Kyoto Women's University
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わが国における在宅医療の実情と課題 : ペイシェント・セントリシティに基づいた在宅医療の要件
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行を背景に、在宅医療がにわかに注目を集めるようになった。わが国の在宅医療の歴史は、中世期に始まった在宅看取り、および江戸時代に始まった往診の習慣に端を発する。これらの医療文化はその後も脈々と受け継がれ、診療所の医師や看護師らによって昭和時代後期まで日常的に行われていた。往診は、1980年代になると定期往診という形で実施されるようになり、さらにさまざまな要件が付加されると、訪問診療という新しい医療形態へと整えられていった。こうして1900年代末頃、在宅医療は入院医療、外来医療と並ぶ第3 の医療と位置付けられるようになった。本医療にはその後もさまざまな施策が講じられ、2010年頃からは、政府がかねてより推進していた地域包括ケアシステム構築の中核として扱われるようになった。在宅医療の現状については、しかしながら、COVID-19の流行や「2025年問題」に対応できるだけの体制が整っているとはいえず、また、知識や手順の標準化、定義・基本理念の共有化が遅れており、一般市民への普及啓発も進んでいない。本稿では、在宅医療に関する正しい知識の提供と理解を促すため、歴史、概念、基本理念を概説する。また、在宅医療の現状として、調査データ、提供体制、推進体制、利用および運営の実態を示す。最後に、わが国の在宅医療が抱える課題およびそれらの対応策について、ペイシェント・セントリシティへの配慮という側面から検討を加え、その結果を踏まえ提言を行う。 The home medical care (HMC) has leaped to public attention under influence of COVID-19 epidemic. The history of domestic HMC has its root in the two traditional medical practices of deathbed attending at home conducted in the medieval period, and of sick visits, in the Edo period. These practices were passed down in the years that were to follow, and done on a daily basis by clinicsʼ doctors and nurses up until the late Showa period. In the 1980s, the sick visits began to be conducted in the form of periodic visits and later, evolved into another new form of “medical visits” with various requirements attached. Thus, in the late 1990s, the HMC became to be called “the third medical care” along with hospitalization and outpatient care. The Japanese government then adopted various measures for the HMC, and around in 2010, it placed the HMC at the core of community based integrated care system. However, the fact is that a couple of issues have been pointed out including: the framework of HMC has not been fully developed to cope with the current COVID-19 epidemic or the 2025 issue; the standardization of expertise and/or methods, and communalization of definition and/or guiding principles of the HMC are running late. This paper outlines the history, general idea, and the current state of the HMC, examines the issues associated with this medical care in terms of consideration to patient centricity, and gives a suggestion based on the findings from the examination
教員養成課程における「感覚をつなぐ表現活動」の試み I : 「保育内容演習(表現)」での音楽と造形を統合させた実践から
本稿は「感覚をつなぐ表現活動」として「保育内容演習(表現)」の授業における造形・音楽を統合させた作品づくりと発表の実践を取り上げ考察した。その結果、学生たちは感触や匂い、オノマトペなどを手がかりに五感をつなぎ、色・形・音・身体を通して多様な表現を試みていることが明らかになった。「描画と音を用いた表現」「音と映像を用いた表現」「音と動きを用いた表現」など多様な作品が発表された
オンデマンド教材を活用した声楽指導について
声楽の学修におけるマスク着用による不快感や音声疲労に関連する資料などはほとんどない。本研究では、コロナ禍での声楽の学修のあり方について、マスクを常時着用しての対面での授業とオンデマンド課題を通しての授業との学修効果の違いを検討した。その結果、これまで各教員が個別に口頭説明していたような「声楽に関する知識」はオンデマンド課題にすることによって、より良い学修効果が得られ、「声楽に関する技能向向上」は、マスクの常時着用をもってしても対面での授業でより良い学修効果が得られることが明確となった。本稿の目的は、オンデマンド課題のあり方とマスクの常時着用時の声楽の授業のあり方とを事例を挙げて検討し、今後の授業への示唆を得ることにある
20世紀以降の作曲家によるピアノのためのソナチネに関する研究
古典派の時代に隆盛期を迎えた「ソナチネ」は、ロマン派に入ると一旦衰退の道を辿るが、20世紀以降には再び多くの作曲家により様々なソナチネが作曲された。本研究では、中でも特に演奏される機会の多い、カバレフスキー、バルトーク、ラヴェルのソナチネを取り上げ、楽曲形式、和声、タッチなどの観点から演奏のポイントを整理した。これらの作品からは、古典派の時代より変わらない規律ある形式の中で、近現代の音楽語法を学ぶことができ、20世紀のソナチネの学習がもたらす意義について再認識した
声楽実技における歌唱法の一考察
声楽は体そのものを「楽器」とするため、楽器としての体のしくみを知り、発声における呼吸法や体の使い方を学び、声を自由に扱うために効率よく声が響くポイントを見つけ、その上でテクニックを身につける必要がある。また歌には歌詞があり、その歌詞の意味や解釈を理解しどのようにメロディに乗せて歌唱するかによって様々な表現が可能となる。本稿では発声のしくみと発声練習の実例を述べた後、中学校歌唱共通教材や高等学校音楽の歌唱教材である、「荒城の月」「花の街」「からたちの花」を用いて、主に歌詞と旋律の関りから表現の仕方を考察し、歌唱力向上のための指導の可能性を探った
リフレクションを通じた保育者の育ち : 新人保育者の事例を通じて
本稿では、新人保育者が継続的なリフレクションを通じてどのように成長していくかを非言語面にも焦点をあてたリフレクションシートの記述内容分析、及び管理職、本人へのインタビュー調査を通じて検証した。リフレクションにおいて気づきを得られたとしても、その後の行動に繋がっていくことが難しいという、いわゆるknowing-doing gap が問題となり得る。本研究ではこの問題に取り組むために、「スモールステップの課題」を新人保育者自身が設定し、さらにその取り組みを定期的にリフレクションするという手法を用いた。その結果、気づきが行動へと繋がって保育者の行動が徐々に変化し、成長していることが明らかとなった。リフレクションの効果は即時的なものではないが、継続的に実施することで、保育者が少しずつ変化し、そのことが子どもの姿の変化へもつながると言える
言語障害を伴うダウン症者へのPECSを用いたコミュニケーション指導に関する研究
重度知的障害と言語障害を伴うダウン症の成人女性に対し,PECSによるコミュニケーション指導を行った.指導前は即時性のエコラリアと単語3語の表出が確認されるだけだったが,指導開始後,早期から構音の改善や語彙の増加,二語文の表出,ジェスチャーと言葉を組み合わせた使用が出現し,自発的要求行動の回数も増加した.年齢に関係なく,特に文字-音対応関係が理解できている場合,ダウン症児(者)の言語習得や意思伝達支援の方法としてPECSの活用の可能性が示唆された.また,教育現場で行われていた視覚支援が家庭に反映されていなかったことから,教育現場と家庭の連携や卒業後の本人・家族支援の在り方に課題があることが示唆された
父親の子育て支援ニーズに関する調査 : 子育てをする父親の心理的居場所づくり
父親の育児参加に関心が寄せられており、2021年には、育児・介護休業法が改正されている。ところが、現在行われている子育て支援の多くは母親を対象としている。そこで、本稿では、数少ない父親を対象としている子育て支援について、実践者に対するインタビュー及び実践の関与観察、さらに20名の父親を対象としたアンケート調査を実施した。調査の結果、従来から指摘されている母親の居場所づくりの重要性のみならず、父親の居場所づくりも重要であること、また、新生児期というピンポイントではなく、継続的な育児期間における技術面の実践が子育て支援教室の内容として求められていることが明らかとなった