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A characterization of the Brownian ratchet by a Skorohod-type equation
We formulate using a Skorohod-type equation a process with the following properties and call it a Brownian ratchet with the integer-valued moving boundary(BRIMB). It behaves like a Brownian motion reflected upward at a boundary, called the moving boundary, before it arrives at the point with the distance 1 from the moving boundary. When it arrives, the moving boundary jumps upward by 1. Afterward these processes continue this algorithm, which justifies the word ratchet. We study existence of the process, uniqueness of the law, and some distributional properties. MSC(2000) Primary 60J65; Secondary 60K05 次のような性質を持つ確率過程を、スコロホッド型方程式により定式化し、それを「整数値移動反射壁を持つブラウンラチェット」(略称:BRIMB)と呼ぶ。この過程は、移動反射壁で上向きに反射される反射壁ブラウン運動のように振る舞い、移動反射壁より1だけ大きくなった瞬間に、移動反射壁がその場所に移ってくる。そのあとは、同じ方式で動き続けることにより、移動反射壁は距離1ずつせり上がってゆくので、ラチェットと呼ぶにふさわしい挙動をする。 ラチェットとは機械部品の名称である。逆回転を防ぐ機構が組み込まれていることが特徴であり、自転車の後輪に使われているので日常生活でなじみがある。 物理や生物の分野で、ブラウンラチェットは広く興味の対象となっている(「ファインマン物理学第II 巻」21 章では「爪車と歯止め」と訳されている)が、本稿の定式化はそれらと違って、せり上がりの前後をまたいで成り立つ単一の方程式にもとづいている。 本稿では、そのような確率過程をブラウン運動にもとづいて構成し、確率法則の一意性を証明する。更新理論が自然に応用でき、ある種の汎関数の確率分布および、長時間での極限分布を明示できる。京都工芸繊維大学 学術報告書,第7巻,2014.08,pp.27-3
バガスピスを用いた抗菌性機能紙の開発に関する研究
京都工芸繊維大学博士(工学)機能紙は,様々な産業分野で開発がなされているが,機能発現のために,合成繊維や化学薬品,樹脂など石油資源に依存した原料で構成されている場合が多い.しかしながら,石油資源は有限であり,今後長期間に亘って,安定的に供給されるものではない.一方で,天然繊維を含むセルロースは,地球上でもっとも豊富な資源とされており,これを用いて機能紙を作製できることは,生活の質を維持しながら,脱石油資源を目指すために必要であると考えられる.また,抗菌加工製品は,特に日本において,清潔志向の高まりから一般生活にも浸透しており,台所用品や風呂用品ならびに肌着,下着等で使用されている.さらには,病院での免疫低下患者におけるメチシリン耐性黄色ぶどう球菌(MRSA)などによる院内感染が問題となっている.本研究は,そのほとんどが天然材料であり,未利用資源であるバガスやホタテ貝殻焼成粒子から構成され,人体のみならず地球環境にも配慮した抗菌紙の開発ならびに評価が目的である.サトウキビの搾りかすであるバガスの内径部にあたるピスは多孔質構造を有しており,機能性粒子を付着させる基材として活用することができる.機能性粒子の1つとして笹の葉粒子を粉砕,その後45m以下,45-106および106-147mの3つの範囲に分級し,濃度(10,20,50g / l)およびピス長さ(0.5, 1.0, 1.5cm)の条件において,付着方法について種々の条件にて,バガスピスに付着させ,バガスピスの孔内により多くかつバガスピスから離脱しにくい条件を見出した.その結果,バガスピスへの笹の葉粒子付着率は,脱気処理を行い,粒子径を小さく,粒子流動に必要な水量は少なく,かつ粒子濃度は高いほど,ピスのより内部に存在する笹粒子が増加し,付着率が高を向上できた.角型手すき用抄紙機を用いて,バガスピスにホタテ粒子を付着させたホタテ粒子複合ピスおよびバガスパルプを水で満たされた抄紙機のタンク中に投入後,撹拌直後にタンク下方から水抜きを行い,タンク下部に設置したワイヤーメッシュ上に原料混合物を積層させ、乾燥して抗菌紙を得た.ホタテ粒子複合ピスは,孔内にホタテ粒子だけでなく空気も含んでいるため,抄紙時に抄紙機タンク内の水面に浮紙させることで,最終的に紙表面のホタテ粒子複合ピス濃度を高くすることが可能であった.また,紙中にホタテ粒子複合ピスを比較的均一に分布させるためには、ホタテ粒子複合ピスを水中で脱気処理し,孔内の空気と水を置換することで作製可能である.ピスを用いない場合やピスとホタテ粒子を個別に単純にパルプと混抄した場合と比較し,ホタテ粒子複合ピスを用いた機能紙は3倍以上のホタテ粒子を歩留めることができた.作製した抗菌紙は,紙の表面により多くのホタテ粒子複合ピスが配置されるため,紙層内部での水素結合の阻害をしにくくなり,引張強度の低下を引き起こしにくく,またバガスパルプの坪量が小さいほど,緩やかであった.抗菌紙の作製条件によりホタテ粒子複合ピスの分布やホタテ粒子濃度を変化させたホタテ粒子複合ピスを用いた抗菌紙の抗菌性を評価した.対象の細菌は,グラム陰性の大腸菌およびグラム陽性のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)であり,抗菌性試験は各サンプルをバイアル瓶に入れ,オートクレーブに入れ高圧蒸気殺菌後,0.7~3×105個/mlの菌液を接種し,37℃にて所定時間培養した.菌数は,菌液接種直後および培養後に生理食塩水 20 mL を加え,手振り(振幅 30 cm,30 回振とう)で各検体から菌を洗い出し,ニュートリエント培地あるいはトリプチケースソイ寒天培地を用い,37℃にて48時間,混釈平板培養を行い測定した.ホタテ粒子複合ピスを用いた抗菌紙の抗菌性は,両細菌に対しての抗菌性が確認でき,脱気処理をしていないホタテ粒子複合ピスを用いることによって,脱気をしたホタテ粒子複合ピスやピスを用いない場合ならびにピスとホタテ粒子を個別に単純にパルプと混抄した場合と比較し,MRSAに対しての即効性が確認できた.本研究によって,バガスピスとホタテ粒子の組み合わせだけでなく,多孔質構造を有する植物と機能性粒子の複合物を用いることで,化学薬品の使用を最小限に留めながら,より多くの機能性粒子を機能紙中に歩留めることができるとともに,紙中の機能性粒子の分散状態を変えることが可能になり,様々な機能紙を作製するための基礎になると考えられる.例えば同量の機能性粒子用いる場合においても表面の粒子濃度を高めることや機能性効果の持続時間をコントロールすることが可能となるものと期待できる
Study on the negative regulators of IKKβ/NF-κB focusing on the link between inflammation and cancer
京都工芸繊維大学博士(学術)NF-kB is a major transcriptional factor regulating many cellular functions including inflammation; and its role is a pivotal link between inflammation an cancer. Therefore, its appropriate control is of high importance. In this study, we showed a novel negative regulator of IKKb, an essential kinase in NF-kB signaling; and a novel mechanism in that an anti-inflammatory medicine, aspirin protects against cancer via IKKb/NF-kB. First, AMAP1 was showed as a negative feedback regulator for NF-kB by binding with IKKb. Proteomics analysis identified AMAP1 as a binding protein with IKKb. Overexpression of AMAP1 suppressed NF-kB activity by interfering the binding of IKKb and NEMO, and deletion of AMAP1 augmented NF-kB activity. The activation of NF-kB induced translocation of AMAP1 to cytoplasm from cell membrane and nucleus, which resulted in augmented interaction of AMAP1 and IKKb. These results demonstrated a advanced role of AMAP1 as a negative feedback regulator of NF-kB, and presented it as a possible target for anti-inflammatory treatments. Second, clinical studies suggest that aspirin can protect against cancer, but its mechanism has not been explored. To unveil it, we identified the proteins up- or down-regulated after incubation with aspirin by using proteomics analysis. Interestingly, the analysis identified APC as one of the most up-regulated protein. APC regulates cell proliferation or angiogenesis, and is widely known as a tumorsuppressing gene which can cause colorectal cancer when it is mutated. Previous reports indicated that aspirin specifically inhibits IKKb activity, and constitutively active form of IKKb accelerates APC loss. We found that aspirin suppressed the expression of IKKb, and the deletion of IKKb by siRNA increases the expression of APC in HEK294 cells and HUVECs. These results reveal that aspirin up-regulates the expression of APC via the suppression of IKKb, which can be a mechanism how aspirin prevents cancer at least in part
京壁の流動性を向上する鍛造鏝の研究―感性と科学のハイブリッド工学基盤の展開―
京都工芸繊維大学博士(学術)日本のものづくり現場は、プロセス中の材料の特異な非線型挙動を察知する感性と試行錯誤で得た技能という暗黙知の財産がひそんでいる。特に伝統技術は先人の優れた感性資産の宝庫である。 土と水を練る造形文化は縄文式土器に遡り、その源泉は天然資源とタイムリーな火加減である。伝統技術は劣化が少なく土に戻る環境保全型で、人類との共存が証明された見習うべき技である。 21世紀のものづくりには先人の知恵を活かし、伝承の技や道具が素材に作用して機能美を達成する機序を科学的に解明し、環境負荷を低減し生命と調和したものづくりへの転換が必要である。 本研究では、京壁の仕上げ用の鏝で、明治期の刀鍛冶製法の鍛造と伝わる旧水撫ぜ鏝を用いると、手作業の混錬で土壁組成物の流動性が向上し、塗工直後には「ノロ」と呼ばれる粘土を含む水分が表面に滲出し、乾燥後には滑らかで緻密な美観と呼吸感を持つ京壁に仕上がる現象を検証し、その作用機序を解明して最先端のものづくり技術に応用展開することを主目的としている。 このために、感性科学が役割分担して融合発展するハイブリッド工学基盤の構築を目指した。 筆者の44年間の産業現場のソリューション活動から、日本の更なる発展に求められる課題は、現場の暗黙知の相互連携と科学の活用で新たな暗黙知を獲得することにあると考えている。 第2章では、移動分析車活動から現場目線で、印刷インキ転移のミリ秒の現象を高速VTRで現場と一体化した改善活動から「動的計測」と感性との連動の必要性を示した。科学知は与えた変化を客観知とし、感性知は対象から受けた暗黙知を主観知とするところが異なる。その融合には、人間の「見る」「知る」「操る」感性に科学を沿わせ感性資産を検証し、展開することが大切である。 第3章では、可視化技術が経験知を活かす感性を高めることを論じた。科学知を活かすには、課題抽出のINPUT感性と、タイミングよく働きかけるOUTPUT感性でサンドイッチする必要がある。現場ソリューション源泉は知的ストックである。感性を高めるためには多面的に真の姿を洞察し仮説をつくる「七み」(観・見・視・診・看→察・顧)の育みの必要性を提案した。仮説がないと課題を見過ごし、失敗に落ち込んでこそ成功を確信する人間の性に科学を沿わせ発展させたい。 第4章では、伝統技術の解明と、現代のエネルギー、バイオ、環境の先端技術に欠かせない水の挙動の解明を試みた。マクロな流体力学では解けない不思議に見える特異なミルククラウン現象をモデルに、分子動力学シミュレーションで水分子に特有の界面挙動がその背景にあることを明らかにした。また水と接触したアルコールは強い分極状態になる特異な水の影響力を示した。 第5章では、暗黙知を修得する日本人の高い感性を米欧と対比して特徴付けた。多様な感性軸で構成する感性空間を提案して、試行錯誤を重ね辿り着く成功空間を感性ウィンドウと名付け、感性知と科学知が相補的に役割分担して協働するハイブリッド工学モデルを構想した。 第6章では、京壁の旧水撫ぜ鏝による混錬効果に、流動性の高速度VTR観察、機械的流動性評価、低真空走査型電子顕微鏡観察、X線回折分析、水分の誘電緩和スペクトル測定、鏝材質の蛍光X線分析、磁気特性測定などを実施し客観的検証を得た。しかしなお、鍛造鏝が及ぼす作用機序には解明すべき課題があり、この解明の継続が科学技術の新たな発展に寄与するものと考えた。 第7章では、鏝の作用を機能システムと見立てて、科学と連動するハイブリッドシステムの活用を検討した。鏝の作用を、手作業をナノ領域の粘土構造形成に伝える変換関数と考え、水の分子運動論を考え合わせると、鍛造鏝面の水分子の整列構造が、鏝の作用を決定づける仮説が成り立つ。 また、微粒子分散系の混錬実験とシミュレーションで、104のせん断速度では微粒子が流動配向を起こして整列し自由水が押し出される現象がみられ、京壁の流動化とノロ滲出のモデルと対応する。 第8章では、観察された現象を機能モデル化して、伝統技術の材料と技と道具の機能解析や工学要素抽出への試行をめざした。材料系では京壁が経時的に褐色に変色する「さび」はMnが原因と究明でき、技は京弓の竹材をひと振りで選り分ける動作、道具は漆塗りの刷毛の押しと引きの同時作用、および茶の湯の茶筅の種類が点前の動作に与える影響についてその糸口を論じた。 ものづくり現場の熟練者や伝統工芸の達人、日本の「道」の熟達者に共通する、ものや事象の勘所を捉える感性の原点には、モノと感性との連動を感じる。京壁の練りの終点、京弓の竹の接合形状と張り具合、茶の湯のお点前の所作などすべてが手応え感の所産である。 日本人特有の「人を知るようにモノを知る」感性を養うと、より的確に対象が動く。ゆらぎ状態から整列が始まる「予兆」と変化の始動点を「勘所」と感じるのは、水がランダムから高次の運動を始める点でもあり、材料挙動と感性感知とが共鳴していると考えざるを得ない。 科学にも政治経済にも社会にも人の感性を高め活力を与えるイノベーションが求められている。 今を生きる我々世代は先人の感性資産を受け、時代に沿わせて次世代に継ぐ「感性豊かな日本の強み」に発展する基盤をつくる使命をもつのではないだろうか
Shadow Theory of Diffraction Grating : Reciprocity, Symmetry and Average Filter
In the theory of periodic gratings, there is no method to make up a numerical solution that satisfies the reciprocity so far. On the basis of the shadow theory, however, this paper proposes a new method to obtain a numerical solution that satisfies the reciprocity. The shadow theory states that, by the reciprocity, the m-th order scattering factor is an even function with respect to a symmetrical axis depending on the order m of diffraction. However, a scattering factor obtained numerically becomes an even function only approximately, but not accurately. It can be decomposed to even and odd components, where an odd component represents an error with respect to the reciprocity and can be removed by the average filter. Using even components, a numerical solution that satisfies the reciprocity is obtained. Numerical examples are given for the diffraction of a transverse magnetic (TM) plane wave by a very rough periodic surface with perfect conductivity. It is then found that, by use of the average filter,the energy error is much reduced in some case
高Bi組成GaAsBiの成長とレーザダイオードへの応用
京都工芸繊維大学博士(工学)本研究は、発振波長が温度に依存しない光通信用半導体レーザの実現を目的としている。高品質なBi系III-V族半導体半金属混晶GaAs1-xBixの分子線エピタキシャル(MBE)成長、GaAs1-xBixを発光層とした利得導波路型GaAs1-xBixレーザダイオード(LDs)の製作に取り組み、世界で初めて、高い特性温度および低い発振波長の温度依存性を併せ持つGaAs1−xBix LDsを実現した。 現代の情報化社会を支える光通信分野において、一本の光ファイバーに複数の光信号を伝達する波長分割多重(WDM)通信方式が重要となっている。現行のInGaAsPレーザでは、特性温度が低いことや発振波長の温度依存性の問題から、しきい値や波長を安定させるための冷却システムが必須であり、消費電力やコストの面が問題視されている。冷却システムを必要としないWDM通信方式の普及には、高い特性温度(To)を有し、かつ、発振波長が温度に依存しない(d/dT=0)光通信用半導体レーザが必要となる 当該レーザ用材料として注目したのが、Bi系III-V族半導体半金属混晶である。本混晶は、その禁制帯幅が小さい温度依存性を有することが明らかにされており、本混晶をレーザの発光層に適用することで、発振波長が温度に依存しない半導体レーザを実現できると考えられる。 Bi系III-V族半導体半金属混晶は非常に大きな非混和性を有しており、400℃以下という低温でしか成長出来ない。本研究では、非平衡な結晶成長を得意とするMBE法を用いた。AlyGa1-yAsなどの高い禁制帯幅を有する結晶が容易に成長可能なGaAs基板を用いて、高品質な高Bi組成GaAs1-xBixの成長、およびAlyGa1-yAsクラッド層からなるGaAs1-xBix LDsからのレーザ発振の実現を試みた。 本論文では第1章の序論、第2章の実験方法に続き、以下のような内容を述べる。第3章では、成長速度およびMBE成長時のAs/Gaフラックス比を制御することで、GaAs基板にコヒーレント成長する高品質な高Bi組成GaAs1-xBix薄膜を得た。GaBiモル比9.5%のGaAs0.905Bi0.095薄膜から室温において通信波長帯である1.3mでのホトルミネセンス(PL)が得られ、かつ、発光強度の劣化は見られなかった。発光強度は低下したものの、GaBiモル比11.8%のGaAs0.882Bi0.118薄膜から1.45mでのPLが得られた。Bi起因の局在準位は価電子帯上端付近より約90meV程度エネルギーの高い所まで連続的に分布しており、その密度は~1017 cm-3程度であった。その局在準位が正孔移動度に及ぼす影響は少なく、室温においてGaAs1-xBix(x3.6%)の正孔移動度はGaAs結晶と同程度であった。400℃以下という低温成長にもかかわらず、GaAs1-xBix(x3.4%)中の欠陥密度は560℃で成長したGaAsと同程度であることをDLTS法から明らかにした。Bi原子のSurfactant-like効果によって吸着原子の表面マイグレーションが促進され、高品質なGaAs1-xBix薄膜を得られたと考えられる。第4章では、高い伝導帯オフセットを有すると予測されるGaAs1-xBix/AlyGa1-yAsヘテロ接合の製作を実現した。アドミタンス法によって検出した密度8×1011 cm-2eV-1程度のGaAs1-xBix/GaAs界面準位が、GaAs1-xBix/GaAsバンドアライメントの決定に影響を及ぼしていた。GaAsとGaAs1−xBixの成長表面電子構造の違いを考慮し、Bi組成傾斜層をヘテロ界面間に導入することで界面準位密度の半減に成功し、バンドアライメント決定への足掛かりを掴んだ。また、GaAs0.941Bi0.059/Al0.3Ga0.7Asから1204nmでの光励起によるレーザ発振を実現した。20℃から80℃において、To=100 K, d/dT0.2 nm/Kであり、励起方法が異なるものの、InGaAsPレーザで報告されている値(To=66 K, d/dT=0.45 nm/K)よりも優れた値であった。GaAs1-xBixを用いることで、高い特性温度を有し、発振波長が温度に依存しない光通信用半導体レーザが実現できる可能性を示した。 第5章では、電流注入によるレーザ発振を目的として、GaAs1−xBix LDsを製作した。MBE法によってn-GaAs基板上にAlyGa1-yAsクラッド層およびGaAs1−xBix発光層を有するダブルヘテロ構造を成長した。スパッタ法により製膜したSiO2絶縁膜を幅10~80mのストライプ型にエッチングし、試料表面にはAuZnを、試料裏面にはAuGeNiをオーミック電極として蒸着し、ストライプ電極利得導波路型GaAs1−xBix (x4%)LDsを製作した。パルス駆動(パルス幅:100nsec、Duty比:0.1~0.2%)において、GaAs0.96Bi0.04 LDから波長1045.4nmでの室温レーザ発振を実現した。室温付近におけるGaAs0.97Bi0.03 LDの温度特性はTo=125 K, d/dT0.16 nm/Kであり、発振波長の温度依存性は、同様のプロセスで製作したGaAs LDに比べて、約40%に低減していた。GaAs1−xBix LDsは高い特性温度および低い発振波長の温度依存性を併せ持つことを世界で初めて実証した。以上の結果をふまえた上で、GaAs1−xBix LD特性の更なる向上への方法を第6章の今後の展望で述べた。第7章は以上全てを総括し、本論文の結論とした
劣化JPEG画像の鮮明化及び劣化パラメータの推定に関する研究
京都工芸繊維大学博士(工学)本研究では、焦点ずれ劣化や運動劣化などの空間的な画質劣化と、JPEG符号化・復号化による画質劣化を複合的に受けた劣化JPEG画像に対して、ブロックノイズやモスキートノイズを増強させることなく鮮明化を行う画像処理手法を提案した。また、鮮明化に用いる劣化パラメータを変化させて鮮明化処理を行い、得られた複数の鮮明化画像の中から最良の鮮明化画像を選択する評価規準を提案した
A STUDY OF CHARACTERISTICS AND EXPRESSIONS FOR THAI CONTEMPORARY SOCIAL POSTER DESIGN
京都工芸繊維大学博士(学術)The main Thai poster designers’ problem is a lack of creating Thai characteristic identity for communicating to contemporary Thai and international society, and this study aims to investigate Thai cultural characteristics and communication techniques which can be shared with a contemporary and international poster design approach. After the examination of posters, collected mostly in Bangkok, Thailand, in the years of 2010-2013, the author found several similarities among these posters and there are many features, which could be related to social response topics. The study starts with the analysis of current situations of Thai contemporary poster designs with various designers, which demonstrate the current Thai approaches of poster designs. Then, both the international and Japanese posters are reviewed as to find similarities and differences in characteristics and expressions. In addition, there is a study of the artistic values that reveals Japanese expression in general. Analyzing Japanese and International posters, the results of characteristics and techniques are applied to the case studies. In order to testify the characters and expression techniques by descriptive research, a series of case studies is set as a design experiment. These case studies are done to apply the characteristics and expression, which resulted from analysis, for social poster design competitions. Furthermore, their process is set to develop a clear understanding and a progress of applying the characters and expression techniques in Thai poster design. The final poster design study is also included in this research is as to affirm the result of practices, which concludes the entire process of applying the characters and expression techniques in the poster design. The final work is sent to testify in international competitions. The comments and results of final design and practices are evaluated in relation to social responses and artistic values.The main purpose of this study is to give an example of a poster design process that can be shared or applied by different cultures for changing commercial poster design toward poster art and response to community
韓国ソウルにおける近代都市計画公園形成過程に関する研究−1930年京城都市計画から韓国解放後大韓民国都市計画法制定(1962年)までを中心に−
京都工芸繊維大学博士(学術)本研究は、日帝期ソウルの都市計画による公園誕生背景から公園活用による変遷過程の検討から始まっている。1920年初頭から注目を集めていた都市公園への関心は、休養や観光、娯楽を主な用途にする憩いの外部空間役割に重点をおきながら、これを基本公園意味にする都市計画公園を模索していた。中でも児童公園への関心というのは特に児童保健を含む教育施設としての機能が強調され、公園計画において規模による公園種類に機能の分化までを総合的に計っていたことが伺える。このような都市公園アイディアが公園計画地の選定など具体案として提案されるのは、1930年の京城都市計画書を通して発表される38個所の公園地によるもので、この計画案は、1927年に朝鮮総督府によって報告された京城府内の南山公園など7個所の既存公園調査結果を土台に作成されていた。本書では、都市計画面積と人口を勘案して空地面積を計算・算出、その結果を基に公園用地の配置が具体的に計られるなど、向後の都市計画公園基準を立てる礎石を用意した公園案であり、後には公園地区と風致地区の分離、そして、市街地計画公園地区及び風致地区の決定へまで結びつくのである。公園内容をみると、公園規模による分類を基本にしながら、自然公園を除いて都市公園/運動公園/近隣公園/児童公園の4種類に構成され、このうち、運動公園と児童公園が明確な公園用途と使用対象が提案されていた。この点に着目し本研究の第1章では、「運動公園」と「児童公園」の公園意味と使用状況を中心に新聞史料を通して検討・考察をしている。「運動公園」の場合、立地選定の第一条件であった「交通便の便利なところに位置すること」で一般認知度の高い場所が選ばれていた。景福宮(朝鮮総督府庁舎)に隣接した社稷壇公園と、南山公園(南山神宮)と隣り合う奨忠壇公園と、京城駅と陸軍指揮本部を三角構図でつないでいる孝昌公園という立地条件は、集合しやすい「広場公園」としての運動公園役割が考慮されていたと伺える。この点は、新しく予定されていた運動公園の立地からも予想でき、郊外の新市街地計画地に関係している模様より、運動公園は、一定単位地区の集合スポット的な存在として考案されていたことが考えられる。実際、奨忠壇公園は1920年開園以後、運動会などの行事が頻繁に行われていたことより、「運動公園」意味である「青少年の体育を主とするもの」を模範的に見せていた一つの実践事例とも言えよう。京城の公園計画は、1930年中盤以降戦争の本格化により、既存公園意味に防空都市化を目指した目的性が加われる。1940年3月に発表されて市街地計画によりそう公園案の特徴として、大・中・小の3段階に分かれる徹底した規模による分類と、土地区画整理事業により産まれる多数の小公園が挙げられる。公園分類は、市街地計画公園案が整っていく中で公園地区と風致地区は分離されたとみられ、風致地区と区別される一般公園機能として「鑑賞という役割よりも「運動」などに使用する機能を重視すべきであること(第2章の3)」が提起されていた。「運動公園」用途は一般公園意味に吸収されるようになり、公園分類は規模に従って単純化した。土地区画整理事業で産まれた小公園は、独立した児童公園用地の確保を可能とし、公園個所は、1930年発表当初の38個所から140個所に3倍以上増加、このうち86個所という6割以上の児童公園数を増やすことができた。児童公園(小公園)は、正に京城市街地計画産物そのものであったといっても過言ではない。都市衛生と緊急用に予め空けておく「計画空地」としての公園意味は、韓国解放、そして、韓国戦争後には「公共」の場へと変遷を続く。計画空地としての公園意味は、戦後最優先課題であった住宅及び教育施設建設という緊急事態に添えることによって新たに公共の意味が加われた。本研究の第3章では、韓国解放後の公園変遷様相、特に京城市街地計画で決定された児童公園用地を中心に調査・検討の結果が述べられている。ソウルの市街地計画公園は、韓国戦争後に住宅及び学校施設、官公署に敷地が与えられていたケースが多く、児童公園敷地も例外ではなかった。洞事務所等に運営を一任していた児童公園敷地は、住民福祉施設へと変貌、場合によっては再度公園に戻るケースもみられるが、今後の公園活用や計画を模索するにはこれからも色々な課題が残っている
Studies on the application of Bombyx mori cypovirus polyhedra
京都工芸繊維大学博士(学術)初めに、サイポウイルス多角体の性質について述べた。第1章では多角体へのタンパク質の固定化方法に解説した。第2章では血管内皮細胞増殖因子VEGFと血管新生抑制作用を示すエンドスタチンを多角体に固定化したものを用い血管形成の制御を試みた。第3章ではBMP-2を固定化した多角体をコラーゲンスポンジに含ませて骨再生治療の効果を検討した。第4章では線維芽細胞増殖因子であるFGF-2 とFGF-7を多角体に固定化させ、ヒト皮膚の3次元モデル培養系の構築を試みた結果、3D細胞培養モデルは、メラニン形成のための表皮の生体外モデルとして役立ち、ケラチノサイトの増殖と分化も誘導できることが分かった。また細胞保護効果も強かった