Atomi University Repository / 跡見学園女子大学機関リポジトリ
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HSP特性と自尊感情が過剰適応に与える影響について ─生きづらさの考察─
application/pdftextHSP(Highly Sensitive Person)とは,Aron(1997)が提唱した概念で,生得的な特性として,高度な感覚処理感受性を持つ人のことである。赤城ら(2017)の研究では,HSPの人たちは他者の感情刺激を敏感に受け止めているにも関わらず,自身の感情コントロールが困難なため,生きにくさを抱えていると述べられている。また,大塚ら(2018)による研究では,生きづらさの一カテゴリーとして過剰適応が分類されており,他者の感情刺激に敏感なHSPは,その分他者に気を遣いやすく,その結果として過剰適応になりやすい可能性が考えられる。しかし,HSPは近年提唱された概念のためまだ明らかになっていないことが多く,HSPの生きづらさの詳細やHSPと過剰適応との関連については未だ研究がなされていない。
本研究では,「HSP特性と自尊感情が過剰適応傾向及び過剰適応行動に与える影響について明らかにすること」を目的1,また「HSPの“生きづらさ”の詳細を自由記述によって探索的に捉えること」を目的2とし私立X大学の大学生らに対し質問紙調査を行った。
目的1に対して,分散分析・重回帰分析を行った。その結果,HSP特性は過剰適応傾向に関連があるが,その緩衝要因として想定した自尊感情に緩衝効果はなくそれぞれの主効果がともに有意であり,HSP特性・自尊感情がそれぞれ独立して過剰適応傾向に関連していることが分かった。
また目的2で行ったKJ法に準じた内容分析では,HSP特性が高い群は,HSP特性が低い群よりも生きづらさを感じる状況が多岐にわたっており,したがって多くの,より繊細な生きづらさを抱えていると推測することができた。
本研究の結果からは,HSPの生きづらさはそのまま自尊感情の低い者や過剰適応傾向の高い者の生きづらさであるともいえる。加えて,HSPの生きづらさが詳細に分かったことにより,この生きづらさを解消していくことで、HSPの自尊感情を高め,過剰適応を抑制する一助となるであろう。departmental bulletin pape
心理臨床家志望動機の類型に応じた研究活動およびエビデンスに基づく実践への態度に関わる要因の検討
application/pdftext本研究は,心理臨床家志望動機の観点から,心理専門職や大学院生の研究活動とエビデンスに基づく臨床実践への態度およびその関連要因について探索的に検討することを目的とした。臨床心理士指定大学院(修士・博士前期課程)の大学院生と臨床心理士等の心理専門職を対象とした調査の結果,志望動機に関して,心理支援探求型,消極型,権威・経済型の3類型が見出された。これらの動機の類型に基づくと,概ね全ての類型において,肯定的な研究体験は研究活動への興味・関心や自信と関連し,また,研究活動と臨床実践のつながりを学ぶ大学院での教育訓練環境は,研究活動およびエビデンスに基づく臨床実践への肯定的な態度に直接的または間接的に重要な役割を果たしている可能性が示された。一方,肯定的な研究指導・サポート,研究・分析に必要な学習環境等に関わる教育訓練環境から受ける影響の有無や程度は動機の類型ごとに異なっており,研究活動への興味・関心や自信の程度と臨床実践に関わるエビデンスへの態度との関連についても,心理支援探求型や消極型においてのみ有意な関連がみられた。心理臨床家志望動機等の個人要因に関して様々な特徴を有する大学院生や心理専門職にとって,どのような体験や教育訓練環境が,研究活動及びエビデンスに基づく実践への肯定的態度を促進し得るのか継続的に模索する必要性が示唆された。departmental bulletin pape
小学校での褒められ・叱られ場面における児童の感情・行動的反応の検討 ─当事者および傍観者の立場の違いに着目して─
application/pdftext本研究は小学4~6年生194名を対象に,担任教師から児童への褒め・叱り場面において,児童の立場が,直接褒めや叱りを受けた「当事者」か,間接的に褒めや叱りを見聞きしていた「傍観者」かという違いにより,児童の感情・行動的反応に及ぼす影響の差を検討するため,質問紙調査を行った。場面(褒め・叱り)と立場(当事者・傍観者)を独立変数,感情・行動的反応を従属変数とした2要因分散分析の主な結果として,自分自身が褒められた場面だけでなく,同級生が褒められた場面でも,「やる気が出る」傾向が有意に高いことが示された。さらに,学級適応感尺度と学校生活尺度の各下位尺度を説明変数,褒められ・叱られ場面における当事者・傍観者立場の感情・行動的反応を目的変数とした重回帰分析の結果,学級における「教師との関係」が良好であると,同級生が褒められた場面で,「同級生は正しい」,「同級生を好き」,「嬉しい」と感じる傾向や,自分自身が叱られたとしても「不安を感じない」等ポジティブに感じる傾向が示された。これらの結果から,教師による褒め・叱りは当事者だけでなく,傍観者の心情にも影響を与えること,教師との関係性により,同級生への印象にも影響を及ぼすことが示された。また,教師の褒め・叱りにより生じる児童の感情・行動的反応や,教師・友人との関係,学級適応感等は,相互に影響し合う関係にある可能性が示唆された。departmental bulletin pape
GDP 四半期速報をめぐる諸問題
application/pdftext本論文では、GDP四半期速報を中心とした諸問題と改善への動きを記した。QEの発表は、諸外国に比べて遅い。「家計調査」を使っていることが大きいが、そのメリット、デメリットについて考察した。民間最終消費と民間企業設備投資については、世界でも珍しい需要側推計値と供給側推計値を統合する形で推計している。しかし、その統合比率は長年固定されており、実態を表さなくなっていた。新たに推計し直すとかなり小さくなっている。GDP 統計は改定幅が大きいことも問題となっており、1次QEから2次QE、2次QE から第1次年次推計、第1次年次推計から第 2 次年次推計へとそれぞれの段階でなぜ改定されるのか、そのギャップを小さくするにはどうすればよいかについて解説した。最後に、生産側QNA、分配側QNAについての検討状況について解説した。四半期別の可処分所得が公表されるようになるなど徐々に作業は進んでいるが、生産側QNA、分配QNAが発表されるまでには至っておらず、早期の発表が望まれる。departmental bulletin pape
嶽麓書院蔵秦簡の形式とその書風
application/pdftext2007年、湖南大学嶽麓書院は、梱包された大量の簡牘を香港古玩市場で購入した。その数量はのち某収蔵家から寄贈されたものを含めて全体で2176個の編号になる。それらの研究成果として『嶽麓書院蔵秦簡』が現在までに総計5冊出版されている。内容は①質日②為吏治官及黔首③占夢書④数⑤為獄等状四種⑥秦律雑抄⑦秦令雑抄の七種である。
本論考では、嶽麓書院蔵秦簡の書風を内容ごとに整理し、その特徴を探った。方折体を中心としながらも、長脚に作るものや横画を湾曲させるもの、払い出しを紡錘形に作るもの、横画に波勢を持たせるものなど、それぞれバリエーションが豊かである。一つの墓葬から出土したものであろうが、書写年代の違いのみならず、複数の書き手の個性や書写習慣の違いがそこに反映されていたことが分かる。とりわけ[占夢書]の使用文字は一般的な秦系文字とは異なっていることが確認できた。
本論考は、現地を訪れて実見したことを踏まえ、嶽麓書院蔵秦簡における書風のバリエーションの豊かさと特異性を考察したものである。departmental bulletin pape