本稿では、欧米の環境社会学理論である「生産の踏み車」論と「エコロジカル近代化」論の“相補的”な関係にもとづいて構築された分析視座(木村 2022)と、日本の環境社会学理論である「環境制御システム」論および「環境リスク社会」論との関係を整理することにより、この分析視座の更新の契機について検討する。2つの日本の理論について、「環境と経済」の関係の把握の仕方、理論的背景、環境運動・環境政策にもたらされる転換、環境と経済の対立の克服に向けた規範論などの7つの観点から整理をおこなったところ、その所々に、生産の踏み車論とエコロジカル近代化論の相補的な関係にもとづいて構築された分析視座との親和性が確認された。とくに環境と経済の対立が先鋭化する場面は、環境制御システム論では「経営問題解決努力と被格差・被排除・被支配問題解決努力の逆連動」、環境リスク社会論では「環境合理性の制度化の両義性」として把握されるが、いずれの理論においても、2つの欧米の理論の対立の構図として捉えられる。このような親和性を契機に、2つの日本の理論からの示唆を踏まえて分析視座の枠組みに規範論の要素を付加する可能性について検討する。Article【研究論文/Articles】departmental bulletin pape
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