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人工的に拡張されたデータセットを用いた日本語感情音声合成
北見工業大学博士(工学)This study explores the feasibility of using artificial emotional speech datasets generated by existing artificial voice-generating software as an alternative to human-generated datasets for emotional speech synthesis. Focusing on the Japanese language, we assess the viability of these artificial datasets in languages with limited emotional speech resources. Our approach combines qualitative and quantitative analyses to evaluate the effectiveness of synthetic emotional speech in replicating human-like emotional expression. The results demonstrate that while artificial datasets can approximate certain emotional states, there are significant limitations in replicating the full range of human emotions, particularly in subtle or mixed emotions. These findings underscore the potential and current constraints of using artificial datasets in emotional speech synthesis, suggesting avenues for future research to enhance the quality and emotional expressiveness of synthetic speech.この研究では、既存の人工音声生成ソフトウェアによって生成された人工的な感情音声データセットを、人間が生成したデータセットの代替として感情音声合成に使用する可能性を探ります。日本語に焦点を当て、感情音声リソースが限られている言語において、これらの人工データセットの有効性を評価します。本研究は、質的および量的分析を組み合わせて、人工的な感情音声が人間のような感情表現をどの程度再現できるかを評価します。結果として、人工データセットは特定の感情状態を近似できる一方で、特に微妙な感情や混在した感情の再現には大きな限界があることが示されました。この発見は、感情音声合成における人工データセットの可能性と現状の制約を浮き彫りにし、合成音声の品質と感情表現力を向上させるための将来の研究の方向性を示唆しています。doctoral thesi
北見における積雪最下層の水安定同位体比の変化
積雪初期における,北見での積雪最下層の水安定同位体比プロファイルの経時変化を観測した.根雪となる12月中旬の降雪層はわずか2cm程度の厚さであり,極めて大きな温度勾配がかかり,数日でしもざらめ雪に変化した.この層のδ2Hは,降雪直後は約−120‰であったが,わずか9日間で−55‰まで増加した.δ18Oも同様に,−19‰から−8‰まで増加した.d-excessは32から2まで減少した.北見のように積雪の比較的少ない地域では,積雪初期の急激なしもざらめ化により昇華蒸発が卓越し,δ値とd-excessが極端に変化すること,またそのプロファイルが融雪期まで長期間維持されることがわかった
農業におけるコスト制約を伴う価格変化を考慮した複数圃場向け統合管理
農業利益の最大化に関する多くの従来研究がある.その中に,複数圃場における利益をコスト制約下で最大化するために,輪作(栽培作物の選択)と栽培管理(栽培行動の選択)を1 個の統合管理問題として解く従来研究がある.しかし,従来研究では作物価格は変化しないと仮定している.本研究では,コスト制約を伴う価格変化を考慮した複数圃場向け統合管理問題を検討し,新しい統合管理方法を提案する.統合管理問題はマルコフ決定過程を用いてモデル化される.提案方法は動的計画法を用いて,コスト制約下で価格変化を考慮した複数圃場の期待利益を最大化する.数値計算例では,価格変化を考慮した適応的な作物選択例と栽培行動選択例が確認された.本研究は基礎研究であり,今後の拡張研究が必要である.例えば,より現実的な問題設定として,各種確率が未知の統合管理問題が興味深い
山岳観光地における観光行動とトイレに関する総合的研究
本研究は,日本における山岳観光地の一つである上高地を事例として,観光行動と公衆トイレの設置・利用状況の関係を分析し,地理学におけるトイレと循環型社会に関する総合的研究の構築を試みることを目的とする.山岳観光地において屎尿処理は重要な課題である.そこでまず,現在,上高地の環境整備を所管する松本市アルプスリゾート整備本部へのヒアリングを実施,次に現地調査によって上高地に立地する11か所の公衆トイレの設置状況,規模,屎尿処理方法,利用等のデータを収集した.観光行動と屎尿の関係に関しては人流データと上高地浄化センターの汚水処理量(2014年~2024年)等を用いて計測,分析し,トイレに関するデータとの照合を試みた. 上高地までの道路の整備が進み観光客が増加したことに伴って,屎尿処理が問題になると,水域の保全と公衆衛生,環境保全を目的として1985年に特定環境保全公共下水道事業が竣工した.下水道整備は観光客が集中する「集団施設地区」が中心であり,明神,徳沢,横尾および山小屋等は対象外となっていた.2025年現在は下水道未整備地域からの汲取りあるいは自家浄化槽からの汚泥処理を上高地浄化センターが請負うシステムが確立され,環境省と松本市の予算により,公衆トイレの整備・刷新が進められている.上高地バスターミナルから河童橋に至る「集団施設地区」は登山客よりも行楽地として上高地を楽しむ一般観光客が多く,これまでもオーバーユース(過剰利用)の問題が指摘されてきた.11か所の公衆トイレを調査した結果,公衆トイレも同地区に集積し,便器数,処理量が多く,大正池から横尾に至る上高地全域のトイレの立地と規模は,山岳観光地としてのゾーニング計画とも連動していることが明らかになった.2025年現在導入されているチップ制度には観光客の環境への関心を高めるねらいが含まれており,集中や滞留などの観光行動がトイレを規定する一方,トイレを通した観光行動の変容が期待されていることがうかがわれた.会議情報
主催: 公益社団法人 日本地理学会
会議名: 2025年日本地理学会秋季学術大会
開催日: 2025/09/20 - 2025/09/2
樹木流失及び高水敷掘削による流下能力向上が河道形状に与える影響に関する研究
北見工業大学博士(工学)地球温暖化に起因し多発する豪雨による災害の激甚化・頻発化が予測される中,洪水時の河川流量を安全に流下させるためには,河道内樹木による流れの阻害や河道の断面不足を解消し流下能力をより一層向上させる必要がある.しかし,洪水時における樹木群内の基本的な水理特性ならびに河道内樹木流失とこれに対する水理現象との関係,また,河道断面掘削が河道に与える影響に関する知見は十分とは言えない.本研究は,洪水時における樹林帯内の付着物の抵抗,中規模出水における樹木流失特性,高水敷掘削による河岸高と河岸侵食の関係についての解明を目的とするとともに,これらの視点に立った河道管理上の着目点を明らかにする.
本研究により以下の研究成果が得られた.
1) 十勝川水系猿別川洪水時(H19)に樹林帯内にADCPを設置して計測された鉛直方向流速分布データを詳細に解析した.流速分布構造はゴミなどの付着物の影響を受けていると考えられた.そこで,水深方向に密度変化を考慮できるよう既往の樹林帯内流速理論式を改良し,改良式に河床付近の堆積物の密度を与えた結果,実測流速分布をより正確に再現することが可能となった.さらに,付着物の有無を考慮した流況解析では,付着物を考慮した計算流速は実測に概ね一致したことから,樹林帯の出水中の流水抵抗をより正確に評価するには,ゴミなどの付着物の影響を考慮する必要があることを明確にした.
2) 2005 年及び 2006 年に音更川で発生した低水路満水程度の中規模洪水を対象に交互砂州上の樹木群の流失現象を考察した.2005 年では樹木群上流側の一部のみの流失に留まったのに対し,規模の小さい 2006 年ではほとんどが流失した.この違いについて河床変動計算手法により現象の再現を試みた結果,樹木群の冠水時間は2006年は2005年の1.8倍程度と砂州が発達する時間が確保されたため蛇行が発達しやすい状況となり 2006 年は樹木群が大規模に流出したことを明らかにした.特に樹木群流失は砂州の下流側への移動により発生したことから音更川のような急流河川では交互砂州上に存在する樹木群流失は上流側の砂州が大きく影響し,砂州が下流側へ移動することにより生じる可能性が示唆された.また,砂州への冠水時間や流量規模が異なる条件の数値実験では,樹木群流失は流量規模よりも砂州への冠水時間による影響が大きいものと考えられた.
3) 音更川では2016年8月洪水等の大規模出水時に堤防流出や大規模な河岸侵食が発生した.一方,本川下流に位置し人工的に直線化された統内捷水路は多くの出水を経験してきたが交互砂州を伴う直線河道を維持し続けている.流下能力向上のため,河道掘削をする場合,河道の安定を第一に考える必要があることから,河岸侵食の有無がどのような違いから生じているかを把握する目的で,河床変動計算手法により水深に対する比高の比(比高/水深)が統内捷水路で約 2.0,音更川で約 1.0 となる流量を一定で与えた検討を行った.その結果,前者では交互砂州の形成後も蛇行流路の振幅は小さくなる一方,後者では蛇行流路の振幅が拡大し河岸侵食が発生した.また,統内捷水路で同じ流量規模時に比高/水深が 1.0 となるように比高を変化させた場合,音更川同様の傾向を確認した.これより,高水敷を掘削し比高を下げると流下能力は確保されるが,河岸侵食が発生して新たな被災が生まれる可能性があることを指摘した.doctoral thesi
三次元プリンターを用いて作製された物体の正確度評価画像処理システムとその信頼性
北見工業大学博士(工学)三次元プリンティングは、付加加工とも呼ばれる材料を層ごとに積み重ねて製造を行う加工法である。従来の除去加工では製造が困難な多孔質などの複雑な形状を効率的に製造でき、材料の無駄を削減できるなど多くの利点がある。このため、さまざまな分野で広く活用されている。しかし、設計やスライシングなどの前処理、材料特性、表面仕上げといった後処理の影響により、製造誤差が生じることがある。従って、製造された物体が設計通りにどの程度正確であるかを評価する必要がある。そこで本研究室にて画像処理を用いた正確度測定システムが開発された。このシステムでは、Computer-Aided Design (CAD)モデルから生成した設計二値画像と製造物の画像を基に、グレースケール化、二値化、ノイズ除去、マスク処理を順次行った後の物体二値画像を比較し、一致箇所および不一致箇所を特定する仕組みである。しかし、本システムによる測定の信頼性は、画像処理の設定に大きく依存するため、本研究では最適な画像処理設定の検討を行った。実験では、さまざまな設定を用いて検証を行った。その結果、グレースケール画像から二値画像に変換する際の閾値が測定に最も影響を与えることが判明した。また、次にノイズ除去の設定が影響を与えることが明らかになった。閾値は製造された物体の色に依存し、適切なノイズ除去設定が施されていない場合、ノイズが過剰に除去されたり除去不足になったりするため、正確な測定が困難になることが確認された。一方、適切な設定を用いることで、フィラメントの造形跡などのノイズを効果的に除去できることが示された。さらに、緑色およびオレンジ色の試験片を用いた検証により、それぞれの色における最適な閾値とノイズ除去設定を明らかになった。この設定を用いてフラクタル形状の試験片を測定した結果、鋭角な部分が多いほど測定誤差が大きくなる傾向が見られた。最後に、孔の深さや大きさの分布が断面の高さによって異なる多孔質形状を対象とした測定を、色付き画像およびComputed Tomography (CT)画像を用いて実施した。その結果、CT画像は断面形状をより鮮明に捉え、測定誤差が少ないことが確認された。
本論文は次のように構成する。第1章では、3次元プリンティングと画像処理及び関連する研究の文献の概要について述べる。第2章では、本研究で用いる画像処理を用いた正確度測定システムの概要及び具体的な機能について述べる。第3章では本研究で用いる試験片の設計と製造及び撮影について述べる。第4章では、本システムの有効性を実例によって示す。第5章では、本研究における結論を述べる。最後に第6章では、本研究における今後の展望について述べる。
本研究によって得られた知見は、三次元プリンティングにおける造形正確度の評価基準の確立に寄与することが期待されるとともに、測定における知的システムの開発への応用を期待する。doctoral thesi
食材量の調整を伴うレシピ推薦における最適解と近似解の比較
従来から,ヘルスケア視点での料理レシピ推薦方法が数多く検討されている.従来研究の中には,最適な料理レシピ推薦方法に関する研究がある.また,ランダム抽出を伴う近似解法に相当する料理レシピ推薦方法に関する研究もある.しかし,これらの従来研究では,最適解と近似解の比較は未検討である.また,栄養素の摂取履歴を考慮した最適な料理レシピ推薦方法や,食材量の調整を考慮した最適な料理レシピ推薦方法に関する従来研究もない.そこで,本研究では,栄養素の摂取履歴と食材量の調整を考慮した料理レシピ推薦方法を検討対象とする.最適な料理レシピ推薦方法とその近似解法を提案したもとで,数値計算例(適用例)によって最適解と近似解を比較する.適用例では,栄養素の摂取履歴と家族構成に応じた最適な提案方法による適応的なレシピ推薦が確認された.また,提案した近似解法の特徴も確認できた.本研究は基礎研究であり,今後の拡張研究が必要である.journal articl
寒冷地における定住化とサニテーションの課題:グリーンランドとモンゴルの事例から
会議情報
主催: 公益社団法人 日本地理学会
会議名: 2025年日本地理学会秋季学術大会
開催日: 2025/09/20 - 2025/09/2
春季の低温下における積雪内部の融解・凍結構造の観測例
本研究は,近年観測事例が増えている「凍結した水みちの痕跡」を手がかりに,北海道北見にて春季の低温環境下における融雪・凍結構造の観察を行った.この時期は気温が0 °Cを境に上下するゼロクロッシング期間に相当する.平均気温は氷点下であるが,日中の気温上昇時に雪面近くの層の含水率が上昇することにより,融水が積雪内を流下し水みちを形成する.その後,気温低下により再凍結してつらら状の氷塊となる.融解と凍結の過程で強化される.含水率測定により検証した結果,この仮説は概ね成立するといえる