Mount Fuji Research Institute (MFRI): Repository / 富士山研リポジトリ
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Discovery of Aegagropila linnaei var. yamanakaensis in Lake Shoji and Lake Motosu at the northern foot of Mt. Fuji (Preliminary note).
緑藻シオグサ目のフジマリモは富士五湖のうち山中湖、河口湖、西湖の 3 湖ではその生育が確認されているが、精進湖と本栖湖では未確認であった。しかし、西湖・精進湖・本栖湖はもともとひとつの湖であったものが富士山の噴火により分断されてできた湖なので、精進湖や本栖湖にもフジマリモが生育している可能性が高い。そこで、本研究では精進湖と本栖湖にフジマリモが生育しているか否かを確認することを目的に採集器や潜水による調査を行った。その結果、2012 年 6 月に精進湖の水深 2 〜 5 m で、2013 年 11 月に本栖湖の水深 17 〜 22 m でマリモ属様の糸状緑藻を発見した。顕微鏡観察を行った結果、藻体には枝と不定根が認められ、細胞内部には円盤状の葉緑体や多裂型のピレノイド、複数の核が確認された。これらはマリモ属の特徴に一致し、細胞の大きさと形、産地などから、本種をフジマリモと同定した。また、リボソームDNA の塩基配列(ITS 1 - 5 . 8 S-ITS 2 領域)は既知のマリモの配列とほぼ一致した。したがって、本研究により精進湖と本栖湖にもフジマリモが生育していることが明らかになった。journal articl
Effects of Dwarf Shrub Salix reinii on the Establishment, Survival and Growth of Tree Seedlings Larix kaempferi in a Volcanic Desert on Mt. Fuji: Verification by Monitoring for 14 years
富士山北斜面のスコリア荒原に侵入した高木種カラマツの実生は強い乾燥や基質不安定性などの厳しい環境に曝されるが、矮性低木ミヤマヤナギがナース植物として働くことが知られている。カラマツに対するミヤマヤナギのナース植物効果の詳しいメカニズムを明らかにするため、14 年間の追跡調査を行い、カラマツの新規加入と生残、成長量をミヤマヤナギのパッチ内とパッチ外で比較した。カラマツ実生の新規加入数はパッチ内外で偏りは無く、定着への促進効果は認められなかった。生残率はパッチ内の方がパッチ外よりも高く、特にパッチ樹冠高よりも低い個体で顕著だった。一方でパッチ樹冠高を超えた個体では、パッチ内外で生残率に差はなかった。これより、カラマツの生残に対するミヤマヤナギの促進効果はカラマツがパッチ樹冠よりも小さい時に働き、パッチ樹冠高を超えると消失すると考えられる。カラマツの樹形はパッチ内外で異なっており、パッチ内に生育する個体はパッチ外の個体よりも主幹が細長く樹冠が広い形態をもっていた。14 年間の基部径、樹高、平均樹冠直径の成長量の比較では、パッチ内個体の樹高が有意に高い成長を示した。樹高の相対成長速度は、カラマツがパッチ樹冠高よりも小さい時はパッチ内外で差はないが、樹冠高を超えるとパッチ外の個体の相対成長速度がパッチ内個体よりも有意に小さかった。これは、カラマツの成長に対するミヤマヤナギの促進効果は、カラマツがパッチ樹冠より高くなった後に作用することを示している。スコリア荒原におけるカラマツの生育に対するミヤマヤナギのナース植物効果の重要性がより明確になった。journal articl
Influence of a light intensity gradient on the ecotone formation i conifer forest - semi-natural grassland boundaries
植物群落としてのエコトーンの成立過程を解明するためには,環境勾配による個々の種の分布の変化パターンを知ることが 有効である。その視点から,草原と森林の境界におけるエコトーン形成への光強度勾配の影響を明らかにするために,光強度の変化に対する個々の植物種の出現応答に基づいて,異なる光強度勾配をもつ群落間で種構成を比較した。調査地は,富士山北西麓の標高 1260 m に位置する野尻草原と,それに隣接する青木ヶ原樹海である。草原と森林が接する場所で,林縁が草原側に突出して光強度の変化が急な場所と,林縁が森林側に凹んで光強度の変化が緩やかな場所に,林縁を横断する長さ50 m のトランセクトを設置した(トランセクト S およびトランセクト G)。各トランセクト上に0.5 m 間隔で0.1mx1m のコドラートを101地点に設置し,植生調査を行った。調査対象は草本種及び樹高1.3 m 以下の木本種とし,出現種を記録した。環境条件として,コドラートごとに相対光量子密度を測定した。
各トランセクトの 25 m 地点を中心とした 15 m 区間での相対光量子密度の変化の幅はトランセクトSで80.1ポイント(19.4~99.5%)に対し, トランセクト G では 51.5 ポイント(4.7~56.2%)であり,相対光量子密度の変化はトラン セクト G の方がより緩やかだった。草原から森林にかけての草本層上面の相対光量子密度の変化と各植物種の出現応答の関係を調べるため, Huisman-O1ff-Fresco モデルを用いて種反応曲線を推定し,各植物種の出現確率が高い相対光量子密度の範囲を抽出した。抽出した各植物種の相対光量子密度の範囲をクラスター分析で区分した結果,光強度に対して異なる出現傾向を示す5つのグループに区分された。トランセクトGにおいては陰性植物種と陽性植物種の分布が重なる範囲がトランセクトSに比べ広いことが示された。また, トランセクトGにおいては林縁付近で特徴的に出現する種が確認された。
光強度が緩やかに変化する林縁では,陰性植物種と陽性植物種の分布の重なりが生じること,および林縁を好む種の分布範囲が広くなり生育の可能性が高くなるために,それぞれの群落内部とは異なる種構成が生じ,エコトーンが形成されていたと考えられる。journal articl
山梨県富士山科学研究所 ニューズレター Vol. 18 No. 1
・トピックス:富士山科学講座 '14
・研究紹介:富士山火山防災のための火山学的研究
火山防災研究部 内山 高・吉本充宏・山本真也・常松佳恵・渡邉 学・笠井明穂
・研究紹介:大型野生動物の研究と管理
自然環境研究部 小平真佐夫
・マツボックリ通信:環境教育・交流事業の紹介othe
Distribution and abundance of Japanese Thrush. Brown-headed Trush, Siberian Blue Robin and Red-flanked Bluetail in breeding season at the northern slope of Mt.Fuji
富士山北麓において,クロツグミ, アカハラ, コルリ, ルリビタキの生息状況を明らかにするため,調査地点を10箇所設けて調査を行った。その結果,10箇所の調査地点のうち, アカハラが6地点ともっとも広範にわたって確認された。次いでコルリが3地点,クロツグミ, ルリビタキは2地点で確認された。対象種の垂直分布について, アカハラークロツグミ, ルリビタキ―コルリの傾向が示された。今後はより詳細に環境別に調査点を設け,それぞれの種の選好する環境が明らかにしていくことで,環境の変化が鳥類にどういった影響をもたらすのか。定期的調査を継続していくことが必要であると考え られる。journal articl
Seasonal and diurnal variation of nitrogen oxides and ozone in a forest site at the foot of Mt.Fuji
富士山麓森林において、森林樹冠上における窒素酸化物(NO,NO2)とオゾン(O3)濃度を2011年9月から2012年10月にかけて観測し、森林と近隣市街地におけるNO,NO2,O3濃度の季節変化および日変化について考察を行なった。
森林と市街地のNO,NO2,O3濃度は同様の季節変化を示した。森林のNO,NO2濃度は、市街地とに比べて低かった一方、O3濃度は、市街地に比べて高い値を示した。理由として森林におけるO3の生成、もしくは市街地におけるO3の消失の2つの可能性が考えられたが、ポテンシャルオゾンを用いることで、森林と市街地でのO3濃度の違いは、広域に存在するO3が市街地に局所的に存在するNOと反応することで、市街地のO3濃度が低い値となったことが示唆された。森林と市街地のNO,NO2,O3濃度は同様の日変化を示した。昼間のO3濃度は、森林と市街地でほぼ同じ値を示した一方、夜間のO3濃度は、森林と市街地で同じ場合と市街地で低い場合とが観測された。これは森林のおいてものNO,NO2濃度が高い夜間は、市街地と同様にO3とNOの消失反応が起こるためと考えられた。森林の夜間のO3濃度は、近隣市街地のNO,NO2濃度の影響を受けていることが明らかとなった。journal articl
Differences in breeding avifauna between Aokigahara lava flow and a kipuka
噴火は激しい自然攪乱であるため、数百年の後にも間接的に生態系に影響を与えている可能性がある。過去の噴火が現在の生態系に及ぼす影響を検討するために、富士山の青木ヶ原溶岩流上と周辺の焼間とで繁殖鳥類相と無脊椎動物の個体数を比較した。全体として無脊椎動物は焼間で多かったが、クモ類のみは溶岩流上に多い傾向が認められた。さらに、溶岩流上のみで繁殖が観察された鳥類は全種がクモ類を採餌する種であった。また、地上営巣性の鳥類は焼間のみで繁殖が確認され、地表面の攪乱によって営巣環境を制限されていると考えられた。これらの結果は、過去の噴火が餌資源と営巣環境という二つの面で現在の繁殖鳥類相に影響することを示唆する。journal articl
Birds observed during the fall on the upper subalpine zone of Mount Fuji's northern slopes
秋期の富士山北麓亜高山帯上部(森林限界付近)において、渡り鳥の調査をおこなった。調査は2009年10月~2012年11月までの9~11月に25回、定点調査によって実施した。調査の結果、12科19種の鳥類が確認された。出現率の高かったのはヤマガラ、ヒヨドリ、メジロであった。ヤマガラは2010年および2012年、ヒヨドリおよびメジロは2010~2012年に出現した。月別の出現種類数は9月は5種、10月は14種、11月は8種であった。9~11月のすべての月で観察されたのはハイタカだけであった。journal articl
Horizontal and vertical distribution of Hudrophytes in Lake Yamanaka, at the northern foot of Mt.Fuji in 2008.
山中湖に生育する水草・大型藻類の水平・垂直分布の現状について明らかにすることを目的に、湖の北岸に5定線、南岸に6定線、平野ワンドに4定線の計15定線を設け、2008年9月18~19日に各定線上で船上より自作の2種類の採集器を用いた水深1m毎の水草・大型藻類の採集と透明度の測定を行った。また、出現種数の多かった北岸の1地点で9月29日にスキューバ潜水により1辺50cmの方形枠3枠ずつの坪刈り採集を水深毎に行った。採食物は各定線、地点で水深毎に種類別に分けた後、生重量を測定した。その結果、湖全体で水草類12種(うち1種は交雑種)、大型藻類6種(シャジクモ属1種、フラスコモ属3種、フジマリモ糸状体、アオミドロ属)が確認された。定線調査による総採集量は6.2kg生重(平野ワンド4定線で2.9kg、北岸5定線で2.0kg、南岸6定線で1.3kg)であり、ホザキノフサモ、セキショウモ、ホソバミズヒキモ、クロモの順で採集量が多く、これらで全体の91%を占めた。また、セキショウモとホソバミズヒキモは15定線で、ホザキノフサモは14定線で、クロモは13定線で確認された。区域毎の水草の出現種数は北岸と南岸が10種、平野ワンドが8種であり、透明度は北岸で5.4~6.1m、南岸で4.7~5.8m、平野ワンドで3.4~4.3mであった。また、採集量が大きかった水深帯は北岸で3~4m、南岸で3~2m、平野ワンドで1~2mであった。北岸における単位面積(1㎡)当たりの現存量は水深3~4mで最大の2.4kg、次いで2mで0.8kg、1mで0.7kg、5mで0.1kgであった。以上より、セキショウモ、ホソバミズヒキモ、ホザキノフサモ、クロモが2008年の山中湖の優占種であり、これを過去の知見と比較した結果、山中湖では水草の種組成と優先度が数年といった短い期間でも大きく変遷していることが明らかになった。また、山中湖の水草・大型藻類の分布下限水深5mであり、透明度の増加に伴って水草の分布中心も平野ワンド、南岸、北岸の順で深くなり、種数も増加する傾向が見られた。さらに区域により種組成や生物量も異なることがあきらかになった。journal articl
Winter photosynthesis and photoprotection of Ilex peduculosa growing in the mountain region on Mt.Fuji
比較的低地の落葉広葉樹林の林床に生育する常緑広葉樹では、夏季は落葉広葉樹による被陰により光合成を十分に行えないため、冬季の光合成生産が生長や生存に重要であるといわれている。常緑広葉樹ソヨゴの一部は低地帯だけでなく、1000m以上の山地帯におけるアカマツ林などの林床で、落葉広葉樹と混交して生育している。このような場所では厳冬期に光合成生産はほとんど望めず、山地帯林床性常緑広葉樹は光合成を行える時期が非常に限られることが予測される。そこで、山地帯に生育するソヨゴが、どの時期に光合成を行い、また、冬季の低温・光ストレスに対し、どのように対処しているのかを検討した。秋季には林縁・林床ともに、日中高い光合成速度を示していたが、冬季にはほとんど光合成を行っていなかった。一方、光化学系Ⅱ活性の指標であるFv/Fm値は秋季に林縁・林床ともに低下していたものの、暗所、10℃の条件下で約10時間処理した後に再び測定するとFv/Fm値は上昇し、系Ⅱ活性の回復を示した。冬季には両地点においてFv/Fm値は0.2まで下がり、回復実験においても林縁ではFv/Fm値の回復が全く見られなかったことから、系ⅡのD1タンパク質が光ストレスにより分解したものと考えられる。しかし、林床では林縁よりもFv/Fm値の急速な回復がみられたことから、D1タンパク質の分解だけでなく、系Ⅱ反応中心タンパク質のリン酸化によって系Ⅱが不活性化され、過剰な光エネルギー吸収を抑え越冬していることが示唆された。また冬季においては、林縁・林床ともにキサントフィルサイクルによる熱放散が過剰なエネルギーを処理するために有効であるが、特に11月には林床でアンテラキサンチンとゼアキサンチンの比が著しく高かった。これらの結果から、山地帯の林縁と林床に生育するソヨゴの冬季の光阻害回避システムは異なることが示唆された。journal articl