滋賀県立大学「学術情報機関リポジトリ
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サービス付き高齢者向け住宅に入居する高齢者の支援ニーズに関するスコーピングレビュー
日本のサービス付き高齢者向け住宅(以下サ高住とする)は,2011年に新たに創設された「住まい」のサービスである.自立から介護が必要な高齢者まで,幅広い対象者が,自分に合った住まいとしてサ高住を選択できる.そこで,本研究は,サ高住に入居する高齢者の支援ニーズについて明らかにすることを目的とし,スコーピングレビューにて文献検討を行った.対象とする文献は高齢者の支援ニーズについて記述のある原著論文とした.スクリーニングを行い,25件を採択した.その結果から,サ高住に入居する高齢者には【最期までサ高住で過ごしたい】【新たな生活の場でも自分らしくいたい】【今までの生活を取り戻したい】【食事や栄養に関する心配事・困りごとを解決したい】【自分の意思で選択しながら自由に暮らしたい】【親子で安心した生活を送りたい】という支援ニーズがあった.この支援ニーズの構成要素として,まず「高齢者が持つ要素」があった.これを支援するために「関連する専門職」や「家族」という要素が関わっていた.住まいを替えた高齢者にとって,新たな役割の獲得,活動性の維持・向上が,自分らしい生活の継続につながっていた
がん患者の治療段階別にみた意思決定支援に関する文献検討
近年,わが国ではアドバンス・ケア・プランニングが注目されている.ACP は終末期を見据えた繰り返される意思決定支援を示し,病状が深刻な段階に入る前の健康な時から始めることが求められている.そこで今回,がん患者の治療段階別に意思決定支援内容を明らかにするため文献検討を行った. 分析対象論文 25 件から,がんと診断され治療を選択する段階では,がん告知という強いストレス下で揺れている患者に対して,看護師は揺れる思いを受け止めながら治療方法に関する情報提供を行い,患者が治療を選択できるように支援していた.がんに対する治療に取り組んでいる段階では,看護師は患者が前向きに治療を続けられるよう経済面に関する情報提供や,家族にも関わり将来の見通しをたてながら患者が選択できるように支援していた.緩和ケアを治療の主軸に最期の過ごし方を選択する段階では,看護師は身体症状が多く出現するがん患者の基本的な欲求を満たし,揺らぐ家族を支える中で患者とその家族の希望を叶えられるように支援していた.今後は,段階移行時の意思決定支援や疾患別の意思決定支援を確立していく必要性が示唆された
経口気管内挿管チューブの 2 面固定法における安全性-看護ケア前後の挿管チューブのズレからの検討-
経口気管内挿管チューブの固定法は,患者の状況に応じて 4 面固定法,3 面固定法,2 面固定法が推奨されている.4 面固定法は最も固定力が強いとされているが,口腔内の観察や口腔ケアが行いにくく人工呼吸器関連肺炎の発生にも影響があるとされているおり,2 面固定法も取り入れられている. しかし,2 面固定法に関して挿管チューブの固定力を十分に検討した研究はなく,2 面固定法で看護ケア(口腔ケアや体位変換など)を行った際に挿管チューブのズレがないか疑問が生じた.本研究では, 2 面固定法においての看護ケアに対する挿管チューブのズレを明らかにし,2 面固定法の安全性を検討した.鎮静剤の有無別,鎮静スケール(RASS)の値別では,挿管患者のチューブ固定のズレに差はなかった.また,体位変換,口腔ケア,清拭の看護ケアの前後においても 2 面固定法でのズレは 0 ~ 6㎜の間 で安全性が維持できてい
深層学習の重みネットワークを用いたテキスト分類パターンの解釈支援
本論文は,日本語コーパスを学習させた深層学習モデルを対象として,学習結果の根拠を示す分類パターンを,学習によって構築された重み付きネットワークから抽出して,その分類パターンの解釈を支援するシステムの構築と,その有効性の検証について述べている.
本論文は5章から構成されている.
弟1章では,本研究の背景と目的,課題に対するアプローチなどについて述
べている.まず,深層学習がどのように発展したのか,どのような種類があるか,その過程で発生した問題は何かなど,深層学習の歴史について解説している.そして,近年増加する深層学習の活用例や,今後どのように使われていくかなどの最新研究について述べた後,現在,深層学習において重要視されている問題点として,深層学習のブラックボックス問題を取り上げている.その上で,ブラックボックス問題に対する本研究のアプローチとして,自然言語処理分野での,深層学習の重みネットワークを用いたテキスト分類パターンの解釈支援システムについて述べている.その後,論文全体の構成について述べている.
第2章では,本研究に関連する研究として,まず,深層学習の出力に寄与する入力に注目した研究について,特にアテンションと呼ばれる手法について先行研究を紹介している.また,本研究との違いとして,アテンションは学習済みネットワークの内部に注目しているわけではないという点を述べている.次に,深層学習の学習ネットワークの解釈に注目した研究について,画像処理分野で中間層の学習過程に注目した先行研究について述べている.また,本研究との違いとして,画像処理分野では中間層の画像化が容易であるが,自然言語処理分野では中間層の可視化が難しい点を述べている.最後に,深層学習の説明可能性に注目した研究について,説明可能なAlについての先行研究を紹介している.また,本研究との違いとして,本研究では,モデルの精度や信頼性などの評価ではなく,人間が学習結果に納得するためのシステムの構築を行っていることについて述べている.
第3章では,単純な深層学習モデルである, DNN (Deep Neural Network)から分類パターンを抽出し,解釈支援を行うシステムの構築について述べている.
こでは,学習済みのDNNの重みの値によって情報の重要度が決まるとし,重みの積から出力に寄与する特徴,または,各中間層ノードに寄与する特徴を取得する手法を提案している.また,取得した情報は可視化インタフェースによって解釈支援システムの利用者に提供していることを述べている.解釈支援システムの評価実験として,動物の生態に関する文章や映画のレビュー,受験に関するツイート集合などを題材とし, 14人の被験者に提案システムを用いて解釈を行ってもらったことを述べている.得られた解釈の内容が学習に用いた文章集合に対して妥当かどうか調査したところ, 90%近くの解釈が妥当であったとして,提案システムの有効性を確認している.
第4章では,実際に自然言語処理分野で広く扱われているRNN (Recurrent Neural Network)モデルについて,分類パターンを抽出し,解釈支援を行うシステムの構築について述べている. こでは, RNNの重み付きネットワークがHMM (Hidden Markov Model)と類似している点に注目して, RNNの重みを一種の確率変数をみなして一つのHMMと捉えることを述べ,単語の時系列パターンに対する尤度を算出することで,時系列情報を含んだ分類パターンを取得する手法を提案している.また,取得した分類パターンは,単語をノード,単語の時系列を矢印付きエッジとする解釈支援ネットワークとして表示し,解釈支援システムの利用者に提供することを述べている.解釈支援システムの評価実験として,アニメの登場人物のセリフ集合やAmazonの家電問品やゲームソフトのレビュー集合を題材とし, 8人の被験者に提案システムを用いて各文章集合に対する解釈を行ってもらったことを述べている.提案システムにおいて解釈内容が文章集合に対して妥当かどうか調査したところ, 95%近くの解釈が妥当であったとして,提案システムの有効性を確認している.
第5章は結言で,本研究において,日本語コーパスを学習させた深層学習ネットワークにおける,分類根拠を表す分類パターンの解釈を支援するシステムの構築を, DNNとRNNの2つの深層学習モデルを対象として行ったこと述べている.また,構築したシステムの有効性を検証する実験として, DNNのシステムにおいては,分類パターンに対する被験者の解釈の90%近くが妥当であると確認され, Nのシステムにおいては,分類パターンに対する被験者の解釈の95 %近くが妥当であると確認されたことから,両解釈支援システムは一定の効果があったと結論を述べている.工課第21
Phylogeography of parasitic nematodes recovered from Bufo species in mainland Japan
本研究は、本州・四国・九州に広く分布するニホンヒキガエル(亜種アズマヒキガエルを含む)および本州中部に分布するナガレヒキガエルを対象とし、これらに寄生する線虫Rhabdias属およびCosmocercoides属の分類学的再検討を行ない、これらの種分化に関連する要因を探索するとともに、線虫の分類・記載に有効な研究手法について検討したものである。学位申請論文の構成および内容は以下のとおりである。 第1章では、これまでのヒキガエルの寄生性線虫の研究史を概観している。線虫(線形動物門)は、26,000種以上が報告され、生物多様性や生態系に大きく貢献している巨大な分類群で、現在でも次々に新種が発見されている。また、宿主のヒキガエル属(Bufo)については、近年種分化についての再検討が行われ、従来亜種レベルに分類されていたニホンヒキガエル(西日本に分布)とアズマヒキガエル(東日本に分布)は別種とするのが妥当とされている。このような宿主の系統関係の解明により、寄生虫と宿主の関係も再検討を必要としている。日本産のヒキガエル属からは12種の寄生性線虫が報告されているが、形態情報のみに基づく種も少なくない。しかし、線虫類はその種の多様性に比して形態的な特徴が少なく、従来の形態に基づく分類学では、誤同定や近縁種が判別できない場合が非常に多かった。分子生物学的手法はこのような分類学上の問題の解決の鍵となるが、線虫類においては比較対象となる遺伝子データが得られていない分類群も多い。したがって、線虫分類学の進展には、形態および分子的アプローチの両面からデータを蓄積することが重要であることを指摘した。 第2章では、ヒキガエル類の肺に寄生する線虫Rhabdias incertaについて、分子系統的手法および生物顕微鏡・走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて分類学的再検討を行なった。 宿主120個体から得られた74虫体を標本とし、分析に供した。従来、琉球列島を除く日本産ビキガエル類からは、R.incerta1種のみが記載されていた。しかし、分子系統的な再検討の結果、本土(本州・九州・四国)産ヒキガエル類には少なくとも3種のRhabdiasが寄生していることが判明した。形態観察の結果、最も高頻度で見られるのはR.incertaと同定された。本種は側所分布する2つまたは3つのサブグループに分かれ、宿主と同様に、地理的な要因で遺伝的に分化していると考えられた。Rhabdias sp.1は有尾類(イモリ、サンショウウオ)寄生のR.tokyoensisと系統的に近く、これから宿主転換によって分化したことが示唆された。Rhabdias sp.2は九洲から1例のみ得られ、系統的位置は分析した遺伝子によっで異なった。またR.incertaはヒキガエル属のみに寄生するスペシャリストであるが、分析に含めた同属のR.nipponicaは、ヒキガエル以外の様々なカエル類に寄生するジェネラリストであることが明らかになった。 第3章では、ヒキガエル類の腸管に寄生する線虫Cosmocercoides属について、同様に分類学的再検討を行なった。従来、日本からは主にヒキガエル類に寄生するC.pulcher、琉球列島の有尾類に寄生するC.tridensの2種が同定されている。宿主120個体から得られた、52虫体を研究に供した。形態観察の結果、大部分はCosmocercoides pulcherと同定された。しかし、SEMによる表面観察の結果、分類形質の一つとされるrosette papillaeが、従来の報告(10-18対)と異なり、21-24対存在することが示された。このことから、光学顕微鏡による従来の観察はpapillaeの見落としが多く、正確な記載のためにはSEM観察が必須であることが示された。また、ミトコンドリアDNAのCOI領域を用いた分子系統解析の結果、C.pulcherの種内変異は比較的小さく、一方で別種と考えられる別クレードとは明瞭な違いがあり、COI領域は本属の分類に非常に有効な部位である可能性が示された。分子系統解析の結果、九州のニホンヒキガエルから未同定種Cosmocercoides sp.1 が発見された。また、分子系統分析に含めた北海道のエゾアカガエルおよびエゾサンショウウオからの標本は、未同定種Cosmocercoides sp.2であることが判明した。これらは形態観察を実施できなかったため種同定には至らず、記載には新しい標本を入手する必要があった。 以上のように ヒキガエル寄生のRhabdias属、Cosmocercoides属のどちらの属においても将来的に新種となる可能性が高い未記載種が発見され、これらは従来の分類学的研究から知られていたよりも多様であることが明らかになった。また、既知種についても形態的・分子的な形質が明らかにされ、これらの成果は寄生虫分類学への貢献となる。 In order to fully assess the diversity of these parasites in Bufo spp. in Japan, we performed an integrated approach: morphological and molecular analysis. Morphological analysis was performed through light microscopy and scanning electron microscopy (SEM), while molecular analysis was done by comparing DNA sequence divergence using the partial nuclear small ribosomal DNA(18S and 28S) and partial mitochondrial DNA cytochrome c oxidase subunit 1 (COI) target regions through phylogenetic trees and pairwise distance. First, I identified through morphological analyses the lungworm species, Rhabdias incerta which appeared to be specific to the genus Bufo. Molecularly, this species is subdivided into two or three phylogroups based on the subspecies divisions and biogeographic of their hosts. In this study, it also revealed the presence of undescribed and cryptic Rhabdias species, which morphologically resembles the species R. tokyoensis. Second, I identified and redescribed the Cosmocercoides pulcher found commonly in the gastrointestinal tract of the toads. Modern morphological techniques revealed additional morphological characteristics absent from the original description. Additionally, I also molecularly characterized this species which revealed two possible new species from the same host Bufo japonicus from Kyushu and from other amphibians in Hokkaido. However, we haven't examined morphologically the voucher specimens from these localities. Therefore, we cannot describe them as two new species. For their description, we need to obtain new samples for morphological studies in the future. This study was the first to molecularly characterize the species Rhabdias incerta and Cosmocercoides pulcher, both are originally described from Bufo japonicus in Japan. Through this, it will help biodiversity study and will be useful for species delimitation and differentiation since both species, morphologically, are difficult to distinguish from their congeneric species. This study suggests the importance of scanning electron microscopy (SEM) in identifying and describing nematodes that morphologically resembles each other. With the help of it, I was able to describe and confirm the characteristics that were not mentioned in the original description of the species, Cosmocercoides pulcher. The phylogenetic evidence from the present study was able to determine that the rhabdiasids follow their hosts resources instead of their host phylogenies, in this case the host segregation, geographical distances, and isolation of the Japanese toads. Lastly, molecular approach not only helps us with the identification of species, but also reveals cryptic species that are not able to distinguish from their related species by morphology.環課第67