TRAIL Tsuru Repository of Academic Institutional Library
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知的障害特別支援学校の学校文化に関する試論 ― <グレーゾーン>の生徒の適応過程から見えてくるもの―
本稿の主要な目的は、ある知的障害特別支援学校に転入学した<グレーゾーン>の生徒 の適応過程の分析をもとに、知的障害特別支援学校の学校文化の特徴に関して考察するこ とにある。 本稿を通して明らかになったことは、次の3 点である。第一に、知的障害特別支援学校 の教師が、能力差を前提にした「共同体化」と就労を意識した「障害者化(軽度障害者化 /中重度障害者化)」を両立させるという職責を担っていること、第二に、<グレーゾー ン>の生徒に対して「差異化の後押し」戦略や「学校外資源の活用」戦略を行使すること で、知的障害特別支援学校の秩序維持と生徒たちの近い将来の社会的自立の同時達成をね らっていること、そして第三に、知的障害特別支援学校は、社会の「周辺化」のメカニズ ムの一端を担う装置でありそれに強く規定されながら教師と生徒の応酬が行われているこ とである。知的障害特別支援学校においても教師たちだけでなく「障害児」とされる生徒 たちもまた能動的・創造的に生活しているのであり、通常学校となんら変わりなく教師と 生徒の「せめぎ合い」としてその学校文化を捉えていくことの必要性が確認された。departmental bulletin pape
臨床心理技法を導入した短期大学生の ピアノ演奏初心者指導事例 ― 心理技法の教科教育への応用のための試験的研究1 ―
某私立短期大学幼児教育科のこれまでにピアノの指導を受けたことのない1 年生に対し て、スモールステップ法、分散学習と即時強化法、自己観察法、弛緩法、自助集団法、等 の臨床心理技法を応用した補習指導を正規の授業と並行して7 回行い、待機群との比較な どを通してその効果を検討した。その結果、条件統制などに問題を含みながらも、補習群 の方が待機群よりも演奏技術の習得度や自己効力感等がやや高い傾向が窺われた。効果を もたらした要因として、予期された技法の効果のみならず、小集団による自助活動が幾つ かの教育的効果を生じさせた可能性を持って注目された。departmental bulletin pape
金容煥「共福享有の媒介方案」
本稿は金容煥(忠北大学校師範大学倫理教育科教授)が「第99回京都フォーラム」(2010 年9月25-27日)での報告を論文としたものである。 幸福論は近年経済的な豊かさと幸福度が一致しないために世界的な学問関心事となり、 日本でもやや遅れてであるが幸福論が盛んとなりつつある。だが幸福を個人的なものとし てとらえたものが多くあり、社会への問題意識を欠落させ個人救済的な方向に流れていく 傾向がみられる。しかし幸福を社会性を帯びたものとしてとらえ、共同社会の幸福、すな わち共福としてとらえる試みもでてきている。韓国においては、1987年の民主化の流れの 中で「正義の実現が強調されてきたが、社会内の対立を乗りこえる可能性を持つ「幸福」 ムン・ジェイン が注目されるようになった。2012年の大統領選挙では、文在寅(統合民主党)が正義を、 パク・クネ 朴槿恵(セヌリ党)が幸福を打ち出し、接線を展開した。本論はこうした韓国社会の状況 を踏まえ、幸福を単に西洋思想の翻訳にとどまらずに、韓国社会にある仏教、大倧 テジョンギョ 教など の伝統思想のなかにある概念を再検討することにより、皮膚感覚のある思想資源として現 代に再生させる可能性を論じたもので、注目される。なお日本の読者はなじみがないた め、本文に先立ち、大倧教について簡略な説明を付すこととする。韓国において固有信 イルヨン 仰、開国始祖と考えられているのは、『三国遺事』(13世紀末僧侶の一然編纂)などに記 タングンファンインファンウン 録が伝えられる古朝鮮の檀君神話である。それによれば桓因の庶子、桓雄が天から人間 タングン・ワンゴム 世界に降りてきて、熊と婚姻関係を結び檀君王倹を生んだが、檀君は中国の伝説的聖人の ぎょう 堯が即位して50年後に、平壌城に都を開き朝鮮と号したとされている。檀君朝鮮の開国年 代は箕子朝鮮のそれよりさらに約千年も歴史を遡り、中国の伝説的聖人の堯とほとんど同 時代に存在したとされ、朝鮮は中国の天子より冊封を受けた国ではなく、独自の天から降 臨した天孫の開いた国とされているのである。李氏朝鮮王朝が滅亡に瀕したとき、檀君を 民族の国祖神として信奉する各種の檀君系教団が登場してくるが、その中で大倧教は最も 有力な団体であった。現在の韓国・朝鮮人が共通に認識している民族アイデンティティと して、(1)5 千年の悠久なる歴史意識、(2)白頭山の神聖視、(3)10月3 日の「開天節」の 創設(1949年10月1 日、国慶節に関する法律で制定)、(4)檀君紀元の制定(1948年9 月25日、年号に関する法律で制定)、(5)満州=朝鮮の故土史観の定立(倍達民族史観)など は、この大倧教の活動を通じて普及していったものである。 本文内〔〕は断りのない限り訳者注を示す。日本語への翻訳は柳生真(YAGYU Makoto 延安大学講師)が草案を作成し、邊英浩(BYEON Yeongho 都留文科大学教授)が点検 した。なお以前の本研究紀要では、邊英浩を辺英浩、BYEON Yeongho をPYON Yongho と表記したものがあることを付記しておく。翻訳Translationdepartmental bulletin pape
注意欠陥多動性障害における自己認知の歪み ― 双極性障害による影響―
Since the 1990’s, many researchers have clarified that children with Attention Deficit Hyperactivity Disorder (ADHD) had unrealistically positive self-perception (positive illusory bias; PIB). That is, children with ADHD consistently have shown high self-perception despite the fact that they could only achieve low performance. For the mechanism of the PIB, some explanations have been made, such as cognitive immature, neuropsychological deficits, ignorance of incompetence, or self-protection. Additionally, it has been suggested that comorbid disorders (depression, aggression, or academic difficulties) or subtype (predominantly inattentive type or predominantly hyperactive/impulsive type) might modify the PIB in ADHD. The author pointed out the symptom similarities between bipolar disorder (BD) and ADHD, so that some children with BD might have misdiagnosed as ADHD, and BD might take over the PIB in ADHD. Finally, the future investigation should include BD to unfold the PIB in ADHD and is recommended analogue study on the PIB.departmental bulletin pape