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女性の正常咬合者と不正咬合者における骨量と栄養の関係
松本歯科大学博士(歯学)2022甲第253号application/pdf[要旨]現在、日本の骨粗鬆症患者は推定1280万人とされており、未だ増加の一途をたどっている。骨粗鬆症性骨折は単に生活機能を低下させるのみならず、死亡率を上昇させる。骨粗鬆症の発症予防として、若年期に高い最大骨量を獲得することが必要である。骨量には、性、年齢、体格、遺伝および生活習慣といった様々な因子が関係している。過去の研究で、高齢者において咀嚼能力が低いほど骨量が低くなることや、咀嚼能力が高い群と低い群で食物摂取や食嗜好に違いが見られたことから、咀嚼能力が栄養摂取に関わり、結果、骨量に反映すると考えられる。若年者においても、骨格性下顎前突症をはじめとする顎変形症患者は、咀嚼能力が正常咬合者に比べ著しく低いことが明らかにされている。そこで本研究では、若年成人女性で、正常咬合群と不正咬合群で骨密度に差があるのか、および体格や栄養状態が骨密度に影響を与えているかについて検証した。正常咬合群は、松本歯科大学歯学部および衛生学院の生徒からオーバージェット・オーバーバイトともに+2.0mm~+4.0mmで、アーチレングスディスクレパンシーが-4.0mm以下の者45名を対象とし、不正咬合群は、松本歯科大学病院矯正歯科を受診した患者のうち顎骨離断手術併用の矯正治療の適応となった女性顎変形症患者48名を対象とした。本対象者に対し、踵骨超音波法により骨密度を測定し、食物摂取頻度アンケート調査に回答してもらった。2群での骨密度、体格指数(body mass index : BMI)、アンケート項目および栄養素換算量の差はt-検定により解析を行った。栄養素換算量は上西らの方法に従い算定した。BMIは四分位階層に分類し、18.90≦BMI≦20.81を基準とした。骨密度と咬合状態および栄養状態の関連を調べるために、骨密度の対数変換値を目的変数とし、咬合状態、BMIおよび栄養素換算量を従属変数とする重回帰分析を行った。各群での骨密度を規定する因子についても同様に評価した。重回帰分析にはAIC値(赤池情報量基準)を用いた。不正咬合群は正常咬合群に比べ、骨密度が0.7%低い傾向にあった。両群全体と正常咬合群において、ビタミンC摂取量増加に伴い骨密度は有意に増加し、マグネシウム摂取量増加に伴い骨密度は有意に低下した。不正咬合群では正常咬合群に比べて、ビタミンAの過剰摂取と日光暴露時間の有意な低下が見られた。また、ビタミンB12摂取量増加に伴い骨密度は有意に増加した。正常咬合群がBMIの影響を受けなかったのに対し、不正咬合群では、高BMI群と低BMI群は基準BMI群よりも骨密度は有意に低くなっていた。以上の結果から、不正咬合群はビタミンAの過剰摂取と日光暴露時間の有意な低下、BMIの骨密度への影響により、正常咬合群よりも骨密度が低い傾向にあったと考えられた。ビタミンCとビタミンB12については従来の報告通り、骨質改善に働いていた。マグネシウム摂取量と骨密度の関連は未だ明確ではなく、特に若年女性のデータは少ないため、今後の検討課題と思われた。
不正咬合者は正常咬合者に比べ、踵骨骨密度が低くなる傾向が見られた。また正常咬合者と不正咬合者では、骨密度に影響する体格および栄養因子が異なる可能性が示唆された。骨量獲得が旺盛な時期の若年期女性の咀嚼機能障害を改善すること、すなわち外科的矯正治療を行うことで、正常咬合者に近い栄養摂取状態となり、高い最大骨量の獲得へつながるかもしれないと考えられた。doctoral thesi
抜歯後組織修復における金属結合タンパク質メタロチオネイン-1/-2の関与
松本歯科大学博士(歯学)2022甲第255号application/pdf[要旨]メタロチオネイン(MT)は,多様な刺激により誘導される低分子量の金属結合タンパク質である.分子内に豊富に存在するチオール基を介した作用により,亜鉛や銅などの必須微量元素恒常性維持や抗酸化作用を示すことが報告されているが,皮膚の創傷治癒時にも誘導されることから,細胞増殖や創傷治癒への関与も示唆されている.しかし,MTが創傷治癒に関わる機序の詳細は未だ明確になっていない.ところで,歯科診療において抜歯は通常処置の1つであるがが,抜歯窩では上皮再生が進行しており,皮膚創傷治癒時と同様,抜歯窩での組織修復にMTの関与が想定される.しかし,MTと抜歯後組織修復との関連については未だ報告がない.したがって,本研究では,MT-1/-2欠損マウスと野生型マウスを用い,抜歯後組織修復におけMT-1/-2の関与について検討した.まず,野生型マウスを用いて抜歯後上皮再生時のMT-1/-2局在を検討した.抜歯は雄性,2 8日齢マウスの上顎右側第一臼歯で行い,0,3,5,7日後に上顎骨を採取した.その後,上顎骨の脱灰パラフィン包埋切片を作成し,組織学的評価(HE染色,組織化学染色[抗proliferationmarkerproteinKi-67(Ki-67)抗体,抗MT-1/-2抗体])を行なった.次いで,野生型およびMT-1/-2欠損マウスを用いて,同様の抜歯処置および上顎骨採取を行い抜歯後の上皮再生と骨新生における差異を検討した.上皮再生は創傷面積で評価し,抜歯部位の実体顕微鏡画像をNIHImageJで測定した.また,骨新生は,抜歯窩歯槽部(近・遠心頬側根,口蓋根)の骨密度(新生骨体積/抜歯窩歯槽部体積,%)で評価し,μCT画像を解析することにより算出した.さらに,MT-1/-2欠損マウスにおいて抜歯前日より4日間,α-トコフェロールを腹腔内投与し,抜歯3日後の抜歯後上皮再生に対する影響を検討した.その結果,再生上皮において,MT-1/-2はKi-67と比較し,多種の細胞に発現していたが,共に基底細胞に発現し,その発現領域は近似していることを認めた.また,創傷面積は,両系統マウス共に抜歯後経時的に減少したが,抜歯3,7日後におけるMT-1/-2欠損マウスの創傷面積は,野生型マウスに比べて有意に高値であった.なお,MT-1/-2欠損マウスにおける抜歯3日後のα-トコフェロール投与群の創傷面積は,対照群と比較し有意に低値であった.一方,抜歯窩歯槽部の骨密度は経時的に増加したが,抜歯3,5,7日後においてMT-1/-2欠損マウスで骨密度が低値となる傾向があったものの,野生型マウスとの間に有意な差は認められなかった.以上の結果より,MT-1/-2欠損マウスでは抜歯後の上皮再生は遅延することが明らかとなった.また,この遅延にMT-1/-2欠損による活性酸素消去機能の欠失が関与している可能性が示唆された.doctoral thesi
舌口唇機能訓練が高齢者の認知機能および舌筋力と口唇閉鎖力に及ぼす影響
松本歯科大学博士(歯学)2022甲第254号application/pdf[和文抄録]目的:多くの高齢者施設では,オーラルフレイルの予防として,舌口唇機能訓練である「パタカラ体操」が実施されている。しかし,舌口唇機能訓練による認知機能や口腔周辺の筋力への効果は明確にされていない。そこで,舌口唇機能訓練が認知機能および舌筋力と口唇閉鎖力に与える効果を明らかにする事を目的とする。方法:高齢者(66~98歳)60名を舌口唇機能訓練有群(T群)と訓練無群(N群)に分け,T群には舌の出し入れと「パ」「タ」「カ」の各音の5秒間連呼を1日3回実施させた。両群全員に対して,認知機能(MMSE),舌の口腔湿潤度,舌口唇機能(舌口唇運動機能),舌筋力,口唇閉鎖力を3ヶ月おきに21ヶ月後まで測定した。各群内の各回の値を比較するとともに,初回時に対する各回の差(MMSE)や変化率(舌の口腔湿潤度,舌口唇運動機能,舌筋力,口唇閉鎖力)を両群で比較検討した。結果:群内の比較では,MMSEと舌口唇運動機能において各回に有意差は認められなかった。T群の口腔湿潤度は,訓練前に比べ訓練21ヵ月後,舌筋力と口唇閉鎖力は,訓練12ヶ月後以降に有意に上昇した。差や変化率を用いた両群の比較では,MMSEは18ヶ月後以降,舌口唇運動機能は9ヶ月後と21ヶ月後に有意差が認められた。T群の舌筋力の変化率は9ヶ月後以降N群より高く,口唇閉鎖力は21ヶ月後にN群より高かった。結論:舌口唇機能訓練の継続は,舌筋力や口唇閉鎖力を上昇させるとともに,認知機能や発音機能の維持に有効である事が示唆された。doctoral thesi
超弾性ワイヤーによる歯の移動時における強制力の測定
松本歯科大学博士(歯学)2022甲第252号application/pdf[緒言]従来,マルチブラケット法において初期の排列にはステンレススチールワイヤーにループを組んで使用してきた.しかし,近年では超弾性ワイヤーの使用頻度が高い.ループを組まずに大きなたわみを得られ,簡便に歯を排列することができ,患者の違和感も軽減できるためである. 超弾性ワイヤーは荷重を掛けて曲げても除荷すると元の形状に戻る性質を持っている.しかし,マルチブラケット法において超弾性ワイヤーを一度使用しただけでは,ワイヤーが元の形状に戻るだけの歯の移動は起こり難い.これはブラケットとワイヤーの間で生じる抵抗力が原因であり,歯を移動させるだけの荷重がかからなくなるためである1).この抵抗力はフリクション,バインディング,ノッチングの3つに分けられている2).フリクションはワイヤーとブラケットスロットが面で接触している時の静止摩擦力および動摩擦力で,バインディングはワイヤーがブラケットスロットの角と角で挟み込まれることによる抵抗力である.ノッチングはワイヤーとブラケットスロットとの接触角が増加したとき,ワイヤーが変形し引っ掛かることによる抵抗力である.これらの抵抗力の存在については報告されているが,これらによりワイヤーの復元荷重がどのようになるかは不明な点が多い.Peterら3)は超弾性ワイヤーをブラケットを装着した歯列モデルに通した状態で曲げ試験を行うことにより,抵抗力を考慮した状態でのワイヤーの復元荷重と復元量を測定している.この研究では,従来の結紮が必要な従来型ブラケットと結紮不要のセルフライゲーションブラケットの比較を行っており,従来型ブラケットは復元荷重が早期に減少し復元量も少ないのに対して,セルフライゲーションブラケットでは結紮による抵抗力が少ないため復元荷重が持続的にかかり,大きな復元量が得られたと示している.しかし,この研究で使用している歯列モデルは各歯のブラケットスロットが平行になるように排列され,荷重方向は長軸に平行であるため,実際の臨床の状況に則していない.そこで,本研究では超弾性ワイヤーにより実際の臨床状況において掛かる矯正力を解明すると共に,有効な矯正力が持続的にかかる方法を検討することを目的として,実際の臨床に則した模型上で,超弾性ワイヤーの復元力および復元量の測定を行った.doctoral thesi
歯科補綴学実習におけるインプラント埋入実習導入効果の検証
松本歯科大学博士(歯学)2022乙第39号application/pdf[緒言]欠損補綴治療を行う患者に対しては,可撤性有床義歯,ブリッジおよびインプラント,さらに短縮歯列においては経過観察を提示することは必須となっている1).平成28年歯科疾患実態調査では65~69歳の4.6%がインプラントを使用していたとの報告2)があることから,現在の歯科臨床において, インプラントを使用している患者を診察する機会は多い.従って,卒前教育においても口腔インプラント学に関する知識は重要である3).本邦における口腔インプラント学教育の歴史は,歯科医学教授要綱に口腔インプラントに関する領域が追加された1995年にさかのぼる4).当時,口腔インプラント学教育の必要性を86%の歯科大学が認めたものの,口腔インプラント学教育を実際に導入している大学は半数程度に留まり,いずれも1年間で2~3時間の講義行われるのみであったが,2008年以降,現在ではすべての歯科大学で口腔インプラント学の講義が行われている5,6).松本歯科大学(以下本学)における口腔インプラント学講義は2007年度よりクラウンブリッジ補綴学の講義内で1コマ導入して以降, 順次年度ごとに講義数が増加しており,2016年度には正式に口腔インプラント学として半期15コマの独立科目として開講するに至っている.一方,口腔インプラント学模型実習に関しては2009年当時52%の大学で実施されており6),本学では2018年度より歯科補綴学実習Ⅱの全45コマのうち3コマに導入し,2020年度からは,当該学年の全受講者を対象にアンケート調査を行っている.今回、我々は口腔インプラント学実習の教育効果の検証と教育内容の問題の抽出を目的として,2020年度と2021年度の本学実習受講者について調査したので報告する。doctoral thesi
歯科大学生101名の血圧とう蝕未処置歯数,歯周ポケット深さおよびBody Mass Indexとの関連について:入学時および4年時の追跡調査
松本歯科大学博士(歯学)2022乙第38号application/pdf[抄録]目的:高血圧症は脳心血管病の最大の危険因子であり,血圧と歯周病との関連は以前より報告されている. 本研究では,松本歯科大学歯学部学生の1年時および4年時に実施された健康診断および歯科検診の結果から, 血圧とロ腔因子との関連について明らかにし,さらに3年間のロ腔因子および全身因子の変化について検討することを目的とした.方法:対象は,松本歯科大学歯学部学生: 101名(男性: 54名,女性: 47名, 1年時の平均年齢: 20.3土2.7 歳)であり, 1年時および4年時に検査を施行した.健康診断にて,全身疾患の有無,身長,体重, Body Mass Index (BMI) ,血圧(収縮期血圧: mmHg/拡張期血圧: mmHg)を調べ,歯科検診にて,現在歯数,未処置歯数,処置歯数,欠損歯数, DMFT指数, Community Periodontal Index (CPI)を調べた.血圧値分類は,①正常血圧(収縮期血圧: 120 mmHg未満かっ拡張期血圧: mmHg未満) /正常高値血圧(収縮期血圧: 120~ 129 mmHgかっ拡張期血圧: 80 mmHg未満)群および②高値血圧(収縮期血圧130~ 139 mmHgかっ/または拡張期血圧: 80~89 mmHg) /高血圧(収縮期血圧: 140 mmHg以上か/または拡張期血圧: mmHg以上)群の2群に分けた.また, CPIの結果から, probing pocket depth (PPD)およびClinical attachment level (CAL)は4mm未満および4mm以上の2群に分けた.統計解析については, 1年時および4年時それぞれにおける,血圧とロ腔状態および全身状態について一検定およびカイ2乗検定を用いて分析した.さらに, 1年時と4年時それぞれについて,二項ロジスティック回帰分析を用いて,血圧と関連するロ腔因子および全身因子を分析した.最後に,多項ロジスティック回帰分析を用いて, 3年後の血圧値が「変化なし群vs.改善群」および「変化なし群vs.悪化群」を比較し,関連するロ腔因子および全身因子について解析した.結果:血圧値分類が高値血圧以上の者では, 1年時では未処置歯数が有意に多く,オッズ比: 1.339倍(95 % 信頼区間102~ 1.627, p = 0.83) , 4年時ではPPD 4 mm以上が多い傾向にあり,オッズ比3.882倍(95 %信頼区間: 0.863~ 17.453, p = 0.077)であった.また, 3年間で血圧が悪化した者では, BMIが増加しており, オッズ比: 1.711倍(95 %信頼区間: 1.129~ 2.592)であった.よって,高値血圧以上では,ロ腔内の状況やBMI と関連することが示唆された.結論:高値血圧以上の者では,未治療のう蝕残存数と関連がみられた.また, 3年間で血圧が悪化した者は BMIが増加していた.doctoral thesi
口唇トレーニング前後における口腔周囲筋の筋疲労と顎下部の形態変化
松本歯科大学博士(歯学)2021甲第245号application/pdf[緒言]近年、フレイル(虚弱)が問題視されており、負のスパイラルから要介護状態へつながってゆく危険性がある。フレイルへ至るプロセスに歯と口腔の健康が深く関わるとする概念1)がある。歯、口腔の管理がおろそかになると咀嚼機能の低下、嚥下機能の低下などから栄養不足になり、身体的な健康が障害を受ける。また舌運動低下、歯の喪失に伴う顔貌の変化などによって、滑舌や表情が曇り、人との交流も億劫になるなどの社会的な健康も危ぶまれている。さらに、心理面においても不安定になることから健康を損ねる。フレイルは、健康と機能障害の中間にあり、可逆的であることが特徴の一つである。プレフレイルやフレイル状態で、口腔機能を維持・向上する必要性がある。また、口腔機能のひとつである口唇閉鎖機能は哺乳、捕食、咀嚼、嚥下、発音、表情による感情の表出などの様々な口腔機能を営む上で重要な役割を持つことが知られている。口唇トレーニングが口腔機能維持に役立つ可能性がある。これまでに口唇の器具を用いたトレーニングには口唇閉鎖力や口唇から歯列に向けての力を増強させるものが行われている2-7)。さらに筋電図を分析した基礎的な研究により、トレーニング時の負荷量やその頻度により口唇閉鎖力に対する効果は異なることが報告されている8)。つまり、瞬発的な力の増強と持久的な力の増強のトレーニング法に相違があることが示唆されている。このことから、口唇機能の増強にどのような負荷をかけるべきかを検討することは重要であると考えられる。多方位口唇閉鎖力測定装置9-11)をもとに、口唇閉鎖力をディスプレイ上に表示して、ビジュアルフィードバックを用いた的あてゲームが松本歯科大学で開発中であり、このゲームを週に3回、4週間継続することで、最大口唇閉鎖力の増強や口唇閉鎖調節能力の向上が明らかにされている12)。高齢社会を迎えた現代では、トレーニングに対する取り組みやすさや継続しやすさは重要な要素のひとつであり、ゲーム感覚で行えるトレーニングはこれらの点に優位性が高いと考えられる。骨格筋のトレーニングには、持久力を高めるためのトレーニングと筋が発揮する力(筋力)を高めるためのトレーニングが存在する13)。筋力トレーニングの主な原則は、規則性、過負荷、および進行(強度、繰り返し回数、および頻度の観点から)である14)。筋力を高めるためのトレーニングには、筋原線維タンパク質の合成と筋肥大を刺激するため、短時間(<60秒)の強い収縮活動と重い抵抗負荷が必要である15)。あるひとつのトレーニングセッションは、急性疲労を引き起こし、繰り返し行うトレーニング中に神経筋系の適応につながると、一般的に言われている。つまり、疲労と回復を繰り返すことで、筋力の増強が引き起こされると考えられている14)。一方、筋疲労は、表面筋電図のパワースペクトルの振幅と平均周波数の変化に反映され、この方法でテストされたすべての筋肉グループの平均周波数は減少する16,17)。さらに、波形の振幅と周波数の変化は疲労の結果と相関し、信号の振幅が増加すると、平均周波数は減少することが示されている16-18)。そこで、本研究では、松本歯科大学で開発中の口唇閉鎖トレーニングの継続時間による口輪筋および舌骨上筋群の疲労に対する効果を調べるために、実験1を行った。筋疲労の定量的な評価には、一定の収縮を示す筋活動中の筋電図を周波数分析した結果を用いた。運動が引き起こすエネルギー代謝の改善によって、さまざまな健康上のメリットが達成される19)。これらのメリットは、筋肥大と脂肪量の減少によって引き起こされる体組成の改善を通じて長期的に持続すると言われている20-25)。口唇トレーニングを行うことで、口唇閉鎖に関わる筋の周囲の代謝が上がり、エネルギー消費を行うと考えると、口周囲の脂肪量の減少が起こり、顎下部の形態変化を起こす可能性がある。このことを検証するために、実験2を行った。筋疲労を引き起こすゲーム感覚で行う口唇トレーニングを4週間継続し、顔面形態を三次元的に解析して、顎下部の形態変化を調べた。合わせて、最大口唇閉鎖力およびゲームの巧みさを表す的あて回数を同時に記録した。doctoral thesi