Mount Fuji Research Institute (MFRI): Repository / 富士山研リポジトリ
Not a member yet
180 research outputs found
Sort by
Spatial distribution of Ambrosia trifida at Lake Yamanaka
一般的に河川や湖畔などの水辺は土壌条件や日照条件、水分条件など環境条件が大きく異なり、この違いに応じて多様な動植物が生育し、景観の多様性が保たれている。このような水辺の環境は身近な自然環境の1つでもあり、レクリエーションや休息、環境教育の場としても利用される。
現在全国の様々な河川において外来種の侵入と繁茂が報告されている。外来種とは、自然分布の範囲外の地域や生態系に人間活動に伴って意図的あるいは非意図的に持ち込まれる種のことを指す(外来種影響・対策研究会2003b)。その中でも特に外来種の導入や拡大によって地域の自然環境に大きな影響を与え、生物多様性や生態系を脅かす種あるいは人間生活に大きな影響を及ぼす種は「侵略的外来種」と呼ばれる(外来種影響・対策研究会2003b)。
富士山と富士五湖を含む富士北麓地域の調査及び研究報告では、生態系の多様性や絶滅危惧種の生育状況などが示され、その貴重な自然環境の状態が明らかにされてきた(たとえば、富士北麓生態系調査会2007)。しかし、本地域での陸上植物群落における外来植物種の危険性や分布状況が指摘されたことは少ない。外来植物種の侵入とその分布域拡大は在来植生を変質させ、良好な自然環境と認識されてきた従来の景観の消失を招く恐れがある。本研究では富士北麓に位置する山中湖を対象として、要注意外来生物オオブタクサ(Ambrosia trifida L.)の分布状況を明らかにし、湖岸の自然環境の保全に資することを目的として研究を行った。journal articl
Community structure and morphological changes of Vaccinium vitis-idaea at a tree-line of south slope in Mt. Fuji.
富士山は、地質学的に新しい火山で、森林限界は現在も一次遷移の進行とともに上昇している。特に富士山南東斜面は、1807年の宝永の噴火により森林が壊滅的打撃を受け、現在一次遷移が急速に進んでいる。
コケモモは、日本では亜高山帯や高山帯に広く分布する矮性低木で、富士山でもカラマツ林を中心に広く分布している。乗鞍岳の風衝地では、ハイマツがコケモモの生育を助け、ハイマツがコケモモにとってナースプランツとなっていることが示されているが、富士山にはハイマツは存在しない。富士山の森林限界では、カラマツがハイマツのニッチを占めている。カラマツは落葉広葉樹であり、ハイマツは常緑針葉樹である。また、カラマツは高木になるのに対し、ハイマツはその名の通り高木にはならない。また、コケモモは環境が変化するに従い形態を大きく変化させ、環境に適応した形態をとることが知られている。
このような違いをもとに、本研究では、遷移が現在も進行している富士山南東斜面で、斜面上部から下方に向けてベルトトランセクト(幅1m、長さ70m)を設置し、遷移の進行にともなうコケモモの生育環境の変化と分布を明らかにするとともに、コケモモが生育環境によりどのように形態を変化させるのかを明らかにした。設置したとランセクトの上部は森林限界のより上部の裸地から、コケモモが分布しなくなるカラマツ林林床下部までが含まれようにした。
調査の結果、コケモモの分布は、森林限界付近のカラマツ林と裸地が接する明るい環境に密な群落を形成していた。生産構造図を作成した結果から、コケモモは、カラマツ林の外側では背が低く葉を下の方まで付けることで光を有効に利用していることが明らかとなった。また、森林限界のカラマツ林の内側では、背が高くなり、葉は上方に多く見られ林の外側よりも暗い環境に適した生産構造図となっていた。一方、調査地内の裸地ではコケモモは全く観察できなかった。カラマツ林林床では、水分環境と窒素環境は良かったものの光環境が悪く、コケモモの分布は疎になっていた。また、林床にもところどころ明るい場所がありそのような場所にはコケモモは多く見られた。典型的なカラマツ林林床では、生産構造図より林床のコケモモは葉量が少なく上から下までほとんど一様に葉を付けるような形態をしていた。また、当年枝密度、生産量同様に相対照度30%までは相対照度とともに増加し、30%以上で一定になった。葉数、当年枝長、LMAも同様の傾向があった。一方で、葉の大きさや節間長については場所による差はなく、先行研究のハイマツ林とは異なった結果が得られた。
以上のことから、富士山南東斜面では、コケモモにとってカラマツは、裸地の厳しい環境から保護することにより、ナースプランツとなっていることが明らかになった。一方で、カラマツが大きくなると、光を遮ることなどで、コケモモにとっては生育に良くない環境を作ることが明らかとなった。また、相対照度30%がコケモモの分布、生長、形態に大きな影響を及ぼすことで重要な値であることが明らかになった。journal articl
Elevation mechanism of timberline ecotone on the southern slope of Mt. Fuji
十分な標高(3776m)をもち噴火の年代が新しい富士山は、森林限界の形成過程を解明するために好適な対象である。最近の噴火は、1707年に起きており、南東斜面に宝永火口(2693m)を形成した。この火口に近い南斜面では、植生は回復途上にあって、現在2500m付近にある森林限界は、将来は西側斜面と同じ2800mまでは上昇するものと予想される。したがって、現在の森林限界の成り立ちを調べることは、森林が上昇する過程や、森林限界移行帯が形成されるメカニズムを跡づけ、予測することにつながると期待される。富士山南斜面の標高2500m付近では、幅150~200mにわたって森林限界移行帯が認められる。近年約40年間の空中写真から、カラマツの上限付近では、わずかながらカラマツの数とサイズが増加していることが確かめられた。この森林限界移行帯のなかのカラマツは、その偏形化の程度によって5種の樹型タイプに分類できる。この移行帯のなかでは、上端から下方へ向かって、矮生型、立上り型、ハタ型の順に樹型タイプが分布し、樹高も密度も増加していく。そして移行帯下部では、先端対称型と全体対称型のみが分布する。立上り型、ハタ型、先端対称型は、現在では幹が鉛直方向に向かって伸長しているが、下枝の伸び方から、過去に矮生型であった時代があることがわかる。これらの樹型タイプでは、成長の初期にある期間にわたって矮生型をとった後に、鉛直方向への伸長を開始していると考えられる。移行帯の上端の矮生型カラマツは、冬季に強い季節風を直接に受けて幹の伸長はできないが、自身で風を弱める働きをすることで、下方に分布しているカラマツの伸長を助けているのである。これらの結果から、次のような仮説がたてられる。1.森林限界の上昇過程の第一段階として矮生型カラマツが定着する。2.やがてその山頂側に新たな矮生型カラマツが定着することで、風が弱まり幹が立上り始める。3.山頂側のカラマツが増えるにつれて、環境はよりいっそう緩和されて幹の伸長がすすみ、偏型化も軽減して正常な成長ができるようになると考えられる。将来にかけてもこれを繰り返しながら、カラマツの移行帯は温量指数が許す限り上昇を続けるであろう。温量に制限された標高で安定している森林限界移行帯は、このような過程を経て形成されたものと思われる。journal articl
Distributional pattern of large trees in a decidious-broad leave forest in northern slope of Mt.Ohmuro,a parasitic volcano of Mt.Fuji
富士山北西山麓に位置する寄生火山である大室山北斜面の天然記念物「富士山原始林」の一部において120m×120m(1.44ha)のコドラートを設置し、直径50cm 以上の個体を大木と決め、位置、サイズ(胸高直径:DBH)、種類の測定を行った。イヌブナ、カツラについては、萌芽を盛んに行うため、直径の積算が50cm を超えるものを大木として扱った。その結果、DBH で50cm を超える種類は、アサダ(Ostryaja ponica)、イヌシデ(Carpinus tschonoskii)、イヌブナ(Fagus japonica)、ウラジロモミ(Abies homolepis)、エンコウカエデ(Acer mono var.connivens)、カツラ(Cercidiphyllum japonicum)、キハダ(Phellodendronamurensee)、サワシバ(Carpinus cordata)、ツガ(Tsuga sieboldii)、ハリモミ(Picea polita)、ブナ(Fagus crenata)、ミズキ(Cornus controversa)、ミズナラ(Quercus crispula)、モミ(Abies firma)、ユクノキ(Cladrastis sikokiana)の15種類であった。また、DBH で1m を超える幹を持つ個体が5個体確認された。最も大きな個体はミズナラで、胸高直径1.79m(下部が盤根のようになっているのでその上部で測定)であった。2番目に大きな個体もミズナラで1.48m(下部が盤根のようになっているのでその上部で測定)であったが、ミズナラはこの2個体しか確認できなかった。3番目に大きな個体はブナで1.41m であった。以下、イヌブナ1.18m、イヌブナ1.02m となった。また、1m に近い個体は多く見られた。journal articl
Photosynthesis and water relations of Abies and Larix saplings under high-light condition after avalanche disturbances
富士山の森林限界植生は、雪崩の影響を強く受けている。林冠木のみを破壊するような表層雪崩の発生は、その林床に生育していた植物に劇的な環境変化を与える。弱光環境に耐えうるように適応した極相種では、雪崩によって生じた強光環境に対する生理生態的特性の応答が限定的であり、物質生産が制限されることが予想される。これを検証するために、雪崩撹乱で生き残った極相種シラビソ(Abies veitchii)の稚樹と、撹乱後に実生更新したカラマツ(Larix kaempferi)の稚樹について、光合成・蒸散速度、木部圧ポテンシャル、通導コンダクタンス、葉の窒素含量を比較し、雪崩撹乱後の環境が両種に与える影響を明らかにした。生育地でのシラビソの純光合成速度、蒸散速度、気孔コンダクタンスは、カラマツよりも低い傾向を示した。また、カラマツと比べて、シラビソの飽和純光合成速度、光合成の窒素利用効率、水の通導コンダクタンスは低かった。シラビソの低い純光合成速度の要因の一つは、飽和純光合成速度の低さであり、これは主に、(1)光合成系タンパク質への窒素分配の少なさ、(2)葉内でのCO2 の拡散制限、(3)強光阻害によって引き起こされたと考えられる。(1)と(2)は、シラビソが厚い葉を持つことに関連した性質であり、(3)についてはクロロフィル蛍光の最大量子収率の低下から確かめられた。また、シラビソの日中の気孔コンダクタンスはカラマツよりも低かったが、気孔閉鎖による葉内CO2 濃度の低下は小さく、両種の純光合成速度の違いは、主に光合成能力の違いによることが明らかになった。シラビソは、雪崩によって生じた強光環境への十分な順化能力を持たず、その個葉の物質生産は撹乱後に定着したカラマツよりも低いことが示された。journal articl
Petrochemical Study of Volcanic Rocks of the Nishiyatsushiro Group, as basement of Fuji Volcano
富士火山は、南部フォッサマグナに属し、その基盤の性格を有している。しかし、その南部フォッサマグナの岩石学的性格はかならずしも明確ではない。今回は山梨県常葉川流域の西八代層群の火山岩についてその性格を調査した。本火山岩は玄武岩を主体とし、安山岩やデイサイトを含む。本火山岩は泥岩などを挟在し、産状としては枕状溶岩やハイアロクラスタイトなど海底火山噴出物の産状を示し、海底噴火により形成されたことが推定される。また、主体となる玄武岩はソレアイトであり、アルカリ玄武岩の貫入岩を含んでいる。これらのソレアイトおよびアルカリ玄武岩のマグマタイプはIAT からT‐MORB で、Sr・Nd 同位体比では、MORB と類似し、Nd 同位体比は西日本では最も高い値を示している。これらのことから、本玄武岩は背弧海盆の性格を示している。つまり、本層群の形成環境は古伊豆―小笠原弧の背孤海盆のような場所で海底での火成活動が活発に起こった場と推定され、その背弧という性質が富士火山の岩石学的性質と連続しているものと考えられる。journal articl
Outbreak of the train millipede on the northern slope of Mt.Fuji
2003年10月24日に精進口登山道2合目の山小屋周辺で大発生しているヤスデ類を確認した。同定の結果キシャヤスデ類の一種であるオビババヤスデ(Parafontaria laminata laminata(ATTEMS))であることが判明した。このキシャヤスデという名は、列車の運行妨害する程大発生があったことに由来する。オビババヤスデの基準産地は富士山であるが、これまでに大発生の記録は少なく、大発生時の分布域や発生密度などはよくわかっていない。そこで、富士山麓におけるオビババヤスデの大発生分布域などを把握するために富士北麓の精進口登山道および富士林道のそれぞれ一定区間を踏査した。結果、オビババヤスデは富士北西麓の広範囲で発生し、その発生密度は、列車の運行妨害を生じさせた小海線沿線の大発生などに比べると低いが、山梨県柳沢峠で1973年の大発生時における発生密度と同規模程度であったと推定される。journal articl
The dominance mechanism of a summergreen herb, Cacalia adenostyloides in a subalpine coniferous forest at Mt. Fuji
カニコウモリが、亜高山帯の常緑針葉樹林の林床に優占群落を形成する機構を明らかにする試みを行った。富士山北斜面の標高 1,900 m 地点で林床の明るさが異なる場所で林床植生を調査し、カニコウモリの好む微環境を解明するとともに、標高の異なる 2 地点(1,750 m、2,150 m)で光と温度の測定と個体群構造を記録し、光合成特性、呼吸特性、葉面積成長、バイオマス成長等を測定し、環境と成長様式の関係を解析した。
標高 1,900 m の林床の明るさの異なる場所に 1 m × 1 m 方形区を設置して種別に地上部バイオマスを測定した。裸地に対する相対光量子密度が約 1%から 8%までは林床植生の全地上部バイオマスとカニコウモリの地上部バイオマスは相対光量子密度の増加に伴って直線的に増加した。全地上部バイオマスに対するカニコウモリのバイオマスの割合は相対光強度が約 8%までは 60-80%と著しく高かった。しかし、より明るい場所ではカニコウモリの地上部バイオス及びその割合は著しく小さくなった。このことは、他種が多く出現する比較的明るい林床環境では、カニコウモリの優占が抑制されることを示唆した。
標高 1,750 m と 2,150 m 地点で個体群構造、光合成、呼吸、成長等を測定した。2,150 m 個体群の方が 1,750 m 個体群よりも、密度が高く、閉鎖林冠下で約 2.6 倍、林冠ギャップ下で約 1.8 倍、当年実生密度は約 10 倍であり、2,150 m では発達したコケ層に実生が多く見られた。2,150 m で個体群はより確実に維持されていることが推察された。光合成速度と呼吸速度には標高による違いがなかった。光合成特性は光補償点が著しく低く(約 5μmolm-2s-1)、典型的な陰葉を示し
た。相対成長率(RGR)は 2,150 m の個体の方が生育期間を通して高かった。総生産に占める呼吸量の割合は 1,750 m で
66%、2,150 m で 45%と推定された。1,750 m の個体の RGR 低下の主要因は、呼吸量の上昇によると推察された。以上の
結果から、カニコウモリが亜高山帯常緑針葉樹林の林床で優占種になれる主要因は、以下の点であることが推察された。
1.年間を通して弱光環境のため競争種がほとんどない。
2. 光合成の光補償点が低い。
3. 低温下(高標高下)でより高い RGRと純生産を実現する。
4. 有性繁殖が活発で多くの種子が散布される。
5. 実生の定着サイトであるコケ層が発達している。journal articl
A study on the breeding ecology of the Ural Owl, Strix uralensis , which utilized an artificial nest, and its prey types and species at the northern foot of Mt. Fuji, central Japan
富士山北麓にあたる山梨県南都留郡富士河口湖町のアカマツ・カラマツ植林地で、1998年の繁殖期に人工巣に営巣したフクロウについて、番いの生態や巣に運んだ給餌物について調査した。抱卵は大部分メスが行い、その間はオスによるメスへの給餌が確認された。育雛初期も抱雛は主にメスが行い、オスによるメスとヒナへの給餌が行われた。育雛後期には雌雄両方によるヒナへの給餌が確認された。給餌物はネズミ、モグラなどの哺乳類、コゲラなどの鳥類、昆虫類など多義に亘ったが、その多く(87.9 %)はヒメネズミ、アカネズミなどの哺乳類であり、本種がネズミ類に特化した捕食者であることが確認できた。また、給餌物の季節的変化が確認でき、繁殖初期は殆どネズミ類であったが、繁殖中・後期には鳥類や昆虫類も給餌されることが分った。抱卵期におけるオスからのメスへの 1 日あたりの給餌量は、ネズミ類が 2.2 、モグラ類が0.1 頭と推定され、またヒナ 1 羽あたりの全育雛期間を通じての給餌量は、ネズミ類が 55 頭、モグラ類が 5.9 頭、昆虫類が 8.2 頭ほかと推定された。メスとヒナの 1 日あたりの推定給餌量を比較すると、ネズミ類はメスが 0.2 頭多く、モグラ類や昆虫類などはヒナへの給餌量が多かった。さらに、給餌されたネズミ類の種別個体数と各種の平均体重を基にして、フクロウのメス成鳥が 1 年間に摂取するネズミ類の重量を推定したところ、約 15 kg(ヒメネズミ 1,077 頭分に相当)という値が得られ、フクロウのネズミ類に対する捕食圧が、極めて大きいものであることが示唆された。journal articl