Atomi University Repository / 跡見学園女子大学機関リポジトリ
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ベトナム戦争によるコミュニティの分断と回復の過程
application/pdftext本稿は、2019年9月29日、跡見学園女子大学で行なわれた坪井善明先生の講演をまとめたものである。講演の要旨は下記の通りである。
1975年のベトナム戦争終結後に生まれたボートピープルは、成功率10%だった。それなのに実行してしまう点に精神の荒廃が表れていた。戦争のつらさは全員が体験しているため、ベトナムの人たちは「私は苦労した」とは言わない。特に外国人に対しては、恥の感情もあって言わないから、真相をつかみづらい。外国人は、言葉の問題も抱えているしその国の背景も知らないから寄り添うことが難しいけど、それができると彼らは信頼を寄せてくれる。
1989年初頭、私が現地へ赴任したとき、戦争以来精神を病んで電線から大使公邸に入り込んだ人がいた。でも、そのような人ばかりなので、それが問題とはならなかった。現代においても、傷病者へのケアの体制は不十分で、精神病院もない。でもコミュニティでは、障がいをもっている人たちに対しても、みんな他の人たちと同様に接する。コミュニティ全体が開放病棟のようだ。
ベトナムは大陸国で、栄枯盛衰を繰り返したために国の大きさが変動した。そのため、国民の移動性が高く、土地に執着しない。家族の概念は日本より大きく、その家族が世界中にいる。若い世代はSNS等を駆使して海外ネットワークを広げ、国際的状況をよく捉えている。基本的人権や自由への意識も高い。1968年に韓国人による虐殺があったハミ村では、韓国人とベトナム人が協力して新しいコミュニティづくりに取り組んでいる。人は豊かになることで、自分以外のことも考えられるようになる。コミュニティ再生のためには、経済発展が大事である。現在のベトナムの人たちは非常に前向きな意識をもっていて、そこに展望がある。
その一方で、日本は劣化している。物怖じして、世界を知らず、内向き。ベトナムの分析を通して、日本社会と日本人一般の考え方を根本的に変えていかなくてはならないと考えている。departmental bulletin pape
雑誌『ブラスト』に見るウィンダム・ルイスのデザイン思想
application/pdftextThis study focuses on Vorticism in the early 20th century and aims to explain the development of de sign within British avant-gardism in the context of advancements in printed media between 1910 and 1920.
Unlike traditional art, avant-garde art sought to create artworks that manifested and disseminated new ideals about art in general. Art movements like Russian constructivism and Futurism were already used journals to appeal to public interest. Such journals were both artworks and a sounding board for new ideas, requiring artists to have knowledge of printing techniques and to understand the differences between an original work of art and its printed copy. Artists considered aspects like layout and typeface to be of crucial importance. Hence, the artists’ intentions should be considered: did they steer towards graphic works based on the premise that they would be printed, strongly affirming the differences between the two? Or, did they use them because the printed version retained features of the original, denying the differences? Through our examination of printed media, we reconsider the position of copying technology in the context of modernist thought.departmental bulletin pape
【研究ノート】観光地の発展に係わる「被差異化」の影響について ―熱海温泉におけるケーススタディを中心に―
application/pdftext観光地の持続的発展、もしくは盛衰にもっとも本質的で大きな影響があるのは、観光地の価値(魅力)が維持されているにかかっている。観光地の宣伝・広報や交通の利便性の向上は、観光地の価値の消費に関わっており、価値の向上とは結びつかないことに注意する必要がある。まず、観光地の価値の性質について調べていくと価値の多くは消費されていくものであることが分かる。価値のうちの多くは、P. ブルデューのいう差異化(ディスタンクシオン)に根ざしているものと考えている。つまり、「旅行という商品の消費を通じて、他者より卓越した立場に立つ」ということであり、仲間や友人・知人が行きたがっている観光地や旅行先をいち早く訪ねることが求められる。ところが、もし負の価値の要素を持つ観光地はどのような影響を受けるだろうか。本稿では、負の価値を持つ観光地へ行くことは被差異化の対象となりうるので、多くの人が訪問を避けることになり、結果として観光地としての衰退をもたらすことを明らかにしている。検証の対象地としては、かつての熱海温泉と温泉地としては比較的安定的に推移してきた草津温泉とした。departmental bulletin pape
大卒女子の早期離職者と継続在職者の異同の研究 ─ファーストキャリアにおける心理的プロセスの検討─
application/pdftext本研究では,大卒女子のファーストキャリアにおける早期離職者と継続在職者の心理的プロセスの異同を検討することを目的とした。就活から就業に関する質問項目を作成し,半構造化インタビューを実施した。そして,各調査協力者の発話を計量テキスト分析による共起ネットワークを用いて,中心性の高い語を抽出し,検討した。この研究から以下のことが示唆された。
1.今回の研究では,離職者2名とも退職のきっかけは「不適応による退職」だった。しかし,現在は両者とも次の就職に向けて,それぞれ行動を起こしていることが分かった。つまり,これらの退職は単なる「不適応による退職」ではない。その挫折を通しての「新たらしいキャリア形成に向かっての退職」であったといえるだろう。
2.実際に就業経験のある者や就業中の者の継続要因について,特に,在職者の発話内でメンターと呼べる者の存在が明らかとなった。そして,そのメンターの存在は,各調査協力者たちにとっての心の支えや,仕事に対するモチベーションに影響していたことが伺えた。つまり,そういったメンターの存在は,就業継続の要因の一つと考えられる。そのため,各企業はメンターシステムを構築することが,今後,若者の早期離職を防ぐための効果的な戦略となるのではないかと筆者は考える。departmental bulletin pape