Osaka Kawasaki Rehabilitation University Repository
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地域在住高齢者における運動習慣と ICT 利活用の関連について
修士[目的] 高齢者のスマートフォン普及率が向上し、健康に関連するICT の利活用が期待されつつあるが、運動習慣獲得等にICT の活用が影響を与えるか十分検証がなされていない。そこで運動習慣の有無に影響する要因をICT 関連要因も含めて調査した。
[方法] 対象は65 歳以上の地域在住高齢者とした。調査内容は運動習慣の有無、ICT 機器を使用した体操動画の視聴有無、運動への自信、主観的健康観等とした。統計学的検討は運動習慣の有無により2 群化した群間比較で単変量解析を行い、その後ロジスティック回帰分析で運動習慣なし群の独立関連因子のオッズ比を算出した。
[結果] 運動習慣なし群は「自分が活力に満ち溢れていると感じない」、「オンラインで運動等の動画を視聴していない」の2 項目が有意な独立関連因子であった。
[結論] 運動習慣を有していない高齢者は自覚的な活力低下があり、オンラインの運動動画の利活用が非常に少ないことが明らかとなった。articl
高齢者における嗅覚機能の変化と 認知機能低下との関係
修士加齢により視覚、聴覚などの知覚機能は低下するが、嗅覚機能は日常生活上の問題が視覚や聴覚ほど大きくないこともあり、加齢による嗅覚機能低下と認知症による嗅覚機能低下の相違点は明確にされていない。認知症のスクリーニングを目的とした嗅覚検査は開発されているものの、嗅覚機能を手掛かりにして認知症の前段階と考えられている軽度認知障害(MCI)のスクリーニングが可能かどうかは明らかにされていない。MCI に見られる嗅覚機能低下は、加齢変化による嗅覚感覚細胞脱落と認知症をきたす神経変性疾患による機能障害とが混在しているものと考えられることから、本研究では、地域在住高齢者を対象としてMCI のスクリーニングに役立つ嗅覚検査を開発することを目的とし、一般的な嗅覚障害スクリーニングを目的とする嗅覚検査(オープンエッセンステスト)と認知症スクリーニングを目的として開発された嗅覚検査(ニンテスト)の特徴を検討した。地域在住高齢者110 名について、嗅覚機能低下の自覚、認知機能(ACE- Ⅲ、TMT-A、TMT-B)、嗅覚機能検査(オープンエッセンステスト、ニンテスト)を行い、認知機能低下と嗅覚機能低下の関係について解析した。自覚的機能低下に関するアンケートでは、嗅覚機能低下の自覚は10% であり、物忘れ(90%)、運動緩慢(62%)、視覚聴覚低下(72%)の自覚と比較して少なかった。嗅覚機能については、オープンエッセンステストの結果は8、9 点を中心にして0-12 点の間に広く分布しており、各ニオイ刺激の正答率は25-52% の間に分布していた。最も正解率の低いニオイ刺激は炒めたニンニク(25%)であった。オープンエッセンスの結果は、対象者の32% が10 点満点で、残りの68% の得点は0-9 点の間に均等に分布していた。6 種類のニオイ刺激の正答率は61-72% の狭い範囲にあり、各刺激間の正答率の差異は少なかった。ACE- Ⅲ得点89/90 点をカットオフ値として90-100 点を正常、89 点以下をMCIと区分した場合、オープンエッセンステストもニンテストもスクリーニング検査として使用するには、感度・特異度は不十分であった。ニンテストの6 つのニオイ刺激に加えて、オープンエッセンスで用いられている12 種類のニオイ刺激の中から炒めたニンニク刺激を追加使用することにより、MCI スクリーニングのための検査として使用できる可能性が示された。本研究の結果から、嗅覚機能低下が認知症の発現以前に認められること、認知症の病理を反映しやすい特定のニオイ刺激が存在することを示唆された。articl
嚥下障害患者に対する干渉電流型低周波治療器の 嚥下機能に関わる反射の改善効果
嚥下障害患者に対する干渉電流型低周波治療器の嚥下機能に関わる反射の改善効果
研究目的:言語聴覚士が行うリハビリテーションの一つに、嚥下障害患者に対する摂食嚥下リハビリテーションがある。嚥下障害は、加齢に伴うものや疾患によっても引き起こされるため、病院や施設等でST が幅広く関わる機会があり、専門性が求められる分野の一つである。一方で近年新しい摂食嚥下リハビリテーションとして、電気刺激療法が注目されている。神経への感覚入力を目的とした干渉電流療法(Interferencial urrent therapy:以下、IFC)である。IFC は2 種類の異なる周波数の電流を組み合わせることで、新たに合成された電流を発生させ、筋肉より深部の神経に刺激を加えることが可能となる。IFC の治療機器として、Gentle Stim(フードケア社、以下、GS)が発売されており、このGS は干渉波を用いて頸部の感覚神経を刺激するもので、嚥下反射の誘発あるいは気道防御力を向上させるといった目的がある。IFC がターゲットとする嚥下咽頭期について、それぞれ3 つの反射を同時に調べた検討はなされていない。本研究の目的はIFC の使用によって、3 つの反射が改善するのかどうか,さらにそれら反射の改善と嚥下機能の改善を調べ、嚥下障害患者に対するIFC の効果を明らかにする。
対象、方法:対象者は2022 年10 月から2023 年11 月に医療法人裕紫会中谷病院に入院し、摂食嚥下リハビリテーションの指示があった患者を対象とする。患者は、刺激群とSham 群の2 群にリハビリテーションの指示順に連続的に振り分けた。刺激群10 名、Sham 群10 名の合計20 名を対象とした。測定項目として,反射項目(嚥下反射、咳嗽反射、咽頭反射)、嚥下機能評価(反復唾液嚥下テスト、舌圧、FOIS、藤島嚥下グレード)を実施した。測定評価後,言語聴覚士による間接・直接嚥下訓練に加え、IFC の治療機器、干渉電流型低周波治療器を30 分間使用した。頻度は1 カ月間行った。施行後再度測定評価し、改善度を比較検討した。刺激群・Sham 群のGS 刺激前後の群内差比較は、ウィルコクソンの符号付順位検定、刺激群・Sham 群の群間差比較はマンホイットニーのU 検定を行った。すべて測定項目における有意水準は0.05 未満とした。
結果:刺激群の反射項目では嚥下反射の測定値で、有意な改善を認めなかった。一方で、咳嗽反射(咳潜時、咳頻度)と咽頭反射で有位な改善を認めた。Sham 群では、反射項目で有意な改善はみられなかった。刺激群の嚥下機能評価では、RSST、舌圧、FOIS、藤島嚥下グレードすべての項目で有意な改善がみられた。Sham 群は、RSST、FOIS、藤島嚥下グレードで有意な改善を認めた。
考察、結論:IFC に関する咽頭反射に対しての直接的な影響についてはこれまで明らかとされていない。その中で本研究では、刺激群の咽頭反射項目で有意な改善がみられた。IFC がターゲットとする上喉頭神経内枝は舌根や喉頭蓋、喉頭粘膜の感覚機能を司っており、過去の報告から、本研究で有意な改善を認めた咽頭反射と咳嗽反射は閾値の設定に差はあるものの様々な原因で相関して動いているといわれている。IFC 刺激が咽頭反射への感覚向上に関与した可能性が高いと考えられる。一方で、嚥下機能評価にて、刺激群はすべての項目で有意な改善を認めた。これは、IFC 刺激と従来の嚥下リハビリテーションの施行は、有用である可能性を示唆した。articl
Prototype Hearing Loss Simulation Device That Can Be Used in Speech-Language-Hearing Therapy Classes
Reportsarticl
サルコペニア有病と ドメイン別認知機能の関連について
サルコペニアを有することは様々な有害事象との関連性が明らかとなっている。近年ではサルコペニア有病と認知機能低下は一定の関連性があると報告されており、運動不活発による骨格筋の減少は知的な機能の低下を惹起させる可能性が高く、理学療法学的視点から認知機能を改善させるためにはメカニズムの理解が必要である。
本研究の目的は、サルコペニア有病とドメイン別認知機能の関連性を調査し、骨格筋の変化により影響を受けやすい特定の認知機能を明らかにすることである。対象者は大阪府貝塚市にて運動機能、認知機能の測定会を市報やポスティングにて周知した際に申し込みはがきで自ら応募してきた貝塚市在住高齢者249 名(男性67 名、女性182 名)平均年齢74.2 ± 6.8歳とした。
サルコペニアの評価は Asian Working Group for Sarcopenia 2019( 以下 AWGS2019)の研究目的のアルゴリズムに沿って評価した。認知機能はAddenbrooke’s Cognitive Examination Revised(以下ACE-R)を使用して評価した。
統計学的解析はAWGS2019 の定義に従い、健常群、サルコペニア群、重度サルコペニア群の3 群に分類して、ACE-Rの5 つのドメイン別に一元配置分散分析を行い分析した。なお、有意水準は5%未満とした。3 群の該当者は健常群187名(76.6%)、サルコペニア群50 名(20.5%)、重度サルコペニア群7 名(2.9%)であった。ACE-R の5 つのドメイン別による3 群比較では有意差を認めるドメインは確認されなかった。なお、各得点は以下の通りであった。健常群の注意・見当識領域の総合点17.4 ± 1.1 点、記憶総合の点は21.5 ± 4.5 点、流暢性総合の点は10.5 ± 2.2 点、言語総合の点は23.9± 3.0 点、視空間総合の点は15.3 ± 1.4 点、サルコペニア群の注意・見当識総合の総合点は17.3 ± 1.0 点、記憶総合の点は22.8 ± 3.3 点、流暢性総合の点は10.3 ± 2.4 点、言語総合の点は24.6 ± 1.2 点、視空間総合の点は15.3 ± 1.1 点、重度サルコペニア群の注意・見当識総合の点は18.0 ± 0 点、記憶総合の点は21.5 ± 2.8 点、流暢性総合の点は10.5 ± 0.9 点、言語総合の点は24.7 ± 1.1 点、視空間総合の点は15.4 ± 0.7 点であった。
サブ解析では、後期高齢者、性別ごと、認知機能低下該当者の4 つのカテゴリーに分類して、サルコペニア有病による認知機能低下への影響に違いが見られるか検討したが、今回の対象者では有意な関連性は確認されなかった。
本研究対象者における、サルコペニア有病と認知機能低下についての関連性は確認されなかった。自発的に運動機能測定会に参加する地域在住高齢者では、サルコペニア有病の有無は認知機能へ与える影響は小さい可能性が推測された。articl