Azabu University Science Information Repository / 麻布大学学術情報リポジトリ
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食と健康寿命の科学的根拠の現状
第37回麻布環境科学研究会 市民公開講座1P(論文)会議録・学会報告application/pdfPROCEEDINGSdepartmental bulletin pape
Muscle Masses of the Hand in the American Black Bear (Ursus americanus), the Sun Bear (Helarctos malayanus), and the Polar Bear (Ursus maritimus)
The hands of the American black bear (Ursus americanus), the sun bear (Helarctos malayanus), the polar bear (Ursus maritimus), and the lion (Panthera leo) were dissected and the mass of the intrinsic hand muscles were systematically recorded to explore possible interspecies variation. Muscle mass was divided by the third metacarpal bone size for normalization. The results indicated that the normalized muscle masses of the thenar muscles were larger in the three bears than the lion, and the abductor pollicis muscle was larger in the sun bear than other bears. For the abductor digiti minimi muscle, the normalized muscle mass was larger in the three bears than the lion, but smaller in the polar bear among three bears. One limitation of this study is that here we provided only one specimen for each species, and thus the present results need to be confirmed by examining a larger number of cases in future studies. However, these differences in the intrinsic hand muscles of the four species may reflect adaptation for their different habits.P(論文)短報application/pdfSHORT COMMUNICATIONdepartmental bulletin pape
4,15- ジアセトキシスシルペノールのモディファイド化合物のリスクに関する研究
第37回麻布環境科学研究会 一般学術講演8P(論文)会議録・学会報告application/pdfPROCEEDINGSdepartmental bulletin pape
第19回麻布大学 生殖・発生工学セミナーにあたって : 「体外での配偶子形成」にあたって
第19回麻布大学 生殖・発生工学セミナーP(論文)会議録・学会報告application/pdfPROCEEDINGSdepartmental bulletin pape
Human Placenta Extract Therapy for Feline Hepatic Lipidosis
Feline hepatic lipidosis (HL), the most common hepatobiliary disease in cats, is characterized by the accumulation of excessive triglycerides (TGs) in more than 80% of hepatocytes. Forced oral feeding is recommended as the only therapy for this disease but the prognosis is often poor. As human placenta extract (Laennec) has been used to improve hepatic metabolism, we investigated the efficacy of this drug for the treatment of cats with HL. Ten cats diagnosed with HL in this study were treated with Laennec as a therapeutic drug. An immediate improvement in clinical symptoms was observed in all 10 cases. A statistical analysis indicated that the blood level of ALT (P = 0.029), AST (P = 0.029), ALP (P = 0.005), and T-Bil (P = 0.012) decreased significantly after treatment. All 7 hospitalized cases were eventually discharged from the hospital with a mean hospitalization duration of 4.8 days. The results of this study suggest that Laennec preparation has potential as an effective medicine for feline HL.P(論文)原著論文application/pdfORIGINAL ARTICLEdepartmental bulletin pape
Studies on the characterization of Porcine circovirus 2 and Lawsonia intracellularis detected in Japan by epidemiological and molecular biological analysis
麻布大学博士(獣医学)[諸言]
豚の飼養形態は大規模化しており、特に日齢ごとに大群で飼育する豚舎が増加している。それに伴い農場内に常在化している病原体は、垂直感染から水平感染を繰り返すことで広がり、重篤な経済的被害となっている。
その中でも、Porcine circovirus 2(以降PCV2)およびLawsonia intracellularis (以降ローソニア)の日本国内の農場での抗体陽性率は100%に近く、発育不良や下痢を起こし、さらには死亡に至ることもあり、養豚経営に大きな影響を与えている。そこで、この2つの病原体について分子生物学的解析を行った。PCV2については第1章に、ローソニアについては第2章に報告する。
[第1章]PCV2の分子疫学的解析
PCV2の感染は、離乳後多臓器性発育不良症候群(PMWS)や流死産、豚皮膚炎腎症症候群(PDNS)、肥育豚の呼吸器病など様々な症状を引き起こすことから、豚サーコウイルス関連疾病(PCVAD)と総称され、1990年代後半より世界中の養豚産業に深刻な経済的被害を与えている。
PCV2は、カプシドタンパク質をコードするORF2遺伝子の塩基配列に基づいた分子系統学的解析により、現在a~eの5つの遺伝子型に分類されている。2005年頃より、流行株がPCV2aからPCV2bに置き換わるのに合わせてPCVADの発生被害が深刻となっていった。2008年頃からは、世界的にPCV2aを抗原としたワクチンが普及したことで、PCVADの症例は減少した。しかし、2012年に北米のワクチン接種農場でPCVADが多発した。発症豚より検出されたPCV2は、それまでアメリカで確認されていなかったmPCV2と呼ばれるPCV2dに属する株であった。この株は実験的感染により増殖能力が高いことがわかっている。
mPCV2によるPCVADの発生以降、mPCV2と同じクラスターに入る株が流行株となり、アメリカだけでなくブラジルや中国などでもPCVADの被害が報告されている。
そこで本研究では、日本国内の養豚農場におけるPCV2感染の遺伝子検査による分子疫学的調査を行った。
(結果)
1)2015年の国内の豚のPCV2遺伝子型
日本国内でも、2009年にPCV2ワクチン接種が開始されてからは、PCVADの検出は劇的に減少していった。しかし、健康豚の血清および死亡豚の著者らの調査結果から、2014年頃よりPCV2の検出率の増加やPCVADの発生が再び見られるようになっている。そこで2015年における国内の21農場からの豚についてPCV2遺伝子型を調査した。
2015年春に国内の健康な豚より採取した血液より、PCR法を用いてORF2全領域を含むPCV2遺伝子部位の確認を行った。PCR陽性となった検体は、ORF2全領域をシークエンス解析により塩基配列を決定し、遺伝子型を決定した。その結果、7種類のPCV2が確認され、そのうち3種類は、mPCV2と同じPCV2d内のクラスターであるPCV2d-1に属する株であることが分かった。世界的に流行しているPCV2d-1が、国内の千葉県および青森県にも存在していることを示した。
2)2009年~2016年の国内のPCV2の疫学的調査
2015年の検体より、国内にPCV2d-1が存在することが確認されたことから、その浸潤状況を調査するため、2009年から2016年に範囲を広げて、国内の各地域の複数の農場における健康豚について、PCV2の遺伝子型の検出とその遺伝子型の経時的変化を調査した。
1)と同様の方法で遺伝子解析を行った結果、34種類の異なる配列情報が得られた(AccessionNo.LC278320~LC278353)。
本調査により、PCV2d-1に属する株は2012年に千葉県と神奈川県の2農場から検出され、その後には青森県、熊本県でも検出され、国内の広範囲に存在していることがわかった。また、分子系統学的解析により、国内で初めてPCV2eの存在が確認された。
PCV2d-1およびPCV2eの検出時期は、アメリカでの検出時期とほぼ一致していた。
(考察)
本調査で、増殖能力の高いmPCV2と同じクラスターに属するPCV2d-1が、2012年より検出され始め、その後全国に広く存在していることがわかった。また2016年には、アメリカで報告のあったPCV2eが国内にも存在していることを示した。
侵入経路として、輸入生体および精液が推測されたが、PCV2d-1およびPCV2eが検出された9農場では、海外から直接、豚の生体や精液を輸入しておらず、これらが直接の原因とは考えられなかった。
豚の血漿蛋白を原料とした飼料からPCV2遺伝子が検出され、その飼料を使った感染実験において、PCV2の感染が成立したとの報告があることから、感染経路として、アメリカから輸入される飼料が疑われた。
陽性だった9農場では、血漿蛋白の入った飼料を、ワクチン接種前の仔豚期に給与していたことが確認された。
アメリカでのPCV2遺伝子型の検出時期および変動と国内での状況がほぼ一致していたことからも、今後、海外での発生状況を監視し、導入豚や精液、豚の移動の他輸入飼料を含めた侵入経路の調査と、PCV2遺伝子型のモニタリングを行っていく必要がある。
[第2章]ローソニアの分子生物学的解析
豚のローソニア感染症は大きく分けて、二つの症状がある。一つはタール状~血様便を呈し、場合により死亡に至る急性タイプと、正常~軟便程度で潜在的に発育の低下に関与している慢性タイプである。特に慢性タイプは、肥育後半での発育に影響を与えることから、ローソニアによる経済的損失が報告されている。
ローソニアはグラム陰性桿菌で偏性細胞内寄生菌のため、人工培地での培養ができないことから、不明な点が多く、症状の違いが何に起因するものかわかっていない。ローソニア全ゲノムは、約1.7Mbで、そのほかに3つのプラスミド(それぞれ27133bp、39878bp、194613bp)が急性タイプの症例から2株報告されている。病原性遺伝子についてはわかっていないが、いくつかのタンパク質遺伝子の報告がある。そこで野外感染豚での症状の違いとローソニア遺伝子の関連を調査するため、細胞内の侵入に関与すると考えられるいくつかの候補遺伝子に注目して、慢性と急性タイプの症状および無症状の豚から検出されたローソニアの遺伝子学的な違いを探った。
(結果)
採取した豚糞便を不顕性、慢性、急性タイプに分類し、糞便中のローソニアの有無を、PCR法によりaspA遺伝子部位を増幅するプライマーにより確認した。ローソニアのPCRで陽性が確認されたものについて、リケッチア属で細胞内への侵入に関与するとされている、HSP60(groEL)遺伝子、50kDa(OmpA family protein)遺伝子、SodC(Super oxide dismutase)遺伝子部位のシークエンス解析を行った。その結果、同一農場の急性タイプと慢性タイプから確認されたHSP60遺伝子で2塩基の違いが認められたが、推測されるアミノ酸配列では違いはなく、同義置換であった。
ローソニアの症状が認められた豚と認められなかった豚の血清免疫反応に違いの認められた外膜タンパク質が報告されたことから、この外膜タンパク質の遺伝子部位を含む約80Kbpのシークエンス解析を行った。複数の遺伝子座位で塩基配列の違いが見られたもののいずれも同義置換であった。
次に、継代により非病原性となった株と元の病原性株との全塩基配列の比較から、プラスミドの配列に違いがあることが報告されたため、まずは、症状のタイプごとにプラスミドの有無を確認し、細胞の侵入に関与すると考えられる部位を含めた計11カ所、総計約14Kbpの塩基配列を比較した。その結果、調査に用いた急性、慢性、不顕性のそれぞれのサンプルから、報告されている3種類のプラスミドの存在を確認できた。調べた配列内でChromosome-partitioning ATPase(755bp)部位に3塩基の違いがみられたが同義置換であった。
(考察)
急性タイプの豚より検出された株の全塩基配列については、アメリカで検出された2株の報告があるが、野外感染株における慢性タイプ、不顕性タイプの便からのローソニアの配列情報については報告がなかったため、今回国内のローソニア感染豚の便を症状ごとに分けて感染や症状と関連があると推測される遺伝子に注目して配列解析を行った。
細胞内への侵入に関与すると考えられるHSP60、50kDa、SodCの遺伝子部位、血清免疫反応に違いが認められ細胞への接着や侵入にかかわることが報告された外膜タンパク質の遺伝子部位、さらにプラスミド内の病原性株と非病原性株とで配列の違いが認められた部位についてシークエンス解析をおこなった。
細胞内侵入や接着に関わる多くの遺伝子部位を確認したが、今回検出された急性タイプ、慢性タイプ、不顕性タイプの株と既知の急性タイプのHSP60遺伝子、プラスミドの1遺伝子、外膜タンパク質の遺伝子部位の塩基配列で数塩基の違いはあったもののいずれも同義置換で、症状と塩基配列の違いに関連性は確認されなかった。
本調査より、ローソニアの病原性に影響を与える可能性のある遺伝子に特徴的な違いはなく、症状の違いは個体ごとの免疫力の違いや感染時期の違いなどが増殖能力に強く影響している可能性が示唆された。doctoral thesi
The studies on improving embryo vitrification and introduction conditions of CRISPR/Cas9 system into embryos at the pronuclear stage for genome editing in pigs
麻布大学博士(学術)Genome editing technologies including ZFNs, TALENs and CRISPR/Cas9 system are now available in various organisms even in domestic animals. It is also thought that CRISPR/Cas9 system would facilitate genome editing compared with by using ZFNs or TALENs. In addition, genome editing by using CRISPR/Cas9 system could directly apply to embryos at the pro-nuclear stage (PN embryos) by microinjection of DNAs, RNAs or proteins which induce targeted double-stranded breaks without through somatic cell nuclear transfer, or embryonic stem cells. However, in many reports on successful production of knock-out pigs, the nuclear transfer method is mainstream, because the optimal conditions of microinjection into porcine embryos has not been clarified. Furthermore, it is difficult to obtain a lot of early embryos such as PN embryos, because rates of embryo production in vitro are still low and that the embryo cryopreservation is pretty difficult in the pig. Therefore, in the present study, the cryopreservation of PN embryos in pigs was first tried to improve. The in vitro and in vivo development of the PN embryos cryopreserved using the solution supplemented with EG and COOH-PLL were evaluated. The in vitro developmental rate of cryopreserved embryos was improved by the vitrification solution supplemented with 20% (w/v) COOH-PLL, and to confirm in vivo development of cryopreserved embryos, the embryo transfer was performed. The offspring derived from the vitified/warmed embryos was obtained.
Secondly, the effects of various concentrations of gRNA and mRNA or protein of Cas9 which targeted the gene of porcine LIF on rates of in vitro development to blastocycts and induction rates of the gene mutation in fresh and cryopreserved PN embryos were evaluated. The results showed that there were no significant (P > 0.05) differences in the blastocyst rates of the fresh and cryopreserved PN embryos microinjected to different concentrations of gRNA and Cas9 mRNA or protein. However, the rates of gene mutation of the fresh PN embryos microinjected to 25 ng/µL gRNA + Cas9 mRNA was significantly higher (P < 0.05) than that of fresh PN embryos microinjected to 5 ng/µL gRNA + Cas9 mRNA. However, the fresh and cryopreserved embryos which microinjected to 25 ng/µL gRNA + Cas9 protein and transferred, did not develop to fetus in the uteri of recipients. Therefore, whether the LIF is conserned with the blastocysts development was investigated. In the results, LIF and LIF receptor were expressed in porcine blastocysts, therefore it suggested that LIF may work in blastocysts. Further research is required to clarify the role of LIF in porcine embryo development. In conclusion, cryopreservation method for porcine PN embryos was successfully improved and the results showed the rates of gene mutation were affected by the concentration of gRNA + Cas9 mRNA. Furthermore, it is confirmed that cryopreserved PN porcine embryos could develop into blastocysts after the microinjection of gRNA + Cas9 mRNA or protein. The findings of the present study would contribute to the efficient production of the genetic modification pigs.【序論】ブタは家畜として優れた繁殖能力や発育能力を有し、食料供給源として人類に大きく貢献している。また、その臓器のサイズおよび形態はヒトとの類似性が高く、ヒトへの臓器提供動物あるいは疾患モデル動物としても非常に有用である。人類は優秀な動物を選抜して繁殖させる方法で利用目的に適した家畜を作り出し、そこへ人工授精・胚移植等の技術を適用して、家畜の改良を効率的に行ってきた。しかし、この手法は改良に非常に多大な時間を要する。そこで人類が解決しなければならない食料増産等の解決法の1つとして、ゲノムレベルでの動物の機能や形質を改良する手法が有望視されている。そして、遺伝子組換えや遺伝子ノックアウト(KO)動物の作出が試みられ、多くの生物現象や疾病の解明等、様々な利活用が報告されてきた。このゲノムレベルでの動物の改良は、研究の初期段階では初期胚を含む未分化な生殖系列の細胞に対する遺伝子断片の顕微注入操作等によって行われていたが、目的個体作出には操作胚由来の個体からさらに交配を重ねる必要がある。また、マウス・ラット以外の種では生殖系列に分化する胚性幹(ES)細胞株は確立しておらず、家畜では相同組換えした体細胞を核移植することでゲノムレベルで動物を改良していた。しかし、体細胞の相同組換え率が低率であるばかりでなく、核移植後の胚の発育能が著しく低いことが問題で、家畜における遺伝子改変動物作出の報告は少ない。しかし、近年開発されたゲノム編集技術のCRISPR/Cas9システムを用いることで家畜でもゲノム編集動物作出が従来法より簡便に行える可能性が示唆された。しかし、このCRISPR/Cas9システムは、前核期胚へ直接核酸等を導入してゲノム変異を高率に誘起できるが、ブタでは生体からの胚採取には手術を要すること、また、体外受精による受精率が低いことから、前核期胚を多数準備することは難しい。さらに、CRISPR/Cas9システムの前核期胚への至適導入条件が明らかでないことから、効率的にゲノム編集個体を作出することは難しい。
本研究は、ゲノム編集ブタの効率的な作出システムの構築を最終的な目的に研究を行った。第一章では新規凍害保護物質カルボキシル基導入ポリリジン(COOH-PLL)を利用した前核期胚のガラス化保存の改良を試みた。第二章では CRISPR/Cas9システムの効率化を目的とし、前核期胚へのCRISPR/Cas9システムの導入条件が体外での発生能および胚盤胞でのゲノム編集率に及ぼす影響を検討した。第三章ではガラス化保存前核期胚へのgRNAおよびCas9注入後の発生能について調べた。
第一章 新規凍害保護物質を用いたブタ前核期胚のガラス化保存法の改良
【目的】ブタ前核期胚は細胞サイズが大きいことや、細胞質脂肪滴が存在すること等から低温感受性が高く、超低温保存後の発生能が低下することが知られている。本研究では新規凍害保護物質であるカルボキシル基導入ポリリジン(COOH-PLL)を添加した保存液がブタ前核期胚の体外での発生能に及ぼす影響を検討した。さらに、本保存液によりガラス化保存した前核期胚が産子への発育能を有するかを調べた。
【方法】食肉処理場由来卵巣より回収した未成熟卵を体外成熟培養し、得られた成熟卵を凍結融解精子と体外受精し、前核期胚を得た。前核期胚は、30% (v/v) ethylene glycol (EG) およびCOOH-PLL を0、1、10、20、30% (w/v)添加した保存液(P0、P1、P10、P20、P30)を用いてガラス化保存し、加温後に体外発生培養を行い生存率および発生率を調べた。また、最も高い胚盤胞率を示したP20でガラス化保存したブタ前核期胚を発情同期化したブタへ外科的に胚移植し、産子への発生能を調べた。
【結果】P0、P1、P10、P20およびP30でガラス化保存した胚の生存率は、それぞれ91.8%、86.7%、85.4%、80.7%および76.8%で、試験区間に有意な差はなかった(P > 0.05)。P0、P1、P10、P20およびP30でガラス化保存した胚の2-4細胞期胚率はそれぞれ23.1%、27.5%、37.8%、41.7%、39.7%であり、P0およびP1において対照区(56.7%)と比較して発生率は低下した(P 0.05)。さらに、P20でガラス化保存した前核期胚を移植した8頭のレシピエント中2頭が妊娠、分娩をし、計15頭の産子が得られた。以上の結果より、20% (w/v) COOH-PLL添加保存液によりガラス化保存したブタ前核期胚の胚盤胞への発生能は向上し、産子への発育能を有することが示された。
第二章 ブタ前核期胚へのCRISPR/Cas9システム導入条件の検討
【目的】CRISPR/Cas9システムは、標的配列を認識するgRNAがヌクレアーゼであるCas9を呼び込み、標的配列を切断する。前核期胚に導入する際には一般的にgRNAとCas9のmRNAやタンパク質を細胞質注入する必要がある。しかし、ブタでは最適な導入条件は明らかになっていない。本研究では、マウスにおいて着床に必須であるとされるLeukemia Inhibitory Factor (LIF)を標的としたgRNAの作製を行い、作製したgRNAおよびCas9 mRNAあるいはタンパク質を前核期胚に注入し、その後の体外での発生能および胚盤胞のゲノム編集率を調べた。
【方法】gRNA はCRISPR directツールを使用して設計した。複数作製したgRNAのうち、最も切断効率が高いgRNAを選別するため、体細胞にgRNAとCas9を共発現するプラスミドを導入し、最も切断効率の高いgRNAを前核期胚の注入に用いた。gRNAおよびCas9発現プラスミドはin vitro転写を行い、Nuclease free waterで希釈した。第一章と同様の方法で作製した前核期胚に、 5 ng/µL gRNA+Cas9 mRNA (R5)、12.5 ng/µL gRNA+Cas9 mRNA (R12.5)、25 ng/µL gRNA+Cas9 mRNA (R25)あるいは 50 ng/µL gRNA+Cas9 mRNA (R50)を注入し、生存率および胚盤胞への発生率を調べた。対照群として、注入を行わなかった無処理区およびgRNAやCas9の希釈液を注入したSham区についても同様に生存率と発生率を調べた。さらに、10 ng/µL gRNA+Cas9 タンパク質 (Pro10)、25 ng/µL gRNA+Cas9 タンパク質(Pro25)あるいは50 ng/µL gRNA+Cas9 タンパク質(Pro50)を注入し、同様に生存率および胚盤胞率を調べた。得られた胚盤胞は回収し、PCR産物のダイレクトシークエンスによりゲノム編異率を調べた。
【結果】gRNAおよびCas9 mRNAを注入した前核期胚の生存率は無処理区において100%、Sham区において77.6%、R5において61.7%、R12.5において64.6%、R25において67.6%、R50において67.9%であり、Sham区を含む顕微注入を行ったすべての試験区において生存率は低下した(P 0.05)。gRNAおよびCas9 タンパク質を注入した前核期胚の生存率はPro10において72.7%、Pro25において75.0%、Pro50において64.3%であり、無処理区(100%)およびSham区(76.0%)と比較して有意に低い生存率を示した(P 0.05)。gRNAおよびCas9 mRNAを注入した前核期胚由来胚盤胞を回収し遺伝子型解析を行った結果、 R5において7.7%、R12.5において40.0%、R25において50.0%、R50において12.5%であり、R25はR5と比較して高いゲノム編異率を示した(P < 0.05)。本研究により、gRNAおよびCas9 mRNAあるいはタンパク質の前核期胚への注入は、胚の生存性を低下させるものの、胚盤胞への発生能には影響を及ぼさないことを示した。また、本研究の結果よりR25において最も高いゲノム編集率を示したため、効率よくゲノム編集胚を作出するためには適切な濃度のgRNAおよびCas9 mRNAを注入する必要があると考えられる。
第三章 ガラス化保存ブタ前核期胚へのgRNAおよびCas9注入後における発生能の検討
【目的】ブタ前核期胚は低温感受性が高く、ガラス化保存が難しいことに加え、顕微操作を伴う核酸の注入は胚への物理的なダメージが大きく、これまでにガラス化保存した前核期胚を用いて遺伝子改変動物を作出したという報告はされていない。そこで、第一章により確立した20% (w/v) COOH-PLL添加液を用いてガラス化保存したブタ前核期胚にgRNAおよびCas9を注入し、その後の発生能を評価した。
【方法】第一章と同様の方法で作出した前核期胚を20% (w/v) COOH-PLL添加液を用いてガラス化保存し、加温後にgRNAおよびCas9 mRNAあるいはタンパク質を注入し、体外発生培養後の生存率および発生率を調べた。注入試験区は第二章と同様に設定した。さらに、Pro25を注入した新鮮およびガラス化前核期胚を胚移植し、28日後に子宮を採取し胎子の作出を試みた。
【結果】gRNAおよびCas9 mRNAを注入したガラス化保存前核期胚の生存率は無処理区において100%、Sham区において8.3%、R5において31.8%、R12.5において31.6%、R25において50%であり、Sham区では生存率は低下した(P 0.05)。gRNAおよびCas9タンパク質を注入したガラス化保存前核期胚の生存率は無処理区において59.5%、Sham区において32.4%、Pro10において27.0%、Pro25において34.2%、Pro50において16.2%であり、Pro50は無処理区と比較して有意に低い生存率を示した(P < 0.01)。胚盤胞率は無処理区において2.7%、Sham区において%、Pro10において2.7%、Pro25において5.4%、Pro50において5.3%であった。Pro25を注入した新鮮およびガラス化前核期胚を胚移植した結果、胎子は確認できず、また着床痕も観察されなかった。以上の結果より、ガラス化保存したブタ前核期胚にgRNAおよびCas9を注入した結果、胚盤胞に発生することが示された。また、胚移植後に胎子への発育は確認されなかったが、LIFは胚の発生にも関与しているため、ゲノム編集が生じLIFが欠損し着床がみられなかった可能性もあり、胚におけるLIFの役割についてさらなる研究が必要であると考えられる。
本研究により、ブタ前核期胚のガラス化保存法の改良に成功し、CRISPR/Cas9システムの導入条件が胚の生存性とゲノム編集率に影響を及ぼすことを示した。さらに、CRISPR/Cas9システムを導入したガラス化保存ブタ前核期胚が胚盤胞への発生能を有することをはじめて明らかにした。本研究の成果は、ゲノム編集ブタ作出の効率化に有用であると考えられる。doctoral thesi
乳牛における牛白血病ウィルス感染と繁殖障害 : 下垂体機能との関連
第92回麻布獣医学会 一般学術演題11P(論文)会議録・学会報告application/pdfPROCEEDINGSdepartmental bulletin pape
相模原市における食環境整備の取り組み : 生涯にわたり健康でいきいきと暮らす姿を目指して
第37回麻布環境科学研究会 市民公開講座3P(論文)会議録・学会報告application/pdfPROCEEDINGSdepartmental bulletin pape