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農産物輸入規制緩和による生産財と消費財の産地変動― 魚沼市と沖永良部島のユリ生産者の選択―
摘 要:
輸入規制緩和にともなう生産財の増加によって、地理的条件の異なる生産財と消費財の国内産地が生産・流通過程で受けた影響と生産者の選択に注目する。各産地の生産者の選択は、グローバル化の一環である輸入規制緩和がどのようなプロセスで生産財産地と消費財産地に影響を及ぼしていくのか、そのメカニズムの解明と今後の政策対応を検討するための手掛かりを与えてくれる。本稿では、日本の代表的な二つのユリ産地の生産財(球根)と消費財(切花)の生産・流通過程を事例に比較分析をおこなった。
新潟県魚沼市(旧堀之内町)では、外国産球根をいち早く導入し、切花生産の拡大を選択してきた。そのため、品種開発地域と球根産地としての機能を失うことになったが、組織編成と切花のブランド化を深化させて産地を維持している。一方、鹿児島県沖永良部島(和泊町、知名町)では、外国産球根の急増の下で在来種の球根生産を縮小させながらも一部で継続する選択をしてきた。産地の維持が困難になってはいるが、新品種の導入と切花の高付加価値化によって生産の存続を図っている。
規制緩和によって農産物輸入を促進し産業を活性化する際には、国内の産地ごとの成立過程と特長を踏まえた政策対応も求められる。品種開発地域には知的財産(権)を積極的に保護し、生産財産地には知的資産を活用し、消費財産地には国内の市場競争を緩和し海外への輸出を促進するなど、各地域に適合した戦略的な支援策も計画的に準備しておく必要性が示唆された。departmental bulletin pape
最適性理論と学習英文法―否定のサイクルをめぐって―
抄録
学習英文法では英語学習上の効率と効果が最大限に配慮されていることから、主に規範的な表現の扱いが中心となり、また説明のための道具立ても限定されてしまっている。一方、学習英文法で「非標準」あるいは「非文法的」として排除される表現の中には、地域や共同体、年齢層などによっては「容認可能」と判断され、実際にはインフォーマルな場面で使用されているものが少なくない。学習英文法の中身は更新されることがないことから、かつては容認されていなかったものの、その使用が英語母語話者たちのなかで徐々に広がりを見せている表現については、「間違った」判断をしてしまうことがあるのだ。また学習英文法はその目的のために、システムとして説明・記述のための一貫した道具立てを欠いていることから、言語現象によってはその取り扱いについて複数の相反する分析を提示することがあり、一定の習熟に達した(教師を含む)英語学習者に混乱を引き起こしている。こうした問題は、学習者にとって英語という言語のさらなる深い理解を妨げる要因となっている。その根本の原因は、学習英文法が言語理論と有機的に結びついておらず、すでに完成し閉じた体系となってしまっていることにある。よって、学習英文法に言語学の知見をそのまま「下ろす」のでなく、国内の英語教育環境を考慮し、また言語理論とも接続する新たなレベルの英文法が必要とされている。本論文は、通例否定文で使われる表現が意味の変更を伴わずに否定辞脱落の形式でも使われる現象を取り上げ(e.g., Idon’t know beans about it. “I don’t know anything about it” = I know beans about it.(Huddleston and Pullum 2002: 823))、最適性理論の基本的な概念を導入し、否定のサイクル(Jespersen 1917)の問題として捉えることで、当該事例や類似の現象は「制約の優先順位の違い」として説明できることを示す。そして言語理論の適切な適用範囲を見極め、言語理論は英語学習にどのような形でどの程度に歩み寄り、貢献できるのかを考察する。departmental bulletin pape
親子関係に血縁がないことに対する人びとの意識について
〈抄録〉
With the increase in step families, special adoption, and the development of assisted reproductive technology involving third parties, families are diversifying, and blood relationships in parent-child relationships are becoming less obvious. In addition, there is a debate about not being particular about blood ties, such as “family beyond blood ties.” But, if it crosses blood ties, it must not only form an unrelated family in reality, but also consciously cross blood ties. However, there is not much debate about awareness of blood ties in unrelated families. Therefore, in this paper, I examined what kind of consciousness people have about the fact that there is no blood relationship between parents and children. As a result, it was clarified that there are differences not only between stereotactic and reproductive families, but also obsessiveness with blood ties, and gender differences. Furthermore, it was found that the process of forming the relationship has an effect.departmental bulletin pape
数学的モデリング過程を含む問題解決学習における批判的思考の役割に関する一考察 ─ コオロギの生態を素材として ─
要約
本稿の目的は、中学校2 学年の関数領域の授業を事例とし、生徒の批判的思考の様相を捉え、その役割を示すことである。この目的の達成を目指し、コオロギがさえずる回数から外の温度を推測する授業を行い、生徒の学びの様子を枠組みに沿って整理し、批判的思考の様相を捉えることを試みた。コオロギがさえずる回数と温度のデータを座標平面上に点で表して相関図を作成した生徒は、点の並び方から2 つの数量の関係を一次関数とみなし、数学モデルとして一次関数のグラフと式を求めて結論を導いた。しかし、現実事象を振り返りながら生徒同士で議論し、自分自身の発想・判断について「理にかなっているか」を基準に問い直したり、「先入観や思い込みになっていないか」を基準に問い直したりする姿が見られ、点の並び方を見直して新たな関数で考え直すなど、深い学びに向かう姿が見られた。これは批判的思考が数学の学びにおいて一定の役割を果たしている状況である。このことから、数学的モデリング過程を含む問題解決学習では、数学的モデル化やその修正を促すために批判的思考が機能すること、及び、生徒が自分にとっての未知な数学、レベルの高い数学の必要性を認知し、具体的な事柄の状況や背景から離れた数学の学習への移行を可能にすることを指摘した。departmental bulletin pape