Kyoto Sangyo University Academic Repository / 京都産業大学学術リ
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Tourism Strategy and Local Resource Management Based on Santa Claus Business in Rovaniemi, Finland
本稿では,戦略的地域資源の開発とマネジメントにむけて,地元に固有の文化や建物,自然を活かした観光戦略と,新たに導入したコンセプトを軸とした観光戦略との組み合わせが街づくりを成功に導いた事例について井村(2019)が提案した地域資源分析モデル(IBEC モデル)にもとづいて検討する.地元固有の文化と新たに導入したコンセプトを組み合わせることはディレンマを生じる事が多い.新たに導入したコンセプトを持続可能な地域資源として定着させることも困難な課題である.フィンランド北部ラップランド地方にあるロヴァニエミという街は,「サンタクロースの公認ホームタウン」として,サンタクロースを軸に国内外からの観光客誘致に成功している.北極圏という地理的特徴と,サンタクロースという著作権フリーなコンテンツを組み合わせ,地域のビジネスモデルとして競争力を構築する過程で,ロヴァニエミの地域資源戦略には2 度の大きな転換点があった.その機会を有効に活かし,政府,市,企業,関係者が協力して街づくりを行ってきたストーリーを事例研究で明らかにする.departmental bulletin pape
「-残る」を後項要素とする複合動詞 : その語構成と語義
複合語の語義は、おおよそその語を構成する要素と要素間の結合関係によって決まると言える。したがって、一般的に言えば、語義変化などが生じていない場合には、語構成の知識があれば、未知の複合語の語義が推定しやすくなる。ところが、なかには「-残る」を後項要素とする複合動詞のように語義変化が生じたわけでもないのに語義の推定が難しいものがある。「消え残る」「焼け残る」などは「生き残る」「勝ち残る」と同じようには理解できないのである。本稿は、それが「-残る」の語義上の特徴に起因するものであることを明らかにする。departmental bulletin pape
D’Annunzio and the aviator Blériot’s account of flight : “Dithyramb IV” and Maybe Yes, Maybe No
1909年7月25日,フランス人飛行家ルイ・ブレリオは飛行機での英仏海峡横断飛行を初めて成功させ,翌日の新聞に手記を発表した。イタリアの詩人ガブリエーレ・ダンヌンツィオは1903年に発表した詩集『アルチョーネ』でイカロス神話を扱った「ディティランボIV」という詩を書いており,海上飛行を想像で描いていたことから,ブレリオの手記を読んで感銘を受けたようである。
ダンヌンツィオは1909年9月にイタリアのブレッシャで開催された国際飛行競技会でブレリオと会い,その後に刊行した小説『イエスかもしれない,ノーかもしれない』のなかで彼の手記を利用した。ただし,小説内で飛行家の名前は言及されず,手記はダンヌンツィオ風に改作されたものとなっている。それは飛行家である主人公の意識に響く声として作品中に織り込まれ,主人公はその声に促されるように危険なティレニア海横断飛行に挑み,成功する。
本稿は,「ディティランボIV」のイカロスの飛行,ブレリオ自身の手記,小説に現れるダンヌンツィオが改作した手記,そして小説中のティレニア海横断飛行を比較し,ダンヌンツィオが海上飛行に関係する描写をどのように発展させているのかを考察するものである。departmental bulletin pape
Implementation of the Digital Content Directive and the Sale of Goods Directive in Austria
2019年5月20日,欧州連合(EU)において,「デジタルコンテンツ及びデジタルサービスの供給の一定の契約上の側面に関する欧州議会及び理事会指令(2019/770/EU)」及び「物品の売買契約の一定の側面に関する指令(2019/771/EU)」が成立した。両指令は,2021年7月末日までにEU 加盟国で国内法化され,2022年1月1日以降に締結される契約に適用される。オーストリアでは,2021年7月7日に両指令の国内法化を目的とする法律(Gewährleistungsrichtlinien-Umsetzungsgesetz: GRUG)が成立し,同年9月9日に公布された(BGBl. I Nr. 175/2021)。本稿では,主にGRUG の中で新たに制定された消費者保証法(Verbrauchergewährleistungsgesetz:VGG)に焦点を当てて検討を行い,VGG の意義と特徴を明らかにした。departmental bulletin pape
Japanese Culture and View of Nature in the Edo Period : Realism and Humorousness
本稿は江戸時代の日本文化における自然観について考察した。日本文化の自然観に関する先行研究は数多くある。それらは和歌などの文学、華道や茶道、能楽などの芸能、絵画などの美術工芸などの多くの分野にわたっている。しかし、日本文化全般にわたる研究は数少ない。そこで本稿は、すべての分野にわたっていないものの、とくに俳諧という言語文化と絵画という視覚文化を中心に、自然観がどのように表現されたのかを考察した。時期を江戸時代に限定したのは、上記の各分野が庶民レベルに浸透し定着した時期であると考えるからである。
俳諧は和歌の季節感を受け継ぐとともに、庶民の生活感覚や多くの動植物を取り上げた。絵画は中国の技法の影響を受けるとともに、生命を写すという「写生」技法を生み出した。俳諧と絵画は本草学の影響を受け、生物や自然を写実的に表現した。その写実は自然を忠実に再現することではなく、古典をパロディ化し「見立て」の対象とするものであった。これによって古典の自然観は大きく変容したが、「粋」や「滑稽」という感性がもたらされた。言い換えれば、動植物や風景が題材となっていたが、それらを克明に描写するのでなく、俳人や絵師の眼と心に映った姿が描かれた。江戸時代の自然観は、客観的に自然をとらえると同時に、主観的にも自然をとらえるという特徴をもっていた。departmental bulletin pape
A Study of Crimes Committed by the Elderly in an extreme population aging Society and a Plan for Dealing with Them : A Comparison between Japan and Korea
日本社会の高齢化の問題、取分け、高齢者の「貧困・孤立」等による「高齢者犯罪」問題はその深刻さを増している。そこで、日本政府は犯罪者を司法の全段階にて積極的に福祉に繋げるソーシャル・インクルージョン的な刑事政策への転換を通じ、再犯防止と社会復帰を図っている。一方、韓国でも近年、高齢化が急激に進んでおり、高齢化率ではまだ欧米諸国や日本には満たないものの、そのスピードの面では「世界最高の超高齢国家」といわれる日本をはるかに上回っている。また、それによる高齢者犯罪の増加ぶりも尋常ではない状況であるが、韓国社会(政府)の対応は儒教等の伝統的な思想の影響で刑事政策上、実質的な対策は皆無であることが昨今の韓国の現実である。
本稿は以上の実情を背景に、日韓両国の高齢化や高齢者犯罪の現状と特徴を比較の観点から考察し、高齢者犯罪に対する対策として近時、日本で行われている諸対策や保護観察所の職員に対するインタビュー調査の実証的な考察を加え、そこから導き出された問題の改善策を提案することを目的としている。departmental bulletin pape
Genealogy of Healing and Symbiosis : Corresponding to Infectious Diseases in the Edo Period
本稿は江戸時代における感染症への対応について考察した。江戸時代の感染症やその対応については、すでに数多くの先行研究がある。先行研究は主に三つの分野に分かれる。医学史、幕府の対応策、文化史の三つである。本稿はこれらの先行研究をふまえて、庶民の視点から感染症と向き合う文化がどのように形成されたのかを考察した。庶民の思考や対応は、科学的な知見という点では劣っていたものの、自然観が大きく反映されたものであった。
江戸時代には庶民は感染症を科学的な根拠ではなく、体験的に皮膚感覚でとらえた。健康に対する庶民の関心は高かったため、養生概念が浸透していた。この概念が根本にあるため、感染症の対応では闘うという姿勢はなく、共生や予防という考え方が主流であった。幕府が行なった諸施策は、この庶民の考え方に沿っていなかった。医者は治療にあたったが、専門的な知識に乏しく、有効な医療が行なわれなかった。そのため庶民は寺社への祈願や護符に頼った。その祈願や護符のなかに共生の姿勢が表わされ、庶民はそれに「癒し」を求めた。しかし、この共生のバランスを崩し、混乱を引き起こしたのは、感染症を商機とみなし、それに群がるさまざまな商売の展開であった。departmental bulletin pape