MMU Repository of Academic Resources (Miyazaki Municipal University)
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What are the "Difficulties" of Beginning Elementary School Teachers?
本稿では「できないこと」を共有しやすい小学校初任者教師が責任の分有を果たせるのか を分析することで、小学校初任者の困難を生み出す要因を明らかにした。
本稿では、初任者教師へ行ったインタビュー調査のデータをもとに分析を行った。分析の視点として、「責任の分有」を目指すヴァルネラビリティ・モデルを用い、初任者の業務や児童に対する責任が「誰にどのように担われているのか」を分析した。
初任者は入職直後から学級担任・授業者として質量ともに膨大である業務をこなしており、日々の仕事をこなすことで精一杯であった。また、初めて教師として働くため、「できない」ことも多く、それゆえの困難や悩みを抱えていた。そして、困難や悩みを周囲に共有できても、他の教師と責任の分有が行われることは少なく、担任として責任が紐づけられていた結 果(「責任の個別化」)、最終的には初任者が対応せねばならない状況になっていた(個業性)。
初任者であっても担任として「責任の個別化」から抜け出せないことは二つの問題がある。第一に、児童が「危害」に晒され続けるということである。学級担任業務と授業を初任者一人で遂行する、非常に無理のある現在の制度設計の皺寄せが全て、児童たちへ向かうことになる。第二に、初任者自身も「危害」へ晒される。長時間労働でなければ業務を遂行できないだけでなく、「できない」ことへ直面し、苦悩も含めてそれを周囲へ共有しても、助言や研修を通して「できるようになる(成長)」責任を初任者は求められており、そのことが更なる多忙・重労働という「危害」へ晒すことになる。5P論文Articledepartmental bulletin pape
A Review of Psychological Research on the Growth Process from Difficulties
困難やストレスフルな出来事はネガティブな結果を引き起こすだけではなく、ポジティブな変化や成長の機会にもなる。困難やストレスフルな出来事を経験した人が、その体験を通して、以前よりもポジティブに変化し、成長することは「心的外傷後成長(Post Traumatic Growth;PTG)」や「ストレス関連成長(Stress Related Growth;SRG)」と呼ばれ、近年、盛んに研究が行われている。本稿では、日本国内の PTG、SRG に関する研究を紹介した上で、困難やストレスフルな出来事がポジティブな変化や成長を引き起こすプロセスについて概観する。その上で、ポジティブな変化や成長を促す要因としてソーシャルサポートを取り上げ、PTG や SGR との関連を検討する。最後に、これらの検討を踏まえて、今後の研究課題を指摘する。7P研究ノートResearch Notedepartmental bulletin pape
The " Chougai " of the Nobeoka Clan in Early Modern Era
近世地域社会においては、共同体内の治安や秩序を乱しかねない不行跡者=「徒者」は勘当・久離・帳外にされ、集団から排除されていた。無宿=帳外は、幕藩制の編成原理とは異なる次元での身分に収斂しきれない社会的関係の存在(身分的周縁)であった。帳外たちは再三「立帰」りを繰り返す場合が少なくなく、それがさらなる治安悪化につながるなど深刻な問題になっていた。本稿では、領外に放逐された張外たちの動向を追い、彼らがどのような生業に携わり、生活を維持していたのかについて、寛政〜文政期の八件の事例をもとに具体的に明らかにした。八件のうち窃盗五件、贋作作り二件、その他一件である。
張外たちは領外にも強固なネットワークを持ち、帳外と承知で止宿させる仲間もいた。帳外たちはあちこちで日雇い稼ぎに従事し、なかには貯えた小銭をもとに山産物と海産物を「品替」するなど小商いをする者もいたが、窃盗や贋札作りに手を出して捕縛される者が多かった。盗んだものを各地で売り払い、元手が無くなるとまた盗みを働くというパターンを繰り返した。
罪人を領外に放逐することで領内の治安維持を図るには限界があり、藩は共同体内に閉じ込めて監視するようになっていく。8P論文Articledepartmental bulletin pape
Brandom on the “Master and Servant” in Hegel’s Phenomenology
本稿の目的は、ロバート・ブランダムが『信頼の精神』(A Spirit of Trust, 2019)で展開した、ヘーゲル『精神現象学』解釈のうち、「主人と奴隷」論に関する部分を批判的に検討することである。
ヘーゲルの「主人と奴隷」論は、ヘーゲルのテクストの中でも、哲学史上最も注目されてきた箇所である。ブランダムはこの「主人と奴隷」論を、承認の欠如態に関する議論として解釈する。この解釈は、「承認」や「労働」あるいは「自立性」というこの箇所の重要概念を先行研究の難点を克服しながら扱っている点で有力な解釈だと言える。他方で、自己意識と「物」の関係というヘーゲルがこの箇所で展開する議論を軽視しており、この点については問題を含んでいる。また、ヘーゲル解釈の文脈を離れてブランダム自身の相互承認論を理解するためにも、この箇所は重要である。規範的地位としての権威と責任や、相互承認についての自らの議論をより詳しく展開した箇所と見なせるからである。
本稿ではこれらについて論じることで、ブランダムの「主人と奴隷」論の重要性と限界を明らかにする。3P論文Articledepartmental bulletin pape
Conception and Thoughts of Asami Keisai(浅見絅斎)' s Seiken -Yigen(靖献遺言)
江戸中期の朱子学者・浅見絅斎の『靖献遺言』は 中国史上の「忠臣義士」八名を選び、その略伝と「遺言」を収録したもので、巻頭の巻一に屈原を取り上げる。本書は幕末以来、憂国憂民の青年たちの愛読書となり、近代日本においても広く出版・流布されて大きな影響力を持った。本稿はこの『靖献遺言』における屈原言説を読み説き、日本近代における屈原像の淵源に迫ろうとする。9P論文Articledepartmental bulletin pape
Sentence Final Particles and Case Marker Drop in Japanese
Masunaga (1988)は、「よ」などの終助詞が文末にあると、主語に付く主格助詞「が」や目的語に付く対格助詞「を」が脱落可能になることを指摘し、終助詞には脱強調化(de-emphasization)の機能があり、これが格助詞の脱落と関係していると論じた。この考察を、遠藤・前田 (2020)は刈り取り(truncation)という操作と移動を用いて捉えようとしているが、依然として課題が残る。そこで本稿では、遠藤・前田 (2020)と Miyagawa (2010, 2017, 2022)の分析を部分的に援用して、終助詞「よ」・フォーカス・格助詞脱落の三つ巴の関係を捉える新たな提案を行う。具体的には、フォーカスを受ける要素は音声的に具現化しなければならず、その環境にある格助詞「が・を」の脱落はできないという外在化条件、終助詞「よ」の 2 種類の派生導入、フォーカス投射(Focus Projection)の拡張を仮定して説明する。また、これらの分析を基に、これまで注目されていなかった多重主語構文での主格助詞「が」の脱落現象を考察し、本稿での提案に基づいて「が」脱落の可能性を説明する。6P論文Articledepartmental bulletin pape
Foreign Language Instruction Policies in Several Countries
本論文では、英語がWorld Englishes あるいはGlobal language になることによって引き起こされた英語を母語としている国々、英語を第二言語としている国々、英語を外国語としている国々の言語政策の変化を、イギリス、マレーシアそして日本の3つの国々を代表例として取り上げながら考察していく。10P論文Articledepartmental bulletin pape
Orly Maya Stern, Gender, Conflict and International Humanitarian Law: A Critique of the “Principle of Distinction” (Routledge, 2019, 234 pp.)
本書は、主にフェミニスト理論の視点から、現代のアフリカの武力紛争で敵対行為に参加する女性の現実に照らして国際人道法とりわけ区別原則の規律がいかに問題を抱えているかを分析するものである。本書の概要を紹介し、批評を行う。17P書評Book Reviewdepartmental bulletin pape