Yamagata University Academic Repository
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Phospholipase類による生体膜の分解に関する研究(第1報) : Phospholipase Cによるラット肝粗面ミクロソームの分解
論文(Article)【緒言】生体膜は脂質二重層に蛋白質が結合したり,埋めこまれたりしている基本構造を有する.脂質は大部分PLよりなるので,膜酵素の脂質要求性や膜二重層への蛋白質や脂質の分布の研究など生体膜の研究にPLaseが用いられている.PLaseで膜のPLを分解すると膜の全体がどのような変化を示すかを検索するとともに,PLase処理した膜を分離して詳細に解析すれば,膜のmicro-compartmentationや微細構造の解明が可能であると考えられる.本研究では比較的簡単に多量に採取できるラット肝臓の内膜系のMsを用いて,PLaseによる分解様式を解析する.肝細胞内膜系にPLase類を作用させる場合,ほとんどの実験で哺乳動物の体温である37℃で作用させているが,ラット肝Msを20℃以上にincubateするとribosomeの凝集のおこることが報告されている.また,ラット肝MsのPLの相転移温度は20℃以上と考えられる.今回の実験では相転移温度以下の19℃でPLase処理をおこなった.Incubation中にもしribosomeの遊離がおこるならば,stripped vesicleの生成が予想されたので,膜の材料としてrMsを用いた.作用させるPLaseとして,PLをDGと水溶性のリン酸化アルコール類に分解するPLaseC(EC3.1.4.3)を用いた
Phospholipase類による生体膜の分解に関する研究(第2報) : ラット肝ミクロソームのPhospholipase C処理中に生成するジグリセリドの分解
論文(Article)【緒言】ラット肝rMsにPLaseCを作用させると,酵素反応の直接生成物DGの存在量がPL分解量から計算される値にくらべて少量であり,また, PLase C処理rMsをsucrose 濃度勾配遠心すると低密度画分のDG含有率が高く,形態的には膨潤vesicleの密度の高いことを報告した.この報告では,このようなDG存在量とPL分解量との差の原因を解明するための実験の結果及びPLase C処理rMsをさらに細かく濃度勾配遠心してDGの分布及び脂肪酸組成を分析した結果を報告する
山形県日本海沿岸山地小流域における酸性降下物の河川流出の定量的把握への試み
論文(Article)【はじめに】硫黄酸化物,窒素酸化物など大気中の酸性物質の降下は,土壌や河川水などにも様々な影響を与える.酸性度の強い降水が土壌中へ浸透すると土壌の酸性化が起こり,緩衝能の低下や,重金属の溶出などが引き起こされ,さらには植生への影響が顕在化する.こうした酸性降下物の環境への影響を考える場合,降水,土壌への浸透,蒸発散,河川への流出といった,水循環過程を通した酸性降下物の環境中における挙動を定量的に把握する必要がある.即ち,土壌中に浸透した酸性物質は,上記のように土壊との間で様々な影響を及ぼし合いながら,表面流あるいは地中水流として流下し,河川へと流出するが,その聞のメカニズムについてはいろいろな観点から研究されているものの,まだ解明されるには至っていない.山形県日本海岸沿岸部における酸性物質の湿性降下の実態については前報で述べた.本研究は酸性物質降下の環境への影響を把握する研究の第一段階として,山形県日本海側に位置する山地小流域に試験流域を設定し,試験流域における酸性降下物の挙動を,降水による入力と,河川水への出力という形で把握し定量的に解析しようとするものである
酸性水処理が数種果樹の花器,葉及び果実に及ぼす影響
論文(Article)【緒言】酸性雨(acid rain)による建造物の破損,湖沼の酸性化ならびに森林の枯死などの問題が最近クローズアップされてきているが,農業においても,農作物への影響が十分に予想される.農産物をはじめとして酸性雨の植物への影響について模擬酸性雨処理を行うことによって検討した報告はこれまでにもかなりみられる.しかし,農作物のなかでも永年性作物であり,降雨の影響をほぼ恒常的に受けると考えられる果樹に対する影響を検討した研究例はあまり多くはない.そこで,本報告では,数種の落葉果樹を用いて,模擬酸性雨処理として酸性水の散布あるいは浸透処理を行い,そられが花器,茎葉及び果実(主として未熟果)に及ぽす影響について,比較・検討した.なお,酸性水処理が果実の発育ならびに品質に及ぼす影響については別に報告する予定である
葉いもち病斑の型といもち病感染イネのズリコミとの関係
論文(Article)【緒言】葉いもちに罹病したイネに,ズリコミと呼ばれる全身萎縮症状が発現することはよく知られている.このズリコミ症状は,古くはいもち病菌の分泌する毒素による中毒症状あるいはクマリンの集積等が原因であるとされた.その後,アプシジン酸,エチレン等の植物ホルモンの作用によると報告されているが,いまだに不明な点が多く,その解明は今後の研究に待たれている.本研究はいもち病罹病イネのズリコミ症状を誘導する化学物質の探索のための基礎的知見を得る目的で,葉いもち病斑の型とズリコミとの関係を検討した.すなわち,葉身上にタイプの異なる大型病斑を形成するイネ品種といもち病菌菌株を組み合わせて用い,それらの病斑の面積と感染イネのズリコミ程度との関係を調べた
豪雪地のスギ林における斜面雪圧の推定と軽減(3) : 根系支持力
論文(Article)【おわりに】今回の相関解析により,スギの根系発達に関係が深く,立木の雪圧抵抗性を表す計測項目は,3種のなかでは根張りモーメントが最適であることが明らかにされた.また,この根張りモーメントを,スギの雪圧抵抗性クローンの検定に用いる場合には,今後,1クローンあたりの調査本数を増やすと共に,樹間距離など最も妥当な雪の受圧面を考慮し,さらに検討を重ねる必要があろう
いもち病抵抗性の異なるイネ品種におけるズリコミ誘導活性を異にするいもち病菌によるズリコミ
論文(Article)【摘要】イネ品種蒙古稲で認められたいもち病菌株間のズリコミ誘導活性の差が,いもち病抵抗性が質的・量的に異なるいくつかのイネ品種でどの様に発現するかを明らかにする目的で実験を行った.用いたイネ品種は同ーの真性抵抗性遺伝子を持ち圃場抵抗性に大きな差が見られる3組の合計6品種である.蒙古稲でズリコミ誘導活性の高かったF67-54菌株の接種試験では,供試6品種とも総病斑面積とN+2葉高比との間に高い負の相関関係が認められた.回帰係数からこれらの品種の病斑単位面積当りのズリコミ程度を推定すると,真性抵抗性遺伝子の種類によっては特に一定の傾向は見られなかったが.圃場抵抗性の極強品種は弱品種に比較してズリコミ程度が高い傾向が認められた. 一方,蒙古稲に対してズリコミ誘導活性の極めて低かった研53-33菌株も,供試6品種に対して共通してズリコミ症状を誘導するが,その誘導活性はきわめて低いことが確認された
低温条件下と有機溶媒で貯蔵したMalus属植物花粉の発芽
論文(Article)【諸言】筆者等はリンゴ台木または栽培樹の樹種同定に資するための形質を追求するために,1970年以来収集したMalus属数種の植物を用いて育成した実生群の開花到達樹に現われる形態学的形質を検討して来た.このような育種のための素材となる種の系統関係を明らかにするためのもう一つの有力な方法として種間交雑を実施して相互の交配親和性を調べたり,雑種実生植物に現われる形質と両親種のそれとを比較することも重要と考えられる.この場合,開花期の異なる種相互間の組合せによる交も考えられ,その際に花粉の長期貯蔵が可能であれば交配作業上好都合であろう.これらの成果は単にMalus属台木の分類のみならず,リンゴの育種や,栽培場面での着果の確保という面からも意味のある知見を提供するであろう.このような目的で,すでにいくつかの植物花粉を保存する容器内に不活性ガスを入れたり,真空に近い減圧状態で凍結乾燥を行なって保存したり,低温下に貯蔵する方法が試みられているが,とりわけ一年以上にもわたる長期の貯蔵のために液体窒素等を用いた超低温(液体窒素:-196℃)下の貯蔵が検討されて来た.一方これとは別に有機溶媒中における花粉貯蔵の可能性を岩波らが明らかにした.そこで今回は,Malusの野生種,栽培種両種の花粉について,これら2つの質的に異なる貯蔵法を単独または組合せて適用することを試みた