Gunma PAZ University Repository
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高齢者への援助が免疫機能とストレスに及ぼす影響(第2報) ―認知症高齢者の唾液IgAおよびコルチゾールの入浴による経時的変化―
本研究の目的は、入浴による援助が認知症高齢者のヒト免疫機能およびストレスに及ぼす経時的な影響と、認知症の病態および認知度別による影響について明らかにすることを目的とした。対象および方法は、グループホームを利用している認知症高齢者10名。平均年齢(mean±SD)は、84.4±7.5歳。男女比は1:9。病態はアルツハイマー型認知症7名、脳血管性認知症3名であった。入浴前と入浴直後、その後30分毎に120分間、合計6回唾液採取を実施し、唾液分泌型IgAは平板内単純免疫拡散法(SRID法)、唾液コルチゾールは酵素免疫抗体法(EIA法)により値を求めた。その結果、唾液分泌型IgAと唾液コルチゾールは入浴直後に最高値を示し、その後暫時下降を示した。唾液分泌型lgAは60分後までは実施前より高値で、90分後に実施前よりも下降を示した。又、唾液コルチゾール値は60分後に実施前より有意に下降を示し、その後わずかに上昇したものの実施前より低値であった。更に、アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症との比較では、アルツハイマー型認知症が唾液分泌型IgA値において有意に上昇を示した。また、認知障害程度の重症と軽症による比較では、軽症の高齢者の唾液コルチゾールは有意に高値を示した。これらのことから、入浴による援助効果は、入浴60分後が認知症高齢者の免疫力上昇とストレス緩和効果をバランス良く発現する時間帯であること、病態や認知障害の程度の相違によって免疫力やストレスへの影響は異なることが示唆された。The purpose of this research is to clarify the effects of assistance by bathing on human immune functions and stress in elderly patients with dementia, as manifest in changes over time following bathing, and the relationship of these effects to the pathogenesis and severity of dementia. The subjects were 10 elderly dementia patients in a group home, including one male and nine female subjects. The mean age of the subjects was 84.4±7.53 (mean±standard deviation). The pathogenesis of dementia was Alzheimer's type dementia in 7 subjects and subcortical vascular dementia in 3 cases. As the study methodology, saliva was sampled before bathing, immediately after bathing, and at 30min intervals thereafter for a period of 120min, and salivary secretory IgA and saliva cortisol values were obtained by the single radial immunodiffusion method (SRID method). As results, both salivary secretory IgA and saliva cortisol showed the highest values immediately after bathing and decreased over time thereafter. IgA showed a higher value than before bathing until 60min and decreased below the pre-bathing level at 90min. At 60min, cortisol was significantly lower than before bathing at 60min. Cortisol values increased slightly at 90min and 120min, but remained lower than the pre-bathing level. Comparing the Alzheimer's type patients and vascular dementia type patients, IgA showed significant elevation in the Alzheimer's patients. Comparing severe dementia and relatively light dementia, it was suggested that elderly patients with light dementia tend to have higher stress than elderly patients with severe dementia. As effects of assistance by bathing, from these findings, it was suggested that there is a time period up to 60min after bathing during which the increase in immune system function and stress reduction effect in elderly dementia patients shows a good balance, and the effects of bathing care on immune system function and stress tend to differ depending on the pathogenesis and severity of dementia.原著論文departmental bulletin pape
『ダニエル・デロンダ』におけるユダヤ人のパレスチナ復帰 : その系譜と意味
ジョージ・エリオットが『ダニエル・デロンダ』において共感をこめて描いたユダヤ人像は、英国ユダヤ人たちに満足をもって迎えられ賞賛された。しかし、エリオットが描いたユダヤ人のパレスチナ復帰に対しては手放しの賞賛を控えた。この小論はなぜ英国ユダヤ人たちが賞賛を控えたかを探るものである。小説の中でエリオットは、デロンダをユダヤ人とし、ユダヤ教へ改宗させたが、そのことによってエリオットは千年王国論者の改宗についてのプロットを転覆させ、ユダヤ人のパレスチナ復帰の新しい可能性を提示した。しかし、エリオットの示すパレスチナでのユダヤ人国家構想には、彼女と同時代の千年王国論者や非ユダヤ人の持っている西洋の東洋に対する優越感が表れている。この西洋の優越感のゆえにエリオットの示したユダヤ人のパレスチナ復帰は「キリスト教的シオニズム」の域にとどまっているのである。この「キリスト教的シオニズム」がエリオットのユダヤ人のパレスチナ復帰に対して英国ユダヤ人が評価を保留した理由の一つであるかもしれない。原著論文departmental bulletin pape
老研究者の覚え書 : 順天堂時代Ⅱ 心筋疾患(2) : 高血圧心・高血圧性心疾患(再考)・高血圧性心筋症、カテコラミン心筋症、心筋細胞錯綜配列・配列不整、心電図巨大陰性T波
高血圧による肥大心から、胸部X線心胸郭比50%以上;心電図QRS高電位、ストレイン型ST・T変化;臨床上心不全徴候を呈する症例を高血圧性心疾患(HHD)として分離すると、剖検所見で、心重量400g以上、血管周囲線維症に加えて肥大型心筋症(HCM)的非対称性中隔肥厚、心尖部肥厚、拡張型心筋症(DCM)的高度拡張心が各10%程度含まれる。その非定型HHD4例を提示して、高血圧性心筋症と称する妥当性を検討した。褐色細胞腫4剖検例の心筋に、心筋細胞錯綜配列、巣状炎症、心内膜肥厚など多彩な病変を認め、長期間エピネフリン連用気管支喘息1例、微量イソプレテレノール連用ラット心筋病変からカテコラミン心筋症の存在を確認した。長期間ワゴスチグミン投与重症筋無力症、超高齢者下垂体腺腫各1剖検例にも心筋錯綜配列がみられた。錯綜配列の連続切片による3次元構造の検討、HCMでの巨大核・2核心筋細胞の出現から、その成因に内分泌系・増殖因子などの関与が想定された。心電図巨大陰性T(GNT)を合併する心突部肥大HCM、くも膜下出血2例、蛸壺心筋症2例、異型狭心症1例、冠状動脈3枝病1例、運動家心3例の検討から、GNTは精神・神経的、肉体的過剰負担に対応する乳頭筋および付根に連結する心突部心筋の引延され、過収縮、肥大の表現であることが判明した。資料departmental bulletin pape
群馬県のある山村高齢者のCASI(Cognitive Abilities Screening Instrument)による認知機能の戸別訪問調査
群馬県吾妻郡高山村の65歳以上の高齢者につきCASIによる認知機能の戸別訪問調査を行った。対象1,174人に対して、調査人員は479人(調査率は40.9%)で、前期・後期高齢者が多く、平均年齢は76.3歳、標準偏差は6.6歳であり、他の報告に比べて、男性が47.0%と比較的多く、前期高齢者では職業を持った人が多く(総体的には48.6%)、ADLも自立している人が多かった。(総体的には83.2%)CASI調査の結果では正常範囲(CASI≧75)357人(74.5%)、低下している(CASI<75)122人(25.4%)であった。認知症二次調査では対象122人中、調査人員27人(調査率22.1%)と少数であったが、CDRによる認知症は17人、認知症の推定有病率は3.5%であった。CASI調査の特徴では年齢が高くなると短期記憶、判断力、言葉の流暢さは悪くなり、ADLの程度が低下するとことばの流暢さ、見当識、作図が悪くなった。認知症推定有病率は少々低く出すぎているという危惧を感ずる。本研究では前期高齢者を中心にして、比較的男性が多かったこと、職業を持っている人が多かったこと、ADLで自立している人が多かったことから最終的には3.5%+αと考えられる。原著論文departmental bulletin pape
保湿剤の皮膚保護作用からみた皮膚電気特性について
【目的】皮膚疾患は新生児期から老年期までの各段階でさまざまな形で見られ、それに対し多様なスキンケアの試みが報告されている。本研究では、皮膚の保護作用の中で、特に、「保湿性」に注目し、皮膚の乾燥予防として一般に用いられている保湿剤(クリーム、ローション)の使用前後における皮膚の性状変化について頬部皮膚の電気抵抗変化を測定機器を用いて測定した。保湿剤が与える皮膚保護の面からの保湿効果を各年齢層について経時的に比較検討した。【方法】対象となる被験者は24名であり、男性12名、女性12名(男女比1:1)、平均年齢48.2±17.1歳である。一般に広く日常的に使用されている性状の異なる保湿剤としてクリーム(ビローラ社スキンクリーム)とローション(サラダタウン社アロエ化粧水)を被験者の左右の頬部にそれぞれ塗布し、塗布前、塗布した直後、30分後、60分後、3時間後において、皮膚インピーダンス値を測定した。皮膚インピーダンスについては、高感度皮膚測定機器(PAZ-TAKEDA 2002:安久工機、アスター電気社製)を使用した。【結果】クリームとローションという保湿剤の性状や効能の違い及び年齢区分によって保湿性の効果に差が認められた。【結論】若年層である年齢区分1(20代から30代)においては、水分が皮膚の表皮、真皮内にしっかり保有されている状態であり、今回の保湿剤塗布による短時間の保湿性の効果は高齢者に対して低下していた。一方、高齢者層である年齢区分3(60代以降)においては、皮膚の加齢減少から皮膚細胞内の水分含有量が低下しており、保湿剤により水分が直接皮膚により浸透し保湿性が短時間の検査では向上していると考えられた。また、今回使用したクリームとローションにおいて保湿剤の性状の違いにより保湿作用に差が認められたことは製本による違いはあると考えられるものの、今後の各年齢層に対するスキンケアへの基礎となる結果と考えられた。原著論文departmental bulletin pape