from Japan and Taiwan –
2024PDF本稿では、日本におけるアートプロジェクトの地域活性化効果の研究成果を踏まえて、地域アイデンティティの確立における台湾の地域アート活動の可能性を明らかにした。
第1章では、台湾における「文化政策の展開」と「現代アートの発展」を整理することで、台湾におけるアート活動が地域へ向かう背景を明確化し、特に台湾の歴史的背景から地域アイデンティティを重視する取り組みが重要であることを示した。第2章では、先行研究を基に日本におけるアートプロジェクトの定義と特徴を整理し、アートプロジェクトによる地域活性化の効果がどこまで検証されているのかを確認した。第3章では、台湾の地域アート活動の事例の中から、第2章で整理したアートプロジェクトの特徴に基づき調査対象を選定し、現地調査を実施した結果を整理した。第4章では、調査結果を踏まえて、各事例の課題や共通点を検討し、地域アイデンティティに与えた影響を分析することで、地域アイデンティティを通じたアート活動の可能性を明らかにした。
その結果、「成龍濕地國際環境藝術節」の事例では、アート作品の制作や修復への取り組みを通じて、住民の地域への意識の変化が見られることが示された。日本のアートプロジェクトの事例と同様に、芸術家、ボランティア、地域住民の交流を通じて、地域住民に肯定的な影響をもたらしたと考えられ、地域アイデンティティの確立において台湾の地域アート活動が貢献する可能性が明らかになった。また、各事例の共通点である地域団体や地域拠点との長期的な関係性が、アート活動を地域で継続させる上で重要な要因となる点も示唆された。一方、現時点で十年以上継続している台湾の地域アート活動の中には、日本のアートプロジェクトに見られる特徴を持つものも存在するが、それらの特徴が活動の中心となっていない事例がみられる。地域内の協働および地域外への展開を支える仕組みの構築が、台湾における地域アート活動が地域アイデンティティの確立に向けた課題として挙げられる。修士(文化政策)静岡文化芸術大学master thesi
江戸時代における静岡浅間神社「二階拝殿」の建築形式・技術と駿府社会
静岡文化芸術大学江戸時代の静岡浅間神社を特徴付ける「二階拝殿」の建築形式と建築技術について古文書・古絵図による人文学的成果と、保存修理事業と連携した建築調査による科学的成果を合わせて検証し、「二階拝殿」の特異な建築形式と安政東海地震に耐え抜いた高度な建築技術を解明する。その背景にある駿府の建築普請活動の中でも持続可能な社会の仕組みに着目し、歴史学・民俗学の視点も加えた駿府社会の基礎構造を紐解き、神社境内における「二階拝殿」という存在に留まらす、駿府城下町や駿河国、富士山まで俯瞰した景観や都市研究に発展させる。22K04510research repor
Performance Script for the Original Production of Balinese Wayang, “The Ascension of Meganada”
静岡文化芸術大学はじめに
「メガナダの昇天」 について
上演台本の表記について
第一幕 メガナダの出陣
第二幕 ラクサマナと猿軍の出陣
第三幕 猿たちと魔物たちの戦闘の場面
おわりにPDFSUACWP-2025-001research repor
Exhibition Description of “Tracing the Form of Numazu City Hondori Fireproof Building Belt Through Photographs and Architectural Documents”
静岡文化芸術大学静岡県沼津市に所在する沼津市本通防火建築帯は,財団法人建設工学研究会の設計で昭和28(1953)年に西側が,翌年に東側が完成した。商店街に面した公共歩廊の上に「有階アーケード」が覆い被さる空間構成は,その後全国的に展開された防火建築帯の中でも類を見ない建築的特徴である。一方で,ステークホルダーの多さやその関係図式の複雑さ故に,関連資料が分散しその全容が把握されていないという,アーカイブズ学的な課題を抱えている。本稿では,部分解体が進む状況下で緊急に実施した資料調査(実施期間:2024年11月-2025年3月)の成果展示を解説する。Numazu City Hondori Fireproof building belt in Shizuoka Prefecture, was designed by Research Association of Industrial Construction and built in 1953 on the west side, with the east side following in the next year. The spatial composition, in which a “multi-story arcade” covers the public walkway facing the shopping street, is a unique architectural feature among fireproof building zones that were later developed nationwide. On the other hand, due to the large number of stakeholders and the complexity of their relationships, related documents are dispersed, making it difficult to grasp the full scope of the project—posing an archival challenge. This paper describes the results of an urgent survey of the documents (2024. 11–2025. 3), which was conducted under the circumstances of partial demolition.PDFSUACWP-2024-006research repor
Establishment and Succession of the Legong Dance Style in Balinese Cultural Policy and Narratives of a Dancer
2024PDF本論文では、バリ舞踊の一つとして国内外で広く知られているレゴン舞踊の様式が確立してゆく過程と、その後、現在に至るまでどのように継承され続けているかという過程をインドネシア共和国独立後のスカルノ政権時代(1949-1965)、およびスハルト政権時代(1968-1998)に行われた文化政策を中心に明らかにした。また、そうした政策の下、芸術家たちがどのようにスタンダードなレゴン舞踊様式を創り上げ、今なお継承しているのかを一女性舞踊家の語りから明示した。
第1章では、本論文の研究対象であるレゴン舞踊とインドネシアの文化政策のこれまでの研究をまとめ、先行研究を通して本論文の位置づけを明確にした。第2章では、レゴン舞踊を、その分類、定義、歴史、衣装と化粧、演目と構成、舞踊の所作などの側面から概観した。続く第3章では、インドネシアとバリの文化政策を、スカルノ政権時代、スハルト政権時代、スハルト政権崩壊後の地方分権の時代の三つに分けて考察したうえで、インドネシアやバリの文化政策とレゴン舞踊との関わりと、スタンダードなレゴン舞踊様式の経緯について詳細に論じた。最後の第4章では、バリの一女性舞踊家の語りから、彼女とレゴン舞踊との関わりをまとめ、スタンダードなレゴン舞踊様式の確立と継承について明らかにした。
これらの考察から明らかになったスタンダードなレゴン舞踊様式の確立と継承を比較考察した結果、その様式の確立には、たしかに国や州の文化政策が関わっているものの、実際には文化政策とは無縁な舞踊家や音楽家たちが、純粋に芸術性が高く、教育に適した舞踊作品を創り上げることに尽力していたことが明らかになった。
スタンダードなレゴン舞踊様式は、文化政策が主体となって創り上げられたのではなく、舞踊家や音楽家たちが純粋に芸術的な視点から創作したレゴン舞踊が、文化政策の枠組みに取り込まれ、結果的にバリ州の地方文化となり、国家統一を目指したインドネシアの国民文化となったのである。修士(文化政策)静岡文化芸術大学master thesi
触れたくなるテキスタイル素材によるアートワーク - 視覚的知覚と触覚的知覚を手がかりに
2024PDF「触れる」とは、指や手により能動的に接触することであり、テクスチャーとは触れることで知覚した物体の表面から得られる質感やその印象を指すとされ、改めて身体接触による「触れる」に着目し、触感のメリットを再考することは有意義であると考える。本研究では、「ウサギ」をモチーフとした造形物を用いて「思わず触れたくなる」体験を通じ、「視覚」と「触覚」の双方からアプローチを行う。思わず触れたくなる テキスタイル素材によるアートワークを通じて、感受性の豊かさの再発見に資することを目的とする。修士(デザイン)静岡文化芸術大学thesi
障害児・者世帯のパネルデータ構築によるライフコース研究
静岡文化芸術大学障害児・者の教育段階から就業への移行、またその先の生活状況については、未だ不透明な部分が多い。そこで本研究では回顧形式の質問を含む「障害児・者と家族の生活調査」を実施し、毎年のパネルデータを構築することで、初職の選択、離職、転職、離家、自立といった障害児・者のライフコースにおける選択行動のタイミングや規定要因について分析し、定位家族の社会的・人口学的状況や、障害児・者への関わり方を考慮しつつ、その傾向や問題点を明らかにすることを試みる。これにより障害のある者の長いライフコースを通じた生活の保障と、多様性の確保、また特に親亡き後の生活面、精神面での必要な支援制度の検討に資することを目的とする。22K01981research repor
モビリティがル・コルビュジエの都市計画に与えた影響に関する研究
静岡文化芸術大学近代を代表する建築家ル・コルビュジエは、船、自動車、飛行機といったモビリティに大きく影響を受けて都市計画概念を構築してきたが、その具体的な影響関係については不明な点が多い。そこで本研究は、建築・都市計画の文脈に、モビリティ史・都市交通史を加えた横断的な視点から、ル・コルビュジエの都市計画概念の段階的変化を解明することを目指す。さらには、20世紀初頭におけるモビリティの都市計画への影響を明らかにすることにより、21世紀初頭の変革期にある現在のモビリティ環境に対応する今後の都市計画のあり方にも、指針を与える。21K04399research repor
Cultural Policy on Balinese Performing Arts : The First Decade of LISTIBIYA
バリ州政府の直轄の文化政策機関である文化審議育成委員会(LISTIBIYA)は、バリ文化と芸術の発展を指導・監督するために1966年に設立された。バリの文化政策の先駆的機関として同委員会は、スハルト政権の幕開けである新秩序時代の1960年代後半から、バリの舞台芸術に多大な影響を与えてきた。ここでは文化審議育成員会の設立と活動の背景、の活動の概要を示し、この文化政策機関が設立以降の約10年間にバリの舞台芸術に与えた影響を明らかにする。またこの組織が、スハルト政権下のインドネシア政府の文化政策に枠組みの中で、この地方の文化政策機関が果たした役割と位置づけを明確にする。The Commission for Evaluating and Promoting Culture (LISTIBIYA, Majelis Pertimbangan dan Pembinaan Kebudayaan), a cultural policy agency under the jurisdiction of the Balinese Government, was established in 1966 to direct and supervise the development of Balinese culture and Art. As a pioneer in the cultural policy of Bali, it has had a considerable influence on Balinese performing arts since the late 1960s, with the dawn of the Suharto regime, The New Oeder Era. By presenting an overview of LISTIBIYA’s first decade of existence, and thereby illuminate the role and place such a provincial agency had in the framework of national cultural policy under Suharto regime.departmental bulletin pape