Atomi University Repository / 跡見学園女子大学機関リポジトリ
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図書館利用と読書の関係性に対する考察
application/pdftext図書館では,貸出サービス以外にも多様なサービスを利用者に提供している.しかし,利用の中心はやはり貸出サービスであり,公共図書館利用と読書量には正の有意な相関関係も確認されている.我が国では,様々な政策を通じて活字離れの改善や,読書によって情操や教養,創造性,想像力を養うような取り組みが行われてきた.その効果については検証の余地がある.
本稿では,子どもの読書冊数と不読率のグラフから読書状況の変化を確認し,読書活動に関係のある法律・施策の施行とその内容を確認した.その結果,「子どもの読書活動の推進に関する法律」の施行とそれに付随する「子供の読書活動の推進に関する基本的な計画」の施行により,読書離れの改善に効果があったことが示唆された.
ウェブ調査の結果からは,読書量と公共図書館利用頻度には有意な正の相関関係があることが分かり,また読書量と各種の図書館サービス(10種類)全てとの間に有意な正の相関関係が見られた.サービスには,直接読書と関係のないと思われるものも含まれており,読書量が多いと図書館の様々なサービスをよく利用する傾向があることが考えられる.このことから,今後は「読書目的の利用者には貸出サービスの充実を」というように対象者を限定しすぎないサービス提供のあり方も検討することができるだろう.departmental bulletin pape
【研究ノート】新築完成予想図が掲載される昭和30~40年代のホテルパンフレットについて
application/pdftext昭和30~40 年代のホテルパンフレットには、建物の完成予想図(建築パース)が掲載されることが少なくない。それは高度経済成長期のレジャーブーム、1964 年の東京オリンピック、1970 年の大阪万博、1972 年の札幌オリンピックで引き起こされたホテル新築ラッシュの時期と重なっている。ホテルの内外観を描いた建築パースには、設計者たち・ホテル運営者たちの愛着や意気込みがじかに感じられ、時代特有の建築美と文化の歴史的証人としての役割も見出せる。本稿では1950 年代後半から1974 年までに開業した主なホテルを時系列順に整理して、それに呼応する建築パース付きのホテルパンフレットの事例を提示し、当時のホテル建築の特徴と傾向を浮き彫りにしつつ、メディアのひとつとして機能していたホテルパンフレットの歴史的建築資料価値を認識する。departmental bulletin pape
【研究ノート】町工場とコミュニティ ─韓国・大邱北城路で働く技術者たちの語りから─
application/pdftext本稿は、韓国・大邱北城路の町工場で働く技術者たちの語りから、彼らが働く地域コミュニティにアプローチする試みである。韓国のコミュニティにおける地縁的ユニットと社会的ユニットのズレを指摘する文化人類学研究をふまえ物理的存在の共有と利用に注目し、さらにコモンズ論を参照しつつ技術者たちの語りを分析した。技術者の語りから北城路の歴史を再構成すると、米軍部隊、農村、産業化の進展、郊外における工業団地造成といった外部からの影響を組み込み、その役割を変化させながら今日まで工業の拠点として維持されてきたことが明らかになった。北城路は資材、部品、工具、機械といった町工場で必要とされるモノが手に入れやすいのに加え、複数の町工場にまたがる生産工程、言い換えるならば技術者たちの協働が可能であるため、あらゆる注文に対応できる。また、技術者たちは日常的な交流や親睦を通じて技術に関する情報交換や相互扶助をおこなっている。このような過程を通じてそれぞれの技術者が体得した技術は、北城路という物理的制限の多い空間の維持を可能にする。物理的存在によって結びつけられ、関係を築く北城路の技術者たちの語りからは、組織への注目だけでは捉えられない都市のコミュニティのあり方が浮かび上がってくる。departmental bulletin pape
高校生の学校適応感,居場所感と援助要請行動の関係 -学年差,性差に着目して-
application/pdftext本研究では,高校生における援助要請行動,居場所感,学校適応感の関係を検討し,それらの関連を明らかにするための基礎的研究を目的とした。高校生版援助要請行動に関する項目を作成し,因子分析を行った結果,1因子5項目の尺度が作成された。高校生1671名を対象に,学校適応感,居場所感,援助要請行動について質問紙調査を行い,測定した。まず,各尺度において,2要因の分散分析を行った。結果,一部,学年差や性差はみられたものの,大きな差は認められなかったため本研究では,性別と学年ごとにデータを分けず相関分析を行った。その結果,学校適応感,居場所感,援助要請行動の間に一部相関がみられた。本研究の結果から,高校生の学校適応感,居場所感,援助要請行動において,関連性がうかがえたものの,今後の影響や関連を研究する上で検討点もうかがえた。departmental bulletin pape
青年期女子の友人関係におけるキャラの変遷 ―中学時代と大学時代の比較を通して―
application/pdftext“キャラ”とは、キャラクター(character)の略語であり、集団の中での個人の立ち位置や役割を表す若者言葉である。キャラは、友人関係を円滑にさせる一方、他者を一面的に捉える弊害も生じる。キャラを介した友人関係は、中学生と大学生で大きく異なっている。このように”キャラ“は多義的であり、青年期の発達段階においても意味合いが異なっている。そのため、本研究では、大学生を対象として、中学時代と大学時代の友人関係やキャラの変遷について調べた。中学時代のキャラと大学時代のキャラに変化が見られた女子大学生5名にインタビュー調査を行った。M―GTA(modified―grounded theory approach)により、概念、カテゴリーを形成した。結果図を作成し、ストーリーラインを導いた。大学になると多くの者においてキャラの上手な付き合い方が分かり、ありのままの自分を受容するように変化していた。つまり、中学時代よりもキャラを介した友人関係は少なくなり、自分自身に目がいく傾向が見られた。中学時代から大学時代にかけて、キャラおよび友人関係の変化がみられたが、キャラにおける変化の過程は、青年期の発達課題であるアイデンティティ確立の過程とも捉えられる。また、キャラを介した友人関係で立場に格差が生じる場合がみられた。キャラは青年期の心理的発達において、良い影響・悪い影響の両面があることに注意を払うべきであろう。departmental bulletin pape
発達障害をもつ成人女性の困難と対処行動 ─内容分析による検討─
application/pdftext〈問題と目的〉発達障害においては,Lazarus & Folkman(1984)のストレスモデルを適用すれば,適切な対処行動をとれば,二次的問題を軽減させると考えられる。本研究では,成人発達障害の女性における,困難とその対処について調べた。
〈方法〉精神科に通院中の成人発達障害女性に質問紙調査を行い,20例(平均年齢33.5歳)を対象とした。「普段の生活」「人間関係」「学校・職場」の3つの場面別に困難とその対処があれば記述し,内容分析を行った。
〈結果〉発達障害の分類では,ASD(Autism Spectrum Disorder)群6名,ADHD(Attention-deficit/Hyperactivity Disorder)群9名,ASD・ADHD 併存群5名であった。内容分析の方法は,「普段の生活」「人間関係」「学校・職場」の質問項目を大項目に設定して,得られた回答を中項目,小項目に分類した。3群ともに,「作業・時間管理」「掃除・片付け」の困難が見られた。「人間関係」では,嫌な顔をされる,信用されない,馬鹿にされる等強い苦しみを訴えていた。その他「睡眠」「感覚異常」の項目も見られた。対処スタイルでは,「普段の生活」「学校・職場」においては問題解決型対処スタイルが多いが,「人間関係」では,対処がない,あるいは回避的対処スタイルが多かった。
〈考察〉成人発達障害の女性は,多くの困難を感じている。対処行動に焦点を当てた支援が必要と考えられるが,一方で人間関係の困難については,対処行動の難しさがあることから本人の内面に焦点をあてた支援も重要であろう。departmental bulletin pape
女子大学生における時間的展望体験とソーシャル・サポートが獲得的レジリエンスに与える影響
application/pdftext本研究では,人がストレスフルな体験に遭遇したときに精神的健康を維持し続ける力であるレジリエンス(resilience)のうち,後天的に向上させやすいとされる獲得的レジリエンスに着目し,未来,現在,過去の自分に対する評価である時間的展望体験とソーシャル・サポートとの関連を検討することを目的として,女子大学生95名(Mean:20.7,SD:1.02)を対象に,二次元レジリエンス要因尺度(平野,2010)の下位尺度である獲得的レジリエンス尺度,時間的展望体験尺度(白井,1994),大学生用ソーシャ・ルサポート尺度(片受・大實,2014)で構成される質問紙調査を実施した。
分析方法としては獲得的レジリエンス尺度を従属変数,時間的展望体験尺度と大学生用ソーシャル・サポート尺度を独立変数とする階層的重回帰分析を行い,その結果をふまえて獲得的レジリエンス尺度に時間的展望体験尺度と大学生用ソーシャル・サポート尺度が相互に関連しながら影響を及ぼすモデルを作成し,共分散構造分析を用いて探索的に検討を行った。
その結果,階層的重回帰分析では,獲得的レジリエンス尺度の問題解決志向には未来指向性と情緒・所属的サポートが関連し,自己理解には未来指向性と情報・道具的サポートが関連し,他者心理の理解には過去受容と評価的サポートが関連していることが示された。共分散構造分析では,評価的サポートが時間的展望体験尺度の3要因とそれぞれ関連していることが示され,時間的展望体験尺度を介して獲得的レジリエンスに寄与することが示唆された。departmental bulletin pape