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    Materials Pertaining to the Zoological Society of Japan, Previously Stored in the University of Tokyoʼs, Faculty of Science, Building No. 2 : The Importance of Academic Society Archives

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    application/pdf研究ノートdepartmental bulletin pape

    カナダ ノ グローバル シティズンシップ キョウイク GCE タゲンテキ アイデンティティ ノ イクセイ ト ジゾク フカノウセイ ヘノ チョウセン

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    学習院大学Gakushuin University博士(教育学)Doctor of Educationグローバル・シティズンシップ教育(GCE)が世界的な注目を集めて久しい。一方でGCEの内容や特徴については国や地域ごとに異なり、かねてより国内外において活発な議論が交わされている。本研究は世界に先駆けて多文化主義政策を導入したカナダのGCEに着目し、その分析を通して、帰属感としてのグローバル・シティズンシップ概念に関する新たな理論的枠組みの構築を目指すものである。 現代社会においてはグローバリズムへの反動としてエスノセントリズムやパトリオティズムへの逆行が見受けられる。その結果として個人のアトム化が進み、排他的思想や社会への無関心が課題となっている。一方で本論文の対象となるカナダに目を向けると、歴史的に多文化主義と国家統合の間で常に揺れ動くという葛藤を抱えている。その中でエスニック・アイデンティティとナショナル・アイデンティティの絶妙なバランスを目指し、国家としての結束と個々のルーツの尊重の両立を試みてきた。近年では2015年の「真実和解委員会勧告」(TRC勧告)により、先住民族の文化、伝統、権利の保護に向けた国家的な取り組みが進められている。その実現に向けて期待をされているのがグローバル・シティズンシップ教育(GCE)である。内なる国際化が進むカナダのGCEに求められる役割は示唆的であり、その内容と課題を明らかにすることが本研究の目的である。 GCEについてはこれまでユネスコが中心的な役割を果たしており、多元的アイデンティティの育成を目指す価値教育として取り組まれている(帰属感としてのシティズンシップ)。その上で、GCEで育まれるべき資質として、我々が持続不可能性を抱える時代において地球規模の課題と向き合っていることへの理解、そして地球市民としてのアイデンティティに基づき、その課題の当事者性を認識し、解決に向けて主体的に取り組むこと(実践としてのシティズンシップ)が挙げられる。 これらのシティズンシップ概念についての理論的枠組みとして、「帰属感としてのシティズンシップ」においてはコスモポリタン・シティズンシップとリベラル・ナショナリズムに関する論争が、「実践としてのシティズンシップ」においては柔和的GCEと批判的GCE(両者を統合して主流型GCE)、さらに革新型GCEに関する論争が検討されてきた。 カナダは国として世界初の多文化主義宣言を行い多文化共生教育に力を入れている一方、国内の分断に懸念を示す保守層からの反発もあり、ナショナル・アイデンティティ育成に向けたシティズンシップ教育が推し進められるようになった。そして内なる国際化が抱える対立や分断といった課題の解決、特に近年では先住民族との和解への取り組みに向け、GCEに期待が寄せられることとなった。 以上を踏まえた上で、序論と第1部から第3部全8章で構成される本研究の特徴として、以下の2点を指摘する。1点目は第1部第4章から第6章において、カナダの3州に焦点を当て、対象とする各州の2000年代以降の社会科カリキュラムにおけるGCEの取り扱いについて分析し、また都市部の学区における教育委員会の取り組みを比較するとともに、社会科教育ならびにGCEに造詣の深い実践者へのインタビューを通して、GCEに関する州ごとの地域的特性を明らかにする点である。その中でも特に、TRC勧告に基づくカリキュラム改訂がGCEにどのような影響を与えたか、という点に着目する。2点目は第2部第7章において、3州間の比較、分析を行った上で、そこで明らかになった内容を基に、最終的に第3部第8章で新たな理論的枠組みとしての、リベラル・グローバリズム概念を構築する点である。 なお3州と3学区に絞って比較検討を行う理由は、カナダにはナショナルカリキュラムが存在せず、州・準州ごとにカリキュラムが制定されているため、地理的、文化的、民族的背景の異なる10州3準州全てのカリキュラムを比較することには困難が伴うためである。本研究では3州3学区の選択基準として、人口、民族構成、規模、公用語、学業実績などの観点で条件が近い州と学区を選定した。その結果、州についてはオンタリオ州、ブリティッシュ・コロンビア州(BC州)、アルバータ州を、学区についてはそれぞれトロント、バンクーバー、エドモントンを選定することとした。 以上の研究目的を実現するため、本研究の考察における主軸として、以下の3点の問いを提示する。第1の問いは、2000年代以降におけるカナダの州カリキュラム上、柔和的GCEがどのように扱われてきたか、についてである。そして第2の問いは、TRC勧告後の改訂カリキュラム(草案を含む)が、先住民族を含むマイノリティ、すなわち被抑圧者の視点獲得をどれほど含むものとなっているか、という点についてである。最後に第3の問いはTRC勧告後の改訂カリキュラム(草案を含む)において、いわゆる「普遍的価値」の相対化に向けた取り組みが、どれほど扱われているか、に関してである。第1部第4章から第6章では、対象とする州や学区における取り組みについて整理をした上で、第2部第7章において第1部で明らかにした各州ならびに学区の特徴を比較し、上記の3点の問いに沿って検討を行った。 以下、各章の内容について概観する。 まず序論では、本研究の主題と方法について、第1章から第3章において述べた。 第1章では、現代グローバル社会の現状について概観するとともに、グローバル化が孕む課題について言及した。その上でカナダでは民族多様性や文化多様性に関する葛藤と向き合う方法として、多元的アイデンティティの育成が目指されている実態と、現状における課題について明らかにした。そしてその課題解決に向けた方法としてGCEへの期待が高まる中、カナダ国内におけるGCEの多様性についても指摘した。 続く第2章では、先行研究について、「GCEの国際的な動向」と「カナダにおけるGCEの変遷と現状」の2観点から検討した。前者に関しては、GCEの歴史や定義、更にはGCEに対する批判についての整理を行った。その上で、ユネスコにおけるグローバル・シティズンシップ教育(ユネスコはGCEDと表記)の歴史や特徴について概観した上で、GCEDが抱える課題として、「普遍的価値」の育成と文化的多様性の両立を目指す際の困難さを指摘した。次いで「帰属先としてのシティズンシップ」におけるコスモポリタン・シティズンシップとリベラル・ナショナリズムについて比較、検討を行った。更に、「実践としてのシティズンシップ」として、主流型GCEである柔和的GCEと批判的GCEの特徴と内容について検討するとともに、新たな基軸である革新型GCEについて紹介し、主流型GCEと革新型GCEの相補性について論じた。後者に関しては、カナダにおけるGCEの歴史について、ステージ1からステージ5に分類し、それぞれの時代におけるGCEの特徴について明らかにした。その上でカナダにおけるGCEの現状について、移民・難民・市民権省やカナダ民族遺産省の取り組み、更には各州の教育担当大臣によって構成されるカナダ教育担当大臣協議会の動向について精査した。 その後の第3章においては本研究における課題と研究の方法について述べた。すなわちGCEと最も関連の深い社会科のカリキュラムについて、対象とする3州における内容に関して、柔和的GCE、批判的GCE、革新型GCCの観点から分析を行うこと、GCEの実践をより具体的に統括する教育委員会の取り組みについて、3つの学区を対象に分析すること、更に3名の社会科教員へのインタビュー調査を行い、カリキュラム改訂の影響や教育委員会のイニシアティブについて確認をしることを明示した。 続いて第1部では第4章から第6章において、対象とする州ごとの調査、分析を行った。 第4章では、オンタリオ州のGCEについて検討を行った。カリキュラムドキュメントについては、2004年版・2005年版カリキュラム、2013年版カリキュラム、2018年版カリキュラム、2022・2023年版カリキュラムの4カリキュラムについて、その特徴を明らかにし、比較、分析を行った。その結果、オンタリオ州カリキュラムにおけるGCEについては、ローカル市民性を土台としたグローバル市民性の育成という方針が如実に表れるとともに、TRC勧告を経て、その傾向が一層強くなっていることが明らかとなった。またトロント学区における教育の特徴として、グローバル・シティズンシップと人格を柱の1つとしていること、特にヴァーチャル空間が生み出すグローバル・コミュニティへの参画といった視点が含まれている点を指摘した。社会科教員に対する聞き取りにおいては、先住民族とのかかわりに関する米加の違いについて言及され、GCEにおける先住民学習の強化については前向きな発言が聞かれた。一方で、GCEの取扱いについては教員の裁量による部分が大きい点を指摘した。 続く第5章では、BC州に焦点を当てた。調査の対象としたカリキュラムドキュメントは2006年版と2016・2018年版の2種類であり、ここでは特に先住民学習の強調という点で大きな変化が見られた。全教科全面改訂となった2016・2018年版では、カリキュラム全体の大きな特徴の1つとして、「先住民族の知識と視点へのフォーカス」が指摘されており、また社会科カリキュラムにおいても、「先住民族の視点」が強調され、先住民族に関する言及が数多くなされている点が明らかになった。一方でカリキュラムの内容は開放的であり、それゆえ先住民学習についても、ともすれば知識学習に傾倒したものとなりがちである点も指摘された。またバンクーバー学区における特徴としては、GCEを包括するものとして、「公平性・反抑圧」の教育に重点が置かれている点が特筆に値するものであった。都心部の特徴でもある民族多様性を強く意識した教育活動の展開は、多様性・包摂性カレンダーの策定といった形でも表れていた。社会科教員へのインタビューでは、BC州の開放的なカリキュラムという特徴から、教員の裁量の大きさについて、更にはその功罪についての指摘が鋭くなされた。特に教員がカリキュラムを批判的に分析し、より有効な教育実践を行うことの重要性を強調した。 更に第6章ではアルバータ州について分析した。ここでは2005年版、2018年版(草案)、2025年版(草案)の3者を対象とした。2005年版カリキュラムは、時代に先駆けてシティズンシップとアイデンティティをコア概念として提示し、その内容についても高い評価を得ていた。カリキュラム全面改訂に伴い、2018年版ではシティズンシップ教育としての様相がより強化され、また先住民族との和解に向けた教育の促進が色濃く示された草案が提出された。しかし政権交代に伴い、同草案は廃案となり、2025年版カリキュラムでは特に先住民族に関する取扱いについて、一気に保守的な内容となっていることが明らかとなった。その一方で、エドモントン学区では「反人種主義・和解・公平アクションプラン」が示され、最新のカリキュラム草案の方向性とは裏腹に、先住民学習に対してもその充実を図ろうとする姿勢を読み取ることができた。また社会科教員のコメントの中でも、改訂カリキュラムの右傾化に対する批判的指向やGCEの重要性に関する指摘もなされた。一方で、GCEの取扱いは教員の力量に多分に左右されることから、教員養成に際しての時間的・金銭的な不足という課題についても指摘した。 第2部第7章では、3州3学区におけるGCEの特徴について比較するとともに、その課題について明らかにした。 まず、柔和的GCEに関する三州の比較では、オンタリオ州とBC州のカリキュラムが2010年代に改訂され、柔和的GCEが強化されたことが明らかになった。まずオンタリオ州の2000年代のカリキュラムは、知識偏重でシティズンシップ教育の要素が薄かったが、2010年代以降の改訂では改善が見られ、特にTRC勧告に基づく2018年改訂では、更に強化が図られた。 またBC州でも新カリキュラムにおいては先住民族教育が強化された。ただし開放的なカリキュラムであるため、教育内容は教員に依存する面もある点には注意が必要である。一方アルバータ州は、2018年草案では柔和的GCEの発展が期待されたものの、その後再度作成された2025年草案では、柔和的GCEについて後退したことが示されている。アルバータ州は、政権交代に伴って先住民族教育の方針が大きく変動し、2025年度草案における先住民学習の取り扱いについては、多くの批判が寄せられている。 また、批判的GCE に関しては、TRC勧告を契機とした改訂の中で充実が期待されたが、各州とも批判的GCEの実践に向けての記述が少ないことが明らかになった。多角的視点の獲得とその重要性に関しての記載は多く見受けられるものの、表面的な共感に留まる内容が多い。批判的GCEでは高いメタ認知能力に加え、被抑圧者の立場に立ち感情を移入することで、社会の不正義を正そうとする姿勢の育成が期待されるが、その水準を達成するには、教員にかなりの力量が求められる。もっとも廃案となったアルバータ州の2018年版カリキュラム草案は、環境学習から先住民族の視点を取り入れた点で興味深く、次に述べる革新型GCEへの接続も期待される内容であった。 一方、革新型GCEは、現代の植民地主義に根ざした社会構造の持続不可能性を批判し、「普遍的価値」を問い直すことが求められる難易度の高い教育理念であるため、小・中学生にこの理解を促すのは容易ではない。実際に三州のカリキュラムを分析した結果、革新型GCEに繋がる学びはかなり限定的であることが明らかになった。教師は児童・生徒に対し、自らの常識を疑う機会を設ける必要があり、カナダの多様性はこの「普遍的価値」を問い直す環境を提供するものである。したがって教員はその体験を児童・生徒に意識化させ、反復的に行うことが重要とされる。カリキュラムにそのような要素が存在する箇所もあるが、実践に結びつるのは容易ではない。 続いて各学区の教育委員会におけるGCEの取り扱いについては興味深い差異が明らかとなった。トロント学区ではGCEが重要視され、デジタル・シティズンシップの育成に特化した取り組みが行われているのに対し、バンクーバー学区とエドモントン学区ではGCEという用語があまり使われず、多様性や包摂に対する意識が強調されている。これらの学区は先住民族との和解や人権保護に積極的に取り組んでいるが、特にマイノリティを保護・支援する「上から目線」の文脈を乗り越え、より対等な関係を構築し、多様なアイデンティティに対する理解を深める方向性が模索されている。この流れは、批判的GCEの導入を促進する要因ともなりうるもので、被抑圧者の視点を取り入れる取り組みが進行していることが伺える。 一方で、カリキュラム改訂が学区内のGCEに直接的に与えた影響はあまり大きくなかった。むしろGCE関連の取り組みはカリキュラムを超えて展開されていることが注目される。各州が提示するカリキュラムは、教育内容についての詳細な指示を避け教員の専門性に委ねる、ないしは多くの情報を提供した上で、教員に選択の余地を与える傾向にある。そのため教育委員会の取り組みは教員の判断に示唆を与えるという意味で重要視される。 教員の実践に関する比較では、教員の裁量の広さがGCEの可能性とリスクをともに持つことが明らかになった。インタビュー対象者は長い教歴を持つエキスパートで、カリキュラムに対して高い理解と創造力を有しており、それぞれが専門性を最大限に活かせる環境が整っていた。教科書利用の柔軟性や多文化主義の推進など、教員の意識はGCEに前向きであり、カリキュラムの改訂がGCEの発展を促す可能性が高い。ただし、GCEに対する関心が低い教員にはカリキュラム改訂だけでは積極的な取り組みにつながらないことも懸念される。質の高い教材開発などを通じてGCEの充実が期待される一方、教員研修の充実にはリソースの確保が必要であり、教育格差の解消が今後の課題となる。 教育現場におけるGCEの射程について、インタビューを通じて得られた見解は多様である。A氏はGCEを多文化主義の文脈で「公平性、多様性、包摂性」と関連付け、平和や持続可能性とも結びつけた。B氏はGCEの核心として主体的な思考を重視し、熱意のある教員は全体的に優れたNGOの教材に依拠する傾向を指摘した。C氏も知識教育の脱却を唱え、「和解、気候変動、正義」といったテーマを挙げ、賛否のある問いに対しては理論的な判断基準を有することの重要性を強調した。本研究では、先住民学習の充実がカナダのGCEに与える影響を探る中で、現場においてはより広範で多様な価値教育が含まれていることが明らかになった。多文化主義政策の下でのGCEの射程は、先住民学習の推進とともに拡大・明確化されている。 以上の研究結果を踏まえた上で、第3部第8章では、帰属感としてのグローバル・シティズンシップ概念に関する新たな理論的枠組みの構築を試みた。カナダが多様な文化的背景を承認するモザイク社会として成立していることは興味深く、その実態については、普遍主義を前提とするコスモポリタン・シティズンシップ概念を適用することに疑問が残る。むしろ文化相対主義の発想を軸としたうえで、柔軟な公共文化に取り入れるリベラル・ナショナリズムが適用されている。その証左として、先住民族をはじめとするマイノリティの視点獲得や価値の尊重に関するフォーカスはカリキュラム上随所に見られ、また教育委員会も公平性や包摂性の実現に向け、様々な文化的アイデンティティを尊重する取り組みを行っている。この取り組みをグローバルレベルに拡大したリベラル・グローバリズムの概念を適用することで、GCEの目的である持続可能な社会、そして究極的には世界平和の実現に踏み出せるとの結論に至った。 なお本研究の限界ならびに残された課題として、本研究における調査の対象が類似した特徴を有する3州3学区に限定されている点が挙げられる。カナダの州や都市も多様性を有するものであり、異なる背景と文脈において、どのようにGCEが展開されているか調査することは、カナダのGCE全体を俯瞰する上で不可欠である。加えて、より多くの実践者を対象とした量的調査による分析も想定されるべきであろう。またGCEにおける評価についての検討は本研究の中で対象としなかった。GCEで期待されるコンピテンシーの修得をどのように測るか、という点、さらには教育省や教育委員会がどのような評価使用を用いているか、といった点についても、今後更なる検討が必要である。application/pdfdoctoral thesi

    ゼイ コウカ カイケイ ノ リエキ ニンシキ クリノベ ゼイキン シサン ノ トウショ ニンシキ ト サイヒョウカ

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    学習院大学Gakushuin University博士(経営学)Doctor of Philosophy in Management本研究では、「繰延税金の相手勘定である法人税等調整額を純利益に算入する合理性はあるか」を基礎概念との整合性分析という手法を用いて検討した。先行研究では、繰延税金資産の当初認識と再評価を異質な手続きと解しているため、当初認識と再評価において異なる会計処理を提案していた。具体的には、当初認識に際して計上される法人税等調整額を純利益に算入することについては異論がみられないのに対し、繰延税金資産の回収可能性テストに伴って計上される法人税等調整額については、現行基準が求める処理とは異なり、これをその他の包括利益に含める提案や、そもそも回収可能性テストの必要性自体に疑義を向ける先行研究もみられた。 これに対し本研究では、法人税等調整額が投資のリスクから解放された成果といえるかどうかに関して、当初認識と事後修正(回収可能性テスト)で異なる立場をとりえないことを示した。投資のリスクから解放された成果といえるかどうかは、投資の成果に係るリスクが一定の閾値の範囲に収まるかどうかに依存するのであって、これは当初認識であっても事後修正であっても変わらない。本研究では、繰延税金資産においては「将来課税所得の見積り」や「税率変更」などの不確実性が存在していることを前提に検討を行い、当初認識と再評価は純利益の認識における不確実性の許容という点で等質的であり、評価差額が実現しているか否かは純利益に求められる不可逆性の程度に依存することを明らかにした。 本研究の貢献は、税効果会計における繰延税金資産の当初認識に伴う純利益の調整と、その再評価に伴う純利益の修正は、不確実性の許容という点において等質的なロジックに支えられていることを明らかにし、税効果会計における先行研究の結果を拡張していることである。どの程度の不確実性が純利益の認識において許容されるのかを明らかにすることで「何が純利益」が明確になる可能性がある。近年の「実現しているか否か」に関する対立や混乱は、「どのような性質の不確実性が、どれだけ減少したときに実現したといいうるのか」に関してコンセンサスが図られていないために生じていると考えられ、これを克服することで会計基準の体系を支える基礎概念としての「実現」を復権させることができる可能性がある。本研究の含意は、今後の基準設定に対して、一定の意義を有している。application/pdfdoctoral thesi

    ゼニゴケ チョウタン ブンレツ ソシキ ニオケル MpCLE2 ペプチド シグナル ノ サヨウ キコウ ノ カイセキ

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    学習院大学Gakushuin University博士(理学)Doctor of Science植物は固着性の体制を持ち、各個体が特定の場所で一生を過ごす。そのため、植物は反復して器官形成をおこない、固着した場所に適応した形態を作り上げる。反復的な器官形成能は、植物体の頂端部分に維持される分裂組織の活動によっている。分裂組織には幹細胞が含まれ、未分化な状態を保持しつつ、新たな器官を形成する細胞を供給している。分裂組織は幹細胞の増殖と器官形成のための細胞の供給とのバランスを制御することで、幹細胞の数 (幹細胞領域サイズ) を維持し、植物体の成長の源となっている。 分裂組織の幹細胞領域サイズはCLE (CLV3/ESR-related) ペプチドホルモンを介した細胞間コミュニケーションによって調節されている。被子植物では、茎頂分裂組織中の幹細胞領域サイズを減らす活性を持つCLV3ペプチドホ ルモンと、幹細胞数を増やす働きを持つWUS (WUSCHEL) 転写因子の負のフィードバックにより、茎頂分裂組織中の幹細胞領域サイズが一定に保たれている (Brand et al., 2000; Schoof et al., 2000)。一方で、コケ植物のゼニゴケでは、MpCLE2ペプチドホルモンが分裂組織中の幹細胞領域サイズを増加させる活性を持ち、被子植物のCLV3とは逆の活性となっている (Hirakawa et al., 2020)。これより、ゼニゴケのMpCLE2と被子植物のCLV3は異なる標的遺伝子の調節によって分裂組織活性を調節することが示唆された。 近年、シロイヌナズナにおいて幹細胞領域サイズを増やす働きを持つAtCLE40ペプチドホルモンが報告された (Schlegel et al., 2021)。AtCLE40シグナル伝達はCLV3とは独立に働くことから、MpCLE2とAtCLE40の幹細胞領域サイズを増やす経路が陸上植物に普遍的であるというモデルが提唱された (Hirakawa, 2022)。植物における普遍的なCLEペプチドの機能やその進化を解明するには、MpCLE2やAtCLE40シグナルの標的遺伝子を解析し、系統間で比較解析することが重要と考えられる。 本研究ではCLEペプチドが頂端分裂組織の幹細胞を増やす分子機構を解明することを目的として、MpCLE2の受容におけるLRR型受容体様キナーゼMpCIKの機能解析、MpCLE2シグナルの標的遺伝子の探索、ならびに発見した標的遺伝子の機能解析をおこなった。 結果と考察 第1章 MpCLE2の受容におけるLRR型受容体様キナーゼMpCIKの機能 シロイヌナズナのCLV3ペプチドはCLV1受容体とCIK共受容体の複合体を介してシグナル伝達を行う (Hu et al., 2018)。ゼニゴケのMpCLE2シグナルでは、CLV1ホモログのMpCLV1が受容体として働くが、CIKホモログの関与は明らかではなかった。当研究では、分子系統解析により同定したCIKホモログ遺伝子をMpCIKと命名して、MpCLE2ペプチドシグナルへの関与を解析した。CRISPR/Cas9により獲得したMpCIKノックアウト株ではMpCLE2ペプチドホルモンの応答性が失われていることを明らかとした。共免疫沈降による相互作用解析から、MpCLV1とMpCIKはわずかに相互作用していることが示唆された。これらの結果より、MpCIKはMpCLE2シグナルに必要不可欠な因子であり、MpCLV1との相互作用を介してMpCLE2ペプチドを受容する働きを持つと考えられる。 第2章 RNA-seqによるMpCLE2シグナル標的因子の探索 MpCLE2シグナルの標的遺伝子を探索するため、野生型、MpCLE2異所発現株、MpCLV1ノックアウト株、MpCIKノックアウト株を比較するトランスクリプトーム解析を実施した。この結果、MpCLE2異所発現株で特異的に発現変動する転写因子を4遺伝子、MpCLV1およびMpCIKノックアウト株で特異的に発現変動する転写因子を1遺伝子発見した。これらの転写因子は全て頂端分裂組織周辺で発現が確認されたため、これら5つの転写因子をMpCLE2シグナル標的遺伝子候補とした。 第3章 MpNAC6/JINGASA転写因子による幹細胞領域の細胞アイデンティティーの調節 MpCLE2標的遺伝子候補の中でも、MpNAC6/MpJINGASA (MpJIN) の発現量はMpCLE2異所発現株で顕著に減少していた。CRISPR/Cas9により獲得したMpJINノックアウト株はMpCLE2ペプチドに対する反応性が高まっていた。また、MpJINノックアウト株の幹細胞領域サイズは増加しており、MpJINはMpCLE2シグナルの下流で幹細胞領域サイズを負に調節することが考えられた。 プロモーターレポーター解析により、MpJINの発現は幹細胞領域の中央付近では検出されず、側方にある細胞群で強まるというパターンが見られた。特に、幹細胞領域の外側で表皮と平行な方向の細胞分裂 (並層分裂) が生じた細胞で蛍光が強かった。MpJINの発現誘導株では、幹細胞領域に異所的な並層分裂が生じた。これらの結果より、MpJINは幹細胞領域の周辺で高発現し、並層分裂を促すことで幹細胞領域サイズを調節していることが示された。 第4章 MpERF14転写因子による杯状体・無性芽形成の制御機構 MpCLE2標的遺伝子候補のMpERF14の発現量はMpCLE2異所発現株でわずかに減少していた。CRISPR/Cas9により獲得したMpERF14ノックアウト株では、クローン個体の無性芽と、無性芽を貯蔵する杯状体が形成されなかった。これより、MpERF14はMpCLE2シグナル下流で杯状体及び無性芽形成を制御する因子であることが示唆された。 MpERF14過剰発現株の表現型解析より、長期的な過剰発現の誘導では小さく未熟な葉状体が形成され、一過的な発現誘導では無性芽様の構造が形成されることが分かった。この無性芽様の構造は野生型の無性芽と同様に、親個体から脱離し、クローン個体として成長することができた。したがって、MpERF14は無性芽の発生に必要十分な因子であり、無性芽への発生運命を決定する役割を持つことが示唆された。 参考文献 Brand, U., Fletcher, J.C., Hobe, M., Meyerowitz, E.M. and Simon, R. (2000). Dependence of stem cell fate in Arabidopsis on a feedback loop regulated by CLV3 activity. Science. 289:617-619. Hirakawa, Y. (2022). Evolution of meristem zonation by CLE gene duplication in land plants. Nat Plants. 7:735-740. Hirakawa, Y., Fujimoto, T., Ishida, S., Uchida, N., Sawa, S., Kiyosue, T., Ishizaki, K., Nishihama, R., Kohchi, T. and Bowman, J.L. (2020). Induction of Multichotomous Branching by CLAVATA Peptide in Marchantia polymorpha. Curr Biol. 30:3833-3840. Hu, C., Zhu, Y., Cui, Y., Cheng, K., Liang, W., Wei, Z., Zhu, M., Yin, H., Zeng, L., Xiao, Y., Lv, M., Yi, J., Hou, S., He, K., Li, J. and Gou, X. (2018). A group of receptor kinases are essential for CLAVATA signalling to maintain stem cell homeostasis. Nat Plants. 4:205-211. Schlegel, J., Denay, G., Wink, R., Pinto, K.G., Stahl, Y., Schmid, J., Blümke, P., Simon, R.G. (2021). Control of Arabidopsis shoot stem cell homeostasis by two antagonistic CLE peptide signalling pathways. Elife. 10:e70934. Schoof, H., Lenhard, M., Haecker, A., Mayer, K.F., Jürgens, G. and Laux, T. (2000). The stem cell population of Arabidopsis shoot meristems in maintained by a regulatory loop between the CLAVATA and WUSCHEL genes. Cell. 100:635-644.application/pdfdoctoral thesi

    オウシュウ リュウガクチュウ ノ カガワ シホコ ショカン 2

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    application/pdf史料紹介departmental bulletin pape

    モノガタリロン カラ サイコウ スル パラアスリート ノ ヒョウショウ タシャカ カラ リンジンカ エ

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    学習院大学Gakushuin University博士(表象文化学)Doctor of Philosophy in Cultural Studies on Corporeal and Visual Representation本研究は,パラアスリートを題材とした表象に着目するものである.パラアスリートの表象は,彼らの障害のある身体を如何に描くか(描けるか)という課題を抱え続けており,たとえ世に発信されたとしても,削除や変更を余儀なくされることが珍しくない.こうした状況は,それぞれの作品を体系的に評価したり,位置づけたりすることを困難にしている.と同時に,視点を定めた議論を十分に積み重ねることができていないという学術的な課題にも繋がっている.以上の問題関心のもと,本研究では,パラアスリートの表象を体系立てて評価するための参照軸を打ち立て,その参照軸にもとづいた分析をとおして,パラアスリートをめぐる表象全体の様相を明らかにすることを目的とする.この目的を遂行するために,本研究は五つの章と一つの補論から構成される. 第一章では,障害表象の歴史的変遷を検討することで,パラアスリートの表象に関してどのような観点のもと議論することが可能なのかを見出していった.一般大衆に対しても障害表象が直接に受容されていたという点から,見世物文化まで遡り,次いで慈善的な障害表象,そしてパラアスリートの表象という流れで変遷を辿ることにした.見世物文化については,日本の見世物小屋と西洋のフリーク・ショーにおける当時の興行記録を中心に参照した.慈善的な障害表象については,「ポスター・チルドレン」と呼ばれる障害児の表象や今日のチャリティ番組を代表する『24時間テレビ』などの事例をもとに検討をおこなった.パラアスリートの表象に関しては,パラリンピックの報道とその考察をしている先行研究をもとに確認を進めた.こうして変遷を丹念に紐解いていくと,その共通点として「物語」というものが浮かび上がってきた.障害のある身体に対するイメージは,常に物語をとおして形成されてきたのである. 第二章では,障害表象の歴史的変遷を辿るなかで導き出された「物語」という観点を,より精緻にすることで,本研究全体を貫く研究視座を準備した.精確にいえば,パラアスリートの表象を「物語」の観点から考察するための具体的なアプローチを探査していった.このとき,まず押さえておく必要があるのが,そもそも物語とは,どのような表現形式なのかという点である.物語論や文学理論,その応用可能性を説く研究を概観すると,物語には意味の単位に関わる次元と意味同士の結びつきに関わる次元があることが窺えた.そこで本研究では,これら二つの次元にもとづきながら,「物語として表象するとは,どのような過程なのか」を整理していった.また,物語を構造的に読み解く視座が整えられたところで,「物語としてのスポーツ」に関する研究へも視野を広げていった.実際にスポーツにみられる物語を把握するために,どのような手法が採用されているのかを探査するためである.そして多くの研究が,メディア・テクスト分析という手法をもとに,スポーツにみられる物語を解釈していることが示唆された.一定の実証的な成果が認められることも踏まえて,本研究においても有効なアプローチとして採用することにした. 本研究を貫く分析手法が定まったところで,第三章(補論を除く)からは具体的な作品を取り上げて,分析と考察をおこなった.こうした実証的な試みは,それぞれにパラアスリートをめぐる表象の一端を捉えようとしたものである.その意味では,分析によって得られた結果の一つひとつが,パラアスリートをめぐる表象全体の様相を描き出すことに資する示唆を含んでいるといえる. 第三章では,『スポーツ大陸』及び『アスリートの魂』に対する分析をとおして,パラアスリートが表象されるときに典型的に認められる物語のパターンとその特徴に迫った.分析の結果,〔栄光〕→〔障害による絶望〕→〔スポーツによる救済〕→〔努力〕⇄〔挫折〕→〔再起〕というパターンが認められ,本研究では,これを典型的な物語構造と呼んだ.こうした決まりきった意味の流れが,パラアスリートに対して固定的なイメージを与え続けてきたといえる.また,従来の障害観に疑問を投げかけるような描写も一部で認められた.ところが,典型的な物語構造では,変化や抵抗の兆しを内包しつつも,それを埋没させることによってわかり易い筋書きを強固に維持していることが明らかとなった.こうして他の物語へと分岐していく可能性が封殺され,障害の克服を煽る物語ばかりが,再生産され続けてきたのである. 一方で,「物語」という参照軸は,そこから外れる表象の考察も可能にする.こうした意識のもと,第四章ではチャンネル4が制作したSuperhumansシリーズを取り上げ,そのテクストの分析を試みた.分析の結果,「間身体性」にもとづく感覚運動的な共感を生起させる描写と,障害者に対する「まなざし」に関わるような描写が認められた.チャンネル4は,言語的説明にほとんど頼らず,障害のある身体が味わってきた経験を視聴者に追体験させることによって,障害そのものを伝えようとしたのである.と同時にSuperhumansシリーズは,障害のある身体を表現する上で,「物語」は必須ではないことを示した事例と位置づけられる.こうした物語を必要としない表象が現れたことで,パラアスリートが限定的な意味付与やイメージから解放される局面が開かれていったのである. ただし,物語による意味づけの誘導から離れることは,パラアスリートの存在が単なる記号として消費される可能性も併せもつ.この点については,補論として触れている.具体的には「ダイバーシティ&インクルージョン」の文脈で表象されるパラアスリートに焦点をあて,記号として消費される可能性に迫った.その結果,パラアスリートが共生社会の実現という大義名分のもとで,ダイバーシティ推進に向けた一つの目玉商品ように扱われていることが示唆された.パラアスリートの存在から,それぞれがもつ個別具体的な背景が剥ぎ取られ,アイコンといえるほど単純化していたのである.これは「ステレオタイプ」の一つの形態といえ,容易に「他者化」に繋がる表現といえる.こうして物語からの解放は,記号として消費される局面もまた開いていったのである. これらの局面がパラアスリートをめぐる表象全体を覆いつつあるなか,とくに彼らの存在が記号として消費され,「他者」として捉えられる現状とどのように付き合っていけばよいのか.この問いに対する一つの応えを見出せたのが,第五章で扱った『WHO I AM』プロジェクトに対する分析である.この作品では,物語構造のなかにいくつかの「空所」を設けることにより,「ステレオタイプ」を拒絶し,パラアスリートに対する「他者化」の発生を退けていることが看取された.そこには「我々」と「他者」を区切るために恣意的・人為的に引かれてきた境界線を,無力化する契機が認められたのである.本研究では,これを「他者化」と対置するものとして,「隣人化」と定義した. そして結論では,この「隣人化」の契機を有する表象が開いていく可能性について論じた.とくに自己と他者をめぐる関係性の結びなおし,及びそこから生まれる寛容さについて考察を深めていった.その上で,本研究が辿り着いた景色として,自己でもあり他者でもあるという感覚と,それにもとづいた想像力や相互理解によってつくられていく社会を提示した.application/pdfdoctoral thesi

    Where is the Narrator in Narrative Comics? : Links with Critical Theory

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    application/pdf論説(Article)departmental bulletin pape

    A Study of Rhetoric in Shakespeare’s Works : with Special Reference to the Merry Wives of Windsor

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    application/pdfThe purpose of this study is to observe and analyze Shakespeare’s outstanding technique of rhetoric where three related words, phrases, sentences are frequently lined up in the characters’ lines. In this study, we take the Merry Wives of Windsor (MWW)1) as our corpus. Especially we will examine it from the view point of how the repetition or lining up of these factors, which we call “variation,” occur. The major difference between the former texts we have taken and this one is, the ratio of the verse to the prose. The percentage of the prose in MWW is overwhelmingly larger than that of the verse.2) This is comparatively opposite to that in the other works. Therefore, our major concern is to ascertain if there is any difference in the usage of the variation or repetition by the Bard between the verse-mainly-used works and prose-mainly-used ones.departmental bulletin pape

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