Nagasaki Prefectural University Academic Repository
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肥満マウスのビタミンA摂取が脂肪組織のAMPKシグナリングへ与える影響
我々はこれまでに、高脂肪食を摂食させて肥満を誘発させたマウスにビタミンAを投与したところ、体重と脂肪組織重量が劇的に減少したことを示し、その要因はエネルギー代謝の中枢を担うAMPK活性の上昇である可能性を報告した。本研究では、上記のビタミンAを投与した肥満マウスを用いて、脂肪組織のAMPK活性がどのように調節されているかを検討した。特に本研究では、AMPK活性を調節するLKB1活性の変動に着目した。ビタミンAを投与した肥満マウスはこれまでの報告通り、脂肪組織のAMPK活性の上昇に伴い、エネルギー消費量の増大と脂肪組織重量の減少を示したが、LKB1活性は変動しなかった。このことから、本研究において、脂肪組織のAMPK活性はLKB1による影響は無いと考えた。その一方で、ビタミンAをある一定量以上投与したマウスでは、脂肪組織の細胞が褐色脂肪細胞化していた(ベージュ細胞化していた)。今後の研究では、ビタミンAがLKB1以外にAMPKシグナリングをどのように調節するのか、さらにどのような機序でベージュ細胞に分化するのかを展開する予定である
長崎県の病院給食施設における「低菌食」の調理および食事基準に関する研究
造血細胞移植患者に提供される給食「低菌食」は様々なガイドラインで衛生管理基準が示されているが、実情は各医療施設独自に基準が設定され施設間でばらつきが生じている。本研究では、長崎県および国内の病院で運用されている造血細胞移植患者の給食の衛生管理基準の実態調査を行った。回答が得られた108施設のうち、「造血細胞移植患者に感染予防のために特別に衛生管理に配慮した給食」を提供している施設は93%、長崎県では100%あった。 食品ごとの衛生管理基準は長崎県・全国ともに施設間での差異が大きく、特別に衛生管理に配慮した給食を提供する施設では、半数以上で生果物および生野菜を提供していなかった。全国では32%、長崎県では50%の施設で通常の加熱調理終了後に電子レンジ等による追加加熱殺菌を行っていた。困っていることとして「制限が患者の食事摂取量減少の要因になっている」施設が49%、「医療施設間で食事内容が統一されていない」と回答した施設は40%であり、長崎県のみならず、全国規模で指標となる、QOLの向上と治療を両立する、統一された食事基準の必要性が示唆された
精神障害をもちながら子育てをする利用者に対する訪問看護師の支援体制の構築
本研究の目的は、①精神障害をもちながら子育てをする利用者に対する訪問看護師の交流の場を設定すること、②複雑困難な事例への訪問看護の技術の共有と蓄積を図ること、 そして①②の活動が訪問看護師に対しどのような学びや成長をもたらすのかを明らかにし、訪問看護師への支援体制を提言することである。
研究者は上記の目的をもち、①に対して今年度も訪問看護師の交流会を4回(昨年度から合計8回)実施した。その中で、訪問看護師は訪問時に精神障害のある親と同居している子どもが不登校傾向にある場合に気がかりを感じ、子どもに家族看護を行う上で困難感を生じている状況があった。そのため本研究目的②として、今年度は子育て中の精神障害をもつ利用者への訪問看護時に、不登校傾向にある子どもに対し訪問看護師が感じる気がかりとケアを明らかにすることを目的に、交流会の話題提供者の事例の記録から、不登校傾向にある子どもに対して訪問看護師が感じる気がかりとケア内容を抽出し、意味内容の類似性に従い分類しカテゴリ化し、共同研究者で検討した。今年度の結果をもとに次年度につなげていく
A construction of state discrimination schemes for development of quantum information
量子コンピュータや量子暗号に代表される量子情報処理では,その処理において意図した量子状態が準備されることが重要である.もし,雑音などの影響で意図した量子状態が準備されない場合,理論通りの処理を行うことができない.よって,準備された量子状態が意図した量子状態であるかを調べる量子状態推定が必要不可欠となる.量子状態推定として,SIC-POVMが最適な方法であることが知られている.しかし,SIC-POVMの理論的な構成方法は一般的には知られていない.本研究では,量子情報処理の今後のさらなる発展に向けて,比較的シンプルな方法(数学の言葉を使うとGram–Schmidt直交化法やユニタリ変換など)のみを用いて一般化SIC-POVMおよび量子ビット系におけるSIC-POVMの構成法を示し
演習等で使用するデータ教育用教材の作成
本研究は、教材開発により本学教育の質向上を目指すものであり、学術研究論文等の成果は初めから企図していない。研究着手時には、統計教育大学間連携ネットワーク(JINSE)策定の統計学の「コアカ・リキュラム(経済・経営分野)」に準拠し、様々な現実のデータを用いて、実際に演習の場で学生に課題として課し、作業をさせながらデータの扱い方を学ばせる教材作成を考えていた。
実際に、時系列データの扱い(前年比と前期比)、データの季節性、要因分解等に関し教材を作成し、基礎演習(2年生)を中心に、一部は教養セミナー、専門演習等で実際に使用した。その結果判明したのは、本学学生にはより基礎的段階からのデータ教育が必要であることであり、途中からは、より基礎的内容の教材に重点を移し、平均、分散、四分位数、相関係数等統計学の基礎的概念に関する現実のデータを用いた教材を作成した
Family members of fomer leprocy patients: A Consideration with Regard to “Recovery”
2016年 2月に熊本地裁に起こされたハンセン病家族訴訟は、 2019年 6月、原告勝訴の判決が下された。
「ハンセン病の家族であること」は、元患者の家族たちの人生にどのように関わっているのか。負の側面だけが強調されがちだが、果たしてそれにとどまるのか。原告団長の林力の足跡をもとに考察する
The research between the experiences of adolescents who sutter and the demands for parents' help in view of social anxiety disorder.
目的:①青年期の吃音者の悩みと社交不安障害の関連を明らかにする。②青年期の吃音者の悩みと親に望む支援を明らかにする。
方法:社交不安はLSAS-Jを使用し、親の支援は研究者が作成した質問紙を使用した。さらに、吃音による悩みと親に望むサポートについて、半構造化面接を実施した。
結果・考察:質問紙調査への参加者は14人であり、LSAS-Jの因子の点数と、吃音による困りごととの間には、相関関係はなかったが日常生活上での恐怖感や不安感を比較的強く感じてた。面接調査の参加者は12人であった。青年期の吃音者が抱く悩みは、【吃音により能力が生かせないことへのもどかしさ】【準備万端でも準備不足と思われ社会的評価が下がる】など7グループが形成された。親に望むサポートは、12グループが形成され、『手段的サポート』(直接的手助け)よりも、理解を得る、居場所がある、サポートについて子どもと話し合うなど、『情緒的サポート』を望んでいた。青年期の吃音者への支援は、当事者参加、情緒的サポートの視点を取り入れる必要が示唆された
Application of Systems Thinking to Analysis for Local Revitalization
本研究は、システムエンジニアリング分野での最新の研究成果をもとに、長崎の地域課題に対する新しい分析法を考案することを目的に行った。地域の課題解決の取り組みはこれまでも多数なされており、近年はそのような課題解決にICT技術を取り入れる取り組みも増えている。しかしながら、一般にICTプロジェクトの成功率は必ずしも高くなく、地域課題に対してICT技術を導入する場合も同様に、その取り組みが成功するとは限らない。ICTプロジェクトの成功率を高める分析法は従来から関連分野で主要な関心事の一つとなっているが、本提案では特に、プロジェクトの上流工程を対象に研究を行った。地域課題に対して、他地域も含めた過去の取り組み事例からの知見のモデル化と、長崎のような特定地域に特化したテーラリング法を中心に研究を行った。長崎の特徴をふまえたプロジェクト同士の連携を分析する試みを行い、その成果を国際学会で発表した
フィンスラー空間の非対称性を応用した新公開鍵暗号の具体例の構成
フィンスラー空間の非対称性を応用して、新しい公開鍵暗号を提案する。具体的には曲線に沿う非対称なベクトルの平行移動を用いた。一般に、フィンスラー空間では、戻る平行移動で、初期ベクトルに戻らない。それゆえ、その曲線の情報が得られないという特性がある。また、測地線に沿った平行移動では、ベクトルの大きさ(ノルム)が一定に保たれる。よって曲線の情報を秘匿したままベクトルのノルムから復号が可能となる。
今回の共同研究では、 2 次元フィンスラー空間を具体的に構成し、その測地線に沿う平行移動を微分方程式を解いて、具体的に求め、暗号化と復号のモデルを作成した。また永野が行った計算を共同研究者の穴田氏が数式ソフト( Mathematica ver.11 )を用いて検証を行った。この新しいシステムと具体例については、 3 月の鹿児島大学 Sakura セミナーで数学者等に発表し、好評を得た。次は、作成した具体例の暗号として強度等に
ついて、更に、研究を進めていきたい。カラー図版あ