Kyoto Sangyo University Academic Repository / 京都産業大学学術リ
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Exploring Potential of a New Career for Athletes : The Case of the “Community-Based Professional Athlete”
競技スポーツの世界では,優れた結果を出して高い評価を得ることでアスリートのキャリア形成が安定化する。しかしそれを実際になせるのは,一部のアスリートに限られる。そこで本稿では,競技スポーツの世界における評価を絶対的な軸としない新しいアスリートキャリアの可能性を探ることを目的とした。そしてそのために,競技をすることに特化して報酬を得るのとは異質の「地域密着型プロアスリート」として活動するA 氏のキャリアについて考察した。
本稿ではA 氏およびA 氏の関係者に対して実施したインタビューの結果について,贈与論にもとづいた考察を行った。簡約すると,A 氏と応援者・支援者のあいだには,お互いができることをして,それによって支え合うような「応援する- される」という関係が見出された。またそのような関係では,競技の結果ではなくアスリートの存在にかけがえのない価値が伴っていることが明らかになった。本稿の事例からは,競技スポーツの世界における評価に左右されにくいアスリートのキャリア形成の実現に向けて,アスリートを競技するだけの存在に矮小化しないことの重要性が示唆された。departmental bulletin pape
Performance Report for the Center for Sciences towards Symbiosis among Human, Machine, and Data
ヒューマン・マシン・データ共生科学研究センターは、我が国が目指すべき新しい未来社会の姿として提唱されているSociety 5.0(各種情報技術と人間行動を統合した人間中心の社会)を視野に、人間と情報環境との調和的な共生の実現に向けた基盤研究を推進することを目的とする。特に、神経科学、データ工学、スポーツ科学の研究手法を基盤とした分野横断的な共同研究を組織し、脳生体信号を情報環境に活用するブレイン・マシン・インタフェース(Brain–Machine Interface; BMI)のための基盤研究と、人間の運動や健康データの人工知能(Artificial Intelligence; AI)分析をソーシャルネットワーク上で応用する研究を、並行して進める。具体的な研究テーマとして、1)脳活動および各種生体信号に基づく情報環境の実現に向けた基盤研究、2)Health・Social データのAI分析および社会的応用に関する研究、に取り組む。本稿では、令和6年度の研究の成果をテーマごとにまとめて報告する。departmental bulletin pape
Research into the Origin and Development of the Scouring Industry in Japan : Centered on Kyoto : (PartⅠ)
本研究の課題は,京都を発祥として各地に普及した,織物・繊維産業における精練業の生成と発展の過程や存続に向けての展開について多角的ないし多面的に考究することである.精練とは,絹織物をはじめとする各種織物および絹織物の原料である原糸の生産において,天然資源ゆえに含まれている不純物,あるいは,製造中に付着する不純物を,水酸化ナトリウム等の界面活性剤などを用いて,可能な限り漏らさず除去する工程のことである.精練は,関連する漂白工程とともに,純白または発色による鮮明色を得るには必須であり,その巧拙が製品の品質を大きく左右する,現在もなお欠くことができない工程である.精練は,織物・繊維産業で重要な工程にもかかわらず,製織部門の前工程ないし下請工程と位置づけられたため,クローズアップされることは稀であり,学術的研究も僅少に止まる.そこで,本稿では,これまで等閑に付されてきた精練業に着目し,その生成と展開,発展ないし成長のプロセスを産地織物業の歴史像の再評価および再構築をおこなっていく.departmental bulletin pape
The effectiveness and future challenges for the COIL exchanges in an Indonesian Language Course at KSU
近年、COIL(Collaborative Online International Learning)を大学での語学授業に活用する機運が高まっているが、COIL には豊富なバラエティがあるため、学習者と学習環境に適した手法を選ぶことが必要になる。したがって筆者は、本学外国語学部で初修外国語としてインドネシア語を専攻する学生に最適なCOIL の手法を探りつつ、その語学力向上への効果を測るべく、実験的にゲスト講師を招いて学生との単発オンライン交流を実施し、事後学生アンケート調査を行った。本稿では、この実験的オンライン交流の内容と結果について報告し、学生アンケート調査結果の分析を通して、学生がCOIL 型交流に積極的に参加し、対面型授業では得られない学びを得たことを指摘する。また、今後の希望として学生は教員との交流以上に、同世代の学生との交流に関心を持っており、かつゲスト1 名対1 クラスの交流よりも1 クラス対1 クラスの対話に興味を抱いていた点に言及する。さらに、今回のオンライン交流の経験を踏まえて、大学内での海外大学とのオンライン交流にかかる手続きや業務フローのアップデートの必要性とともに、学部内でCOIL 授業を行う際に招聘するゲストへの謝礼支出についての合理的なルール作りを今後の課題として提言した。departmental bulletin pape
The Use of the Adjective “Primitive” in André Breton’s Writings on Hector Hyppolite
本研究は,1940 年代のアンドレ・ブルトンの美術論における「プリミティフ」という形容詞に焦点をあてながら,ブルトンが1945 年にハイチで出会った画家エクトル・イポリットに関する論考を分析する。その重要性にもかかわらず,この出会いはこれまであまり注目されてこなかった。ブルトンはイポリットの芸術を高く評価し,1948 年に「エクトル・イポリット」を執筆している。
イポリットの作品がブルトンの審美的な思考に対して与えた影響の射程に焦点を当てる。ブルトンにとって「プリミティフ」は西洋の合理主義的,物質偏重主義的な世界の見方を批判する有効な手段であり,イポリットの芸術は,戦後シュルレアリスムの再生に不可欠な,純粋で本質的な美を体現しているとみなされた。ブルトンのテクストを分析し,イポリットの絵画《パパ・ロコ》が1947 年の国際シュルレアリスム展のカタログの冒頭を飾った理由を考察する。イポリットの作品が西洋中心主義的な美術の枠組みを超えて,より多様な表現を受け入れさせるような新しい見方を提示し,戦後のシュルレアリスムの発展に重要な役割を果たしたことを示す。departmental bulletin pape
Analysis of Japanese-English Code-switching using Systemic Functional Grammar
バイリンガル同士の会話に見られるコードスイッチング(code-switching=CS)という現象を包括的に分析していくために,「なぜ」CS が起こるのかを明らかにしようとする社会言語学的・語用論的アプローチと,「どのように」CS が起きているのかを説明しようとする言語学的アプローチの二つのアプローチを組み合わせる必要がある。Halliday(1994)によって提唱されたシステミック機能文法は,意味に焦点を置いて英語の節(clause)の分析を行うものであるが,Fawcett(2008)はこのアプローチをthe Cardiff Grammar として,さらに発展させ,統語構造と8 層の意味構造から分析するフレームワークを提唱した。本稿では,言語類型論的に距離のある日本語と英語のCS において,このフレームワークを使って分析をする方法を確立することを目指した。均衡バイリンガルの自然な会話のデータから日英CS の例文を抽出し,統語構造と意味構造からの分析を行ったが,先例のない斬新なCS の分析方法であり,個々のデータについてより深い分析をすることができ,CS が起こる要因を探るという大きな命題へのアプローチとして,今後の発展が見込まれる。departmental bulletin pape
Reconsideration of Design Thinking and Art Thinking
デザイン思考とアート思考はイノベーションの有益なツールとされているが,その理論的な性格は不明確なままである.そのため,本稿では,それぞれの理論的性格について考察を加えた.その結果,デザイン思考は現象学を理論的基礎とし,状況論的で実践論的な人間観を持ちつつも,科学観はエスノメソドロジーに近いことや,アート思考は現象学を理論的基礎としながらも,一部でポスト構造主義的な思想にも依拠していることが窺えた.departmental bulletin pape