滋賀県立大学「学術情報機関リポジトリ
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在宅看取りを終えた家族の悲嘆への訪問看護師の支援に関する文献検討
日本では,看取り後の家族への公的な支援制度はなく,悲嘆への支援に関する包括的なシステム
も整備されていない.本研究では,訪問看護師による在宅看取りを終えた家族の悲嘆への支援の現状と課題を抽出し,看取り後の家族支援の在り方を検討するため2010 年から2019 年で「在宅看取り」「悲嘆」「家族ケア」をキーワードに文献研究を行った.その結果,訪問看護師による家族への支援の時期は看取り後1 カ月以内に実施しており,支援方法は自宅訪問,電話相談,葬儀参列,弔電,手紙・カードの送付,遺族会への参加などであった.支援内容は,遺族へのカウンセリング的なかかわりを行いながら感情の表出を促し,何らかの問題を抱えた遺族には,民生委員やボランティアなど地域での見守りを依頼するとともに社会資源の橋渡しを行っていた.訪問看護師による看取り体験の共有は悲嘆ケアにおいて必要不可欠であり,家族の意向を尊重した看取り,在宅療養時からの継続的な支援,地域とのつながりを構築することの重要性が示唆された
2019 年度人間看護学部FD 委員会による授業見学の取り組みについて
高等教育機関での FD が義務化され 10 年以上が経過しているものの,定着には課題がある.本報告では,2019 年度滋賀県立大学人間看護学部 FD 委員会における授業見学について,実施状況とレスポンスペーパーの分析から授業見学に対するニーズと今後の課題を検討した.2019 年度の実施状況は前期での見学が多く,在宅看護学に関する科目が多かった.見学者の職位は講師が多かった.レスポンスペーパーのコメントは,計量テキスト分析ソフト(KH Corder3)を用いたテキストマイニング法を用いて分析を行った.その結果,見学者は学生が授業で集中している場面,授業における時間配分,授業の展開,構成,内容,学生へのレスポンス,学生の学習状況,実習との関連といったことに着目していることが明らかとなった.本学部の授業見学は,モデルとなる授業からその展開や授業技術を学ぶこと,教授内容の調整といった機能をもち,若手教員の教育力の向上に効果的であると考えられる.今後,授 業見学が定着した際には,授業を公開する教員に対してもより教育的な効果が得られるような機能を付与する工夫が必要であることが示唆された
日本の子育てシェアに関するスコーピングレビュー
少子高齢化,人口減少時代のなかで子育てを“ 個人の責任” から“ 社会全体の責任” へと広げる
必要性が示されている.現代日本において,子育てをシェアすることでその実現を模索する動きがあるが,「子育てシェア」の意味合いはいまだ明確化されていない.本研究では「子育てシェア」に関する知見を要約するため,関連する文献のスコーピングレビューを実施した.スコーピングレビューのための文献選定フローチャートに基づき,18 件の文献を選定し分析した.その結果,文献の記載内容大別から【家庭内シェア】【母子世帯向けシェアハウス】【子育てのシェアリングエコノミー】【子育ての社会化】が子育てシェアの構成要素として整理された.さらに,筆頭著者の専門領域が多領域におよび複合的要素をもつテーマであった.子育てシェアに関する関心は高まっているが,現状は母親への就労支援や要配慮母子への生活支援という側面からの検討段階にとどまっていた.今後の展望としては,母子の課題解決を必ずしも目的にしない,ポピュレーション全体を対象とした「子育てシェア」を,地域環境への連関性の観点で検討する研究の必要性が示唆された
脳卒中サバイバーのセルフマネジメントの概念分析
本研究は,脳卒中サバイバーのセルフマネジメントの概念分析により概念を定義するとともに,
その概念を活用することを目的とする.研究方法は,Rodgers( 2000)の概念分析アプローチ法を用いた.
データ収集には,PubMed,CiNii,医学中央雑誌web 版を使用した.和文献のキーワードは,「脳卒中」,「脳血管障害」and「 自己管理」or「セルフマネジメント」,英文献は,“stroke” and “self-management”で検索した.その結果,和文献3 件,英文献27 件を分析対象とした.本概念分析の属性は,【前向きな気持ちへの変化】【支援者との協働】【資源の活用】【脳卒中に伴う課題の対処】の4 つ,先行要件は,【脳卒中に伴うサバイバーの影響】【支援者の限界】【医療体制の不足】の3 つ,帰結は,【心身の健康状態の改善】【活動の増加】【健康行動の習慣化】の3 つが抽出された.脳卒中サバイバーのセルフマネジメントの定義は,「脳卒中サバイバーが,前向きな気持ちに変化するように支援者と協働しながら資源を活用し,脳卒中と上手くつき合うこと」とした