Miyagi University of Education Repository
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Is the Number of Books at Home Appropriate as an Indicator of SES? – Verification through Multifaceted Analysis of the National Achievement of Academic Ability, PISA, and TIMSS –
本稿の目的は、質問紙調査における「家庭の蔵書数」を問う項目が、社会経済的状況(Socio-Economic Status: SES)の代替指標として適切か否かを検証することである。本稿では、全国学力・学習状況調査(令和4年度)とPISA(2018年)とTIMSS(2019年)の3調査をデータとし、次の5つの検証を行った。【検証01】全国学力・学習状況調査とPISAにつき、蔵書数回答の平均値と標準偏差を比較した。その結果、2調査の平均と標準偏差には、ほとんど差がなかった。【検証02】PISAの蔵書数スコアとESCSスコアとに妥当な相関があるかを検証した。ESCSは、SESを精度よく測定するためにOECDが開発した独自指標である。およそ40項目を合成した変数である。検証の結果、両スコアには妥当な相関があった。【検証03】PISAにおける「学力-蔵書数の相関係数」と「学力-ESCSの相関係数」とが整合的か否かを検証した。その結果、双方はほぼ一致することが判明した。【検証04】「学力-蔵書数の相関係数」が、全国学力・学習状況調査とPISAとTIMSSの3調査で整合的か否かを検証した。その結果、3調査は整合的であった。【検証05】TIMSSでの蔵書数に関する児童回答と保護者回答の整合性を検証した。TIMSS2019では、第4学年で、保護者アンケートを実施している。保護者調査では、児童質問と同じく、保護者に蔵書数を質問している。そこで児童回答の蔵書数と、保護者回答の蔵書数とが整合的か否かを検証した。その結果、両者もまた整合的であった。さらに、「保護者回答蔵書数-その子の学力の相関係数」と、「児童回答蔵書数-本人学力の相関係数」との整合性を検証した。その結果、両者の整合性も証明された。以上の検証から、蔵書数の質問項目は、わずか1項目でありながら、SESを高い精度で測定する「マジック・クエスチョン」であり、蔵書数回答スコアは「マジック・ナンバー」であるとの結論に至った。departmental bulletin pape
Music Creation Learning Focusing on Auditory Signal in Junior High School
生活や社会の中の音や音楽と豊かに関わりを深めることは,音楽科の学習において重要視されている。そこで,日常生活の中で触れる機会の多いサイン音を教材とした旋律の創作学習の授業を立案して実践した。音楽Webアプリを用いることで多様な工夫のあるサイン音を創作でき,普段あまり意識することのないサイン音のデザインの要素を改めて意識する学習を実現できた。サイン音の創作経験を通して,生活や社会が音および音楽によって豊かになっていることを学習させることができた。departmental bulletin pape
Proposal for a Hovercraft-type Propeller Motor Car Whose Direction Can Be Controlled by Wind Power to Foster Scientific Thinking
風で動くおもちゃの工作の一つとしてプロペラカー工作があるが,通常は前進または後進の直線的動きのいずれかしかできない。そこで,タイヤ駆動によるモーターカーの進行方向制御方法と比較して,プロペラの風で方向制御する方法を検討した。2個のプロペラを組み合わせて,前進・後進に加えて回転させる推進力を得られたが,床に接触するタイヤのある構造ではタイヤと床面間の摩擦力が回転運動の妨げになり,スムーズに回転できなかった。そこで,下方向の風を送るプロペラを付加して,浮力で床面間の摩擦力を軽減したホバークラフト型プロペラモーターカーを考案した。浮力で床面との摩擦力を軽減し,筐体上面に配置した水平方向の風を作る2個のプロペラの回転方向を組み合わせて水平方向の推進力を制御して回転する動きを実現できた。基本として示す教材はあえて未完成として,下側に空気を送る筐体上面の穴のあけ方で浮力を変えられ,前後進および回転の制御性を調整できるようにしている。空気穴の大きさやプロペラの数や配置を変えることで色々な改良が可能な未完成型教材になっている。工夫の余地がある未完成型教材を与えて,基本となるモデルの有する課題を試行錯誤して解決する学習に活用できる。観察・仮説・実験・考察というサイクルで工作物を改良していく学習方法は,解決方法を児童に考えさせて達成感を与える科学的思考力を育成するために有用な学習の方法の一つとして期待される。departmental bulletin pape
数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度(リテラシーレベル)の授業報告
宮城教育大学現在の高度情報社会において,高等教育だけではなく初等中等教育においても数理・データサイエンス・AI教育の重要性は示唆されている.そのような中,数理・データサイエンス・AI教育のモデルカリキュラムが示され,本学でもリテラシーレベルが認定された.本稿では,認定されたカリキュラムについて概観を踏まえて,具体的な授業内容について報告する.受講者に生成AIを体験させ,教育的な活用方法を考えさせた結果,問題作成における校務支援や児童生徒への問題解決支援などのメリットが示された.一方, 学習機会の喪失や過度な依存による思考力低下などの課題が示された.research repor
Evidence Based Education Focused on Non-cognitive Skills and Classroom Climates ―The Trial in a 3rd Grade Elementary School Class―
本研究は、教師と研究者との協働による「エビデンスにもとづく教育実践」の試みである。本研究実践では非認知能力と学級風土、またそれらと相関する対話・探究学習に焦点化した。第2執筆者が担任を務める小学3年生を対象に、まず年度はじめの4月に第2執筆者が質問紙調査を実施し、第1執筆者が分析し、結果を共有した。第2執筆者は、その分析結果を受けとめ、その後の自身の実践に生かした。7月に第2執筆者が同じ質問紙調査を実施し、4月と比較した。その結果、非認知「徳」と学級風土のスコアは高水準を維持し、対話・探究学習スコアに向上がみられた。対話・探究学習に積極的に取り組んだ成果が、非認知「徳」と学級風土のスコアの水準維持に寄与したと推測される。本稿では、こうしたエビデンスにもとづく教育実践の試みを、実践者の視点で評価し、その意義と課題を指摘した。最後に「実践知とデータ知の往還」「教室レベルと全国レベルとの往還」「観測者問題」の3つの視点から、本研究実践を省察した。This research is an attempt at “evidence-based educational practice" led by teachers. In this practice, we focused on noncognitive abilities and classroom climate, as well as dialogue and inquiry learning that correlate with these. First, a questionnaire survey was conducted in April at the beginning of the academic year, targeting third-grade elementary school students, whose class teacher was the second author. The second author recognized the results of the analysis and applied them to his own practice. The same questionnaire survey was conducted in July and compared with April. As a result, scores for noncognitive “virtues" and classroom climate remained at high levels, and scores for dialogue and inquiry learning improved. It is presumed that the results of active engagement in dialogue and inquiry learning contributed to maintaining the level of scores for non-cognitive “virtue" and classroom climate. In this paper, we evaluated these evidence-based educational practices from the teacher's perspective and pointed out their significance and challenges. Finally, we reflected on the implementation of this research from three perspectives: “the back and forth between practical knowledge and data knowledge", “the back and forth between the classroom level and the national level", and “the observer problem".departmental bulletin pape
Arnold Lobel's "The Letter" as a Teaching Tool for Japanese: From the Perspective of "Translation"
本稿は、アーノルド・ローベル(Arnold Lobel)「おてがみ The Letter」の翻訳テクストとしてのありようを確認した上で、その実践可能性も含めて教材としての「おてがみ」を論じることを目的とし、それにより国語科教育における翻訳テクストの意義について、その一端を照らすことを試みるものである。英語ではほとんどが慣用表現で構成されている「おてがみ」における手紙の文面は、日本語では「友情」の表明として機能している。原文は手紙の文面そのものの空虚さが目立つものであり、手紙それ自体がナンセンスな代物にも思われるが、当のがまくんがそこに感慨を催しているのは、かえるくんが日常的な「友情」を手紙という形式に「翻訳」したからに他ならない。このような教材としての「おてがみ」の特質は、自身の思いを「翻訳」する行為である「手紙を書く」という言語活動と接続させることで、教材としての可能性が拓かれる。departmental bulletin pape
Teacher Social Capital in An Era of Downsizing Local Communities -Development, improvement, and spread of local learning materials at Miyagi University of Education Affiliated Elementary School
本稿では、地域社会縮減時代の学校づくりを視野に、教師たちのつながりを教師ソーシャル・キャピタルと捉え、それらは実践の深化、価値の共有、外部性を有するような実践の展開をもたらすものと仮定し、内実の記述を試みる。事例として、宮城教育大学附属小学校における、4学年・七北田川探検の開発・改善とその広がりを取り上げる。 ここでの実践の深化とは、1970年代に始まる「白わくの時間」と「総合学習」における研究を経て、七北田川の上・中・下流の調査活動が2000年以降、4学年の常態的な活動として行われていったこと、価値の共有とは、実践の深化において「子ども自身が問いを深め、学びの世界を広げる」ことが教師たちの間で重視されたこと、外部性とは、川探検の成果と土台となっている考え方が、公立のX校に伝播し、学校の文脈に根付く活動が展開されたことを指す。X校では、総合的な学習の時間におけるZの森の活用を介して、子どもたちが問いを立て、問いの解決のために行動する姿がみられた。 これらの教材開発・改善と広がりにおいては、実務を担うミドルリーダーたちが、他の教職員あるいは地域社会の考えや思いをつなぐ働きをしている。自律的な学校経営の今日的在り方において、ミドルリーダーはなくてはならない存在である。departmental bulletin pape
文章生成AIを活用した表現上困難な児童生徒に対する所見文作成の支援システムの改善
宮城教育大学近年,生成AIの進展により教育現場での活用が進められているため,教員にとって負担の大きいとされる通知表の所見文作成に焦点を当て,文章生成AIを用いた支援システムの開発を行なった.本研究では,現職教員へのアンケートを基に,システムの改善を図り,通知表の所見文作成の中でも表現が難しい児童生徒に対する適切な所見文の作成に焦点を当て支援することを目指した.表現が難しい児童生徒の特徴を分類し,それぞれの子どもに対してシステムを利用しどのように支援できるかを検討し,システムの改善を図った.システム改善後にも教員の方々に評価をもらい,その結果をもとに今後のシステムの改善やシステムを利用することによる副次的な効果についても検討した.research repor
What Media Characteristics Do University Students Realize by Novelizing Manga?
本研究の目的は、ノベライズを通して小説とマンガの特性についてどのような気づきが生じるかを明らかにすることにあった。調査方法は、質問紙による記述式方式とし、分析は「KH Coder」によるテキストマイニングを実施した。大学生を対象とし、57の標本から全体的な傾向を把握した。その結果、小説、マンガそれぞれの特性について気づきが生じたことを明らかにし、マンガをノベライズすることによって、外部的な特性よりも表現的な特性に意識が向かい、絵と言葉に関することを主として、特徴に関する理解から機能、効果に関する理解へと拡張していくのではないかと推察した。The purpose of this study was to clarify what kind of awareness of the characteristics of novels and manga is generated through novelization. The survey method was a descriptive questionnaire, and the content was analyzed by text mining using KH Coder. The overall tendency was identified from a sample of 57 university students. The results revealed that the participants became aware of the characteristics of both novels and manga, and it was inferred that by novelizing manga, they would become more conscious of expressive rather than external characteristics, and their understanding would expand from understanding of characteristics to understanding of functions and effects, mainly in relation to pictures and words.departmental bulletin pape
On a derivation of formula for sum of powers of positive integers
自然数の累乗和の公式については,累乗の指数が3以下の場合には高等学校の「数学B」においても扱われる.本稿においては,これを一般の指数に拡張した場合の累乗和の公式について,原理的には高校生や大学生でも理解できるような素朴な方法で,その導出方法について解説する.そのために,2種類の添数に関する実数の和の順序交換に関する性質を用いるが,これについても解説する.The formula for sum of powers of positive integers is treated in Mathematics B of Japanese high school mathematics in the case that the exponent of the power is less than or equal to 3. In this paper, we will discuss the case with a general exponent of the power, and explain how to derive the formula, by using a simple method that even high school and university students can understand in principle. To this end, we will use properties concerned with exchanging the order of the sum of real numbers with respect to two types of indices, which will also be explained.departmental bulletin pape