Showa University Academic Resource Repository / 昭和大学学術業績リポジトリ
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医療用麻薬自己管理推進に向けた薬剤自己管理金庫の開発と使用感に関するアンケート調査
医療用麻薬を自己管理することで患者の除痛率の向上やセルフマネジメント能力の向上が期待できる.今回,医療用麻薬自己管理を推進するために患者のベットサイドでレスキュー薬の自己管理が可能となる薬剤自己管理金庫を開発し,看護師を対象とした使用感のアンケート調査を行った.その結果,総合的な使用感として,90%が肯定的な回答であった.加えて,作業時間が増えることなく使用可能であると回答が得られたことから,本金庫は医療用麻薬に関する患者の自己管理に有用となる可能性が考えられた.departmental bulletin pape
入院当日に行動抑制を開始する看護師の判断した理由とその思い
高齢化率は上昇し,患者の73%が65歳以上である.高齢者は加齢や疾病の影響により,入院すると身体・認知機能が低下しやすく,治療を理解できず医療事故が発生している.安全確保の為行動抑制を実施する.身体拘束を最小限とする看護が求められているが,低減できていない.その理由には困難な判断が生じていると考える.本研究は,入院当日に行動抑制を開始する看護師の判断した理由とその思いを明らかにする.入院当日に行動抑制を開始した14名の看護師に行動抑制を開始する看護師の判断した理由とその思いを半構造化面接で調査し,コードおよびカテゴリー化した.昭和大学に設置されている人を対象とする研究等に関する倫理委員会承認済み,番号第22-171-A号.行動抑制を開始する看護師の判断した理由は80個のコードから7つのカテゴリー「自己抜去歴があり,抜去される可能性がある」「転倒歴やふらつきがあり,転倒する可能性がある」「認知機能の低下が起きている」「前病棟と同じ種類の抑制を開始する」「短時間の関わりで患者特有の行動が予測できない」「夜間は環境の変化によりせん妄が起きる可能性がある」「夜勤はスタッフの数が少なく危険行動に素早く気づけない」が生成され,看護師の思いは67個のコードから8つのカテゴリー「危険行動の記録があると,抑制をしなければと思う」「重大な挿入物は敏感になる」「患者を理解できていないため,行動を予測できず不安」「私は不要と思ったが,先輩の意見に同調」「安全を優先する」「抑制帯よりセンサーを使用することで拘束が軽減されている」「夜勤でスタッフが少なくなると,患者の危険行動に対応できるか不安」「インシデント発生時,責任を取らなければならない」が生成された.看護師は患者が入院する前の事前情報・患者の理解が得られず行動予測困難な時・患者を把握できない時・先輩看護師の意見に同調・看護師同士の気遣いが行動抑制を開始する判断に影響を及ぼしていた.根底には医療事故発生時に看護師は責任が問われる不安が強いほど,行動抑制を開始することで患者が危険行動を起こした時に対応できるという思いが患者側にたった考えではなく,患者に対して責任があるからこそあらゆる場面で患者の尊厳を守り,患者を尊重することが重要である.今後,同じ医療事故を繰り返さないため,病棟全体の課題として安全文化の醸成を作り上げることが重要である.患者の安全と看護師の責任は,同じ医療事故を繰り返さないための改善策に重きを置き,患者の尊厳を守り患者を尊重した安全対策を継続的に実施していくことが,行動抑制の低減へ向けた取り組みの一助となることが示唆された.departmental bulletin pape
クマ外傷に対する上口唇再建の1例
クマ外傷では受傷範囲が広範囲にわたり,深部まで達することが多いが,組織欠損を伴うことは少ない.今回クマ外傷による上口唇の2/3以上の全層欠損に対して,再建を行い良好な結果を得た1例を経験した.上口唇の欠損では可能な限り口唇組織そのもので再建することが望ましいが,欠損範囲が大きい場合,口唇のみでの再建は困難となる.損傷範囲を適切に診断し,複数の局所皮弁を用いれば,広範な組織欠損でも形態を大きく損なわずに再建することが可能である.departmental bulletin pape
胸部X線撮影時の患者介助における介助者の水晶体被ばく線量を低減させる試み —顔の向きの違いによる検討—
病院内における患者の転倒事例は多く発生しており,またそのリスクも高い.X線検査室においても例外なく発生する.一例として,立位で深吸気後に息止めを行う胸部X線検査がある.この検査では,バルサルバ効果によって心臓への血液供給が低下し,失神に至る可能性が指摘されているが,これは年齢に関係なく起こりうる現象である.胸部X線撮影では,心臓の拡大率など画像の見え方を考慮すると立位での胸部X線撮影が望ましいため,可能な限り立位で胸部X線撮影を行っている.転倒によるリスクがある場合,転倒防止のため診療放射線技師が介助につくが,その件数が増加している.胸部X線撮影における転倒防止目的の介助は患者の右側に立つことで水晶体被ばく線量を低減できると報告があった.本研究では,胸部X線検査において介助者が患者介助を行う際,対象物の運動が知覚できる中心視野の範囲で顔の向きを振ることで,水晶体被ばくが低減できるか検討した.水晶体の被ばく線量は,眼球が正面となる角度を0度(ドイツ水平線が水平になる顔の向き)として,外耳孔上縁を中心に上下30度,正中矢状面から左右30度にそれぞれ向いた合計5点を測定点とし,Bonferroni検定を用いて比較を行った.また,放射線防護眼鏡着用時と未着用時の測定を行い,Wilcoxon検定を用いて比較を行った.測定結果は,左右方向では右眼が0度と右向き30度,左向き30度と右向き30度で有意差が認められ,左眼はすべての組み合わせで有意差が認められた.上下方向では,右眼が0度と上向き30度,下向き30度と上向き30度で有意差が認められ,左眼は0度と上向き30度,下向き30度と上向き30度で有意差が認められた.左右方向では両眼ともに約20%被ばく線量が低減した.上下方向では上向き30度のときに両眼とも約25%低減し,さらに,放射線防護眼鏡を着用することで最大で約40%の低減が可能であることがわかった.departmental bulletin pape
子宮脱を伴う直腸脱に対し腹腔鏡下直腸固定術(Wells法)と腹腔鏡下仙骨膣固定術を同時に施行した1例
子宮脱を伴う直腸脱に対し腹腔鏡下直腸固定術(Wells法)と腹腔鏡下仙骨膣固定術を同時に施行した1例を経験した.83歳女性.子宮脱の経過観察中,5cm長の直腸脱を認めた.手術では直腸間膜を切開し,仙骨前面を剥離してメッシュを敷設固定し,頭側に引き上げた直腸両側をメッシュで包み非吸収糸で縫合した.子宮頸部を自動縫合機で切離し,子宮頸部と膣の前後にダブルメッシュ法で縫合し,岬角に釣り上げて固定した.直腸脱と子宮脱を併発する患者に対する同時手術は,患者負担を軽減し,手術にかかるコストを軽減できると考えられた.departmental bulletin pape
歯科恐怖症と頻回の発作を起こす難治性冠攣縮性狭心症患者に対し定量的な鎮静深度評価を用いて静脈内鎮静法を行った1例
静脈内鎮静法は歯科治療に対する恐怖心や不安,緊張感を最小限に抑制し,快適かつ安全に治療を実施するために,静脈内に鎮静薬を投与し患者管理を行う方法である.患者は既往に難治性冠攣縮性狭心症があり,2009年より発症し内服加療を行っていたが,ストレスによる胸痛発作から失神,心室細動まで至ったことが何度かあった.以前歯科治療のストレスによって術中に重篤な心血管系合併症が誘発された.この経験がトラウマとなり,患者は歯科恐怖症となった.そのため静脈内鎮静法下での歯科治療を希望された.本症例では過去にベンゾジアゼピン系鎮静薬を用いた治療に失敗していた.そのため,通法よりも術中に生じる精神的ストレスや身体的ストレスをより軽減し,厳密な鎮静管理を行う必要があった.鎮静方法はプロポフォールの持続投与を選択し,鎮静管理を行った.持続投与には血中濃度を予測し流量を自動調節するTCI(Target Controlled Infusion)を用いて行った.鎮静深度の評価のために,脳波モニタである患者状態指標(PSi:Patient state index)と他覚的評価であるRamsay scoreで評価を行った.歯科治療中のPSi値は60〜80で推移しており,Ramsay scoreは3で経過した.プロポフォールの投与量は脳波モニタを参考にTCI 1.5〜2.0µg/dlで調節した結果,良好な鎮静を得る事が出来た.予定されていた治療は行え,心血管系の合併症も起こらなかった.適切な鎮静度を得るために麻酔深度を客観的に確認できる脳波モニタは非常に有用である.今回われわれは脳波モニタを使用して,難治性冠攣縮性狭心症を既往に持つ患者の鎮静管理を経験したため報告する.departmental bulletin pape
【医療系ビッグデータと薬剤疫学】 臨床薬剤師による臨床リスク評価と医療系ビッグデータ活用の展望
本稿では,病院薬剤師による医療系ビッグデータを活用した研究の実践例を通じて,薬剤師の役割拡大とデータサイエンスへの関与の可能性について概説する.薬学部卒業後の薬剤師の進路は多様であるものの,臨床志向の学生も増加傾向にある.一方で,病院経営上は薬剤師業務に対する診療報酬評価が十分とは言えず,雇用経費以上の直接的な収益確保は困難な状況にある.それでもなお,病院薬剤師の配置が拡大している背景には,複雑化する薬物治療において安全性を担保する専門職としての期待がある.これに伴い,薬剤師は現場での実務に加え,エビデンス創出の担い手として研究活動にも注力するようになってきている.近年では,症例報告やレトロスペクティブ調査にとどまらず,医療系ビッグデータを活用した大規模な解析を行う薬剤師も増加している.医療系ビッグデータの構造に対する理解と解析手法には一定の専門性が求められるが,適切に活用することで臨床現場に根ざした実践的な知見を導出することが可能となる.本稿では,データ構造や研究設計の基本的概念を紹介するとともに,薬剤師による医療ビッグデータ研究の展開と意義について,実例を交えながら考察する.departmental bulletin pape
【医療系ビッグデータと薬剤疫学】 妊娠と薬領域における医療ビッグデータ
妊婦は添付文書において特定の背景を有する患者の1つとしてあげられており,妊娠中の医薬品曝露の影響を評価する際には,母体と胎児の両方が調査対象となりうる点で,妊娠と薬は特殊な領域である.妊婦は多くの臨床試験において除外基準と設定されているなど,介入研究によって得られるヒトにおけるエビデンスは限られているため,医療ビッグデータの活用が期待されている.有害事象自発報告データベースは,医薬品安全性シグナルの早期検出を主な目的として解析が行われるものであり,一方で,有害事象の発生率を算出するための分母情報がないこと,過少報告,報告バイアス等の種々の限界も有している.近年では妊娠関連報告の特定アルゴリズムも開発されているなど,妊娠と薬領域においても活用が進んできている.さまざまな情報源から日常的に収集されたリアルワールドデータは,妊娠中・妊娠前後における医薬品の使用実態の把握や,妊娠のアウトカムや児のアウトカムとの関連性の検討などに活用されている.近年では,ドンペリドンの添付文書改訂の際に,リアルワールドデータを用いたエビデンスが貢献したという事例も存在する.医療ビッグデータは,妊娠と薬の領域でも,医療現場における意思決定に貢献する有用なデータソースである.その活用には,データの特性に合わせた適切なエビデンス創出が必要不可欠である.departmental bulletin pape
【医療系ビッグデータと薬剤疫学】 高齢者総合機能評価DASC-21とポリファーマシーとの関連
日本は超高齢化社会に突入し,2023年の総務省推計によると65歳以上の高齢者が人口の約30%を占める.高齢者は身体機能や生理的予備能の低下により,多疾患併存の傾向が強まり,薬剤数が増加する.厚生労働省統計によると,5剤以上を使用する割合は,前期高齢者で27.4%,後期高齢者では39.7%に上昇し,院内処方でも同様の傾向が見られる.ポリファーマシーは,薬物有害事象のリスク増加や服薬アドヒアランス低下を引き起こし,認知機能低下,転倒,せん妄など老年症候群のリスクを高める.疾患悪化に繋がらないよう複雑な薬剤スケジュールを簡素化,減薬するなど,多職種連携による個別の薬物治療適正化が必要である.高齢者総合機能評価(CGA)は,患者の認知機能,ADL(日常生活動作),心理状態,栄養状態,薬剤などを多職種で評価し,各領域の問題点を把握する老年学的手法である.特に,DASC-21は認知機能や生活機能を包括的に評価するツールであり,患者本人だけでなく介護者・家族支援のために具体的な計画を立てる基盤となる.DASC-21は,認知機能やADL障害の評価を主とした高齢者総合機能評価であるため,その進行状況に応じた個別医療を行う上でも有用なツールであるが,DASC-21認知機能・ADL評価が悪化するほど薬剤数が減少する傾向が報告されており,不要な薬剤の減薬を進める薬剤調整の重要な指標となる可能性がある.DASC-21をはじめとする多職種連携によるCGAの実施により,個別性の高い医療が提供されやすくなる.これにより,ポリファーマシーの包括的対策が進み,不要な薬剤の削減や有害事象リスクの軽減が期待される.このような取り組みを重ねることで,単なる延命を超え,患者の人生に寄り添う医療の実現につながると考えられる.departmental bulletin pape
呼吸モニタリングデバイスを用いた左乳癌深吸気息止め照射における呼吸停止位置の変位が線量分布に与える影響
近年,心臓への被ばく線量低減を目的とした深吸気息止め(deep inspiration breath-hold:DIBH)照射は広く用いられている.しかし,深吸気での呼吸停止状態の維持は個人差があり,呼吸停止による胸壁の動きが安定しない場合には線量分布が影響を受ける可能性がある.胸壁位置の観察が放射線治療の精度にとって不可欠であるため,本研究では,呼吸モニタリングデバイス(以下,呼吸モニタ)を用いて胸壁の動き(変位)とその線量分布への影響を検討した.研究方法として,最大吸気息止め時の胸郭の動き(胸壁の変位)を評価するため磁気共鳴画像(Magnetic Resonance Imaging:MRI)を用いて,胸壁の変位を40秒間撮像した.MRIを用いて呼吸モニタの目盛りと呼気時における胸壁の変位量の関係を評価した.次に,治療計画装置を使用して線量分布を作成し,呼吸モニタの目盛りにおける線量分布を,3次元半導体検出器を用いてγ解析を行った.その結果,胸壁は時間経過と共に変位しており,呼吸モニタの目盛りの変化およびγ解析の精度によってγパス率が低下した.本検討により,呼吸波形変化による胸壁の変位は治療計画時の線量分布と臨床における線量分布に差が生じる恐れがあることを明らかにした.departmental bulletin pape