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Chemical Synthesis of Chalcogenide Nanocrystals using Charge Compensation Reaction and Nanostructuring of Thermoelectric Bulk Materials
甲南大学博士(理工学)令和5年度(2023年度)熱エネルギーと電気エネルギーを相互変換可能な熱電材料は、未利用熱エネルギーの有効活用に向け盛んに研究が行われている。高性能熱電材料には、高い電気伝導率と低い熱伝導率の両立が必要不可欠である。近年この課題の解決に向けた戦略として材料のナノ構造化が進められている。現行の熱電材料作製手法は大別して物理的手法と化学的手法があるが、物理的手法では材料をナノメートルスケールで微細化することは困難であり、化学的手法では、合成時に使用する有機配位子が材料中に混入することによる電気伝導率の低下が問題となっている。そこで本研究では、有機配位子フリーでのナノ結晶熱電材料の合成手法の開発に向け、電荷補償反応を利用した新たな合成系の確立を行った。また、得られたナノ結晶を焼結することにより高純度のナノ構造化熱電材料を形成した。ターゲット材料には、約300 Kで優れた熱電変換特性を示すとして知られているBi2-xSbxTe3を選択し、さらに、他のカルコゲナイド系熱電材料として、SnTeの合成に本手法を展開した。
Bi3+, Sb3+とTe2−を2:3の比率で反応させたところ、粒径が10nm以下のBi2-xSbxTe3ナノ結晶を得ることに成功した。本合成プロセスの反応速度が極めて速いことに加え、室温条件下で合成したことにより結晶成長を抑制できたと考えられる。また、Bi3+とSb3+の仕込み比により得られる試料中のBiとSbの含有率を制御することが可能であった。焼結過程において高圧化で結晶を成長させることにより、材料の結晶内部に高密度転位を導入することに成功し、ナノ構造化材料が得られた。高密度転位を有する本材料は低い格子熱伝導率を示し、さらに、配位子が含まれていないことにより、高いキャリア移動度を維持し、高い電気伝導率を示すとともに、熱電性能は従来合成法の溶融法で形成された同一材料と比較して約40%向上した。
本合成法をSnTeのナノ結晶の合成に応用した結果、直径約200nmのナノ結晶からなる高密度粒界含有バルク材料の形成に成功し、SnTeにおいても格子熱伝導率の大幅な低減に成功した。
本研究の合成手法は、配位子フリーにてナノ結晶の合成を可能とする、電荷補償反応に基づいた新規の化学的合成法であり、これまでに報告されてきた物理的手法や、熱電材料を構成する金属元素のカチオンを同時に還元する従来の化学的手法とは大きく異なる。また、種々のカルコゲナイド系熱電材料に対応可能なアプローチであり、容易にバルク材料のナノ構造化が可能であることから、高性能熱電材料の作製において有用な手段として期待できる。doctoral thesi
実習生の日本語授業に対する教師教育者の評価についてのセルフスタディ ―国際共修によるオンライン日本語教育実習の事例研究―
本研究は,日本語教師教育者である筆者が自らの教師教育実践を分析し考察したセルフスタディである。教師教育実践分析を教師教育者間で共有可能な形として提示し,筆者の言語教育観を批判的に捉え直すことで,教師教育者としての成長を目指した。具体的には,実習生による日本語授業での一場面に対し,筆者が肯定的な評価を実習生に伝えたものの,その場面での何を,どのように,なぜ評価したかを明確に言語化できなかった事例を記述し,複言語使用をめぐる筆者の言語教育観の揺れを明らかにした。departmental bulletin pape
カリカチュアの文化史
かねてから筆者はカリカチュアに文化史的素材として関心をいだいてきた。そこで大英博物館で2015年2月5日から8月16日まで,ワーテルロー戦勝200周年を記念して開催された「ナポレオンとイギリス展」に一週間近く通い,所蔵されている諷刺画(カリカチュア)をリサーチし,学芸員たちと意見の交換もした。これまで諷刺画の流通経路が判然としなかったが,ヨーロッパでの販路も開拓されていて,イギリスで制作された諷刺画が言語・文化の障壁を超え,政治,社会情勢にまで影響を与えていることが明らかになった。ヨーロッパ大陸で交戦されたナポレオン戦争は,まさに諷刺画によるプロパガンダ戦ともいえた。本論は,諷刺画家ジェイムズ・ギルレイを主軸として,プロパガンダとしての諷刺画の文化史的な意義とメディアとしての機能を追究するのが目的である。departmental bulletin pape
Dr. ユーバーシャールと甲南学園
本論は,甲南学園のドイツ語教育に力を尽くした故ユーバーシャール博士の足跡を,第一次世界大戦後から1965年に神戸で没するまで,主に学園との関わりに注目し,住まい・交友・教育の観点から記憶語り・聞書き・旧蔵写真・甲南学園史資料等を用いて明らかにしている。一人の人物のライフヒストリーを民俗学的に再構成する方法は,日独交流の時代性や体現された阪神間モダニズムの諸相を究明するにも有効であることを示した。departmental bulletin pape