本稿では日本学生支援機構奨学金の受給・返還データをもとに,どのような大学で何を学んだ学生が順調に社会人への移行を果たしているかを分析した。その結果によると,私立大学は卒業生の奨学金返還率のばらつきが大きく,学力が高く女子学生が多い大学の返還率が高い一方,都市圏の大学において延滞者が多いことが判明した。また,理工系学部や職業教育系の課程で学ぶ学生の返還率が高いのに対し,人文・芸術専攻の学生の中には早期に返還に躓く者が少なくない。返還率が低い大学では卒業率や就職率が低い傾向があるが,それだけが理由ではないようである。公的奨学金事業の費用対効果を高めるためには,各大学に対して卒業生の未返還率に応じた引当金の拠出を求めることが望ましい。また,各人が卒業後の収入に応じて早期に返還を完了できるしくみを整えると同時に,給付型と貸与型の奨学金の併給を広く認め,学年や成績に応じて両者の割合が調整されるしくみも検討すべきである。Article【研究ノート/Research Notes】departmental bulletin pape
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