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ステンレス鋼におけるフレッティング疲労強度の定量評価法と表面処理による改善効果
京都工芸繊維大学博士(工学)新たに考案したフレッティング疲労試験方法および弾塑性有限要素解析方法を用いて,ステンレス鋼のフレッティング疲労強度の定量評価を試みた.同時に,ハイブリッド表面処理によるフレッティング疲労強度の改善効果を系統的に検討した
有松絞りに見る伝統工芸の歴史的変遷
京都工芸繊維大学博士(学術)「有松絞り」は、江戸初期に東海道を行き交う人々に土産物として販売した簡素な絞り染めを起源とする。本論文は現在は伝統的工芸品にも指定されている「有松絞り」の400年以上におよぶ歴史的変遷を浮世絵調査、特許調査、海外現地調査、アンケート等の様々な手法により明らかにしたものである
Synthesis of Functional Materials Composed of Siloxane Based Caged Structures
京都工芸繊維大学博士(工学)有機成分と無機成分をナノレベルで組み合わせた有機‐無機ハイブリッド材料は有機材料および無機材料としての特性を併せ持つのみならず、それぞれの材料とは全く異なる材料特性を発現させることで、これまでにない高性能・高機能材料が得られる可能性を秘めたアプローチとして注目されている。しかしながら、無機成分の凝集や結晶化はこれらの材料における機械的強度や光学的特性の低下を及ぼすため、さらなる高機能化の達成は困難であった。そのため、凝集や結晶化を分子レベルで制御した新たな有機‐無機ハイブリッド材料の設計が望まれていた。 本論文ではかご型シルセスキオキサン(POSS)およびかご型オクタシリケート(OS)から構成される新たな有機無機ハイブリッド材料を合成し、それらの材料特性の評価について述べる。 序論ではかご型シロキサン構造からなるこれまでの有機‐無機ハイブリッド材料について紹介し、凝集や結晶化を制御することの意義について考察するとともに、本論文の概要を述べる。 第1章ではOSを核として用いたビフェニル基を末端部位に有する、側鎖長が異なる2種類のOS核デンドリマーを合成した。側鎖長の短いデンドリマーでは光学的透明な塗布膜が得られ、側鎖長が長いデンドリマーでは白濁した塗布膜が得られた。さらに側鎖長の短いデンドリマーでは基板上から剥離することに成功し、光学的透明性を保持したまま自立膜として得られることを見出した。 第2章では末端基に発光性機能性分子であるカルバゾール基を末端に導入した側鎖長の異なる2種類のOS核デンドリマーを合成し、その発光特性および成膜性を調査した。側鎖長を制御することで発光波長の制御および発光量子収率の向上を明らかにした。 第3章ではOS核デンドリマーのさらなる機能化を思考した、2種類の異なる機能性官能基を有するOS核デンドリマーの合成を行った。カルバゾールと1,8-ナフタルイミドを単一デンドリマーの末端部位への導入に成功し、両者の相互作用に基づくエキサイプレックス発光の発現が確認された。それぞれの置換基を単独に有するデンドリマーとの光学特性およびガラス転移温度の挙動を調査した。 第4章ではOS核デンドリマー間の界面に導電性結晶として知られる7,7,8,8,-テトラシアノキノジメタン混合原子価積層状態を形成させた導電性塗布膜の作製を行った。得られた塗布膜は数ミクロンのオーダーの膜厚を有するにもかかわらず、良好な導電性(100 S cm-1) を示すことを見出した。 第5章では材料化を思考した、デンドリマーの簡便な高分子量化の手法の確立のために、POSSを基盤としたハイパーブランチポリマーの合成を行った。 第6章では2つの重合性置換基を有する2官能性POSSモノマーを選択的コーナーオープニング反応およびコーナーキャッピング反応を用いて合成した。さらにこれを重合して得られた高分子は自立膜を形成することを明らかにした
Investigation of Trap Sites and Their Roles in Organic Triphenylamine-Based Photorefractive Materials
京都工芸繊維大学博士(工学)Organic photorefractive (PR) materials have been studied during the last quarter-century, and they have recently received much attention due to their updatable features that allow them to be used in dynamic holographic devices. However, understanding bulk trap sites that drive the PR effect (by inducing a space-charge field) remains a critical issue. In general, the trap site behavior can be controlled from the energetic point of view; however, bulk devices contain not only the energy trap sites but also structural neutral ones, which decrease the carrier mobility. Organic PR devices are bulk optoelectronics devices, and the investigation of their trap tuning mechanism is still ongoing. In this thesis, carrier transport and trapping properties of the PR materials (represented by triphenylamine-based polymers) with induced space-charge fields are investigated. The effects of plasticizers and wavelengths of interference beams on the PR performance of the resulting holographic devices are studied via photoconductivity measurements. In order to solve a critical challenge of trap tuning, a modified fabrication technique is proposed, which enhances the photoconductivity of the PR materials by suppressing shallow traps. The trap site properties are controlled by studying bulk dipolar molecules with a photoemission yield spectroscopy in air technique, which provides the distribution of both the transport and trap sites. Finally, dynamic holographic images were produced by using organic PR composite films
報酬に基づく協調問題解決のための注目点の獲得に関する研究
京都工芸繊維大学博士(工学)将来,各家庭にロボットが導入される日も遠くないと言われている.日常生活の場において人の手助けを目的とするロボットには,日常生活における様々な場面で起こる様々な状況に対応する能力が求められるが,起こり得るすべての状況を想定してロボットの動作を予め組み込んでおくことは困難である.よって,日常生活の場で活動するロボットには,インタラクションを通して,置かれている環境や他者に適応する能力が必要である.しかし,ロボットが特定の課題を達成する際,実世界の環境から得られる情報には,課題の達成とは関係のない情報も多い.また,複雑な処理を行うロボットは,内部で扱う記号間の関係性や,記号自体の意味を,環境に適した形で獲得する必要がある.さらに,様々な状況に対応するロボットは,特定の状況に対応するロボットよりも多くの機能を持っていると考えられるが,特定の課題を達成する際には必要とされない機能も多いはずである.よって,ロボットが実世界で学習する際には,環境から得られる情報から必要な情報を選択すること,そして,ロボットのもつ機能の中から,課題の達成に必要な機能を選択することが要求される. 本論文では,ロボットなどの学習エージェントが獲得する報酬に着目し,学習エージェントが課題の達成に必要な情報や機能などの要素を選択するための注目点を獲得するモデルを,(i)外部情報,(ii)内部表象,(iii)内部処理の3つの観点から提案する.課題はそれぞれ,模倣学習,見立て遊び,協調行動という課題を用いる.課題には他者とのインタラクションを含め,協調問題解決のための注目点の獲得モデルを提案する.外部情報の注目点の獲得では,模倣学習における注目対象を獲得するモデルを提案する.ロボットなどの学習エージェントの学習手法の1つとして,試行錯誤による学習が挙げられるが,探索空間の広い環境においては,試行錯誤による学習のみでは,学習に多くの時間がかかり実用的ではない.そこで,すでに達成すべきタスクに習熟している他者を模倣することで効率的に学習することが考えられるが,このような模倣学習における問題の1つとして,他者の行動のどの要素に注目するかということが挙げられる.本論文では,模倣学習において観測した他者の行動の何に注目するかという,模倣学習における注目対象を獲得するモデルを提案する.シミュレーション環境でのタスクとしては食卓上でのインタラクションを扱い,実世界のロボットでのタスクとしては塗り動作を扱う.実験の結果,提案モデルでの学習で,タスクに対して適切な注目対象を獲得することができた. 内部表象の注目点の獲得では,見立て遊びにおける学習エージェントの内的表象を獲得するモデルを提案する.知的エージェントのモデルの1つとして,認識,計画,実行などの機能ごとのモジュールの組み合わせによって複雑な問題を解決しようとするモデルがある.このモデルでは,モジュールの組み合わせを変えることで,異なる環境や状況に学習結果を再利用することができる.本論文では,インタラクションとして学習エージェントと他者との見立てを含む真似遊びを扱い,インタラクションを通して物体間の関係性を学習し,他者に伝わる見立てを行うための物体の表象を獲得するモデルおよび,各機能モジュール間の関係性を学習し,意図の表象を獲得するモデルを提案する.タスクとしては,見立ての獲得,他者に伝わる見立ての獲得,見立てを含む真似遊びにおける意図の表象の獲得を扱う.実験の結果,学習エージェントは,それぞれのタスクに対して提案したモデルで適切な学習を行うことができた. 内部処理の注目点の獲得では,他者意図の推定に基づく協調行動を獲得するモデルを提案する.ロボットが人の手助けを目的とする場合,人の意図を推測し,推測した意図に基づいた協調行動を行う能力が必要である.本論文では,モジュール型のモデルを用いた,他者意図の推定に基づく協調行動を獲得するモデルを提案する.タスクとしては積み木遊びを扱い,モジュールの組み合わせによって協調行動を獲得するモデルを提案する.実験の結果,学習エージェントは与えられたタスクにおける協調行動に必要なモジュールの組み合わせ方を学習し,他者と協力してタスクを達成することができた
Study on yeast response to vanillin, a fermentation inhibitor derived from lignocellulosic biomass
京都工芸繊維大学博士(学術)Vanillin is a phenolic aldehyde compound generated during the saccharification pretreatment of the lignocellulosic biomass in bioethanol production. It has been reported that vanillin inhibits yeast growth, represses translation and induces the formation of ribonucleoprotein granules such as P-bodies and stress granules in Saccharomyces cerevisisae. I herein demonstrated that vanillin causes oxidative stress and induces mitochondrial fragmentation in yeast cells, providing some new information regarding the effects of vanillin on yeast. Additionally, I found that the null mutant of glucose-6-phosphate dehydrogenase (G6PDH), which catalyzes the rate-limiting NADPH-producing step in the pentose phosphate pathway (PPP), was more susceptible to vanillin than the wild-type, suggesting the importance of G6PDH and PPP in vanillin tolerance. It has been known that vanillin can be reduced to its less toxic form, vanillyl alcohol, by the yeast NADPH-dependent medium chain alcohol dehydrogenases, Adh6 and Adh7 in vitro. In this study, I verified the roles of these proteins in vanillin tolerance in vivo. I also showed that although both the ADH6 and ADH7 genes were transcriptionally upregulated, the protein levels of Adh7 but not Adh6 were significantly increased in the presence of high concentration of vanillin, indicating that the ADH7 mRNA was preferentially translated under severe vanillin stress. In addition to the ADH7 gene, we found that the expression of VIE1 gene, coding an unknown protein, was also significantly induced upon vanillin treatment. Both the ADH7 and VIE1 promoter can drive the expression of non-native genes under severe vanillin stress despite the overall translation repression, suggesting that these promoters are useful to overexpress genes in bioethanol production. Importantly, the VIE1 promoter also enabled the increased expression of genes in the presence of furfural and 2-hydroxymethylfurfural, other fermentation inhibitors derived from lignocellulosic biomass. Therefore, the VIE1 promoter would be more practical in modification of gene expression in order to improve the efficiency of ethanol production from lignocellulosic biomass
PHOTOREFRACTIVITY OF PERYLENE BISIMIDE-SENSITIZED POLY(4-(DIPHENYLAMINO)BENZYL ACRYLATE
京都工芸繊維大学博士(工学)Photorefractive (PR) polymers and composites have attracted much attentions because of their promising applications include there-dimensional displays, holography and image amplification. Recently, a photoconductive polymer of poly(4-(diphenylamino)benzyl acrylate) (PDAA) has been utilized for fast response PR application because of a fast hole mobility. In this study, enhanced photorefractive performances are reported for a PR composite of perylene bisimide (PBI)–sensitized poly(4-(diphenylamino)benzyl acrylate), 2-(4-(azepan-1-yl)benzylidene)malononitrile (7-DCST), and (4-(diphenylamino)phenyl)methanol (TPAOH). By only changing the ratio between PDAA and TPAOH, the PR properties could be enhanced drastically. The addition of a large amount of the TPAOH photoconductive plasticizer was found to produce a preferred hole manifold that reduces the disordered state. Green laser with the wavelength of 532 nm is used because it optimizes the PR performance according to the previous study by our group. Surprisingly, a significant enhancement in PR performance can be obtained only by reducing the PDAA concentration and increasing the amount of TPAOH. A photorefractive performance with a minimum response time of 11 ms, a maximum external diffraction efficiency of 41.6%, a maximum sensitivity of 117 cm2 J−1, and a maximum optical gain of 296 cm−1 were obtained with an external electric field of 55 V μm−1 for PDAA/7-DCST/TPAOH/PBI (30/30/39.9/0.1 by wt.)
The Research of Paperboards Materials on High Utilization
京都工芸繊維大学博士(学術)現在わが国においては、資源の枯渇、廃棄物の増加の問題から、物質の効率的な利用やリサイクルを進めることにより、資源の消費が抑制され、環境への負荷が少ない「循環型社会」を形成することが急務となっている。紙のリサイクルは森林の保護およびエネルギー放出の抑制といった観点から広く利用されている。日本では2014年時点で、古紙の回収率が80.8%、その利用率が63.9%を達成した。2014年の再生紙の輸出量は国内で再生された再生紙の21.1%を占めており、再生紙ができるだけ多く使用される機会が与えられていることになる。紙は現代社会においてなくてはならない生活必需品であると同時に、産業や文化を側面から支えている。一般に紙と呼んでいる物は、紙と板紙にわけられ、紙とは新聞、雑誌、印刷用紙、コピー用紙、包装用紙、ノート、ティッシュペーパー等である。一方板紙とは段ボール、紙箱等で、板紙とは文字通り厚い紙であり、紙の構成は1層から8層、9層のような多層で形成することにより厚みを出す。 本論文は紙のリサイクルにおいて、現在古紙の回収率の増加に比べ利用率が増えない現状から、「板紙の高度利用に関する研究」として、紙の中でも板紙に焦点を当て、単なる板紙の応用利用としてではなく、板紙にさらなる価値を加えて、それ以外の利用方法の拡充を考えた。3つの高度利用の提案を主に、リサイクル板紙を板紙および板紙複合材料の配向性、強度面、機能性の特性を活かし、従来の素材に代わる高度利用に関する研究をした。板紙複合材料においては市場で多用されているガラスマット複合材料と比較した。 その前提として第2章では、板紙における異方性について述べた。紙の縦方向および横方向は抄紙機の進む(流れ)方向MD(Machine Direction)と抄紙機の幅方向TD(Transverse Direction)に従って定義し、9層構造の異なる原料、針葉樹由来の古紙、針葉樹と広葉樹由来ミックスの古紙、広葉樹由来の古紙から構成される3種類の板紙でその機械的特性および繊維配向を比較した。それぞれの引張り試験結果はいずれも針葉樹由来、針葉樹と広葉樹のミックス、広葉樹由来の古紙の板紙の順で強度が高い数値を示した。繊維配向の走査型電子顕微鏡観察では各層MD 方向の配向が多いことが確認された。3種類の板紙の弾性率の試験結果と、走査型電子顕微鏡の観察結果より繊維配向を取り出し、複合材料の積層理論を使用し計算した結果を比較し同様の傾向を得た。MD 、TDの異方性が確認でき、異方性が製造工程によって生じることが明らかとなった。 第3章では、1つ目の提案であり、より広い分野で板紙が使用されるようにするため、板紙複合材料paperboard fiber reinforced plastic (PFRP)を開発した。引張強度および粘度が異なる3種類の熱硬化性樹脂(150HR、R806、LP-1)および針葉樹由来の古紙からなる板紙を用いて複合材料を成形し、引張り試験、曲げ試験、衝撃試験を行いその機械特性を調査した。また、これらの試験によって発生した破壊についても走査型電子顕微鏡による観察を基に評価を行った。その結果どの板紙複合材料においても、板紙に比べ弾性率および引張強度の向上が確認でき、異方性が緩和されていた。使用した樹脂150HR、R806およびLP-1を比較すると、引張り試験、曲げ試験及び衝撃試験においてLP-1を使用した複合材料が最も高い強度を示した。引張強度は板紙に比べ約50%向上しガラスマット複合材料に近づいた。 第4章では、1層と10層の板紙複合材料における引張試験、曲げ試験及び疲労試験について述べた。疲労試験においてはノッチ無し、ノッチ有りを用いて試験を行った結果、板紙複合材料はガラスマット複合材料よりも高い疲労寿命を示した。 第5章では、2つ目の提案として、通常の板紙と同様の製造方法で炭素繊維やジュート繊維を用いた新たな種類の板紙を開発した。これらから構成されたハイブリッド板紙複合材料をつくり、その機械特性や破壊を評価した。樹脂には不飽和ポリエステルを使用し、炭素繊維は従来の製造法ではシート成形が困難と思いPE繊維バインダーとして使用した。従来の板紙複合材料と新たな2種類のハイブリッド板紙複合材料を比較した結果、衝撃試験においては炭素繊維を用いたハイブリッド板紙複合材料が最も高いエネルギー吸収能力を示したが、引張特性および曲げ特性においては予想に反し、従来の板紙複合材料が最も優れていた。そこで作成法を見直しバインダーとして使用しているPE繊維が悪影響を及ぼしていると推察し、新たなPE繊維無しの炭素繊維ハイブリット板紙複合材料を作成し試験した所、予想通り引張強度は高い数値を示した。紙複合材料よりさらに約67%引張強度が向上した。また板紙複合材料、炭素繊維ハイブリッド板紙複合材料、ガラスマット複合材料の比弾性率および比引張強度を比較した所、比弾性率においてMD は板紙複合材料、炭素繊維ハイブリッド板紙複合材料、ガラスマット複合材料の順で、TDにおいては炭素繊維ハイブリッド板紙複合材料、ガラスマット複合材料、板紙複合材料の順になった。比引張強度においてMD は炭素繊維ハイブリッド板紙複合材料、ガラスマット複合材料、板紙複合材料の順で、TDにおいてはガラスマット複合材料、炭素繊維ハイブリッド板紙複合材料、板紙複合材料の順になった。 第6章では、3つ目の提案である竹炭の粒子を含有させた新たな新機能板紙の開発を行った。その竹炭を多層構造となっている板紙の中層に入れ、機能性を評価した。初めに脱臭の効果がみいだされた。また壁に竹炭板紙を貼り、竹炭による空間環境の変化や人体に与える影響についてのアンケートによる印象評価を行ったところ、落ち着ける、集中できる等、良好な結果を得た。この結果より、勉強する環境は通常の部屋よりも竹炭板紙を配置した部屋の方が適していると考えられる
ADVANCED SPECTROSCOPIC METHODS FOR THE QUANTITATIVE ANALYSIS OF SYNTHETIC BIOMATERIALS AND BIOGENIC TISSUE
京都工芸繊維大学博士(工学)This doctoral thesis is aimed at describing new developments of Raman spectroscopy in the field of biomedical science, specifically oriented in the study of synthetic man-made biomaterials and natural biogenic materials. In this work, it will be highlighted the high versatility of Confocal Raman microprobe spectroscopy in a number of different inorganic and organic sample as a demonstration of newly developed computational algorithms, also when combined with different spectroscopic analyses such as Cathodoluminescence and X-Ray diffraction. A spectroscopic study on the importance of oxygen vacancy in a synthetic biomaterial as zirconia will show the feasibility of the mentioned techniques in detecting polymorphic transformation. This will be directly applied to the analyses of artificial hip joints, where materials degradation during in-vitro testing or during in-vivo service could be observable. Application of Raman techniques will also be shown with the purpose of a reliable screening of human biogenic materials like as teeth and skin, in which their composite structures are made of combinations of different molecules. In particular, new Raman algorithms have been developed for practical dental research and forensic analyses. The Raman tensor element method has quantitatively been applied to the analysis of local crystallographic orientation in both single-crystal hydroxyapatite and human teeth to look into the efficacy of vibrational assessments in locating chemical and crystallographic fingerprints of dental caries and non-cavitated carious lesions. Clear spectroscopic features could directly be translated in terms of a rigorous and quantitative classification of crystallographic and chemical characteristics of diseased enamel structures. Finally, the Raman microprobe spectrometry has been applied to study the biophysical links between vibrational characteristics and the chemical changes associated with aging in human skin. Our spectroscopic approach yields clear compositional information of protein folding and crystallization of lipid structures, which can lead to a precise identification of age from infants to adults
Synthesis and Properties of Cyclic Oligo(Lactic Acid)
京都工芸繊維大学博士(工学)ポリ乳酸は生分解性を有する材料として広く知られており、分子量が10万を超える種々のグレードの製品が既に工業的に製造されている。また、高い生体適合性を有することから人口骨や縫合糸にも用いられている。これらは開環重合や直接重縮合を経て、直鎖状ポリマーにより構成されている。この直鎖状のポリ乳酸については、数多くの研究がなされているが、環状物のオリゴマーに関する研究は多くない。医学分野においては、一般に14から16量体の環状エステルは抗生物質として作用する物があることが知られており、特に環状オリゴ乳酸は抗がん作用を有するという説があるが、この臨床的研究では、環状オリゴ乳酸と直鎖オリゴ乳酸の混合物が使用されている。一方、環状化合物には、ホスト分子として特定のゲスト分子を包接する機能を持つものがある。クラウンエーテル、シクロデキストリンなどは、その中心的な存在であり、例えば、シクロデキストリンの内部は6~10Åほどの空孔になっており、疎水基を内側に向けた構造となっているため、疎水性の分子を包接しやすい。 環状オリゴ乳酸はクラウンエーテルと類似した構造を有しており、包接機能を有する可能性が高く、生体内での物質輸送への影響も考えられることから、本研究では環状オリゴ乳酸と金属イオンとの相互作用解明のため、ポリ乳酸からの環状オリゴ乳酸の簡便な単離方法、環状物が重合に及ぼす影響、溶媒中でのアルカリ金属イオンとの相互作用につき検討を行った。 無触媒における直接重縮合により生成されたポリ-L-乳酸(PLLA)について、詳細に分析を行った。1H NMR質量分析の結果、PLLAは3~20量体の環状物を含むことがわかった。さらに、それらの環状物は低温(4℃)において、ヘキサン、シクロヘキサンで抽出、単離が可能であることを見出した。疎水性、トポロジー、抽出時の温度が環状オリゴ乳酸の選択的抽出に大きな影響を及ぼしている可能性がある。また、環状オリゴ乳酸には末端が存在しないにも関わらず、質量分析において容易にイオン化されることから、環内にイオンを取り込んでいる可能性が高く、環状物が直接重縮合に一定の影響を及ぼしている可能性もあると考える。 さらに、環状オリゴ-L-乳酸(c-OLLA)および、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムを含むアルカリ金属イオンの相互作用について、検討を行った。PLLAから抽出された、重合度21以下のc-OLLAと、アルカリ金属イオン存在下でESI-MS、MALDI-MSによる分析を実施した結果、両者は、溶液中において、比較的強い相互作用を有することが明らかとなった。一方、溶液の存在しないバルク状態での解析である、MALDI-MS分析においては、相互作用を確認することはできなかった。ESI-MSによる分析から、c-OLLAはナトリウムイオンを含む各種イオンとの相互作用により、溶液中でイオンを内側に包接している可能性が高いことがわかった。さらに、水およびクロロホルムを溶媒として値板、液‐液イオン輸送試験からも、PLLAと比較しc-OLLAは高いイオン輸送性能を有していることが確認でき、強い相互作用の存在を示唆する結果が得られた。環状オリゴ乳酸はポリ乳酸同様、高い生体適合性と生分解性を有すことから、人体へも適用可能な新たなホスト分子の役割も期待できる