Kagoshima Women's Junior College Repository / 鹿児島女子短期大学リポジトリ
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    A. A. Milne Peace with Honour (2)

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    [訳者解題]  本稿では『くまのプーさん』(Winnie-the-Pooh)の著者として知られるA. A. ミルン(Alan Alexander Milne)が書いた,戦争と平和に関する論考『名誉ある平和』(Peace with Honour)6章から8章までの翻訳を行う.1  本稿で扱う6章から8章では,主に本書の副題(an Enquiry into the War Convention)にもある戦争というものが行われるに至る「慣習」が議論の中心となる.「戦争への慣習」(The War Convention)と題された6章では,庭の破壊をする侵入者の寓話が描かれている.その中では,仮に自身がその庭をこよなく愛する所有者で,その侵入者による破壊を阻止する唯一の手段が偶然手元にあった爆弾を投げることだったときに,家族もろとも爆弾で庭を爆破するかどうかという問いが投げかけられる.通常はそのようなばかげたことをするものなどいるはずがないのだが,しかしそれを実行に移すのが,「感傷にとりつかれた愚か者たち」(sentimentally obsessed idiots)であるとミルンは指摘する(44).この寓話は当然のことながら,他国による侵攻とそれへの反撃という戦争の比喩になっており,ここで言われる「感傷」とは,戦争やそこでの死に対して「英雄」や「名誉」といった言葉で語られるときに呼び起こされる感情のことを指している.日本でも戦国時代の刀と刀で体をぶつけあう戦いのあり方が英雄的でロマンチックな行為として語られることがあるが,本書で言及されているように,同様の価値観が少なくともボーア戦争まではイギリスにもあったようである(49).ミルンはこの「感傷」こそが習慣的に繰り返されてきた戦争の1つの要因であると考えていた.ミルンは庭の寓話によって,庭を破壊されることに対する「本能的な武力の利用」(instinctive use of force)ではなく,例えばその侮辱行為に対して自身の面子が保たなければならないという,決闘の時代から脈々と受け継がれてきた「慣習的な武力の利用」(conventional use of force)こそが戦争を誘発するものの正体だと指摘しているのである(40).  そして7章では,戦争へと若者たちを駆り立てる号令として利用されてきた多くの詩の一節を引き合いに出しながら,その「感傷」がこれまでの歴史の中で戦争を正当化してきたと述べている.ミルンは第一次大戦を「ほとんどコミカルといってもいいほどに非英雄的なもの」(almost comically unheroic)(52)と捉えている.第一次大戦における兵士たちは,英雄のように戦場で壮絶に散ったのではなく,その多くは負傷や毒ガスの後遺症に苦しみながら,しかしベッドの上で死んだのである.1千万の戦死者のうち,800万人は,次に犠牲になるのが自分ではなく自分の戦友であってほしいと願いながら,「英雄的なことを成し遂げる前に殺されてしまった」(did nothing before they were killed)(53)という.しかしそれでもなお,彼らの死は終戦記念日の度に繰り返し行われるの祈りやスピーチ,勲章,あるいはこの章で繰り返し引用されるホメロスの「国のために死すことは甘美にして望ましいもの」という一節によって美化され,神聖化される.このようにして第一次大戦における死は,英雄的と語られてきた過去の戦争と同様に美化され,その美しき死への「感傷」によって,地獄を経験したはずのヨーロッパは同じ過ちを繰り返そうとしている.ミルンはここでこのような警鐘を鳴らしているわけである.  1940年,ミルンは『名誉ある平和』への補足として小冊子「名誉ある戦争」(War with Honour)を執筆した.その中でミルンは,自身が『名誉ある平和』を書いた目的について「読者たちに,先人の目を通した伝統的戦争観ではなく,現在の戦争を自分自身の目で見てほしかった」(I wished my readers to look at modern war with their own eyes, not at a tradition of war through the eyes of their ancestors)(6)と語っている.2 また『名誉ある平和』の10章では,勇敢な物言いで戦争について雄弁に語る者たちこそ,望めばいくらでもその機会があったはずなのに戦争で死ぬことがなかったものたちだと皮肉を込めて述べている(100).このように,自身で戦争を体験していないものたちが,「感傷」によって美化された戦争について語り,そしてそれが繰り返されることをミルンは恐れていたのである.  ミルンは自身の具体的な戦争経験について多くを語った作家ではないが,7章3節では,その戦争体験の一端を覗き見ることができる.そこでは同じ連隊の部隊に参加するために,一緒にフランスへ行くことになった物静かな青年兵士について書かれている.この青年は両親から持たされた防弾チョッキを身につけるべきかどうかを悩んでいたのだが,結局それを着ていようがいまいが関係はなく,彼は連隊合流前に敵軍の爆撃によって粉みじんに吹き飛ばされてしまったという.戦場を直に経験したミルンに,このようにあっけなく戦死した大勢の戦友がいたことは想像に難くない.そしてミルンは「自分自身の目で」目撃したその戦友たちの死を,覚悟を持って「コミカルといってもいいほどに非英雄的」だったと表現しているのである.そしてその覚悟とは,彼らの死が美化され「感傷」に訴えかける道具として,次の戦争に利用されないようにするための覚悟なのである.  ミルンはこれまで英文学研究史上重視されてこなかったきらいがある.そしてこの『名誉ある平和』もまた,一部のミルン研究者を除けばあまり語られることはなかった.しかし本書は平和主義者として第一次大戦という人類史上最初の歴史的事件を経験し,それが二度と繰り返されないよう願った作家が書いたものであり,それは当時を生きた人間の精神を示す重要な資料としても評価することができ るのである.ここに邦訳を掲載することで,ミルンの当時の願いが現代というこの時代に広く知られるための一助となればと考えている. [解題注記] 1 本稿では『名誉ある平和』の初版(Methuen, 1934)を元に引用,翻訳を行う.『名誉ある平和』の概要については拙訳『名誉ある平和〈1〉』の「訳者解題」にて詳しく述べている. 2 「名誉ある戦争」は第二次大戦下に書かれたものである.この中でミルンは,ナチスの支配に置かれることは戦争よりも悪しき状態として,ナチスとの戦争を支持している.邦訳については拙訳「名誉ある戦争」参照.departmental bulletin pape

    Active Learning Attempts for Childcare Students to Acquire the Theory and Methodology of“ Childcare Hold Rights”

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    保育学生が,子どもの権利を尊重した保育について具体的に理解し技術を習得すること,そして自己研鑽の方法を習得し態度を形成することをめざしてアクティブ・ラーニングによる授業実践を行い,その評価分析を行った.授業では「保育所・認定こども園等における人権擁護のためのセルフチェックリスト」(全国保育士会)を活用し,保育所実習及び幼稚園実習での自らの保育をふり返りながら進められた.学生が授業中に記述したふり返りシートや授業終了後回答したアンケートをもとに分析したところ,1回目の授業(セルフチェックリストへの回答及びディスカッション)によって,すべての学生が子どもの権利を尊重した保育について具体的に理解することや自己研鑽の重要性を理解することができていた.また,2回目の授業(グループでの事例検討,ロールプレイ,ディスカッション)では,すべての学生が子どもの権利を尊重した保育について具体的に理解することや,その方法を習得することができていた.また,ロールプレイを通してより具体的に保育の方法を考え,技術を習得することができていた.今回の授業の課題としては,1回の授業で形成することが難しい自己研鑽への態度形成をめざした授業の確立,より多い人数でのロールプレイの実施及び授業の運営方法が挙げられる.departmental bulletin pape

    成川遺跡第4次発掘調査速報

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    本稿は,2019年8月24日から9月8日まで行われた鹿児島県指宿市成川遺跡の第4次発掘調査の結果の速報である.新たに2基の古墳時代の墓が検出された.それぞれの墓に,1体ずつ埋葬されていた.departmental bulletin pape

    ダウン症児の二項関係から三項関係へ導く指導

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    本研究では,二項関係の段階にあるダウン症児に対し,日常生活の指導の衣服着脱の場面での視線共有の発達を促す指導を通し,どのような指導が三項関係へ導くのかを検討した.指導の結果,自発的に人や物を注視するように至った要因としては,大人のかかわる際の意識した働きかけであり,この足場づくりの中で,大人を注視することを体得し,情動の共有をも体得していったことが示唆された.その結果,人への注視が,物を注視する力にもつながっていった.さらに,大人との物を介したやりとりにより,ダウン症児の相互伝達系の発達が,要求伝達系にも影響を与え始めていることが伺えた.これらの伝達系は,相互に作用しながら,三項関係の基盤づくりに関与していることが推測された.母親支援では,母親への教師の意図的な支援の積み重ねが,母親のよりよいかかわり方の体得へとつながり,情動の共有を図ることができるようになっていくことが示唆された.departmental bulletin pape

    目次

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    新しい教職科目「総合的な学習の時間の指導法」の構想

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    本研究では,文部科学省「教職課程コアカリキュラム」を踏まえつつ,本学卒業の若手小学校教員の「総合的な学習の時間」(「総合」)に対する意識や,筆者がこれまで短大で実施してきた「環境教育演習」等の成果を分析して,「総合的な学習の時間の指導法」(「総合の指導法」)の内容・方法について構想することとした.若手教員の意識からは,地域素材教材化やカリキュラム・マネジメントなどの専門的な知識・技能はもちろん,彼女たちが教育現場へ総合の本質を伝えるメッセンジャーとなれるような教員養成が必要であることを論じた.筆者の実践の成果分析からは,体験的な活動の重要性が導き出されるとともに,教職課程において「総合の指導法」と他の体験的な活動を含む科目との,短大独自のカリキュラム・マネジメントが必要であることを論じた.「総合」の学びが教師としての成長にもつながることを重視して,今後,「総合の指導法」を構築していきたい.departmental bulletin pape

    紀要第57号(標題紙)

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    保育所における精神疾患等を有する保護者及びその子どもへの支援に関する予備的調査

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    保育所等に勤務する保育士等による,精神疾患を有する保護者とその子どもに対する支援の現状や課題を大まかに把握し今後の研究デザインを構築することを目的として,Q市の保育所等に勤務する保育士等を対象として質問紙票を用いた予備的調査を実施した.精神疾患もしくは精神的な不安定さを持つ保護者の下で生活する子どもに対する支援経験は,園長・副園長・主任などの管理職や21年以上の保育士経験のある者が多い傾向にあった.また保護者の有する精神疾患は,適応障害や気分障害が多い傾向にあった.子どもの抱える問題としては,生活リズムの乱れや行動面の問題があげられ,保育士等による個別的で丁寧な関わりや自尊感情の向上を意識した関わりがなされていた.保護者が抱える問題としては,保育士との関係形成の問題及び夫婦,家庭環境の問題があげられ,保育士等による丁寧な相談対応,前向きに子育てに取り組めるような配慮などがなされていた.また,これらのケースに対しては園内職員での連携のもとで対応する事例が多かった.一方で,外部の関係機関との連携は限定的であり,医療・保健機関との連携を図るケースが少ない傾向にあった.departmental bulletin pape

    研究活動報告(2019年1月~2019年12月)

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    鹿児島県における幼児の発育・発達に関する研究 : 運動能力の縦断的検討

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