TRAIL Tsuru Repository of Academic Institutional Library
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撮影技師から映画作家へ ─ 19世紀末の仏領インドシナにおけるガブリエル・ヴェール ─
抄録
リュミエール社の作品カタログには、ガブリエル・ヴェールが撮影したと考えられている作品が、およそ70本収められているが、そのうち仏領インドシナのフィルムが39本と多数を占めている。そこでのヴェールの使命は、1900年のパリ万国博覧会で上映する為の映像をできるだけ多く撮影するというものであった。本稿では、これら作品群を通じて、リュミエール社の一撮影技師に過ぎなかったヴェールが、一人の映画作家として成熟し、映画の可能性を広げていく様をたどっていく。そこから、映画史の最初期に、どのようにして芸術表現としての映画が生成されていったのかの一例を検証してみたい。departmental bulletin pape
フィンランドのサードセクター
抄録
先進各国は、グローバル化、高齢化、家族の変化がもたらすインパクトへの対応を迫られている。これらは人々の生活に、また一方で福祉国家の存立条件に影響を与えている。こうした状況下で多様な主体から多様な期待を寄せられ、また実際にその活動を質的、量的に拡大させているのが、協セクターである。協セクターをめぐっては、政府・公共セクター、市場セクターの補完的な役割を担うという分担論から、他セクターによるサービスに欠けていた、サービスにおける決定の民主化、利用者の参加等の価値の実現に期待を寄せるサービスのコ・プロダクションにかかる議論、「フォーディズム」終焉後の社会における第三極となることを期待するサードセクター論まで、多様な議論が行われてきた。本稿は、福祉レジームとの関係で協セクターに注目するにあたり、公的責任の大きい北欧型の福祉国家であるフィンランドを取り上げ、フィンランドでサードセクターと呼びならわされている領域、およびこの中で、社会的企業をめぐる動きを取り上げる。北欧型の福祉国家は、人々の就労と納税、国による普遍主義的な現金、サービスの給付がセットになっている。フィンランドの協セクターは、労働市場において不利な立場にある人々、また、農村に暮らす人々の生活を支える役割を果たしている。両者は、1990 年代の不況、失業率の高まり、そしてEU の政策に影響を受けてきた。1990 年代に過疎化が加速した農村では、住民自身の手で、サービス提供に乗り出した地域がある一方、これまで障害者の働く場づくりに機能してきたワークアクティビティセンターは、折からの不況で発生した大量の失業者の受け皿として、その機能を変化させていった。2003 年、大量の失業者に対する危機感から社会的企業法が制定され、その後、2021 年に社会的企業戦略も打ち出されたが、社会的企業は、量的拡大、社会的認知を得られなかったとして2023 年、社会的企業法は廃止された。フィンランドにおけるサードセクターの位置づけ、その変化は、公の責任の大きな福祉レジームの影響を強く受けている。departmental bulletin pape