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    1100 research outputs found

    ミクログリアの MAP2 陽性および GFAP 陽性細胞への分化転換機構に関する研究

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    京都工芸繊維大学博士(学術)ミクログリアは遊走能・貪食能および炎症性サイトカインの放出などにより脳内の免疫反応を担っているとともに神経栄養因子を分泌して神経系の維持および修復にも関与している中枢神経系のグリア細胞である.近年,ミクログリアが高濃度血清中でニューロンやアストロサイトへと分化転換する可能性を示唆する報告が出された.しかしながら,ミクログリアの神経系細胞への分化転換を支持する報告は依然として少なく,その分子メカニズムに関してはほとんどわかっていない.そこで本研究は,単離・精製したミクログリアがニューロンやアストロサイトへと分化転換することを確認し,その分子メカニズムおよび分化転換の促進方法についての検討を行い,以下の知見を得た. 第一章 ミクログリアの microtubule-associated protein 2 (MAP2) 陽性および glial fibrillary acidic protein (GFAP) 陽性細胞への分化転換に関する研究 単離・精製したミクログリアは,ミクログリアのマーカーである CD11b および ionized calcium binding adaptor molecule 1 (IBA-1) で染色したところ約 99% と高純度であった.既報に従い高濃度血清中で 2 日間培養することで,精製したミクログリアがニューロンのマーカーである MAP2 やアストロサイトのマーカーである GFAP 陽性の細胞に分化転換すること,さらに,insulin-like growth factor-1 (IGF-1) 添加 E2 medium 中で培養することにより分化転換がさらに誘導されることを確認した. 第二章 ミクログリアの MAP2 陽性および GFAP 陽性細胞への分化転換における SOX2 の役割に関する研究 ミクログリアの MAP2 陽性および GFAP 陽性細胞への分化転換を制御する因子として,神経幹細胞の性質を特徴付ける重要な因子であるとともに神経系の成熟にも寄与する転写因子である SOX2 に着目した.ウェスタンブロッティングにより,単離・精製したミクログリアを高濃度血清中で培養すると SOX2 タンパク質の発現量が増加すること,また,免疫細胞染色により SOX2 タンパク質は分化転換後の MAP2 陽性および GFAP 陽性細胞の核内に発現していることを明らかとした.さらに,siRNA を用いた検討により,SOX2 をノックダウンすることでミクログリアの MAP2 陽性および GFAP 陽性細胞への分化転換が抑制された.続いて,過去の研究により高濃度血清中の BMP がミクログリアの分化転換に寄与していることが知られているため,その下流にある Smad シグナル伝達経路が作動しているかどうかを確認した.高濃度血清処置により,Smad1/5/8 のリン酸化および Smad4 タンパク質が一過性に上昇することがウェスタンブロッティングにより確認された.さらに, Smad4 の siRNA を処置することにより SOX2 タンパク質の発現上昇が抑制され,ミクログリアの MAP2 陽性および GFAP 陽性細胞への分化転換も抑制された.以上より,高濃度血清処置による Smad シグナル伝達経路を介した SOX2 タンパク質の発現上昇が,ミクログリアの MAP2 陽性および GFAP 陽性細胞への分化転換において重要な役割を担っていることが明らかとなった. 第三章 ミクログリアの MAP2 陽性および GFAP 陽性細胞への分化転換における basic FGF (bFGF) の作用に関する研究 単離・精製したミクログリアを高濃度血清中で培養すると,神経幹細胞の主要な転写因子である SOX2 タンパク質の発現上昇が認められたことから,高濃度血清中の細胞は一部神経幹細胞様の性質を有していると推測された.そこで,ミクログリアの MAP2 陽性および GFAP 陽性細胞への分化転換を促進する手段として,神経幹細胞の分化および増殖を制御する成長因子である bFGF に着目した.ミクログリアを高濃度血清中で培養すると bFGF の受容体である Fgfr1, Fgfr2 および Fgfr3 のmRNAが上昇することが定量 PCR で確認され,続く bFGF の処置はミクログリアの MAP2 陽性および GFAP 陽性細胞への分化転換を促進させた.また,当作用が FGFR tyrosine kinase inhibitor である SU5402 でブロックされることや,高濃度血清処理をする前の細胞に bFGF を処置しても分化転換が起こらないことから,当作用は FGFR を介した作用であることが確認された.また,この bFGF の作用は MEK inhibitor である PD98059 により部分的に抑制されたことから,一部 ERK-mitogen activated protein (MAP) kinase の経路を介していることがわかった.以上より,ミクログリアは高濃度血清中で FGFR1-3 の発現を上昇し,続く bFGF による FGFR の刺激が一部 ERK-MAP kinase 経路を介して,ミクログリアの MAP2 陽性および GFAP 陽性細胞への分化転換を促進することが明らかとなった. 本研究により,ミクログリアが高濃度血清中で MAP2 陽性および GFAP 陽性細胞へと分化転換する分子メカニズムとして Smad シグナル伝達経路を介した SOX2 タンパク質の発現上昇が重要であること,さらに,続く bFGF の処置が分化転換を促進することが明らかとなった.本研究の成果は,脱落したニューロンを補充する手段として,ミクログリアが標的となり得ることを示すものであり,新たな再生医療のコンセプトの基礎的知見を提供するものである

    Study of Fabrication of Metal Structure through Two-photon Reduction of Metal Ion using Femtosecond Pulse Laser

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    京都工芸繊維大学博士(工学)This thesis consists of seven chapters, and fabrication of a structure using metals ions in polymer matrix through two-photon excitation using by femtosecond laser from Chapter 3 to Chapter 6. Poly(N-vinylpyrrolidone) and negative tone photoresist SU-8 as a matrix and tetrachloride auric (iii) acid , silver nitrate and copper (ii) acetate as a ion source were used. At first, the sample including metal ion was prepared and then the femtosecond laser beam irradiated to the sample to fabricate the structure. After fabrication, the obtained structure was observed with an atomic force microscope (AFM) and a scanning electron microscope (SEM) and analyzed with an energy dispersive X-ray spectrometry (EDX), a micro X-ray diffractometer (?-XRD) and an X-ray photoelectron spectroscope (XPS). In Chapter 3, the fabrication of the structure using silver ion was investigated. After fabrication, the obtained structure was directly observed and analyzed with AFM, EDX and XPS. The XPS results indicate that the structure mainly consists of carbon element derived from PVP and the reduced silver atom interacts with carbonyl group in PVP chain because of low concentration of the silver ion. In Chapter 4, the fabrication of the structure using high concentrated silver ion was investigated. The results of the elemental analysis indicate that structure consists of silver and silver oxide which oxidized by oxygen dissolved in the sample. Therefore, the fabrication from the degassed sample was investigated. The results suggest that the silver structure was successfully demonstrated. In Chapter 5, the fabrication using gold ion was investigated. After fabrication, the obtained structure was analyzed with EDX, ?-XRD and XPS. The results indicate that the structure consists of triangle-shaped gold and small amount of SU-8. In addition, the results also indicate that the gold interacts with oxygen in SU-8. In Chapter 6, the fabrication using copper ion was investigated. The fabricated structure was observed and analyzed with AFM, EDX, ?-XRD and XPS. The results indicate that the structure consists of SU-8, photo-reduced copper and copper acetate. Summarization of this thesis is written in Chapter 7

    真社会性昆虫への共生と捕食に関する行動化学生態学的研究

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    京都工芸繊維大学博士(学術)真社会性とは主に昆虫で進化してきた社会形態で、同種の複数個体が共同して子を育てる「共同育仔」、その集団内で生殖個体と非生殖個体が分かれて存在する「生殖分業」、子世代が巣内の労働を行う程度に成長するまで親世代と共存する「世代重複」の3つの特徴を併せ持つ。真社会性は主にアリ、ハナバチ、狩りバチ、シロアリの仲間で広く認められており、これらの真社会性昆虫は、人間に匹敵するほどに大きいバイオマスをもち、捕食者や分解者として生態系内の他生物に大きなインパクトを与えている。そのため、多岐にわたる生物と共生、寄生、捕食被食などの関係を構築しているのが特徴である。 真社会性昆虫と関わる多くの昆虫種では化学物質を介してその関係性を構築している。これはアリ・ハチ・シロアリのいずれの真社会性昆虫でも、集団生活を円滑におこなうために個体間コミュニケーションが発達しており、その情報媒体として主に化学物質を利用していることに起因する。同種内個体間で情報媒体として機能する化学物質をフェロモンと呼ぶが、真社会性昆虫においては多種多様なフェロモンが状況に応じて多岐にわたる情報を伝える役割を果たしている。真社会性昆虫の行動の多くはフェロモンによって制御されていることから、真社会性昆虫と関わる多くの生物は、その多様なフェロモン物質をアレロケミカル(異種間相互作用における情報媒体の化学物質)として利用している。また、アレロケミカルを用いずに真社会性昆虫と関わる生物種も存在しているが、排他的・攻撃的な真社会性昆虫と関わり合いを持つことは危険と背中合わせであることから、非化学的な要素を用いた適応的形質を備えているものと考えられる。 本研究では、ミツバチなどの訪花性昆虫を捕食するハナカマキリ(第一章)、アリやシロアリを捕食する小型のメクラヘビ(第二章)と、真社会性昆虫を捕食対象とする生物の適応的戦略と、広範囲なアリ種を随伴させる能力をもつ好蟻性のミヤマシジミ(第三章)による共生のための適応的戦略に着目し、それぞれの生物種が実際に対象とする真社会性昆虫に対して示す具体的な戦術について検証した。 生息地で実施した野外調査からハナカマキリHymenopus coronatusの幼虫はかなり専門的にトウヨウミツバチApis ceranaを捕食していることが明らかとなった。この結果はハナカマキリの幼虫が、化学情報交信に頼るトウヨウミツバチのコミュニケーションシステムに介入するような捕食戦術をとっていることを示唆している。ハナカマキリの幼虫が持つ化学物質をGC/MSにより分析したところ、トウヨウミツバチのフェロモンコミュニケーションに関わることが知られている3-hydroxyoctanoic acid(3HOA)と10-hydroxy-(E)-2-decenoic acid(10HDA)が検出された。また、ハナカマキリの幼虫がハチを捕食しようとしているときに3HOAを空気中に放出していること、人工的に合成した3HOAと10HDAの混合物に対して採餌中のトウヨウミツバチが誘引されることが示され、ハナカマキリの幼虫はトウヨウミツバチのフェロモンコミュニケーションに関わる2種の化学物質を用いて、トウヨウミツバチを効率的に誘引、捕食することが示された。 また、主にアリの幼生やシロアリを餌とするブラーミニメクラヘビIndotyphlops braminusの摂食行動を詳細に観察したところ、アリの幼生を捕食する場合には丸呑みにするが、ヤマトシロアリReticulitermes speratusを捕食する際には腹部と胸部だけをのみ込み、頭部を千切って残す行動が観察された。ヘビによる獲物の切断例は珍しく、ミズヘビ科で丸呑みできない大きさのカニの肢を千切って捕食する例が知られているのみであった。今回の調査対象となったメクラヘビがシロアリの頭部を切断する確率は約50%程度であり、体サイズ上はシロアリを丸呑みすることも出来るため、ミズヘビ科のカニ捕食のケースとは行動学的意義が異なるものと推察された。シロアリ捕食後のメクラヘビの糞には原型を留めたままのシロアリの頭部が多数含まれていたことから、シロアリの頭部切断行動は消化しにくいシロアリの頭部を除去するための適応的行動である可能性が高い。 アリと共生関係を持つミヤマシジミLycaeides argyrognomonは、幼虫期に保持していた好蟻性器官の幾つかを蛹期には失ってしまうため、アリとの共生関係維持に重要と謂われる蜜分泌も出来なくなってしまう。それにもかかわらず、潜在的には捕食される恐れもあるクロオオアリCamponotus japonicusの巣内で蛹化することもあり、その場合には幼虫期に随伴していたのと同じ個体のアリが随伴し続ける傾向が強い。今回、それらの蛹の体表面には数種の直鎖飽和脂肪族アルデヒドが含有されており、それがアリの攻撃性を抑制することが示された。また、ミヤマシジミの幼虫に随伴した経験があるアリ個体は、随伴経験をもたないアリと比べて、ミヤマシジミの蛹に対しても随伴行動を示す傾向が有意に高まり、さらにその羽化時に蛹殻から放出される匂い物質に対して強く誘引される傾向が認められた。これは脆弱なミヤマシジミの蛹と羽化直後の成虫が、潜在的捕食者でありながら随伴行動を示すアリからの攻撃を免れるための防衛手段として機能するものといえる。 これら3種の生物と真社会性昆虫との関わりを通して、真社会性昆虫に対する捕食と共生の行動・化学的な戦術について考察を行った

    ICTを用いた高齢者のQOL向上に向けた支援技術に関する研究-高齢者と若年者における会話支援システムの提案-

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    京都工芸繊維大学博士(工学)近年,日本は65 歳人口が「団塊の世代」が65 歳に到達し3,000万人を超え,総人口の4分の1を占める超高齢社会を迎え, 人口における高齢者の割合は増すばかりである.さらに,平均寿命が延伸していることもあり,65歳以上を過ぎても元気である高齢者も少なくない.しかし,65歳を過ぎ,仕事を退職するなど,生活・活動の拠点を仕事中心の社会から居住地域に移すこととなり,その中でも,就労や社会参加活動を通じて現役として活躍している高齢者もいるが一方で,社会活動を行いたいと考えてはいるが,なかなか社会との繋がりを持てずにいる高齢者もいる.また, 同時に進行した核家族化によって子ども世帯と同居しない夫婦のみか,または,独居の高齢者の割合も増加している.そこで,高齢者の自立と社会活動への参加を実現するためには,周囲の人間が高齢者を進んでサポートすることが必要であると考えられる,サポートをするためには,今まで,接することの少なかった高齢者の行動,生活習慣を理解することが重要である.理解をするための手段の一つとして,高齢者とコミュニケーションをとっていくことが大変重要であると考えられている. 高齢者と会話を行なうことが重要であると考えられている要因としては,高齢者の認知機能の維持に有効であると考えられているからである.しかし,上記でも述べたように,核家族化が進み,祖父母と同居の経験のある若年者は減っている.そのため,どのように高齢者と接したらいいのか戸惑う若年者が増えている.同様に,高齢者とどのような会話をすればいいか,会話をうまく継続することが出来ない若年者もいる.そこで,会話の方法として,高齢者一人一人の経験や思いを尊重出来,かつ高齢者の特性を生かした回想法が着目されている.回想法とは自らの経験や昔懐かしい道具を用い,体験した事を語り合ったり,誰かに話したりすることで,脳を活性化させる方法で,アメリカのバトラーが提唱した心理療法であるが,今日,高齢者とのコミュニケーションの方法として広く用いられている.また,昔のことなどを記憶している長期記憶は高齢になっても比較的保持している記憶である.そのため,昔語りをする回想法を用いたコミュニケーション方法は若年者及び高齢者(認知症者を含む)のコミュニケーションの方法としては適していると考える.しかし,その一方で,長期記憶のなかにある思い出を覚えていず、日常の行動(食事,排泄など)である短期記憶は覚えているという高齢者(認知症者を含む)もいる.その際,高齢者との会話において,その高齢者の思い出などから会話をつなげて行こうとすれば,思い出せない情報を話すことから苦痛になる可能性があり,会話を継続したくないという高齢者もいる.そのようなことから若年者にとって今までのように高齢者一人ひとりの思い出を会話支援システムで使用することは,長期記憶に障害を持つ高齢者との対話支援では会話への負担が大きいことがわかった.このような状況において,高齢者(認知症含む)と若年者(家族やボランティアを含む)が会話をスムーズにすることができるような支援を充実させることが重要な課題である.また,傾聴に不慣れな若年者(家族やボランティアを含む)にとって,高齢者との会話に負担を感じる,あるいは会話をうまく継続することができないということも多いことから,若年者(家族やボランティアを含む)が高齢者(認知症含む)との会話に関する負担を軽減するため,回想法における会話支援に着目して,写真画像や映像を共有させて話題を提供することで高齢者(認知症含む)どうしのまたは高齢者(認知症含む)と若年者(家族やボランティアを含む)との会話を促進する方法を検討し,実施した.本論文では,スムーズな会話が出来るような,会話支援システムの構築を最終目標としている. そこで,システムを構築するに当たって,写真画像や動画といったシステムに導入するメディアについて研究を行い,また,システムの提案をした.若年者(介護者・家族・ボランティア)が,高齢者(認知症含む)との会話支援をする際,会話中のストレスを極力感じることなく,または,高齢者側にも飽きの来ないような,最適なコンテンツを提供するために,最適なコンテンツ,テーマごとのカテゴリ,メディアの最適性を検証した.また,そのメディアを使用したシステムの提案を行った

    オートクレーブ成形の積層工程における熟練技術の定量化に関する研究

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    京都工芸繊維大学博士(学術)航空機や自動車の製造技術が著しく成長を遂げる中,搭乗者がより快適に安心して移動することを目的として,構造設計や製造方法が大きく変化する時代である.燃費向上を狙った機体や車両の軽量化ニーズが急速に高まるなかで,軽量かつ高剛性の特徴を併せ持ち,材料の品質や安定供給性も目処が立ちつつある炭素繊維強化複合材料(CFRP)が注目されている.株式会社UCHIDAでは手探りでCFRP成形に着手したが, マニュアルが無い中でオートクレーブ成形に挑戦し,以来航空機・宇宙・自動車・次世代産業の試作品を中心に試行錯誤を繰り返してきた.CFRP成形方法のなかでもオートクレーブ成形は寸法安定性や物性の信頼性が高い.ただし,金属材料(等方性)では考慮する必要のない異方性と積層構成を構造設計時に考慮する必要がある.さらに様々な複合材料や副資材をマッチさせる難易度の高い要求にも取り組む必要があった.そのため知識や経験を積み重ね,巧みなハンドワークを習得した熟練者から「匠の技」を継承し,昨今の多様化した需要に柔軟に対応する急務に駆られていながら, 定量化し難い技術が余りに多いため,後進の育成に苦労している.作業者が十分なスキルを獲得するカリキュラムは無く,スキルのレベルを明確にする検定を行うシステムも存在しない.また,積層作業内容や成形道具の使用方法を明確にした文献はない.その作業内容が成形品の性能に与える影響について明らかにした報告もされていない. そこで本論文では,オートクレーブ成形の積層工程における熟練技術を定量化することを目的とした.熟練者と非熟練の被験者が,炭素繊維に樹脂が含浸されたプリプレグシートを擬似等方に積層する連続作業を通じて,積層方法や道具の使用方法にどのような差異が存在するのかを観察した.一層毎の積み重ね方に不具合が生じると力学的特性に大きく影響を及ぼすことから,特に形状が屈折する角Rの積層作業に注目し,完成した製品の該当個所の断面観察を行った. 第2章では,熟練者と非熟練者の積層作業動作および工程分析を,ビデオ撮影した映像を検証する形で行い,動作の違いが成形品に与える影響について提案した.プリプレグを成形型に三層積層する時間配分や,被験者の道具の使い方,さらに道具の選定理由についても検証し,経験値の定量化を行い,判断の違いから異なる動作になる事が明確になった. 第3章では,被験者の眼球運動を観察し, 作業時の視点が成形品の力学的特性に与える影響について考察した.作業段取り/積層工程の2工程に分け,被験者の眼球動作を通じて,作業順序の違いや反復作業時の無駄な動きの有無を検証した.被験者の経験年数と作業効率を比較すると,熟練者は非熟練者に比べて次工程を先読みしながら,一点に集中して作業を行っていることが判明した. 第4章では,あらかじめ示された設計指針をベースに,被験者がどのような成形プロセスを組み立てていくかを, [0° -90°/±45°/0° -90°]の積層構成でハンドレイアップする作業を観察した.経年変化に耐え得る力学的特性の安定した成形品は,ラップシロや繊維の縮れを事前に予見しながらシワや空隙を最小限に抑え,均質性の高い賦形性によって応力集中を防ぐことが重要である.圧縮試験では,角Rの破壊に至るまでの治具を開発し,応力プロファイルを試験片の変形から破壊に至る映像と対応させながら解析する「UCHIDA式角R試験方法」を確立した.特に応力分布の連続性や不均一性の評価に有効であることから今後経時的な信頼性評価に活用が期待できる.成形品のR0.5コーナー近傍の角R断面観察により積層作業者の技能を評価する定量評価方法を確立した. 第5章では,熟練者と非熟練者の仕上がり具合が異なる角Rの積層作業についてビデオ映像を用いてインタビューを行い,テキストマイニング処理によって判断基準を解明する.熟練者は,積層作業の違いのある角Rに対して多くの言葉の連動があり,非熟練者はコーナー積層およびカット工程に多く言葉の連動の差が見えた. 第6章では, 一連の結果から熟練者と非熟練者の技能の違いを明確化してこれまで作成できていなかった技術教育マニュアルの具現化に向け必要な構成要素を抽出した.圧縮試験後の破壊断面の特徴として,熟練者は亀裂のパターンが類似しているのに対し,非熟練者において 20mm幅の試験片の両断面に亀裂パターンとバックサイド外形ラインに違いが表れており信頼性に欠ける懸念があった. 第7章では,本研究で得られた知見をまとめ,今後の展望について述べた

    春の日を愛でる言葉「菅の根」: 『万葉集』における動詞「こひわたる」と助詞「を」の働きに関する一考察

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    『万葉集』に見られる以下の和歌をフランス語に翻訳することを試みた際、動詞表現「孤悲わたる」の部分に関して問題が生じた。  おほほしく 君を相見て 菅の根の 長き春日を 孤悲わたるかも (10-1921) 「孤悲わたる」は「こふ」と「わたる」が合わさってできた複合動詞である。「孤悲わたる」の直前の助詞「を」は時間的状況を表し、「君を」恋して「日を」過ごすという意味に解釈される。つまり、日本語では「こふ」の対象である「君」は言外に示されている。一方、フランス語では「こふ」に当たる動詞は他動詞であり、必ずその目的補語を明示しなければならない。従って、この和歌をフランス語に翻訳しようとすると、代名詞「君」を動詞「こふ」の前に置くことで「君」が繰り返され、詩は平凡なものになってしまう。本考察では、より詩的な翻訳を試みて、「恋ひ暮らす」「思ひ暮らす」などを含む『万葉集』中の類似した例を三つとり上げ、それぞれの原文を三種類の現代語訳(中西進訳、1978年~1983年、小学館版の訳、1971年~1975年、折口信夫訳、1916年)を参照しつつ吟味した。こうした検討を経て、最終的に、詩的な観点からひとつのフランス語訳を導き出した。京都工芸繊維大学 学術報告書,第8巻,2016.03,pp.1-1

    銅表面の有機および無機被膜による酸化耐性の付与と電気伝導性への影響

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    京都工芸繊維大学博士(工学)本論文では銅の表面で形成される酸化銅を除去し、表面に薄い保護層を形成することで酸化耐性を付与し、形成した保護層が銅の電気伝導性に与える影響について検討を行った。ここでは酸化耐性を付与する二種の保護層について研究を行った。 第1章では本研究の背景と目的、重要性および関連する研究について論述した。第2章では銅の表面に形成された酸化銅を臭素化し、表面の酸化銅の除去と保護層の形成をワンポットで同時に行い表面を臭化銅層で被覆する手法について述べた。第3章、第4章では表面の酸化銅の除去した後に、銅に対して親和性を示すチオール基を末端に有するポリスチレン(以下、PSt-SHと略す)の薄層を形成することで酸化を抑制する方法を検討した結果について述べた。 第2章では表面を無機材料である臭化銅層で被覆した銅の酸化耐性とそれによる接触電気抵抗への影響について論述した。シクロヘキシルアミン臭化水素酸塩(以下、CHABと略す)のジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(以下、DGMEと略す)の溶液に銅板を浸すことで表面の臭素化処理を行った。安定した臭化銅層を形成するために臭素化処理溶液へ水を添加し、水が酸化耐性に与える影響の重要性について述べた。XPS測定より銅の臭素化処理は処理溶液に水を添加することで効率的に臭化銅層が維持されること、CHABの濃度を高めることで臭素化処理された銅板は効果的に酸化抑制することがわかった。また、四端子法による接触電気抵抗測定から、臭化銅層は電気伝導性をほとんど阻害しないことが分かった。また、加熱による酸化促進とそれによる電気伝導性への影響を調べたところ、100℃、4時間加熱でも電気伝導性の低下が認められなかった。これらの結果は表面に形成された臭化銅層が銅金属表面への酸化耐性を付与し、これが水分の影響を受けることを示している。 第3章ではPSt-SHの有機薄膜による被覆は銅板および銅微粒子の酸化耐性の付与に有用であることを述べた。薄膜の形成は銅の表面に形成された酸化銅層を塩酸酸性エタノールにより除去し、PSt-SHのテトラヒドロフラン(THF)溶液に浸漬することで行った。XPS測定より銅の表面からチオール基由来の硫黄のピークおよびポリマー鎖由来の炭素のピークが検出され、PSt-SHで被覆されたことが分かった。また、90℃から150℃まで10℃刻みでそれぞれ1時間加熱したところ、150℃で1時間加熱しても硫黄のピークは消失しなかった。一方、比較として低分子化合物である1-ドデカンチオール(以下、Dod-SHと略す)は130℃への加熱で硫黄のピークは消失し、酸化が進行した。目視による外観の確認したところ、高分子のPSt-SHで被覆された銅板および銅微粒子は150℃の加熱後も銅特有の茶色は失われなかった。このことはXPSの酸化耐性の評価結果とも対応しており、PSt-SHの有機薄膜による被覆は酸化耐性の付与に有効であることが分かった。また、四端子法による接触電気抵抗の測定から、室温ではPSt-SHとDod-SHで被覆した銅板および銅微粒子は共に接触電気抵抗の増加は認められず、この種の有機薄膜は電気伝導性を阻害しないことが分かった。また、150℃の高温では高分子のPSt-SHのみ電気伝導性が保持された。PSt-SHの薄膜は銅の酸化耐性の付与に効果があり、高い電気伝導性を維持するのに非常に有効であることが分かった。 第4章ではPSt-SHの有機薄膜による被覆の酸化耐性への影響について電気化学的手法のCyclic voltammetry(以下、CV)測定により還元挙動を定量的に解析することで検討を行った。 CV測定から空気中における加熱後の銅の酸化還元曲線のカソード掃引における積分値より電荷量を求め、酸化耐性を評価した。高分子のPSt-SHで被覆した銅は酸化耐性の保持が大きく、150℃に加熱しても電荷量の増加は抑えられ酸化耐性が高いことが分かった。一方、塩酸処理のみの被覆されていない銅板は90℃以上の温度で還元に要する電荷量が増加し、低分子のDod-SHおよび1-オクタデカンチオールで被覆した銅板では130℃以上で増加した。このことは第3章のXPSによる酸化耐性の評価結果とよく対応している。これらの結果より、CV測定からもPSt-SHの薄膜は銅の酸化耐性の付与に有用であることが示された。 第5章では本研究のまとめと今後の展望と併せて銅材料への無機、有機被膜技術の実用化への課題を述べた

    Application of Crowdsourcing and Multi-Agent Systems to Logistics and Finances

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    京都工芸繊維大学博士(工学)As the real world problems become more complex and dynamic, industry looks for ways to shift from rigid centralized control models to more flexible and dynamic ones. Distributed problem-solving has become a common approach for solving many types of tasks, including logistics, data mining, finances and management. Both crowdsourcing and multi-agent systems are relatively recently emerged models for distributed problem-solving. Multi-agent systems based models are usually characterized by high fault-tolerance, good adaptability to changes and efficient resource management. Such models are particularly useful for control of large number of relatively independent but interconnected entities as is in the case of logistics, for example. The model of logic based multi-agent systems is described in the thesis. This model has demonstrated good results in a simulated experiment of cleaning robot in a smart house. This model acts as a basis of the real world applications of multi-agent systems in the other experiments describes in the thesis. Crowdsourcing on the other hand allows us to utilize human evaluation for tasks in which machine judgement is inefficient or there is not enough data for efficient machine learning. Such tasks include evaluation of people opinions, text mining, and image processing. This thesis describes several applications of multi-agent systems and crowdsourcing to real industry tasks in the areas of logistics and finances. Particularly, application of multi-agent system and crowdsourcing to map update in context of taxi navigation is described. In the experiment conducted in Azerbaijan 80 taxi drivers were using proposed system for several months. Experiment has shown that the distance per client and time per client parameters were improved by 7.42% and 15.3% respectively compared to the standard navigation system. This thesis also describes application of crowdsourcing to risk assessment of microcredits, a financial service that is rapidly gaining popularity in many developing countries. Crowdsourcing in this context is used to evaluate clients’ data using social networks. Experiment was conducted in Azerbaijan using 400 people’s social accounts data. The results demonstrate that such system is capable of giving correct predictions in 90.1% of cases, with 20% false positives and 5.9% false negatives

    ジョージ・ネルソンの作品に見るミッドセンチュリー・モダンスタイルとその変容について

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    京都工芸繊維大学博士(学術)本研究は、建築家・デザイナーのジョージ・ネルソンを対象とし、1945年から1970年代に至る家具を中心としたデザインに注目することで、第二次世界大戦後のアメリカにおける彼のミッドセンチュリー・モダンとされるデザインとその後のデザインの変容を明らかにし、その評価の一隅に新たな視座を設けようとしたものである

    Study on Surface Fracture Behavior of Acrylic Hard Coatings under Scratch Loading

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    京都工芸繊維大学博士(学術)Surface fracture behavior of polymeric coatings was studied using a progressive load scratch test according to ISO 19252. Acrylic coatings, i.e. Trimethylolpropane triacrylate (TMPTA), pentaerythriol triacrylate (PETA) on Poly (methyl methacrylate) (PMMA) substrate were chosen as studied models. Effects of material characteristics and coating composition were investigated. The coatings with and without soft base layer were prepared to demonstrate the soft base layer effect. It was found that the presence of soft base layer resulted in excellent resistance to crack initiation and substrate exposure. Moreover, crack extension was slowed down when the soft base layer was incorporated into the coating systems. An increase of soft base layer thickness was also able to further enhance the scratch resistance and effectively retarded crack extension. In addition, the influence of soft base layer on mar and abrasion behavior was studied. Mar and abrasion behavior were strongly influenced by the soft base layer despite using different top layers. The SCOF and surface roughness significantly reduced with increasing the soft base layer thickness. To further verify the soft base layer effect on scratch behavior, soft base layer with different hardness was prepared by incorporating diacrylate monomer. The scratch test result was greatly support the above results. The introduction of soft base layer caused a great improvement on scratch resistance. However, it seemed that there is an optimum hardness of soft base layer to achieve excellent scratch resistance. Additionally, influence of surface segregation of multi-funtional methylmethacrylate-POSS (MA8POSS) on surface physical properties of PETA coating was demonstrated. The results indicated that the scratch resistance was correlated with MA8POSS segregation behavior. Scratch resistance was deteriorated at MA8POSS loadings higher than 20 wt %. This because MA8POSS was fully covered the outermost surface and the degree of conversion was significantly regulated due to the huge steric hindrance of MA8POSS. This work indicated that surface fracture behavior of acrylic coating under scratch loading was strongly affected by the presence of the soft base layer. The localized stress at the top surface could be minimized when the soft base layer was introduced to the coating system. Moreover, it was found that surface segregation was one of the influencing factors for scratch behavior

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