Japanese Red Cross Repository / 赤十字リポジトリ
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肺癌の化学放射線療法後に発症した ニューモシスチス肺炎の1例
要旨
症例は77歳男性.左上葉肺扁平上皮癌 cT3N1M0, IIIA期に対し,化学放射線療法(胸部放射線60 Gy/30 Fr及びweekly カルボプラチン+パクリタキセル)を完遂した.完遂後14日目の再診時,低酸素血症を認め,胸部X線写真でびまん性の透過性低下を認めた.胸部CTでは放射線照射野に一致しないびまん性すりガラス陰影を呈し,KL-6の上昇,β-Dグルカンの上昇を認め,喀痰中Pneumocystis jirovecii DNAも陽性であったことから,ニューモシスチス肺炎と診断した.ST合剤及びステロイド治療を開始し,肺野透過性・呼吸不全は改善し,第21病日に自宅退院した.化学放射線療法後に生じる間質性肺疾患として放射線肺臓炎の他,薬剤性肺障害やニューモシスチス肺炎等が鑑別に挙がる.タキサン系抗癌剤はTリンパ球機能を低下させることによりニューモシスチス肺炎の発症リスクが増加する可能性があり,化学放射線療法後のびまん性すりガラス陰影の出現に際し,ニューモシスチス肺炎も念頭に置き鑑別する必要がある.journal articl
胸水細胞診にて腫瘍細胞が同定できた陰嚢脱分化型脂肪肉腫の1例
要旨
脱分化型脂肪肉腫は, 軟部悪性腫瘍として頻度の高い脂肪肉腫の中の組織亜型の1つであり, 後腹膜に多くみられるが, 頻度は低いものの精索にも発生することが知られている. 脱分化型脂肪肉腫が体腔液中に出現したとする報告は文献検索した限り数例しかない. 我々は, 70歳代男性の左陰嚢の傍精巣領域に発生した脱分化型脂肪肉腫の1症例を経験した. 左高位精巣摘除術後2か月で多発肺結節が出現した. 抗悪性腫瘍剤・キナーゼ阻害剤であるpazopanibを使用し, 多発肺結節の縮小効果は一時的に得られていたが, 新規肺病変の出現や左胸水の増量が認められた. 左胸水細胞診にて単核から多核の大型異型細胞を弧在性に少数認めた. 細胞質内に脂肪を示唆する空胞化は認めなかった. セルブロックを用いた免疫染色にて異型細胞はMDM2とCDK4に陽性であり, 脱分化型脂肪肉腫の腫瘍細胞が左胸水中に出現したと診断した. 体腔液の悪性細胞は, 癌腫が大部分を占め, 中皮腫も経験するが, 肉腫が出現することも稀にあることを示す貴重な症例であり, 報告する.journal articl
壊疽性膿皮症による人工膝関節露出創に対する遊離皮弁移植の経験
要旨
患者は83歳,女性.71歳時に左胸部の壊疽性膿皮症の罹患歴あり.今回,当院整形外科で右側変形性膝関節症に対して人工関節置換術を受けた.手術翌日より手術創の創縁に壊死,創離開を来した.術後5日目に整形外科でデブリードマン及び再縫合を施行されたが,再度創離開し,壊死が拡大した.皮膚科で壊疽性膿皮症の再発と診断され,ステロイドの投与が開始されたが,人工関節が露出したため当科へ紹介された.患者は人工関節の温存を強く希望されたため,再建手術を行う方針とした.プレドニゾロンおよびシクロスポリンの全身投与により創部の状態を改善させた後に手術を施行した.創部をデブリードマンし,人工関節を徹底的に洗浄した.前脛骨動静脈を移植床血管とし,遊離広背筋皮弁を移植して再建した.再建翌日に動脈吻合部に血栓を来し,血栓除去,再吻合を行った.再建術後も皮膚科での治療を継続した.最終的に広背筋皮弁は全生着し,再建2か月後より本格的に患肢の荷重を開始して歩行器歩行が可能となった.壊疽性膿皮症の皮膚潰瘍に対する遊離皮弁を用いた再建について,渉猟し得た範囲で海外からの症例報告は散見されたが,国内からは報告がなかった.自験例では皮膚科と連携し,壊疽性膿皮症の病勢を厳重にコントロールしながら遊離皮弁移植を行ったことで,良好な治療結果につながったと考えられた.journal articl
腸閉塞に対する腹腔鏡手術で病理診断した孤立性病変の小腸子宮内膜症(稀少部位子宮内膜症)の一例
要旨
稀少部位子宮内膜症は発生機序の解明, 治療法確立が不充分である. その中には小腸子宮内膜症が含まれ, 比較的まれであるが, 腸閉塞の発症が多く重要な疾患である. 今回, 腸閉塞に対する腹腔鏡手術で病理診断した, 他部位の子宮内膜症病変を認めない孤立性の小腸子宮内膜症の一例を経験した. 症例は35歳, 1妊0産で, 上腹部痛, 水様便を主訴とし, 小腸イレウスを発症した. イレウス管での保存加療で軽快せず, 腹腔鏡手術を実施し, 小腸部分切除を行った. 手術時所見, 骨盤MRIでの精査では小腸病変以外の子宮内膜症病変を認めず, 手術病理組織から小腸子宮内膜症と診断した. 術後のジエノゲスト薬物療法で腸閉塞の再発や子宮内膜症病変の出現を術後20か月間認めず良好な経過を辿っている. 腹腔鏡手術は整容性に優れ, 妊孕性を考慮し, 低侵襲な治療として有益であった. また, ジエノゲスト長期投与による再発予防が有効と考えられた.journal articl