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いけばな技術の工学的研究
京都工芸繊維大学博士(学術)いけばなは、日本を代表する伝統文化である。6世紀、仏教伝来とともに伝わった仏前荘厳のひとつである仏前供花にその起源を持つ。時代の変遷に従い、いけばなは供花から饗応の花へとその性格を変容させたが1500余年にも亘り、日本人の美意識やアイデンティティを象徴する存在として日本の生活に根ざした文化として認知されている。現在、統括団体である日本いけばな芸術協会に加盟するものだけで350以上の流派を数え、いけばな学習者はおよそ200万ともいわれている。また、いけばな人口は日本に留まらず世界各国に広がっている。いけばなの最古であり最大流派である池坊にあっては、文献に記されてから553年の歴史と、世界に100支部を展開するに至る。2014年12月施行の花き振興法では、いけばなが日本人の生活にこれまで与えてきた影響の大きさが再確認されている。 いけばなに関する研究は、これまで主に歴史的経緯に興味の端を発するものがほとんどであり、主に史学的、或いは美学的分野からなされてきた。花を飾る文化として世界的にも独自性を持ついけばなは、まだまだ多角的に解明される余地があると考えられる。また、その実践者としての立場として指導者や学習者がおり、いけばな各流派に於いて、その教授法は各流派の指針とする教義によって制定された教則本や、教授者の経験知から導き出されているが、十分とは言い難い。日本人の美意識に基づき発展してきた過程に於いて、経験値に依存する部分が多く熟練者のみが理解しうる「閉じた世界」を、一般にも理解し得る「開かれた世界」に転換させ、社会と共存し社会に寄与することが今後必要とされると考えられる。そのためにすべきこととして2点挙げられる。ひとつは経験知のみに依るのではない科学的な指導法の確立であり、ひとつはいけばなの応用に対する定量的評価である。 そこで本研究では、いけばなで必要とされる技術を科学的に分析し、定量化することを試みた。これはこれまでのいけばな研究ではありえなかった視点であり、手法である。このことにより、いけばなの熟練者のみに蓄積され、無意識のうちに活用されてきた暗黙知が、数字という共通言語によって誰もが理解しうる形式知へと変換できると共にいけばなの本質が工学的見地から明らかになる。これによっていけばなの指導の一つの基準を提示することができる。データに基づいて編み出された合理的指導法により、国籍や文化的環境を問わない普遍的な指導内容となり、いけばなの世界的展開も可能となるであろう。 本論文は、1章の序論から第8章の結論までの8章構成である。以下に第2章以降の目的と内容について簡潔に記述する。 2章では、いけばなの作品を形作るのに必要な、撓める技術について研究した。いけばなで一般的に用いられる花材を弾性率と塑性域及び加工硬化係数の関係から、その撓めやすさを算出し提示した。熟練者と初心者による撓め作業の比較では、熟練者は意図する形に枝を撓めることができており、また熟練者が撓めた枝は、初心者と比較すると経時変化が少なく、完成時の姿が保たれている傾向が見受けられた。3章では、熟練者は鋏を急激に加速して切断していたが、未経験者は鋏を緩やかに加速させ切断していることが判明した。このことにより、熟練者は花材の断面への損傷が少なく、花材の水もちが良いと推定される。 4章ではいける一連の工程分析を行うことにより、型を有する生花では作品の制作時の調整作業が、型を有さない自由花では作品の構成作業に熟練の度合いが反映されることが判明し、いけばなの様式による特性が顕著となって表れた。 5章から6章では、観るという行為から完成した作品の評価について検討した。5章では、熟練者は流派の様式美や美意識に則りながらも個々の解釈やアレンジが可能であり、それらを作品上に表現しており、それを美しさとして結びつけているが、未経験者ではいけばなの様式は感じてはいるが、アレンジを加えることや、それを必ずしも美しさとして評価しない傾向があることが明らかとなった。従って、いけばなにおいては、生来の美的感覚のみならず、学ぶことによって培われる美意識や感性が評価に大きく反映されると考えられる。熟練者は写真媒体に於いて実作と同様の評価を下すことができており、熟練者の審美眼が一定であることが確認された。6章では、作品制作後に行われる手直しに於いて、否定的評価と手直しとは相関関係にあること、またいけばな様式における特定の部位よりもむしろ、作品の中で葉の茂っている状態の花材を含む部位に意見が偏りやすい傾向が見受けられた。以上、本研究の成果として撓めやすさを明らかにすることによって、学習者の上達に応じた適切な花材提供や、切る速度を意識させた鋏の使い方指導、また学習者がいける際の留意点などが明らかとなった。また、指導者の少ない地域であっても写真による指導が可能であり、指導法の向上に有益であると考えられる。 7章ではいけばなは、カラオケ、DVD鑑賞といったレクリエーションと比較し、実施中はもとより実施後もその感情面の改善傾向を維持することをできることが判明した
Studies on DOCK family protein Sponge during Drosophila development
京都工芸繊維大学博士(学術)The Sponge (Spg) belongs to DOCK family that is widely-conserved among species, and DOCK family members are known as DOCK1?DOCK11 in mammals. DOCK1 involves neurite elongation, DOCK2 involves immunocyte differentiation. However function of other DOCK family member is yet unknown. To carry out further functional analysis of DOCK family, I searched a novel DOCK gene in genome database of Drosophila, and identified the spg gene that is similar to DOCK3 and DOCK4. I focused on this spg gene and established UAS-spgIR transgenic fly strains for knockdown of spg. Specific knockdown of spg by GMR-GAL4 driver in eye imaginal discs induced abnormal compound eye in adults. To examine development of photoreceptor cells and localization of Spg, I crossed this knockdown strains with a variety of enhancer trap strains that specifically expresses lacZ in various set of photoreceptor cells. Immunostaining with anti-Spg and anti-lacZ antibodies revealed high expression of Spg in R7 photoreceptor cells that was specifically reduced by its knockdown with the GMR-GAL4 driver. Furthermore, immunostaining with anti-dpERK antibodies revealed that the level of activated ERK signal was extensively reduced by knockdown of spg with the GMR-GAL4 driver in eye discs. In other tissues, specific knockdown of spg by pannir-GAL4 or apterous-GAL4 driver in wing discs induced split thorax phenotype in adults. Reduction of the Drosophila c-Jun N-terminal kinase (JNK), basket (bsk) gene dose enhanced the spg knockdown-induced phenotype. Monitoring JNK activity in the wing imaginal discs by immunostaining with anti-phosphorylated JNK antibodies revealed the strong reduction of the JNK activity in the spg knockdown clones. Furthermore, the Duolink in situ Proximity Ligation Assay method detected interaction signals between Spg and Rap1 in the eye discs and those between Spg and Rac1 in the wing discs, respectively. Thus Spg that interact Rap1 or Rac1 appears to play a key role in differentiation of tissues by activating ERK or JNK pathway
Studies on Drosophila genes related to cancer and their roles in cell metabolism
京都工芸繊維大学博士(学術)Mitochondria are cellular occupants which are referred as the power plant of the eukaryotes cells. They play important roles in producing adenosine triphosphate through the oxidative phosphorylation, maintaining the environment within our cells by control cytolysis calcium concentration. Mitochondrial dysfunction is reported in aging and many severe diseases such as neurodegenerative diseases, cancer. Although mitochondrial dysfunction is the energy production problem, the mechanisms of mitochondrial dysfunction in all cases are yet unclear. In my study, I focus on two of genes: SCO2 (synthesis of cytochrome c oxidase 2) which is associated to COX deficiency; and FUS (Fuses in Sarcoma) which is related to neurodegenerative diseases. In the first part, I investigate the in vivo role of SCOX (homologue of human SCO2 in Drosophila melanogaster) by generating the SCOX-knockdown flies and full-length SCOX transgenic flies. The results are that knockdown of SCOX in all cells to be associated with lethality in larvae or pupil while the full length SCOX transgenic flies showed a longer lifespan more than, correlated with the decrease and increase in ATP level, respectively. Finally, when cultured on paraquat-added medium, full length SCOX transgenic flies exhibited an elongated lifepan. I hypothesized that SCOX play an important role in ATP consumption and production. In the next part, I study on Caz-knockdown flies to investigate the in vivo roles of Cabeza (Caz, which is a FUS homologue in Drosophila melanogaster). The results indicated that Caz-knockdown induces apoptosis and inhibits differentiation of cone cells. Moreover, mutation of EGFR pathway-related genes suppressed the rough eye phenotype induced by Caz-knockdown and the rhomboid-1 mutation rescued the fushion of cone cells and ommatidia observed in Caz-knockdown flies. That suggests Caz negatively regulates the EGFR singalling pathway in Drosophila melanogaster. More in vivo and in vitro experiments will be done to clarify other genetic functions of SCOX and Caz, and the mechanism of mitochondrial dysfunction and neurodegenerative disorders can be clearly elucidated
高温・輻射環境下運動時における着衣条件と温熱ストレスに関する実験的研究
京都工芸繊維大学博士(学術)近年,地球の温暖化を背景として運動現場や日常生活での熱中症の発生が危惧されている. 本論文は暑熱障害のリスクが高まる湿球黒球温度(Wet Bulb Globe Temperature,WBGT)28℃以上の高温・輻射環境をナイター用照明や扇風機により再現して運動時における着衣条件と温熱ストレスに関する実験的研究を実施し,スポーツウェアの着用や四肢部を衣服で覆うことによる温熱ストレスの軽減効果について定量的に解析した. その結果,WBGT28℃以上の輻射・有風下において長袖・半ズボンの白色スポーツウェア着用は水泳パンツのみの半裸体条件に比べて安静時の貯熱量を軽減出来ること,また軽運動時ではスポーツウェア着用条件の温熱ストレスは半裸体条件と同じであるが,中程度運動ではスポーツウェア着用が半裸体よりも生理的・心理的な温熱ストレスを高めることが示された.さらに,WBGT28℃以上の輻射・無風環境下における中程度運動時の温熱ストレスは四肢部露出の有無による顕著な差異は認められないが,軽運動時には四肢部を衣服で覆うことにより皮膚温や心拍数の上昇を抑制し,温熱ストレスを軽減できることが示された.したがって,WBGT28℃以上の輻射環境下において,安静時や軽運動時では全身を覆うスポーツユニフォームの着用は半裸体及び半袖・半ズボンよりも温熱ストレスを軽減できることが示唆された.紫外線から皮膚を保護するためにも, 夏季の暑い日に屋外で軽い運動を実施する場合,全身を覆うスポーツユニフォームを着用することが望ましいと考えられる.本研究の結果はスポーツ活動時における熱中症予防のための着衣に関する予防指針を作成する上で有用な資料となりうる
赤外分光法を用いたポリエチレンの劣化評価法に関する研究
京都工芸繊維大学博士(工学)私たちの生活の中で樹脂材料は多用されている。近年では、研究によりその強度は向上し、構造材料にも利用されている。しかし一般に樹脂材料は金属やセラミックスといった他の材料に比べて、光、熱、湿度など自然環境の影響を受けやすく劣化しやすい傾向にある。材料形成時においては十分その用途を満たすものであっても劣化によって急激に強度が低下したり少しずつ劣化して機能が失われたりして思わぬアクシデントになる場合がある。 したがってその強度を予測することは重要である。樹脂の強度予測に関しては、以前より様々な研究が行われており樹脂材料の寿命予測がなされているが、実際の強度試験では非常に時間がかかること、サンプル形状が違えば劣化箇所も異なるために再度別のサンプル試験を行う必要があることなどから十分とは言えず、サンプリングが比較的簡易で、寿命を適切に見極め可能な評価手法が必要とされている。そこで、情報も多く、比較的身近にあり、測定が簡便な分析評価機器であるFT-IR(Fourier Transform Infrared Spectroscopy)に注目した。FT-IRが、多くの高分子分析に利用されていること、近年,1回反射ATR(Attenuated total reflection)法の開発によってさらに測定が容易になり測定者を選ばない結果が得られるようになったこと、可視化技術の向上によって結果が一目で理解できるようになったことは、煩雑な製品を評価する上で大きな利点となる。そこで、本研究では、FT-IRを用いて、ポリエチレンに関して、簡便で結果のわかりやすい劣化評価法の確立に取り組んだ。 第1章では,本研究の着想にいたる経緯など研究の背景に関して述べている。本研究の目的と意義、FT-IRのFT-IRの特徴などの既知の知見を調査し、本論文の構成について記述した。 第2章では、FT-IRイメージング法を使用し、120℃熱劣化促進ポリエチレンの熱劣化機構を評価し、その過程を可視化した。劣化過程を酸化防止剤量、酸化状態、配向および結晶化の4因子で可視化し、比較することによって、状態変化が容易に理解でき、力学強度試験結果と構造変化との関連性が明確になった。熱劣化は、配向が緩和し、酸化防止剤が減少することから始まった。その後、酸化は表面から始まり、酸化速度は表面では速いが、成形体内部では遅いことがわかった。また、酸化が進行してくると、それに伴って、力学強度も大きく変化することがわかった。酸化劣化のパラメータとしては、カルボニル基のみならず、カルボニル基中の酸およびアルデヒドタイプのピークおよび1600 cm-1領域のピークを比較評価することによって劣化機構を追跡できることがわかった。 第3章では、温水劣化と熱劣化による劣化比較を行った。温水および大気放置試験片はいずれも放置時間の増加と共に表面形状に変化が見られ、試験片の色に変化があった。さらにFT-IRイメージング法およびSEM-EDS測定で可視化することによって、温水劣化部は、表面にC2O42-に起因する官能基が存在し、表面近傍に-R-COO- 層が存在ることがわかった。また、表面にFeイオン、表面近傍にCaイオンの分布が確認され、C2O42- はクラック表面部分では特に多く存在していることを明らかにした。 第4章では、第2章および第3章のFT-IRイメージング測定では明確な差が確認できないサンプルに関しての知見得ること、および劣化評価を短時間にするために、加熱ATR法を用いた評価法を確立した。常温FT-IR測定では差がわからなかったサンプルは、加熱ATR-IR法で酸化時間を比較することにより明確な差が確認できた。DSCを用いたOIT測定結果とも良い相関が得られた。加熱ATR-IR法では、酸化開始時間測定と同時にその構造変化スペクトルが確認されるため、測定温度における構造変化の追跡が可能であることがわかった。 第5章では、加熱ATR法およびイメージング法を用いて、成形体の酸化時間予測を行った。FT-IRのATR法で100℃、200℃、210℃、および220℃での酸化開始時間を求めることによって、見かけの活性化エネルギーおよび実用温度での表面酸化までの時間を求めた。さらに100℃での断面酸化速度をFT-IRのイメージング法で可視化しながら求め、見かけの活性化エネルギーを一定とすることで実用温度の速度定数を計算し、断面厚みの1/3が酸化劣化する時間を求めた。この結果は、引張試験の破断伸びが50%になる時間と近い値になっていることが確認できた。 第6章では、前処理なしに簡便に測定可能な近赤外分光法を用いて、力学試験結果との相関を考察した。近赤外域の分光法を用いた場合、中赤外域の光よりもエネルギーが高いことから、サンプルへの透過性が大きくなる。したがって、多くの高分子成形体をそのままの状態で測定できる。一方、近赤外分光法でのスペクトル情報は中赤外域の倍音であり、非常に弱いため、そのもののスペクトル解析で得られる情報は中赤外スペクトルほど多くはない。そこで多変量解析法を用いた測定を行い、熱劣化では力学試験と良い相関を示すことが確認された。 第7章では、得られた知見を総括し本研究の結論とした
TRADITIONAL THAI DECORATIVE ORNAMENT: FROM THE PERSPECTIVE OF MOTIF DESIGN
京都工芸繊維大学博士(学術)In the modern ages, accelerated urbanization and modernization have significantly transformed our society over the past years. This situation inevitably caused a great effect on the changing of culture and art. Likewise in Thailand, it is also the factor that most of traditional decorative ornament had been vanished from daily life, remnants limited only for specific places or groups of people. From the research findings, one of the problems that caused the traditional Thai ornament to fall into a state of degeneration is the lack of information about the its history. There are no hard evidence nor definative story told about the ornament in term of motif design. Therefore, this study takes a look back at the history of the ornament from its past to present, to understand what caused it to adopt its present shape and form, and to look further into the characteristic or identity of the ornament in detail. This research shows the passage, metamorphosis and connotation of traditional Thai decorative ornament from the lotus ornament in Egypt to its current incarnation as a Thai ornament. Each type of ornaments will be scrutinized using structure analysis and hand drawn illustration to highlight the similarities and differences in design between the two periods. The consideration of ornament details, formation, and its meaning reveals several factors and foster understanding of the national culture and belief between Thai and the countries which influenced it. These factors ultimately affected the design and caused changes in their forms. Besides, this research investigates and explores the current state of traditional Thai decorative ornament in the society as well as the attitude of Thai people toward these vanishing ornaments, by using the questionnaire and interview. The result will make understanding to the situation and lead the way on how best to improve the situation. Moreover, this research will present and consider three case studies from famous Thai designers, as the examples, which use traditional Thai decorative ornament and achieve success in our modernized society. In conclusion, this research provides and suggests several means to help the designers and anyone who might be interested to develop, adapt, and use those ornaments properly. It is not supposed to just make the ornaments survive this era but to actually enable them to thrive again, and re-emerge with the strength to effectively survive into the next era.現代は、都市化が加速し社会を著しく変化させている。この状況は必然的に、文化と芸術にも大きな影響をもたらした。タイにおいても同様に、伝統的な文様が特定の場所や人々のグループの為のものを残して大多数が日常から消え去る要因となった。 本研究の調査によって、タイの伝統的な文様の歴史に関する情報の不足が、これらの伝統的な文様の衰退の要因となっていることが分かった。これまで、文様に使用されているモチーフやデザインに関する詳細な資料は存在しない。しかし現代における形態や構造の要因を解明するためには、過去から現代までの文様の歴史を振り返るだけでなく、文様の特徴や独自性をデザイン的に解明することが不可欠である。 この研究は、エジプトで作られた蓮の文様からタイの伝統的な文様へと、形と意味が変化する過程を示す。そして、二つの時代におけるデザインの類似点と相違点を明らかにするために、各時代の装飾を構造分析と図解を用いて調査するものである。文様の要素や構造、その意味を考察することで、それぞれの要因を明らかにし、タイと影響をもたらした国との間における文化や考え方を理解する。そして、これらの要因はデザインに影響を与え、形態に変化をもたらしていることを明らかにする。 その後、社会における伝統的なタイの文様の現状と、消えゆく文様に対するタイの人々の意見を、アンケートとインタビューを用いて調査し追求する。本研究結果によって、現状を理解し、現状を改善する方法を導くものとする。 さらに、伝統的なタイの文様をデザインに取り入れた結果、現代社会で成功した例として、3人の著名なタイ人デザイナーに関する実例調査を実施し、考察する。 結論として、これらの研究は、デザイナーや文様に興味のある人々に対して、文様を効果的に取り入れ、さらには発展させる方法を提案するものである。さらに、タイの伝統的な文様が再び復興し、将来的に存続させることを目的としている
認知工学に基づく方位図形のデザイン構成要素に関する研究
京都工芸繊維大学博士(工学)グローバル化・情報化の進展に伴い日本からの海外旅行者や海外からの訪日外客数も急激に増えた.生活やまち中での移動のためにはさまざまな情報が必要である.移動のための情報を得る有用な手段の一つとして地図や案内標識がある.言葉の壁やなじみのない地域で移動する海外からの旅行者にとって,地図や案内標識などの情報媒体から街の移動情報を取得することは必至である.これらの案内図は,一般的に広く利用することを目的に描かれたものであるが,地図に表記している方位や方向に関する記号から得る空間に関する位置情報の理解度は人により異なると考えられる.従って,地図情報の伝達考える際には,これまで空間認知研究で注目されていた環境の違いや個人の能力差だけでなく,案内図や地図上に用いられる記号の表現方法にも注目する必要がある. ピクトグラムやサインのデザインに対する視認性評価にはアンケートやSD法が用いられ,美しさや,好ましさなどの印象評価が行われてきた.サインデザインの印象をアンケート調査とSD法で評価し,視覚伝達における有効なサインのデザインをするには,快適でまとまりのある印象を与え,認知されやすくする必要のあることが明らかになっている.また,駅構内の公共サインのデザインの現況をヒアリング調査し,公共サインシステムを計画する場合には,情報伝達機能だけでなく駅内環境として視覚的効果も考慮することが望ましいとの指摘がある.これらで用いられた評価方法では,案内標識デザインや図形から受ける印象や好感度といった心理効果を推定することができるが,定量的に検証することは難しい.また,図形を認知するために重視する情報や図形要素などについて検討を加えることも困難である.さらに,これまでに行われたサインシステムに関する研究は,主にピクトグラムやサインの提示条件に関するものが多く,方位図形のわかりやすさを対象として表示する情報内容の検討は不足している.実際に設置された方位図形の向きの方針は,彼らが見る方向に合わせる以外に目案がないため,芸術性を添えた方位図形や方位と関係ない装飾を加えた複雑な方位図形が数多く見られる.それらの表示情報量は大きく異なるため,元の機能である方位を誤って認識する場合も見られる. 本研究は直感的にわかりやすい方位図形をデザインするための要素を明らかにすることが目的である.まず,文献やフィールド調査より現行の方位図形を収集し,方位図形の設計において考慮すべきデザイン構成要素の抽出を行った.方位図形は形態要素と文字情報要素で成り立っていた.形態要素は方位図形の全体的形を決める要素で,「白黒色」「多色」「面」「直線」「曲線」「斜線」「円」「三角形」「四角形」「対称的」「非対称的」の11種類に分類することができた.文字情報要素は方位を示す具体的な表記で,東(E)・西(W)・南(S)・北(N), 北東(NE)・南東(SE)・北西(SW)・南西(NW)などの文字やマークであった.次に,わかりやすい方位図形を明らかにするための主観評価実験を行った.主観的評価実験では,デザイン構成要素を基に描いた4タイプの方位図形を用い,一対比較法で各図形に対するわかりやすさを分析した.その結果,4タイプを統合的に見ると,いずれのタイプでも北の方向を意味する文字Nが図形に含まれることにより,分かりやすくなる傾向があった.しかし,方位図形のタイプによっては,見る側の理解を助けるデザイン要素のあり方は異なっていた.具体的には,指針が北だけを示す場合,文字Nだけを表示した方がわかりやすいと回答されたが,指針数が4方向を示す図形では東西南北を表示した方が,わかりやすいと回答を得た.つまり方位数に応じてデザイン要素と文字を適切に組み合わせることが望まれる.また,過度な単純化はむしろわかりやすさを低下させ方位に必要な情報を表記することが求められる. しかし,主観的評価実験では方位図形の方位を視認するときに図のどこをどの位の時間見ているのかは明らかにされていなかった.そこで,方位図形を見る際どのように視線が移動してどこをどの程度見ているのかを計測し,わかりやすさの要因について検討した.具体的には,方位図形を見ている間の視線の動きを眼球運動測定装置で測定し,各方位図形に対する方位の認識に要する時間を求めた.その結果,4つのタイプの方位図形の条件において方位を示す矢が減少するに伴い反応時間が速くなることが明らかになった.さらにいずれの方位図形でも北(N)の文字情報がある方の反応時間が速くなった.また,視線移動解析では,図形を全体よりも図形の角,文字が有る部分,交叉点などに注視点が集まる傾向が得られた.北(N)の文字が表示している部分の注視時間がもっとも長かった.方位図形に文字情報の北(N)だけが描かれている方が東西南北の4方向を表示している図形よりの注視点範囲は狭く,文字の書いていない方位図形に対する視線位置が分散することが明らかになった. わかりやすい方位図形をデザインするために考慮すべき要素は,方位の情報を確認することができる北を示す文字Nが有る場合や図形の上下が非対称的である場合であることがわかった.また,方位図形の理解度を高めるあるいは適切な表現にするためには,それぞれの方位数に応じて造形的要素と文字を組み合わせて,視覚的情報を容易に提供することが必要であると考えられる
鉄鋼用耐火物中のSiO2結晶の高温相転移が耐火物特性に与える影響に関する考察
京都工芸繊維大学博士(工学)珪石れんがや高アルミナ質れんが,粘土質れんがなどは熱風炉やコークス炉といった鉄鋼プロセスの設備に使用される鉄鋼用耐火物である.各種の改善・改良によって,これら設備の寿命が著しく向上したことによって,これられんがの国内製造量は減少している.このため,現在では,これられんがは海外製れんがの使用が主流となっている.しかしながら,これら海外製れんがの特性を調べた研究は少ない.本背景の基,海外で製造された珪石れんが,珪石モルタル,高アルミナ質れんがおよび粘土質れんがの4種類について,各耐火物に含まれるSiO2結晶相の相転移挙動とその相転移が耐火物の特性に与える影響について研究を行った.本研究のうち,珪石れんがに関する研究では,製造国とメーカーの異なる7種類の海外製珪石れんがの高温クリープ試験とクリープ試験前後のSiO2結晶相の相転移挙動を調べた.1550℃,-0.2MPa×50hの圧縮クリープ試験で,珪石れんがの5材質に歪の増加が認められた.この歪みの増加は,試験中にトリジマイトからクリストバライトへの相転移が生じたためであり,れんがによってこの相転移量に差が認められた.この相転移挙動の差を確認するため,トリジマイトとクリストバライトおよびCaOの配合量を変化させたタブレットを使用した試験を行った.この結果,1550℃ではこれらの配合量に関係なく,クリストバライトへの相転移が進むことが分かった.トリジマイトが安定である1450℃ではトリジマイトとクリストバライトの配合ではクリストバライトへ相転移すること,適量のCaOの配合でトリジマイトへの相転移が生じることが明らかになった.この結果から,クリストバライト含有量が多くCaO配合量の少ない海外製の珪石れんがはトリジマイトの安定温度でもクリストバライトへ相転移する可能性があることが分かった.このタイプの海外製珪石れんがは国産珪石れんがと異なる膨張変化を生じる可能性があり,設備に導入する前に,そのれんがの相転移挙動を確認して使用することが重要と結論した.珪石モルタルに関する研究では,珪石モルタルの膨張変化と接着強度の関係を調べた.この結果,未加熱のモルタルのSiO2結晶相は石英が主体であり,加熱時の熱膨張曲線はトリジマイトとクリストバライトを主体とする珪石れんがと異なることが分かった.珪石モルタル中のSiO2結晶相は加熱中に相転移を生じるため,冷却時の熱膨張曲線が加熱時と異なる挙動を示し,これが珪石れんがの熱膨張曲線に近づいたモルタルの接着強度が高いことを明らかにした.そして珪石モルタルのうち,耐火粘土などのバインダーを多く含むモルタルの接着機構は,加熱中に発生した液相がれんが表面の凹凸に入り込んで接着する機械的結合が主体であるが,この接着強度は低いことが分かった.一方,加熱中に石英がトリジマイトやクリストバライトへ相転移し易いタイプの珪石モルタルは,珪石れんがとの間に強固な化学的な結合を生じるため,高い接着強度を発現することを明らかにした.高アルミナ質れんがと粘土質れんがでクリストバライトのα-β型相転移がれんがの強度低下に与える影響を調べた.XRD定性分析により調査した粘土質れんが全てと高アルミナ質れんが2材にクリストバライトの含有が認められた.そしてXRDの内部標準法によるクリストバライトの定量分析を行い,粘土質れんがに含まれるクリストバライトが最大で19.5mass%であり,高アルミナ質れんがに含まれるクリストバライト量が最大で5.8mass%であることを確認した.これらクリストバライトを含有するれんがを300℃に加熱した後,100℃に冷却して,200℃付近で生じるクリストバライトのα-β型相転移をれんがに与えた.そして加熱・冷却を与える前の曲げ強度と与えた後の3点曲げ強度から求めた強度変化率とクリストバライトの含有量に相関が認められ,れんがの種類に関係なく,クリストバライト含有量の増加と共に曲げ強度の変化率は低下することを見出した.そしてクリストバライト含有量が19.5mass%の粘土質れんがについて加熱・冷却回数を増やした試験を行い,これらの間に指数関数的な関係が認められ,加熱・冷却回数が1回でも約20%の強度低下が生じることを明らかにした.これらの結果から,クリストバライトのα-β型相転移温度である200℃前後の加熱・冷却を受ける部位では,クリストバライトを含まないれんが材を使用することが必要であると考えられた
シームレス仮想境界法による魚類まわり流れのLES
京都工芸繊維大学博士(工学)本論文は14章から構成され,1章では,本研究の背景と目的について述べている.本論文はシームレス仮想境界法により魚類モデルまわりの流れの解析を行い,尾鰭後方における渦構造を再現し,遊泳のメカニズムを解明するものである.従来,複雑形状を有する物体まわりの流れの解析においては境界適合座標系が用いられるが,魚類のように変形を繰り返す物体に対しては,その都度計算格子を再生成する必要があり,計算時間の増大を招いてしまう.そこで本研究では,デカルト座標系において複雑形状を有する物体を表現する手法として提案されたシームレス仮想境界法(Seamless Immersed Boundary Method)を用いて魚類モデルまわりの流れの解析を行っている.デカルト座標系においては,格子上での物体境界の位置を特定するだけで良く,魚類モデルの変形に対応した計算格子をその都度再生成する必要はない.仮想境界法とは,物体面と格子線が交わる点を仮想境界点とし,仮想境界点における速度条件を満足するように支配方程式に外力項を付加して計算を行う方法である.従来の仮想境界法では,外力項を付加する格子点は仮想境界に隣接する格子点に限定されていたが,仮想境界近傍において非物理的な圧力振動が生じてしまう.シームレス仮想境界法では,物体内部の格子点においても物体の速度条件を満足するように外力項を付加して計算を行うことで境界近傍における圧力振動を抑えることができる. 2章から4章では,本研究に用いられる流れの支配方程式とその離散化および解法,シームレス仮想境界法などについて述べている. 5章では,シームレス仮想境界法の本計算コードの検証として,二次元静止円柱まわり流れの解析を行っている.定量値の算出方法として,補間により求めた円柱表面における圧力とせん断応力を用いて形状データ上で算出する方法とシームレス仮想境界法において評価される外力を用いて算出する方法の二通りの方法で評価を行い,どちらの方法においても良好な結果を示し,後者の方法を用いることで定量値を容易に算出することが可能であることを示している. 6章では,本計算手法の移動境界問題への拡張を行い,7章において,二次元振動円柱まわり流れの解析を行っている.計算格子上で物体を移動させその都度仮想境界を再決定する方法とALE法により物体と同時に計算格子を移動させる方法による結果を比較検証し,互いによく一致した良好な結果を得ている.後者の方法では移動する物体と計算格子との位置関係が変わらないため,前者の方法のように仮想境界を再決定する必要がなく計算時間の大幅な低減が可能である. 8章では本手法を三次元に拡張し,その検証として球まわり流れの解析を行っている.静止球に一様流が流入する場合と静止流体中を球が一定速度で移動する場合の互いに等価な条件に対して解析を行い,三次元流れにおいても本手法の有効性が示されている. 9章では,本計算手法をLESと組み合わせることで乱流解析への適用を行い,10章,11章において三次元チャネル乱流,球まわり流れのLESを行っている.三次元チャネル乱流のLESでは,壁面を境界条件により設定した場合とシームレス仮想境界法により設定した場合において良い一致が得られており,シームレス仮想境界法にLESを組み合わせた本手法の乱流解析に対する有効性が示されている.球まわり流れのLESでは,静止球に一様流が流入する場合と静止流体中を球が一定速度で移動する場合の互いに等価な条件に対して解析を行い,本手法による前者の結果と本手法にALE法を組み合わせた後者の結果において互いに良い一致が得られ,本手法にALE法を組み合わせた方法の有効性を示している. 12章では,三次元任意形状物体への拡張を行っており,三角形ポリゴンにより形成された球と解析的に与えられた球のまわりの流れ解析を行い比較検証している. 13章では,本手法を用いて実際の魚類の遊泳する条件を設定し,魚類モデルまわり流れのLESを行っている.魚類モデルの運動を遊泳動作,並進運動および回転運動に分け,周期的な動作である遊泳動作はフレームごとに仮想境界を事前に設定し,並進運動および回転運動についてはALE手法により計算格子ごと移動させることで,計算時間ステップごとに仮想境界を再設定する手間を省略し,計算の簡略化を行っている.遊泳動作による推進力を算出する際は,シームレス仮想境界法において評価される外力を用いて算出する方法により抗力および揚力を求めることで算出している.本計算の結果,尾鰭後方において実際の魚類の遊泳においても観察される逆カルマン渦をシミュレーションすることに成功している.また,魚類モデルの推進に関して,並進および回転について推進速度を算出した結果,前方への大きな推進速度が得られている. 14章では,13章までで得られた成果および知見を総括して述べており,魚類の遊泳に関するメカニズムを解明するための比較的容易なシミュレーション手法を提案している
射出成形用繊維強化複合材料の高強度化に関する研究
京都工芸繊維大学博士(学術)経済成長に伴い、環境問題は、局地的な問題から、地球規模の問題となっており、自動車の抱える課題に対し、複数の解決策が必要である。そして、車両軽量化はその解決策のベースとなると考える。現在、樹脂は、車両の軽量化用材料として活用され、その重量比率は、8-10wt%である。しかし、既存の樹脂の特性、例えば、低比重や高い成形自由度、さらには金属とは大きく異なる電気特性、熱特性を上手く活かした形での自動車への適用は成熟時期にきており、その比率は期待したようには増加していない。将来に亘り、樹脂材料で車両の軽量化に貢献していくためには、これまでより優れた性能や新しい機能を有する新規樹脂材料、及び成形加工技術の開発が強く求められている。本研究では、樹脂材料としては、自動車用樹脂として使われている材料の40wt%以上を占めるポリプロピレン(以下PP)、成形法として、樹脂成形工法の中では、もっとも生産性が高く広く使われている射出成形に着目し、樹脂の物性向上、及び補強繊維として、ガラス繊維(以下GF)及び炭素繊維(以下CF)を用いた繊維強化複合材料の成形品物性を向上させるための研究を行った。 第2章では、溶融粘度の低い、すなわち低分子量の材料がスキン層を構成し、溶融粘度の高い、すなわち高分子量の材料がコア層を形成するとの仮説に基づき、これまでにない機能を有する材料に関する研究を行った。結果として、新しく開発した5成分系のTPO材、すなわち2種類のPP、2種類のゴム、そしてタルクが、通常の射出成形機により、サンドウィッチ構造化させることを可能にすることを明らかにした。これまで、低溶融粘度樹脂と高溶融粘度樹脂を混ぜて流すと、低溶融粘度樹脂が表面層を形成する可能性があるとの推論はあったが、これを具現化し、バンパの重量を約20%軽量化した。 第3章では、独自に開発した圧力センサーを金型内に配備したバーフロー金型により、繊維強化複合材料の溶融粘度を正しく測定することが出来ることを確認した。これまで、繊維強化複合材料の溶融粘度を正しく測定することは難しかったが、この金型の開発により、それが可能になった。このバーフロー金型を用いた実験により、マトリックス樹脂に補強繊維を添加することで、複合材料の溶融粘度は大きく向上することが確認できた。特に、溶融粘度の低いマトリックスPPを用いた場合、増粘効果は、高かった。また、CFがGFに比べて、より複合材料の溶融粘度を向上させること、長い繊維は、より複合材料の溶融粘度を向上させることを確認した。さらに、無水マレイン酸変性PP(以下MAH-PP)添加によるCFPP、GFPPの界面の状態がどう変化するかを観察し、CFPPの場合は、界面の特性に変化が見られず、GFPPの場合は、界面の特性が向上すること確認できた。しかし、CFPP、GFPPいずれもMAH-PP添加による複合材料としての溶融粘度への影響はないことを確認した。 第4章では、射出成形用の長繊維CFPP(以下L-CFPP)を用いて、材料の溶融粘度や成形機の混練スクリューの圧縮比及び背圧が、成形品中の残存繊維長に及ぼす影響について明らかにした。供試材料として、4つの溶融粘度の異なるPPを用いてCFを30wt%含む長さ7mmのL-CFPPを調製し、圧縮比の異なる混練スクリューにて背圧を変えて射出成形を行い、成形品中の残存繊維長、及び引張特性と衝撃強度を評価した。その結果、高溶融粘度の材料と圧縮比1.8の低せん断スクリューを用いて、低い背圧で成形することで、成形品中に1mm以上のCFを残すことが可能であり、それに伴いより高い物性を発現させることが可能であることを見出した。 第5章では、MAH-PPの添加によりGF/PP間の界面せん断強度を高めた材料を用い、マクロなGF/PP間の界面せん断強度を算出する手法として、Kelly-Tyson法、ミクロンオーダの径を有する繊維1本と樹脂の界面せん断強度を直接測定する手法として、ナノインデンテーションを用いた押込み法、オングストロームオーダの界面せん断強度をシミュレーションする手法として、分子動力学法の有効性を確認した。 その結果、マクロな手法としてKelly-Tyson法、ミクロな手法としてナノインデンターを用いた押込み法が使えることが確認できた。ナノインデンターを用いた押込み法が使えることを明らかにすることで、種類の異なる繊維で補強された樹脂複合材料中の繊維と樹脂の界面せん断強度を測定することが可能になり、工業的な利用価値が高いことを示した。 一方、今回の解析手法として用いた分子動力学法は、単純化した形で界面形成をシミュレーションしたが、この時にはMAH-PP の添加が強固な界面形成に寄与しないことが分かった。しかし、本研究において、解析をオングストロームオーダまで踏み込んで検討した工業的価値は高い。 第6章では、本研究で得られた知見をまとめ、今後の展望について述べた