AUE Repository (愛知教育大学学術情報リポジトリ)
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障害者権利条約と子ども権利条約にみる子どもの権利
text本研究は、障害者権利条約と子ども権利条約における子どもの権利について検討した。子ども権利委員会の総括所見は、障害児の遅れた権利状況に対しかなり厳しいものであり、インクルージョンを進展させる内容であった。障害者権利委員会の総括所見では、障害理解を人権モデルによるべきであるとする点が特徴である。すべての人権及び基本的自由は、子ども権利条約と障害者権利条約に規定されたすべての権利であり、国際人権規約をはじめとしたすべての人権条約や各国の国内法が定めるすべての権利である。こうした権利を障害児にも実質的に平等に保障することを障害者権利条約は求めている。インクルージョンについては、障害者権利条約と子ども権利委員会とは異なる評価であり、子ども権利委員会は、障害児を一般制度に統合するだけのものとして理解・実践されるべきではないとしている。障害者権利委員会は、独自の人権モデルという高い水準で条約解釈を行っており、2022 年 9 月の日本に対する総括所見は、日本にとっては厳しいものであったが、権利委員会は、その水準を高く設定し、日本に改善を求めているといえる。departmental bulletin pape
障害者権利委員会の各国の総括所見にみる自立した生活と地域社会への参加の課題
text国連の障害者権利委員会は 2022 年9月に障害者権利条約に基づいて実施した日本政府への初審査の総括所見(勧告)を発表した。勧告の中で「強く要請する」とされたのは、第 19 条(自立した生活と地域社会への参加)と第 24 条(教育)である。障害者権利委員会は、日本に障害者の施設収容廃止(脱施設化)を求め、地域で他の人と対等に生活するための支援に予算配分する等を求めている。第 19 条の脱施設化を踏まえ、グループホームを含む特定の生活形態に住むことを義務付けられないようにとの所見も示された。障害者が他の人と平等に地域で自立した生活を送るための国家戦略と法的枠組みが欠如していると懸念した上で人材、技術、資金を伴った対応を求めた。日本に指摘された内容が諸外国でも見られるかどうかを分析したところ、カナダを除く、各国は第 19 条を履行していない状況であることが推察された。各国の総括所見を審査時期で区切ってみると自立した生活及び地域社会への包容に関する一般的意見第 5 号(2017 年)から一段と高い目標が設定されており、権利委員会から脱施設化に関する指針(2022 年)が示されてからは更に高い目標となったと言える。日本に対してアジア地区の他国に見られないほどの要請が示されていることが明らかとなった。勧告に法的拘束力はないが、日本政府は今後の法改正などでこの勧告に沿った対応を迫られる。departmental bulletin pape
配色の違いが板書の視認性に及ぼす効果―板書に対する正常色覚者の視認性評価の比較―
text本研究では、3つの板書条件 (白黄色条件・白修飾条件・カラフル条件) に対する正常色覚の学生の視認性評価を比較し、色覚特性のある者に配慮した板書が、正常色覚者にも受け入れられるのか否かを専攻との関係から検証することを目的に、質問紙調査を実施した。因子分析の結果、板書の視認性は小色差と誘目の2因子に区別された。各板書条件の視認性がどのように異なるのかを比較するために、各板書条件と専攻 (特支群・社会群) の要因に基づく、対応のある2要因混合計画の二元配置分散分析を実施した。その結果、白や黄色のチョークのみを使用した板書と、様々な色チョークを使用した板書とでは、目の引かれやすさに違いが生じないということが示された。一方で、社会群は、白チョークのみを使用した板書を最も見にくいと評価しているということが示された。departmental bulletin pape
生徒間関係の構造尺度の作成と因子的妥当性・信頼性の検討
text本研究では、従来の学級風土に関する尺度では測定できなかった「生徒間関係の構造」を測定する尺度の作成とその因子的妥当性・信頼性の検討をおこなった。本尺度は、学級風土研究のみならず、かつて学級内の生徒間関係の構造を測るために用いられたソシオメトリーの理論も踏まえて構成された。生徒間関係の構造は「親和性」「凝集性」「階層性」の3次元に集約されると事前に想定され、中学生1206名を対象とした質問紙調査をおこなった。その結果、確認的因子分析では、事前に想定した3因子構造が得られ、因子的妥当性は認められた。しかし、「階層性」における信頼性係数が低いなどの問題点もみられた。また、階層性に関する項目が減少したことから、中学生を対象とした予備調査などを通して項目の再構成と精選をおこなうことや、関連が予想される尺度を用いた妥当性の検証が今後の課題であった。departmental bulletin pape
刑事施設における性犯罪再犯防止指導の概要と課題
text近年、性犯罪に係る刑法の一部が相次いで改正されている。2017 年改正に引き続き、2023 年には、不同意わいせつ罪及び不同意性交等罪が設立された。こうした短期間での法改正からも社会の性犯罪に対する関心の高さや処罰感情の強さをうかがうことができる。このような状況において、わが国の刑事施設では性犯罪受刑者に対し、性犯罪者調査と呼ばれる専門のアセスメントをした上で、性犯罪再犯防止指導を実施している。これは、再犯防止効果が実証されたカナダの認知行動療法プログラムを日本版に改訂したものであり、グループセッションで行われる。法務省(2020)の報告によれば、当指導は一定の再犯防止効果があったものの、罪名別で分析するとさまざまな問題点を抱えており、今後も改善が必要である。2025年に始まる拘禁刑を前に、当指導の担う役割はますます大きいものになるであろう。departmental bulletin pape
STEM /STEAM 教育における振り返り学習
textSTEAM/STEAM 教育をどのように捉え,実践においてこころがけることは何かを先行研究を基に検討した。その結果,カリキュラム作成における概念的な把握や探究学習において STEAM 教育の各領域(Science(科学),Technology(技術),Engineering(エンジニアリング),Mathematics(数学)Art(美術)の全てに関わりがある課題を設定するのではなく,教科横断的で探究的な学習を設定することが重要であることがわかった。しかし,各領域の知識や技能と探究する課題との関わりを実践の中でどのように示すのか,各領域との関わりを具体的に授業の中のどの場面で位置づけたら良いのか明確ではなかった。また,領域「A」を Art(美術)ではなく Liberal Arts(教養)として捉えた場合の具体的な取り組みについて触れた実践的な研究はなかった。そこで,これらの疑問を解決するためには,STEAM/STEAM 教育で扱う探究課題の内容ではなく,振り返りの時間が重要ではいかと考えた。本論文では,振り返りの時間に各領域の知識と探究課題の関係を説明することや領域の「A」を Liberal Arts(教養)として捉えた場合,探究課題に関係する社会的な背景や歴史な背景を振り返りの時間に説明することが必要であることを提案する。In this paper I review previous research to determine how STEM/STEAM education is understood and what to keep in mind in implementing it. This review reveals that teachers need to set up cross-curricular tasks for inquiry-based learning rather than tasks related to all areas of STEAM education (science, technology, engineering, art, and mathematics) in order to understand concepts and develop the curriculum. However, it is not clear how to show the relationship between knowledge and tasks, or between skills and tasks in practice, and relationships between tasks and each area have not been clarified. Moreover, there is no practical research in which the A in STEAM means liberal arts rather than art. I conclude that time for reflection is more important than task content in answering these questions. I suggest that teachers need to explain the historical and social background of each task and the relationship between the task and each area, while taking the A in STEAM to refer to liberal arts.departmental bulletin pape
授業環境の変化と健康維持―2023、2024年度全国大学保健管理協会東海・北陸地区地方部会研究集会発表から―
text大学の修学環境としては、以前よりパワーポイント資料を使った授業、パソコンを使ったレポート課題や論文作成等パソコンやタブレット端末を利用した「学習でのICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)機器使用」は定着していたが、2020年にCOVID-19のパンデミックと非常事態宣言の下で、「大学入構制限」等による自宅でのオンラインやオンデマンド授業受講という修学体制の変化があった。我々は、2021年度よりJSPS科研費課題「ICTによる学びに大学生は適応できるか―健康支援の側面で―」に取り組んでいる。本稿では、「教育でのICT機器活用」と「学生の健康」をキーワードに筆者が2023、2024年度の全国大学保健管理協会東海・北陸地区地方部会研究集会で発表した研究について纏める。departmental bulletin pape
高校生に対する「介護福祉士版体験的コミュニケーション理解プログラム」の試行と体験の意味の検討
text本研究は、「介護福祉士版体験的コミュニケーション理解プログラム」の作成に向けてプログラムを試行し、参加者が体験したことの意味を検討することを目的としている。入学18か月後の高校生を対象にプログラムを実施した。STAIを用いて事前事後の不安状態を確かめたほか、事後アンケートでプログラムの経験について尋ね、自由記述の回答を質的統合法によって分析した。その結果、本プログラムは、表現する快さに支えられて、言葉や絵による表現と対話を通して差異への気づきがもたらされ、そこから異なる考えの肯定、多様な理解の体験、共感や受容につながった。さらに絵を重ねることで視点の変化をもたらし、差異への気づきが深まった。このことは他者とつながる喜びなどのコミュニケーションへの気づきにつながった。また、前回調査との比較から、プログラムについての4点の特徴と2点のプログラム実施上の課題が指摘された。departmental bulletin pape