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Juliaの再帰的解法における性能評価
現代のソフトウェア開発では, 目的や用途に応じて適切なプログラミング言語を選択し, 使い分けることが一般的となっている. Juliaは, 動的言語の特性を備えつつ, JITコンパイルによる高速化を実現しており, 生産性と高い性能を両立できる言語として注目を集めている.
本稿では, 関数の再帰呼び出しを多く含むアプリケーションに対して, C言語との比較および並列化による性能向上の効果について評価する. 再帰的解法を用いる例として総当たり法による巡回セールスマン問題の再帰的解法による実装に対する性能評価を行ったが, Juliaは関数呼び出しごとにメモリ獲得を行うため,スタックを使用するC 言語よりも大幅に遅くなっていることが分かった.よって, 関数呼び出しをforループに変換することなどの工夫により, 関数呼び出しの回数削減が高速化につながることが予想される.departmental bulletin pape
Determinants of Liquid-Liquid Phase Separation of Non-Canonical DNA Structures and Cationic Peptides
甲南大学博士(理工学)令和7年度(2025年度)生体分子の液-液相分離(LLPS)によって形成される液滴は、生体分子の細胞内局在のみならず、種々の細胞内反応の時空間的制御機構として注目されている。特に、細胞核内においては、核酸と天然変性タンパク質の液滴が、複製、転写、RNAプロセシングなどの反応場として機能することが知られている。核酸のLLPSを誘起する重要な因子として、DNAの非標準構造であるグアニン四重らせん構造(G4)とi-モチーフ構造(iM)がある。G4やiMを形成する塩基配列は、テロメアや疾患関連遺伝子に局在し、そのLLPSは神経変性疾患やがんとの関連性が示唆されている。しかし、どのようなタンパク質・ペプチドがG4やiMのLLPSを誘起するのか、DNAの塩基配列とLLPS能の相関など、DNA非標準構造が誘起するLLPSの分子機構には未解明な点が多い。そこで本論文では、核酸の塩基配列とペプチドのアミノ酸配列を系統的に設計して、それらのLLPS誘起能を検討した。具体的には、G4のLLPSを誘起するタンパク質・ペプチドの必須配列を解明するために、アルギニンとグリシンに富むFMRP由来のモデルペプチドに系統的に変異を導入したペプチドと、種々の二次構造を形成するDNAのLLPSを検討した。その結果、アルギニンからリシンへの置換によってペプチドのLLPS誘起能が完全に消失することや、5個以上のアルギニンがLLPSの誘起に必要であることが示された。次に、グリシンを他のアミノ酸(アラニン、プロリン、チロシン、バリン)に置換したペプチドのLLPS誘起能を検討した。その結果、グリシンはG4のLLPSの誘起に必須ではなく、ペプチドの主鎖骨格を剛直にするアラニンやプロリンを含むペプチドがより高いLLPS誘起能をもつことが明らかとなった。また、チロシンやバリンに置換したペプチドとの比較から、グリシンはG4のLLPSにおける核酸構造選択性と凝集(液-固相分離)の抑制に重要であることが示された。最後に、iMを形成する種々のDNAとFMRP由来のペプチドの組み合わせによる検討から、pHや分子クラウディングといった細胞内環境要因によってiMの構造安定性が変化し、それがLLPS誘起能と相関することが示された。以上の結果から、DNAとペプチドのLLPSを決定する要因が明らかとなった。ペプチドに関してはそのアミノ酸配列がLLPSに重要であることが示された。対照的に、DNAに関しては塩基配列よりも立体構造がLLPSの誘起を決定していることが示された。G4やiMといったDNAの非標準構造は分子環境に依存して構造安定性を大きく変化させる。また、これらの核酸構造を標的としたリガンドも開発されつつあることから、G4やiMのLLPSを分子環境や低分子化合物によって制御可能であることが本研究成果により示唆された。これらの知見は、遺伝子発現プロセスの新規制御方法の構築につながるだけではなく、核酸のLLPSが発症機構に関与する疾患に対する新たな創薬指針を提示するものであり、大きな波及効果をもつと期待される。doctoral thesi
「新学習指導要領」に見る外国語学習の意義と目的 ―第二外国語を中心に―
2025年度以降、文部科学省のいわゆる「新指導要領」による外国語教育を受けた学習者が大学に入学してくる。新指導要領下での外国語教育は、それまでのものからは大きく転換し、外国語を学習することで得ようとする能力は多岐にわたる。それに伴い授業現場も大きな改革に直面している一方、そうした学習者に対して、大学はどのような外国語教育を提供するべきなのか、そのためには何が必要なのかという疑問について論点を整理し、考察を行う。その際、近年日本の大学教育において廃止や必修科目から外すという動きが目立つ第二外国語科目について、新指導要領を参考にしながらその意義と学習目標を改めて議論し、今後の展望と課題を探ることを本稿の目的とする。departmental bulletin pape
中間言語語用論における「助言」研究の概観と課題 ―1990 年から2023 年までの研究を対象に―
本稿は1990年から2023年までの中間言語語用論における「助言」研究の歴史を、調査方法、分析の枠組み、対象者(言語)の3つの観点から概観し、今後の研究の発展を目指したものである。
従来の研究は、外国人の誤用、映画・テレビのシナリオの分析、自然談話の収集、ロールプレイ、談話完成テスト(DCT)など多様な手法で行われてきたが、データの収集法には未だ課題が残る。分析の枠組みでは熊取谷・村上(1992)の伝達方略類型をはじめ、Brown & Levinson(1987)の「ポライトネス理論」が多用されてきた。調査は日本語母語話者と英語、中国語、タイ語母語話者と学習者との比較が中心であり、留学生数の多いベトナムやネパールなどの言語話者と学習者を対象とした研究は未だ見られない。今後は調査対象の拡大が必要であり、自然談話の収集を含む調査方法に工夫と再検討の余地がある。departmental bulletin pape
[教育方法・教育実践・教育学習支援] In Reflection: From Seeger to Swift - A Tour of Popular Modern Music and its Intercultural Connection
この論文の主な目的は、コンテンツベースのコースをゼロから作成することに興味があるものの、この困難で時には気が遠くなるようなプロセスをどこから始めたらよいかわからない語学教師を支援することです。具体的には、この論文は、教師が学校に新しく赴任し、学習者の能力、クラスの規模、学校の文化、生徒の意欲レベルに関する知識が限られている状態でコース設計を作成する必要があり、そのため変革的な教育的アプローチ(Norton、2010年、NortonおよびToohey、2011年)が必要となる状況でコンテンツベースのコースを作成することについての考察として機能します。この論文では、コースに選択されたコンテンツ、このコンテンツの正当性、コース教材の準備計画、およびコンテンツベースのカリキュラムのコンテキスト内で教師のアイデンティティがどのように干渉または促進されるかについて取り上げます。この論文は、今後の反復に向けて、より充実し目的志向のコンテンツベースのコースを開発するための継続的な研究の呼びかけと、こうしたタイプのコースを作成するという勇気ある新しいステップを踏んでいる教師に、これが教師のアイデンティティ、教師と学習者の信頼関係、および全体的な学習者の関与を築くための前向きな一歩であることを思い出してもらうことで締めくくられています。さらに、この論文は、最初は非常に多くの準備が必要になる可能性があるコンテンツベースのコースは、言語学習者にとって価値があり、心からユニークな体験になる可能性があり、既成の事前に決定されたシラバスを持つより伝統的なスキルベースのコースのモチベーションを高め、代替手段として認識される可能性があるという議論で締めくくられています。The primary purpose of this paper is to help support language teachers with an interest in creating a content-based course from scratch but may not know where to begin this challenging and sometimes daunting process. Specifically, this paper acts as a reflection on creating a content-based course in a context where the teacher is new to the school and is required to create a course design with limited knowledge of learner ability, class size, school culture, and motivation level of students, thus requiring a transformative pedagogical approach (Norton, 2010; Norton and Toohey, 2011). This paper covers the content of choice selected for the course, the justification for this content, the preparation planning of the course materials, and how teacher identity can interfere or thrive within the context of a content-based curriculum. This paper concludes with a call for continued research to help develop a more enriching and purpose-driven content-based course for future iterations and to remind teachers who are taking the brave new step of creating these types of courses that this is a positive step forward for building teacher identity, teacher-learner rapport, and overall learner engagement. Additionally, the paper ends with the argument that content-based courses, which initially can be an intense amount of preparation, can be a worthwhile and wholeheartedly unique experience for language learners, and even perceived as a motivational boost and alternative to a more traditional skills-based course with a ready-made, predetermined syllabus.departmental bulletin pape
[教育方法・教育実践・教育学習支援] 甲南大学新入生の体力について(2023年度、2024年度の結果)
大学生の体力の実情を知ることは、大学における体育、健康教育を行う上で重要である。甲南大学では全学共通の必修科目として基礎体育学演習を開講しており、そこでは受講生自らが自己の体力を客観的に把握するために体力テストを実施している。2023年度と2024年度の新入生の体力テスト、体格測定、および同時期に行った中高時代のスポーツ経験の調査の結果について報告する。departmental bulletin pape
How Do We Understand Students Who Are Not Moving toward “Graduation”? : Using Goals, Aspirations, and Motivation as Cues
本論文では学業不振で意欲に乏しく、卒業の意向を問うてもはっきりした応答が得られない学生にとっての「卒業」の意味を検討した。明確な目標を持つ学生の意欲をモデルとして、意欲を構成する要素について検討した。その結果、①目標の明確さ、②価値を感じられる目標、③その活動自体に対する自己充足感、④内側から生じてくる願望、⑤実現への問題解決を支える力の5つが挙げられた。①~⑤の要素についてさらに考察をした後、意欲に乏しい学生にとっての「卒業」の意味について再検討した。「卒業」には社会的要請が含まれるが、それに対してこのような学生は自分の願望をうまくつかむことができず、実感をもって応答することができないと考えられる。このような学生を支援する際には、学生自身の願望を少しずつ実現していく経験を通して自己の感覚をつかんでいくことが重要であるとした。This paper examines the meaning of “graduation” for students who are academically underachieving, lack motivation, and do not respond clearly when asked about their intention to graduate. Using the motivation of students with clear goals as a model, we examined the components of motivation. As a result, five elements were identified: (1) clearness of goals, (2) valuable goals, (3) a sense of self-fulfillment in the activity itself, (4) aspirations that arise from within, and (5) the ability to support problem-solving for realization. After further discussion of elements (1) through (5), we revisited the meaning of “graduation” for students who lack motivation.
“Graduation” includes social demands, to which these students are unable to respond with a sense of realization because they are unable to grasp their own aspirations. When supporting such students, it is important to help them gain a sense of self through the experience of gradually realizing their own aspirations.departmental bulletin pape